月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

外生菌根菌とAM菌

2020-02-16 21:52:32 | キノコ知識
季節的にネタがないので、キノコの基礎知識をわかりやすくまとめた記事も書いていこうかと思う。今回は、菌根菌について。

テングタケ、ベニタケ、イグチ・・・私が好んで撮影しているキノコの多くは生きている木の根っこに取りついて暮らしている菌根菌だ。木が光合成で作った栄養を分けてもらうかわりに、菌糸を細く長く伸ばせる特徴を生かして集めてきたミネラルや水分を提供している。たしかに彼らは、樹木のパートナーとして生活しているわけだが、樹木にとってはその実、パートナーというよりも、生きるために欠くべからざる存在、必須の生活インフラに近い。人間で言えば電気や水道にあたる。彼らのおかげで生活力が格段に高まる。逆に菌根菌のサポートがなければ高い確率で木は枯れてしまうのだ。

ところがだ。先ほど挙げたキノコたち(専門的には「外生菌根菌」という)は、ごくごく一部の樹木としかパートナー契約を結べない。日本だと、マツやナラの仲間にほぼ限られてしまう。
では他の木はどうしているんだろう。無しでやっているのか?

そんなことはない。実は、菌根菌にはもうひとつ大きなグループがあるのだ。
「アーバスキュラー菌根菌」、別名AM菌。なにやら長くて小難しい名前だが、菌根菌と言えばむしろこちらが本家だと言っていい。
なにせ、四億年も前、いや、もっと古く、植物が上陸したころからすでに存在した彼らは、樹木はおろか、コケやシダを含む大半の植物と菌根を作ることができるのだ。
もちろん畑で育っている野菜にだって共生している。農業資材として菌が売られているくらいだ。

しかし、彼らはキノコを作らない。普通に生活している人間の目が彼らをとらえることは絶対に無いと言っていい。しかし、地球上の植物の大半は彼らの助けなしでは弱ってしまうか、あるいはちょっとしたことで枯れてしまう。

真の「縁の下の力持ち」とは彼らのことだろう。AM菌、人間にとっても欠かせない菌類。心にとどめておいてほしい。