私はこんな軸を持っています。
“堂守の 小草の露の 夏の月”
と書かれてあります。なかなかの書(軸)だと感心して大切に持っております。でも、この句、何処かで聞いたこと有りません???何時だったかは分かりませんが、かって、何処かで、見たようでもあります。
ところが、数年前の事になるのですが、これも、私の持っている「蕪村句集」(天保年製)と云う本を何気なく開いておりますと、
“堂守の 小草ながめつ 夏の月”
があります。そこで初めて、この軸を書いた人が蕪村のこの句を盗作して、“小草ながめつ”を“小草の露の”にしたのだと気がつきました。それ以後、此の“小草ながめつ“の句が理由なしで、ものすごく好きになりました。
でも、毎年、夏になると、この“小草の露の”軸をつるして、私一人で楽しんでおります。
以上、私が、一番、好きな俳句です。芭蕉も山頭火も好きですが、やはり、私は蕪村派です。