【ユッカの仲間、原産地は北米南部~中米】
「ユッカ」と総称されるキジカクシ科(旧リュウゼツラン科)イトラン属の常緑樹で、米国南部からメキシコ、西インド諸島のジャマイカなどにかけて分布する。日本には明治中期に渡来した。幹は直立し、その頂上部に先端が鋭く尖った剣状の葉が放射状に密生する。和名の語源は不明だが、葉数が多いことからの命名ともいわれる。学名は「ユッカ・アロイフォリア」。種小名アロイフォリアは「アロエのような葉」を意味する。英名は「スパニッシュ・バヨネット(銃剣)」。
花期は6~8月ごろで、葉の中央から高さ30~60cmの花茎を立て、白い釣鐘状の花を下向きに付ける。樹高は4~6mにもなるが、幹が高くなりすぎると自然に倒れることが多いという。葉に黄色い縁取りが入る園芸品種は「キンポウラン(金宝蘭)」と呼ばれ人気が高い。さらに葉に白い斑(ふ)が入るものは「サンシキ(三色)センジュラン」と呼ばれるそうだ。暑さや乾燥に強く、比較的耐寒性もあることから、関西以西では露地植えでも越冬できる。
よく似たものにキミガヨラン(君が代蘭)やアツバ(厚葉)キミガヨラン、イトランなど。キミガヨランの名付け親は植物学者の牧野富太郎。小石川植物園にあったユッカの一種を「グロリオサ種」と固定し、その語源「栄光」から「君が代は栄える」と関連付け「キミガヨラン」と命名したが、後にこのユッカはアツバキミガヨランだったことが判明したという。アメリカ先住民はユッカの根を石鹸に、果実を食用に、葉や茎の繊維を糸や紐の材料に利用した。ユッカの花は米国ニューメキシコ州の州花。「雨あしの広場にしぶきユッカ咲く」(飯田蛇笏)