【北米から渡来、昭和初期に牧野博士が京都で確認】
フウロソウ科の帰化植物で、秋に芽を出しロゼット状で越冬し、春になると茎を立ち上げ白~淡紅色の小花を付ける。和名は北米原産でフウロソウ属の仲間であることからの命名。学名「Geranium carolinianum(ゲラニウム・カロリニアヌム)」にも米国の地名「カロライナ」が盛り込まれている。日本では90年ほど前の昭和初期に牧野富太郎博士が京都市内で確認したのが最初という。牧草の中に種子が紛れ込んで持ち込まれたとみられる。その後、生息域を急速に拡大し、今では全国各地の日当たりのいい道端や土手、空き地などでごく普通に目にするようになった。
花や実の形が下痢止めなどの民間薬として有名なゲンノショウコ(現の証拠)によく似る。花はどちらも可憐な5弁花だが、アメリカフウロの花径は5~8mmでゲンノショウコ(10~15mm)よりかなり小さい。開花時期も春~夏のアメリカフウロに対しゲンノショウコは夏~秋。さらにアメリカフウロは葉が掌状で基部近くまで深い切れ込みが入るという違いもある。アメリカフウロは花後、先端が嘴状に尖った蒴果ができ、黒く熟すと5個の種子が弾けて飛び出す。
アメリカフウロは近年その抗菌成分が農業関係者の間で注目を集めている。沖縄県農業試験場の調査では乾燥させたこの植物を土壌に鋤き込み、敷きワラ被覆処理などと組み合わせた結果、ジャガイモ青枯病への高い防除効果が確認できたという。サツマイモやトマトなど他の園芸作物でも有効性の確認試験が続けられているようだ。アメリカフウロの花言葉は「誰か私に気付いて」。花が小さくて地味で目立たないことから生まれた言葉だろう。その小花にハナアブが止まって長い間蜜を舐めていた。ハナアブは一見ハチやアブに似ているけど、大きな分類上ではハエの仲間。人を刺すことはなく、農作物の受粉を手助けしたり害虫のアブラムシを食べてくれたりしてくれる。ハナアブは益虫なのだ。