天皇が衣通郎媛に送った
“・・・・和我梅豆留古羅<ワガメズル コラ>”
と歌をお知りになった皇后は、書紀には“大恨<オホイニウラミタマウ>と書かれており、それ以上の事は何も書かれていません。
「そうなってしまったからには、いまさらどうしようもない」と、思われたのでしょうか、どうしようもない男性一般の行為を、ただ、憎々しく思うだけだったのです。その相手である吾妹に対して、どうこうしようだ何ってなかったのです。やはり我が血を分けた妹ですから、「どうしようもない」と、天皇に対しての怒りだけで、その場が過ぎて行くのです。
それを知った妹、衣通郎媛ですが、
「あそうか。お姉さんの怒りもそれだけか。安堵した。やれやれ、これからは毎日ご一緒に暮らせる」
と思ったのではありません。やはり姉妹です。姉のことが気にならないわけがありません。こうなってしまって姉に対して済まないと言う心が、当然、生まれます。姉妹ですもの。
そのことが、次の文を読んでいくと、手に取るように分かるのです。その文を
“常近王宮而<ツネニ オオミヤニ チカツイテ> 昼夜相続欲視陛下之威儀<ヒルヨル アイツイデ キミノ ミヨソオヒヲ ミマクホリス>”
とあります。「貴方のお側にいて、昼夜別なく、いつも、あなたの堂々と活躍されているお姿を見とうございます。」ぐらいの意味です。もう、一夜寝ただけで、天皇を慕う心に変っているのです。まだ2月で冬の真っ只中ですが、心はもう秋の空に変っているのですね。
おっと失敬。違ったかな???????