【天然記念物指定の名木が各地に】
モッコク科モッコク属の常緑樹で、大きなものは幹の直径が50cm、高さが15m以上にもなる。本州の関東以西と四国、九州・沖縄の山地に自生し、厚くて光沢のある葉と品格のある堂々とした樹形から庭木としても人気を集めた。最近ではやや馴染みが薄いものの、かつてはモチノキ、モクセイとともに庭木の“御三家”と呼ばれ、江戸時代にはアカマツ、カヤ、イヌマキ、イトヒバと並んで“江戸五木”とも称えられた。
6~7月頃、直径1~2cmほどの白い5弁の花を下向きに付ける。雄花のみを付ける雄株と、両性花を付け秋に赤い実が成る株があるのが特徴。雄花は黄色い葯が群がってよく目立ち、両性花は突出した柱頭の基部を雄しべが囲む。学名は「Ternstroemia gymnanthera(テルンストロエミア・ギムナンテラ)」。属名は18世紀のスウェーデンの自然科学者の名前に因み、種小名は「雄しべの葯が裸の」を意味する。
モッコクの語源には諸説あり、一説に岩などに着生するランの一種セッコク(石斛)に花や香りが似ていることから江戸時代に命名されたという。堅くて緻密な材は杵や櫛などの工芸品、床柱などの建材として用いられてきた。モッコクの高木が群生する広島県竹原市の「忠海八幡神社社叢」は国指定の天然記念物。都道府県指定の天然記念物には東京都あきる野市の「慈勝寺のモッコク」、千葉県佐倉市の「佐倉城の夫婦モッコク」、さいたま市の「妙行寺のモッコク」、和歌山県那智勝浦町の「那智大社実方院のモッコクの大樹」などがある。「木斛の花一時や庭掃除」(古川迷水)