894)がん細胞のフェロトーシス誘導(その1):アルテスネイト

図:がん細胞はトランスフェリン受容体の発現が多く、細胞内に鉄を多く取り込んでいる(①)。アルテスネイトは分子内にエンドペルオキシド・ブリッジ(endoperoxide bridge)を有し、これは鉄イオンやヘムと反応して(②)、活性酸素を発生する(③)。鉄イオンを介してがん細胞内で多量に発生した活性酸素は、細胞膜や細胞内小器官の膜の脂質を酸化して傷害し、細胞死(フェロトーシス)を誘導する(④)。正 . . . 本文を読む
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893)ザクロ種子油に含まれる共役リノレン酸のプニカ油はがん細胞を死滅する

図:α-リノレン酸は亜麻の種子や荏胡麻の種子の油に多く含まれる。α-リノレン酸は炭素数18で二重結合を3個持つ脂肪酸(C18:3)で、カルボキシル基(COOH)から数えて9番目と12番目と15番目の炭素に二重結合があり、これらはいずれもシス型の構造をとる(9c,12c,15c)。プニカ酸はリノレン酸の異性体の一種でザクロ種子油に多く含まれる。プニカ酸はカルボキシル基(COO . . . 本文を読む
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892)ドコサヘキサエン酸とプニカ酸はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の内因性リガンド

図:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)とレチノイドX受容体(RXR)はヘテロダイマー(PPAR-RXR)を形成し、それぞれの受容体にリガンドが結合するとコアクチベーターが結合して、標的遺伝子のDNAのペルオキシソーム増殖因子応答配列(AGGTCAの塩基配列が1塩基をはさんで同方向に並んだAGGTCA-n-AGGTCA のダイレクトリピート構造)に結合して転 . . . 本文を読む
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891)抗がん剤の新薬の半分くらいは有効性が証明されていない

図:1995 年から 2020 年の間に欧州医薬品庁によって承認された166の適応症を持つ131種類の腫瘍治療薬について、少なくとも1つの組織によって追加利益が評価され、合計458の追加利益の評価が得られた。追加利益は59件(13%)が大きい(major)、107件(23%)が十分(substantial)、103件(22%)がわずか(minor)、189件(41%)が無しまたは定量化不可能(ne . . . 本文を読む
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890)ザクロ種子油のプニカ酸はフェロトーシス誘導を促進する

図:ドコサヘキサエン酸(DHA)は微細藻類や魚に多く含まれる(①)。共役リノレン酸のプニカ酸はザクロ種子油に多く含まれる(②)。食事からDHAとプニカ酸の摂取量を増やすと、がん細胞の細胞膜に多く取り込まれる(③)。抗がん剤、放射線照射、アルテスネイト、鉄剤、高濃度ビタミンC点滴、スルファサラジン、ジクロロ酢酸ナトリウム(④)は活性酸素の産生を高める(⑤)。飽和脂肪酸の多い細胞膜は脂質の過酸化が起こ . . . 本文を読む
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889)人類は太りやすい体質を持っている

図:人類は進化の過程で、氷河期における約200万年以上におよぶ狩猟採集時代に太る体質を獲得した(①)。それを説明する仮説として肉食関連仮説(Carnivor Connection Hypothesis)、倹約遺伝子仮説(Thrifty Gene Hypothesis)、捕食者解放仮説(Predation Release Hypothesis)などがある。これらの複合的な効果で人間は太りやすくなって . . . 本文を読む
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888)グルタチオン枯渇によるフェロトーシス誘導

図:鉄はトランスフェリン(TF)に結合して全身を循環している。1分子のトランスフェリンは3価の鉄イオン(Fe3+)を2個運搬できる(①)。がん細胞はトランスフェリン受容体(TFR)を多く発現している。細胞膜に存在するトランスフェリン受容体に3価鉄イオンを結合したトランスフェリンが結合すると、この複合体はエンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれる(②)。エンドソーム内の酸性の環境では、鉄イオンは . . . 本文を読む
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887)低酸素はがん患者の予後を悪くする

図:正常組織は整然とした血管網で栄養と酸素供給が行われている(①)。一方、がん組織では血管網が不完全で、血液が十分に行き渡らないところが多く、低酸素領域が多く存在する(②)。酸素は血液から拡散によって組織に広がるので、血管から離れた領域のがん細胞は低酸素になっている(③)。低酸素のがん細胞は浸潤性や転移能を亢進し、細胞死(アポトーシス)に抵抗性になり、放射線や抗がん剤に対する感受性が低下する。その . . . 本文を読む
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886)進行乳がんの再発予防

図:進行乳がんの治療後の再発予防に有効な食品成分、サプリメント、医薬品、運動、精神的サポートなどが報告されている。これらを多く実践すれば、再発リスクを限りなくゼロに近づけることができる。 886)進行乳がんの再発予防 【最近では1年間に約10万人が乳がんになっている】2019年の統計では女性の部位別がん罹患数は、乳がん(97,142人)、大腸がん(67,753人)、肺がん(42,221人)、胃 . . . 本文を読む
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885)ヒストンアセチル化を亢進するボリノスタット+α

図:ヒストン脱アセチル化酵素によってヒストンのアセチル化が低下するとクロマチンが凝集して遺伝子転写活性は抑制される(①)。ボリノスタット、β-ヒドロキシ酪酸(ケトン食や絶食で体内で産生される)、ジインドリルメタンはヒストン脱アセチル化酵素を阻害してヒストン・アセチル化を亢進する(②)。アセチルCoAはグルコースや脂肪酸の分解で産生される。ジクロロ酢酸ナトリウムとメトホルミンは細胞内のアセ . . . 本文を読む
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884)トコトリエノールはHMG-CoA還元酵素の分解を促進し、シンバスタチンの抗腫瘍活性を増強する

図:ビタミンEはトコフェロールとトコトリエノールの2種類があり、クロマン(Chromane)という分子式C9H10Oの環式化合物に炭素数16個の側鎖が付くという構造を持つ。クロマンにつくメチル基(CH3)の位置によってアルファ (α)、 ベータ (β)、ガンマ (γ)、 デルタ (δ)に分けられる。トコフェロールは二重結合の無い飽和した側鎖で、トコトリ . . . 本文を読む
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883)シンバスタチンはがん患者の生存率を高める

図:3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)がHMG-CoA還元酵素によってメバロン酸に変換され(①)、メバロン酸からゲラニル・ピロリン酸(②)、ファルネシル・ピロリン酸(③)が合成され、さらにコレステロールが合成される(④)。ファルネシル・ピロリン酸からゲラニルゲラニル・ピロリン酸が合成され、このゲラニルゲラニル・ピロリン酸とファルネシル・ピロリン酸は低分子量Gタンパク質の . . . 本文を読む
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882)カンナビジオールとがん治療(その5):がんの酸化治療

図:がん細胞は遺伝子変異やタンパク質の糖鎖異常によってできた異常タンパク質(①)が小胞体に蓄積して小胞体ストレスを引き起こす(②)。小胞体ストレスが強度になるとアポトーシス(細胞死)が誘導される(③)。異常タンパク質はユビキチン・プロテアソーム系(④)やオートファジー・リソソーム系(⑤)で分解されることによって小胞体ストレスは軽減される。2-デオキシグルコースは糖鎖異常の糖タンパク質を増やして小胞 . . . 本文を読む
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881)カンナビジオールとがん治療(その4):神経保護作用

図:抗がん剤は中枢神経系(脳と脊髄)と末梢神経系(運動神経、感覚神経、自律神経)の両方の神経細胞にダメージを与えて様々な症状を引き起こす。抗がん剤による神経障害を軽減する補完医療として、カンナビジオール、アセチル-L-カルニチン、R体アルファリポ酸、メラトニン、漢方薬、ビタミンB製剤などが利用されている。これらは様々なメカニズムで抗がん剤による神経障害を予防・軽減する。さらに、これらはいずれも抗が . . . 本文を読む
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880)カンナビジオールとがん治療(その3):カンナビノイド受容体CB1に対する作用

図:(左)Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)はカンナビノイド受容体CB1の強力な部分アゴニスト(partial agonist)で、CB1受容体を活性化する作用が大麻摂取の主な向精神作用に関与する。(右):カンナビジオール(CBD)は CB1のネガティブ・アロステリック・モジュレーター(negative allosteric modulator)であり、CB1 受容体に結合して . . . 本文を読む
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