これを、<クサグサノ カタチ タレリ>と読ましております。
田狭は、都で天皇を補佐して政治を行っていたのですがその公務の休憩時間です。妻である稚媛の自慢話が始まりました。
“今天下麗人莫若吾婦<イマ アメガシタノ カオヨキヒトハ ワガツマノゴトキハナシ。”
と。<アメガシタ>です。「我が国の何処を探しても」です。麗人。そうです「日本一の美人を私は妻としているのです」と堂々と言うのです。えらく自信満々の言葉です。どんな顔をして云ったのでしょうか、想像するだけで愉快になります。案外、その言葉を聞いた人は、「またか』と云うぐらいに軽く聞き流したのではないでしょうか。この時初めてではないと思います。過去にも何回となくそれは聞いていたはずです。「またか」と多くの人は思ったのではないでしょうか???その前にかいて有る
“盛称・・・曰”
と説明しております。この「盛<サカリ>」という字は、しばしばという意味もこの字の中に含まれているように私は思うのですが
でも、この田狭の言葉を、初めて、それも、物陰からそっと聞いていた人がいます。