誰でもです。自分の息子が、それも故あっての殺され方です。半狂乱になって、その死体にすがりついて涙をためて「どうして」と嘆き悲しむのが当たり前の「おかあさん」です。でも、もう一度書きますが、オホクニの母
”刺国若比売<サシクニワカヒメ>”
は、さすがすることがちがいます。すぐに、その焼け死んだ息子を生き返らせる方法を考えます。人と神様のここら辺りが違うのです。まず、天にある
”神産巣日命<カミムスビノミコト>
に生き返らせてもらう事を思い付きます。この神様は古事記の一番初めに出てくる神様です。
“天地初発之時。於高天原成神名。天之御中主神、次御産巣日神、次神産巣日神。此三神・・・・”
と書かれております。天地創造以前からいた神様です。「命」を生き返らせるくらいのことは朝飯前のことです。すぐに願いをかなえてくれるはずです。そこで、母は早速
“参上于天<アメニノボリテ>”
ます。そして、頼みます。「息子をどうぞ生き返らせて下さい」と。