く~にゃん雑記帳

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<サカキ(榊)> 語源は神の領域と人間界の〝境の木〟?

2019年07月04日 | 花の四季

【代用の植物と区別するため「真榊」や「本榊」とも】

 モッコク科(またはサカキ科)サカキ属の常緑小高木。主に本州の関東南部以西と四国、九州の山地に自生し、大きくなると高さが10mを超える。日本のほか朝鮮半島や中国、台湾にも分布する。初夏に小枝の葉の基部に径1.5cmほどの白い5弁花を下向きに付け、秋に小さな黒い球形の実を結ぶ。「榊」は中国から渡ってきた漢字ではなく日本国内で作られた国字(和字)。その文字が示すように神木として紙垂を付け玉串や御幣として神事に使われ一般家庭でも神棚に捧げられてきた。

 ただサカキが育たない関東北部や東北などではよく似たヒサカキで代用されてきた。ヒサカキはサカキに比べ葉が小さく、縁にギザギザの鋸歯があるのが特徴。ヒサカキは「非榊」や「姫榊」とも呼ばれる。シキミやオガタマ、クスノキ、イチイ、ソヨゴ、ツバキなどを「さかき」として使ってきた地方も多い。サカキを「マサカキ(真榊)」や「ホンサカキ(本榊)」と呼ぶのはそれらと区別するときの呼び名。園芸品種に斑(ふ)入りの「フクリンサカキ」や「ノコギリバサカキ」などがある。

 サカキの語源は神の世界と人間の世界の境に植える「境木」とする説が有力。ほかに葉が年中青々と茂ることによる「栄え木」説や神聖な木を表す「賢木(さかき)」説などもある。学名は「Cleyera japonica(クレイエラ・ジャポニカ)」。属名は江戸時代末期に長崎・出島のオランダ商館長を二度務め、サカキをヨーロッパに紹介したドイツ人アンドレアス・クレイエルに因む。植物学者のカール・ツンベルクが献命した。万葉集でサカキを詠んだ歌は大伴坂上郎女の長歌「…奥山の賢木の枝に白香つく木綿(ゆふ)とりつけて…」(巻3-379)という1首がある。「立ちよりし結の社や花榊」(松尾いはほ)

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