月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

『ほなまた』

2020-02-04 12:26:10 | キノコ本
『ほなまた』 こしだミカ著

濃ゆい絵がらのキノコ絵本。
妙に人間味のある動物たちが、地面からにょきにょき生えるキノコを見つけて目を輝かせる。
食べ物として天然キノコを扱いつつ、生き物としての側面にも触れているという純度の高いキノコ本。


動物のメンツはイノシシ・サル・モモンガ・ハエ。獣だけかと思ったら、なぜかハエっていうのが(笑)
でもこのハエの描かれ方がとてもよい。表情まで伝わるようだ。
他の獣たちも挙動や表情が豊かで、なにやらオジサンくさい。イメージ的にイノシシはバブル期のモーレツオヤジ、サルは蘊蓄オジサン?


キノコ(菌根菌)が胞子から発芽して木の根っこに向かって菌糸を伸ばすの図。
学術的だな。こういうのはなかなか珍しく、理系男子としては嬉しいところ。

枯れ木の樹皮をモザイク風に一枚ずつ色を描き分けていたり、背景のあちらこちらで小動物が躍動していたりと、地味な里山にも豊かさがあることを伝えてくれる。
また、そういう細かい部分ももちろんだが、目力の強い獣や人物の造形にもついつい目を奪われる。現代風のカワイイとかには程遠いが、気に入る子供も多いだろう。少なくとも私は好きだ。

文章はそれほど多くなく、3歳くらいから読めそうだが、小学生低学年くらいでも楽しめるハズ。