【中国地方の日本海側から九州にかけて分布】
海岸の岩場に生えるキク科シオン属(アスター属)の多年草。主に日本海と東シナ海に面した中国地方から九州にかけて自生し、海外では朝鮮半島の東海岸や済州島、ロシアの沿海州などに分布する。草丈は20~30cmほど。乾燥や潮風に強く、岩にへばりつくように横に広がって群落を形成する。和名はダルマのようにずんぐりとした草姿からの命名といわれる。
花期は10~11月頃。茎の先に径3~4cmの頭花を上向きに付ける。花は淡い紫色の舌状花と無数の黄色い管状花からなる。葉は細かい毛が密生したビロード状で、匙(さじ)のように先が丸まった倒卵形。学名「Aster spathulifolius(アスター・スパツリフォリウス)」の種小名も「匙形葉の」を意味する。属名アスターの語源はギリシャ語の「星」から。
ダルマギクは山口、島根、福岡の3県で準絶滅危惧種になっている。国内有数の群生地として有名なのが山口県下関市の角島最北端に位置する「牧崎風の公園」。北長門海岸国定公園の〝指定植物〟として採取が厳しく規制されている。甑島(こしきじま)にダルマギクの白花が自生する鹿児島県では絶滅危惧Ⅰ類。「打たれ強いなどと悲しく人は言いダルマギク風に耐えつつ咲けり」(鳥海昭子)