月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

すえひろたけ

2020-03-22 01:29:48 | キノコ
スエヒロタケ。カワラタケと並び、もっともありふれたキノコのひとつ。

発生する木は広葉樹、針葉樹を問わず(竹にだって生える)、乾燥にもめっぽう強いので、森はもちろん、人の生活圏でもいたるところで見かける。


ふさふさとして白くけば立った傘は、裏を見ると1枚のヒダが2枚に分かれているというおもしろい特徴を持っている。このヒダがなかなか美しい造形で、ド普通種ながら侮れない。

「末広がり」な形からつけられためでたい名前とは裏腹に、キノコとしては珍しく人間に対して病原性を持っている。
「スエヒロタケ感染症」にかかると、肺や気管支にアレルギー性の炎症を起こして、咳やタンが止まらない、ぜいぜいと息をするなどの症状が出るそうな。
べつに身体にキノコが生えるわけではないが、肺の中で菌糸を伸ばすだけでもスゴイ。

こう聞くと怖くなってくるが、よほど免疫が落ちない限りはかからない病気なので、それほど心配することもないようだ。肺炎の原因なんて他にいくらでもあるし。
ただし、この病気はマイナー過ぎるあまり、診断できる医療機関があんまりなかったりするから、そういう意味では厄介かも。


これは傘がバラバラに割れててちょっとおもろい

近年の解析では、白色腐朽菌としては分解力がかなり弱い(リグニンがほとんど分解できない)ことがわかったらしい。意外だな。