イザナギは天照大御神、月読命、須佐之男命の三柱の神をお生みになって大いに喜ばれます。(“大歓喜<イタクヨロコバシテ>”)そして、まず、始に、天照大御神の首に首飾りになっている「玉緒」を掛けます。それを古事記には
“御頸珠玉緒<ミクビタマヲ>母由良邇<モユラニ>”
と書いてあります。この<モユラ>とは、「も」は接頭語で、(玉が触れ合って鳴るさま)を云いますが、宣長は、
“緒に貫<スケ>る玉どもの動きて、相触つつ鳴るさま”
と説明しております。要するに、イザナギは心地よい御音をさせながら玉飾りをアマテラスの御首に掛けておやりになるのです。そして云います。
“汝命者所知高天原矣<ナガミコトハ タカマガハラヲ シラセト>
“所知<シラセ>「貴女は高天原を治めなさい」と云います。なお、この時に掛けられた「御頸珠<ミクビタマ>」はあの「三種神器」の一つではありません。これは高天原にある宮殿に置かれていたものです。今でもそこにあるはずです。