く~にゃん雑記帳

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<ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)> 別名「高砂芙蓉」

2021年07月08日 | 花の四季

【ヤノネは葉の形から、原産地は南米のブラジルなど】

 アオイ科ヤノネボンテンカ属(パボニア属)の高さ1mほどの低木。細長い葉の先が鏃(やじり)のように尖り、花が四国~九州・沖縄に分布する同じアオイ科で別属のボンテンカに似ていることからヤノネボンテンカという和名を与えられた。原産地は南米のブラジル、ボリビア、アルゼンチンなど。日本には観賞用の園芸植物として1980年代前後に入ってきたという。暑さ寒さに比較的強いため逸出したものが西日本を中心に各地で野生化しているようだ。

 花期は7~9月ごろ。朝開いて夕方には萎む一日花だが、最盛期には新しい花が毎日咲き続ける。花径4~6cmほどの白い一重の5弁花で、基部に濃い赤紫色の模様が入るのが特徴。花弁の裏側には放射状に赤い筋の花脈が走る。花の雰囲気がフヨウ(芙蓉)やムクゲ(木槿)などアオイ科フヨウ属の花に似ていることから「タカサゴフヨウ(高砂芙蓉)」という別名を持つ。ただ高砂はかつての台湾を指す日本での呼称で、南米原産のこの植物がなぜこう呼ばれているのかは不明。「ミニフヨウ」や「ヒメムクゲ」と呼ばれることもある。

 学名は「Pavonia hastata」で、属名パボニアは18世紀に南米の植物調査に取り組んだスペイン人、ホセ・アントニオ・パボン(1754~1840)への献名。種小名ハスタータは「鉾形の」を意味しており葉の形を表す。ヤノネボンテンカは雄しべの花糸12本が合着し筒状になって雌しべの花柱を包む。この植物は花を開いてチョウなどの媒介で他家受粉を行うほか、花が開かなくても自家受粉し受精する〝閉鎖花〟という仕組みを併せ持つ。花が半開きや閉じた蕾の状態でも雌しべの柱頭が雄しべの葯の方に動いて受粉し種子を作ることができるわけだ。国内の在来植物では牧野富太郎博士によってスミレ、フタリシズカ、ツリフネソウなど11科14属19種の閉鎖花が確認されている。

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