田狭の子「弟君」が「新羅征伐の長官」に任じられて、衆<イクサビト>を率いて、百済に入ります。その時、「国ツ神」と云いますから朝鮮の神様でしょうか、
“国神化老女性”
老いたる女性が弟君が進んでいる時、突然に、道に現れます。何故、ここに老たる女が現れるのかは分かりませんが、それまでにも、行く道すがら多くの百済人とあっているはずですが??? その時弟君はその老女に
“就訪国遠近”(新羅まではどれほどあるか?)
と尋ねます、すると、老女は「まだ一ケ月はかかるでしょう』と答えます。それを聞いた弟君は、
「まだ一ケ月も???」
と思って、新羅を討たないで帰ります。百済の国が集めてくれた天皇から命令あれていた「今来才伎<イマキノテビト>」(最新の技術を身に付けていた職人)を連れて帰国する用意をして百済の「大嶋」に集合して、
“託稱<イツワリテ>候風<カゼマツ>淹留<ヒサシク>数月<ツキヲコエタリ>”
ここに至って、田狭の子「弟君」が新羅征伐の長官を素直に受け入れたのかはっきりと分かります。新羅征伐と云えば、父親がその恨みを果たすために援助を申しこんでおる国です。その国を討つと言うことは、即ち、父親と相対することになります。それで“国神化老女性”を弟君はでっち上げ、新羅を討つ事を中止したのだろうと思われます。