田狭は、更に、言います。
「我が妻は広き世に疇罕<タグイマレ>なる、我が国一番の美女、独秀<ヒトリスグレタリ)」
と、自慢します。それを同僚はいかに来たか知りませんが、「またか」と思う者が多かったのではと思われます。しかし、その日は、その話を物陰から、密かに、「耳を傾けていた者」がおったのです。それが雄略天皇です。
それを聞くと、天皇は、そんなに美人な女性なら、「私は天皇だから、日本一の女性なら当然我が妻になるべきだ」と思われたのです。
さあ、大変です。当然、その美女「稚媛」は田狭の妻です。
「私の妃にするから、直ぐに差し出せ」
と、命令するわけにはいきません。そこで雄略天皇は考えます。