【農地改良造成工事で古木を移植し若木を植樹中】
春間近、梅の季節がやって来た。奈良県内の梅の名所といえば、月ケ瀬梅渓に賀名生(あのう)梅林に広橋梅林。この3カ所が県内三大梅林と呼ばれるそうだが、奈良市中心部から程近い追分梅林(奈良市中町)の人気も高い。長らく行っていないし、天気もまずまず。久しぶりに訪ねてみようかと思い立って車で出かけたところ……。
追分梅林は第二阪奈有料道路の南側に接し、なだらかな傾斜地に広がる。広さは約10ヘクタール、本数は白梅・紅梅合わせて約4000本とも。これまで数回訪ねた時の様子を思い浮かべながら車で上っていくと、広大な梅林はなんと地面むき出しの階段状の造成地に変貌していた。狐につままれたとはこのこと。造成地の一角には古木が移植され、新しく植樹されたらしい若木の蕾が膨らんでいた。
道路を上りきった所にある追分本陣(村井家住宅)の斜め向かいの納屋の中で女性2人が談笑していた。早速伺ってみると、農地改良造成工事のため4年前の2011年3月末から休園中とのこと。造成工事は既にほぼ終了して、今は梅林を管理する追分梅林組合の組合員さんが手分けして植樹しているという。
追分梅林は古木が多いことで知られた。それが観梅の楽しみを増してくれた。移植された古木の中には元気に若い枝を伸ばし、蕾を多く付けたものも(写真㊨)。ただ、ほとんど芽吹いていない古木も多いような印象を受けた。造成地の一角に太い枝が山積みされていた。古木の剪定枝だろうか、それとも根付かず掘り起こされたものだろうか。
お話を伺った女性によると、毎年この時期になると事情を知らずに観梅のため訪ねてくる人が多いという。先日も大阪側から生駒を越えて遠路やって来た女性グループがあったそうだ。女性たちのがっかりした様子が目に浮かぶ。追分梅林が再開園して往時のにぎわいを取り戻すのは何年先になるのだろうか。