月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

菌根を見つけた!

2020-03-24 21:10:04 | キノコ知識
今日はボランティアで公園の側溝を掃除!
秋に落ちた大量の落ち葉で詰まってしまうのを防ぐために取り除くのだ。楽勝!

・・・と思ってたんだが。何年も放置してあったせいか、落ち葉は表面だけで、溝にたまってたのは大量の土だった!
あげく、木の根っこがどこからか侵入してきて、側溝の中に網の目のように張り巡らされている。土を掘りだそうとすると、カーペットみたいに全部ひとつながりになってて、スコップでは歯が立たん(;'∀')
太い根っこを切って、力づくで引っぱり出すと、ズルズルと何メートルもつながった土と根っこが出てきた。クッソ重い!

するとその時。
土の中に白いものが目についた。あーっ!これは!!

菌根やん!

菌類には植物の根っこにとりついて共生する種類がいる。
菌類がとりついた根っこは菌糸で覆われて、栄養や水のやりとりをスムーズに行えるように融合し一体化する。これを「菌根(きんこん)」と呼び、また、菌根を作る菌類を「菌根菌」と名付けている。

菌根菌は植物が光合成で得た栄養をわけてもらう代わりに、植物のために働く。
菌根は病害菌や乾燥などに対して防御力を高くしてくれるのにくわえ、菌糸が回収した水や養分を融通してもらえるようになるので、植物にとって頼もしいパートナーとなるのだ。

私はもちろんその存在を知っていたけれど、こうして掘り出す機会は今まで無かった。こんなにきれいな菌根を観察できたのは今回が初めてだ。感激!


ふつうは茶色か黒の根っこが白くなっている。厚めのコーティングで覆われていて太くなっており、先っぽも丸っこい。なんだか骨折した時につける包帯のギプスのようだ。
むやみに分岐している個所もあって、そこはなにやらモジャモジャしている。
よく見ると、菌根から、さらに細かくモヤモヤと生える白い毛が見える。これも菌糸なのだろう。この細い毛で植物の根っこでは届かないような狭いスキマにも入り込み、養分を持ってくることができる。

ちなみにこの根っこはアラカシのもの。このあたりではごくごく普通にみられる常緑のドングリの木。キノコとの共生樹木だ。

そして気になる菌の方は・・・東大・奈良研究室のホームページにある『外生菌根図鑑』によれば、これだけ整った形の菌根を密集させられる種類はけっこう限られる感じだ。
ただの絵合わせで当てずっぽうになるけど、ベニタケやチチタケの仲間の菌根と雰囲気が似ている。梅雨時になればこのあたりにはニオイコベニタケやキチャハツ、アカシミヒメチチタケ(?)やニオイワチチタケなどのキノコが生えるから、そのあたりかもしれない。

菌根菌は、森林のなりたちを知るうえでとても重要な縁の下の力持ち。木と菌類の関係はとても面白いので、後日、もう少し掘り下げる記事を書こうと思う。





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