私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

衣通郎媛は考えます

2016-06-18 07:10:58 | 日記

 「どうしよう」

 と媛は思います。「7日間、食事にも手に付けない。このままだとあの烏賊津とやらは死んでしまう。“因皇后之嫉<キサキノ ネタミニ ヨリテ>” 。この場合、、衣通媛は、決して、皇后の「妬み」を恐れてではないと私は思うのです。この「嫉」に「ネタミ」とルビを付しておりますが、女性として、姉である夫の天皇を、下世話の話ですが(ねとる)ことになります。だから、それを姉に対して遠慮して天皇の命令を拒否していたのだと思われます。先に上げた

        “不参赴”

 の中に込められた思いだと思うのです。

 その深慮な媛は、また、次のようにも思うのです。それを書紀には

      “且亡君之忠臣是亦妾罪也<マタ キミノ タダシキヒトヲ ウシナハシム。 コレモマタ ヤッコガ ツミナリ> ”

 「このように深く天皇の事を慮る忠臣を、私の前で、易々と、亡き者にしてしまうのは,あまりにも、もったいなく残念だ。仕方ない。この場合、姉には悪いが、私が行くしかないか」
 と。

 このように何事にも深く気にかけて、「どうしようか」と、色々と想いを回らし、その処置に困惑する衣通郎媛の性格まで、事前に、この烏賊津使主は調査していたのだろうと思います。媛のこのような考えに至る事を見通して、予め、「糒」を準備していたのです。なかなか悪賢い男だとも思うのですが、どうでしょうか。そのような綿密な事前の計画がこの男にあったと言うことも知らないで、その計略に引っ掛かって???衣通媛は天皇の元にやってまいります。