く~にゃん雑記帳

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<奈良女子大管弦楽団> ドヴォルザーク第8番など溌剌と演奏

2017年12月11日 | 音楽

【第47回定演、ブラームス「悲劇的序曲」なども】

 奈良女子大学管弦楽団の第47回定期演奏会が10日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。第1部はワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より「第1幕への前奏曲」とブラームスの「悲劇的序曲」、第2部はドヴォルザークの「交響曲第8番」。学業の合間に練習を重ねてきた学生たちの溌剌とした演奏に、会場の国際ホールを埋めた観客から惜しみない拍手が送られた。

 客演として指揮したのは若手女性指揮者の木下麻由加さん。2010年に神戸大学発達科学部人間表現学科を卒業し、その後、デンマーク王立音楽アカデミー指揮科で研鑽を積んだ。帰国後は関西を中心にオーケストラや吹奏楽団などの客演や合奏トレーナー、副指揮を務めている。奈良女子大管弦楽団の定演客演指揮も2015年から3年連続。その間に団員とのスムーズな意思疎通や信頼関係が育まれてきたのだろう。今回の演奏会でも時に繊細に、時にダイナミックに切れのある指揮で若い演奏者たちを見事に統率していた。

 ワーグナーの「ニュルンベルク…」は全3幕15場で4時間半にも及ぶ長大作。「第1幕への前奏曲」はそれをぎゅっと凝縮したような10分余りの曲で、冒頭のハ長調の明るく力強い響きによってワーグナーの世界に一気に引き込まれた。ブラームス「悲劇的序曲」は陽気な「大学祝典序曲」の対極として作曲され、曲名も自ら名付けたといわれる。ドヴォルザークの交響曲第8番は第9番「新世界より」の影に隠れがちだが、クラシックファンには傑作の一つとして人気が高い。この名曲を強弱・緩急のメリハリを利かせて演奏し、中でも第3楽章のバイオリンの哀愁を帯びた甘美な旋律が心地よく耳に響いた。アンコール曲は同じドヴォルザークの「スラブ舞曲 作品46-8」だった。

 同管弦楽団の演奏会を聴くのは2014年のイタリア公演凱旋記念演奏会(橿原市)以来3年ぶりだったが、今回も期待を裏切らない名演奏だった。ただ、団員の間では苦労が絶えないようだ。団長の中野奏子さんは「ごあいさつ」の中でこう吐露している。「近年、団員不足という大きな問題に悩まされてきました。特に幹部である3回生の人数が非常に少なく、運営面、演奏面においても上手くいかない場面が多々ありました」。それを示すように舞台上では女性陣の中に10人余りの男性が交じり、出演者名簿の一覧にも「賛助」や「OG」の文字が少なくなかった。演奏会の成功も多くの力添えがあってこそというわけだ。来春には新1回生が1人でも多く仲間に加わることを陰ながら祈りたい。

コメント (1)
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