『ロックで独立する方法』(忌野清志郎著、太田出版)。たまたま見かけた本でした。
5月に癌で亡くなった忌野さんにつてはあまり知りません。聞いたことのある歌という印象はあるのですが。でも彼について書かれたある新聞記事を読んでから、へえ~っ、どんな人だったんだろうと関心をもっていました。そしてタイトルに惹かれて読みました。
おもしろい。RCサクセション結成時の高校生の時から、2000年頃までの話が語られています。私も同じ年の頃から音楽に関心を持ってきたので、なるほど、そうそうと、うなずくことが多くありました。初めてのギターが自分で木の板に針金を張って作ったギターというのがいいですね。とにかく、音楽やりた~い、という一途な気持ちが、全面に出ている本です。
純朴なバンドだけが好きな少年がデビューして初めて知ったこと。自分はただ音楽をやりたいのに、いつの間にか音楽とは関係ない人々がウヨウヨと身の回りに出現してきて、音楽業界というわけのわからない世界に翻弄された日々。
大手プロダクションやレコード会社から離れて、真に独立するまでの悪戦苦闘、さらにバンドの解散、そしてソロとしての独立へ。好きなことをやって自由になる、それで生きていくこと。まさにロックな生き方を実践した忌野さんのメッセージ。なんか、いろいろ刺激になり、なかなか骨のある話でした。
そして、いつでもメジャーな音楽を気軽に聴くことが出来るようになった現代ですが、実はその過程は裏を返せば私たちの感性が衰退していく道ではなかったかと思うのです。どうでしょう…。
さてこの本、読み終わったあと、気になってふと奥付を見てみました。おお~っ、やはりあの人の編集した本でした。いい仕事してますね。これからも期待しています。