
昨日は休暇を取って、
朝から京都でのんびり松鶴やら文枝やらを聞きながら過ごしていた。
夕方に出て、福島の「八聖亭」へ。
八方が毎月やっているネタ下ろしの会。
行くのは初めて。
18時開場なので早めに行ったのだが、
そんな必要はなかった。
そこそこ激しく雨が降っていたせいか、
開場時には4,5人程度。
開場後徐々に詰めかけだし、結局40人程度の入り。
若いお客さんが割と多い印象。
前説(八方)
「無精かどうか」といった話。
本当のことを言ってもどこか胡散臭い、
この人の味がよく出ている。
「代書」(八斗):△+
ネタ下ろし。
後で八方曰く、朝に春団治に上げてもらったらしい。
マクラからして春団治ママで、
上手くはないし、あまりウケも来ていないが、
真面目に、丁寧にやろうとしているところには好感が持てる。
見台なし。
ウケなかったのは、最初アホがあまり描けていなかった
(後半になるに連れて、次第に調子が出てきた)ことと、
代書屋の「一般人としての感覚」「次第に流されていくところ」などが
表現されていなかったためではないか、と思う。
「女道楽」(内海英華):○+
お座付き(さわぎ)、ドンドン節、さのさ、都都逸、曲弾きの相撲甚句、
といったところ。
少し噛むところがあったり、
喋っている内容でもお客さんにあまり伝わっていないところもあったのだが、
それでも芸で蹴散らしていくところは流石。
「さわぎ」の太鼓が、この曲を聞き慣れている身としてはちと不安定だったのだが、
この曲の後からはむ雀が入ったらしく、
その後は安心して聞けた。
「ドンドン節」は普通に唄い、その後「天丼」。
ふと「テポドン」なんてネタを思い浮かべたのだが、
姉キンでやっていたかも。
「さのさ」は
標準語版、京言葉版、河内弁版。
初めて聞いたが、これはこれで無理からで面白い。
「都都逸」は1つ目は拍手が来ないことを弄り、
その後アメリカでやった話など。
「相撲甚句」は凄いなあ。
見るのは初めてではないと思うのだが、押さえる箇所、撥を当てる場所など、
いろいろ変えて音を出している。
弾き初めの間の詰め方から高揚する。
最後のはじき方、やっぱりよく分からなかった。
「たばこの火」(八方):◎-
マクラは軽く英華に触れて、
藤山寛美の北の新地での遊びについて。
このマクラが、ややクサいところはあるのだが、
ネタの旦那の心底の仕込になっていた。
だいたいこのネタは、何が何だかよく分からんネタなのだが、
八方の旦那は松枝風の「枯れた」味がメイン、というより
もう少し脂っぽく、
北の綿富を「試す」スタンスが強かったように感じる。
全体に荒いところも多いのだが、
それとは別の何とはなしの魅力がある。
最初の駕籠屋の台詞や旦那との会話の空気が素晴らしい。
何となく社交辞令っぽく流すことが多いと思うのだが、
駕籠屋も旦那も本気でそう思って応対している感じ。
それが綿富に着いてからの「1両」や「親孝行に2両」につながり、
2人の駕籠屋それぞれの「おありがとうさんで」のウケにつながっているように思う。
帳場は割と早い段階(10両かな)で心配しだしていた。
見習い衆を「研修生」と言ってしまう必要はないかなあ。
後では「見習い衆」と言っていたし。
旦那は来た連中と同じ空気を吸うのを楽しんでいる感じで、
これはこれで良い雰囲気。
小判を渡した後で、袋棚に上がるところでは旦那は少し躊躇って見せ、
伊八が勧めるのでそれに乗っかる形で小判撒きに入る。
撒く場面の旦那も楽しげで、
これも枯れている、というより金をどうにかして使おうとする
爛れた雰囲気が感じられる。
鴻池、また戻ってきて、といった辺りは、まあ普通。
長いネタでもあり、少し息切れしたのかも知れない。
サゲは借りたいものとして「まずは煙草の火を1服」と言っていたのだが、
個人的には「まずは」は言うべきではないと思う。
旦那が見世には上がらず、本当に煙草の火だけ借りに来た、という方が
サゲの転換は効くし、
この旦那の悪戯心、遊び心がその方が出ると感じる。