【原産地は熱帯アメリカ、夏から晩秋まで長い花期】
キク科アゲラタム属(カッコウアザミ属)。同属の植物は熱帯アメリカなど中南米に数十種類分布するが、花卉として栽培されてきたのはコニゾイデス(和名カッコウアザミ)とホウストニアヌム(オオカッコウアザミ)の2種。ただ最近多く出回り主流となっているのは後者とその園芸品種で、単にアゲラタムという場合もオオカッコウアザミの仲間を指すことが多い。本来は多年草だが、寒さに弱く日本では冬に枯れるため春まき1年草として扱われている。
属名でもあるアゲラタムはギリシャ語の「a」(否定語)+「geras」(老年)を語源とする。「古くならない」「年をとらない」を意味し、花色が長く褪せないことを表す。アゲラタムの花期は長く、6月頃から霜が降りる11月頃まで咲き続ける。花色は青紫のほか白や空色、ピンクなどがあり、草丈も20cmほどの矮性種から80cmぐらいになる高性種まである。
和名カッコウアザミ(藿香薊)の名付け親は植物学者の松村任三博士(1856~1928)。卵形の葉の形が漢方薬になるシソ科の多年草カッコウ(生薬名藿香、和名カワミドリ)に似て、花の様子がアザミのようなことによる。アゲラタムは花期が長いこともあって花壇や鉢植えのほか切り花用としても人気だが、原産地では野草化し、アフリカやアジアなど世界各地の熱帯~亜熱帯でも帰化植物として雑草扱いされている。日本でも沖縄の一部や八丈島、小笠原などに帰化しているそうだ。