月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

毒きのこ 世にもかわいい危険な生きもの

2015-01-14 21:07:42 | キノコ本
本邦初、毒キノコ写真集!

雄大で美しい北海道・阿寒の森をフィールドに、自然ガイドのかたわら、キノコ撮影をてがける新井文彦さんによるビジュアル系きのこ本。

新井さんといえば、老舗ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の人気コンテンツ「きのこの話」で有名だが、なぜだか今回は毒キノコ縛りで登場!なぜだ?毒キノコ愛に目覚めてしまったのだろうか??

新井さんのあとがきによると・・・

≪毒があろうが、きのこはかわいい。毒があろうが、きのこは美しい。ぜひ、先入観なしに、ありのままの毒きのこの姿を見てください。≫

いつも悪者あつかいを受ける毒キノコを応援するためにつくった、のだそうだ。

なるほどな……キノコを分け隔てなく愛する私としては、おおいに歓迎!!


なんといっても、神々しいまでに美しい阿寒の自然を背景にしたキノコ写真が見どころ!


各キノコの紹介は毒性の話などを中心に平易でソフトな言葉で仕上げてある。キノコ判別のこまかな説明はなく、図鑑というよりはやっぱり写真集って感じ。キノコの知識のない人でも楽しめる。ちなみに、文章を書いているのは新井さんではないらしい。
ページレイアウトは、ほどよく変化をつけながらすっきりまとまっている感じ。このへんはプロのお仕事。


掲載種数は約40種。カラカサタケやムラサキシメジなど、あんまり「毒」って感じじゃないキノコが大半を占めるために、このカエンタケのページまで来て「そういえば毒キノコの本だった」と思いいたる。

それにしても見事なカエンタケ!北海道には滅多に発生しないと思うんだけど、わざわざどこかに出向いたんだろうか。コイツがいるだけで雰囲気が全然違ってくる。役者だねぇ。
他にも猛毒組ではドクササコを押さえてるのがポイント高い。でもねぇ、できるんなら、毒キノコ御三家のクサウラベニタケ・カキシメジと、あとドクヤマドリも欲しい!(欲張り)


全体として、ものすごくバランスが良くてリーズナブルな本。筋金入りのキノコ好きはさておき、きのこ初心者にはもってこいの本だ。

ただ、本が変則の横長なので、新井さんが多用している縦長写真は上下がカットされちゃったり、サイズが小さくなったりしてるのが残念なところ。なーんちゃって、ページレイアウトを美しくして、なおかつ写真の良さをフルに生かす!なんてやっぱゼータクか。新井さんの本格的な写真集でないかなぁ。

「毒キノコの悪いイメージをぬぐいさりたい」との新井さんの言葉が見事に体現された写真集だと思う。個人的にはもっと毒毒しててもぜんぜん大丈夫だけどねっ!(笑)