火曜の夜は動楽亭「小鯛の落語漬け」へ。
6,7年目の噺家の勉強会に行くのは、たま以来かな。
25人程度の入り。
「近日息子」(呂好):△+
マクラを振らずにネタに入る。
きっちり喋っており、好感が持てる。
呂竹同様、師匠の教えが良いのだろう、と感じる。
時折登場人物の見せる笑顔が自然で良い。
親子の会話は良かったのだが、
徐々に怒っていく場面が早口で、少し聞き取りづらかった。
呂鶴のように「立ち上がる」まではいかず。
丁寧に作られているのはよく分かる。
一段落した後の「行きましょう、皆でイヤミ言いに」「そりゃ悔やみ」なし。
抜けたのかも知れない。
トータルで見て良い前座。
若干収まり過ぎている感じがするので、
もう少し若々しさがあると尚良い。
「看板の一」(小鯛):○-
こってりとマクラを振る。
普段は前座が多くあまり振る機会がないだろうが、
この日は言いたい放題好きなことを喋ってウケを取っていた。
落研の話など、けっこうマニアック。
「賭け事はやめた」の小咄から入るが、これはイマイチ。
ネタは、おやっさんが東京の人間である演出。
胴の説明をしている流れから入ってくるが、
元々若い連中とさほど親しくしている感じではない。
何となく任侠映画から作っている様子。
前半の仕込みはあっさりやっている。
個人的にはやはり「壺を開けてピンだったら」と言うのは
サゲを割るようで好きになれない。
後半はその科白を抜いているのでまだマシだが、
それでもおやっさんの尤もらしさを出すメリットよりも、
サゲを割るデメリットの方が大きいと思う。
真ん中のツナギは言葉数が多い。
後半のバラシは、おやっさんを東京の人間にしていたことで、
アホがそれっぽく作って収まるところが分かりやすくなっていたと思う。
「上方の兄さん」や
「江戸に行ったことがないのかい」「お前も行ったことがないやろ」という
ギャグも使えるし。
「鷺とり」(咲之輔):△-
うだうだと長いマクラ。
自然な口調で、この人の感情は出ているが、
別に面白くない。
ネタもかなり雑に聞こえる。
詰まったり妙な間が空く箇所が非常に多い。
自然な会話の口調と言えばそうかも知れないが、
リズムが悪く、聞いている側としてなかなか乗れない。
聞いていて非常にしんどく、体感時間が長かった。
自己言及も多いし。
「にわか」は入れていた。
「溺れる者は笑う」など、まあ考えて作られてはいるが、
持っていき方が雑。
サゲを変な口調・声色で言っているが、
何がしたいか分からない。
このゲストならば、いない方が良かった。
「新作」(小鯛):△+
落語を「不思議な芸能」として、
一人で複数の役が出来る、という話をマクラに振る。
独り暮らしの若い男の妄想から
その騒ぎを止めさせようとする近所の様々な連中の伝言、
皆でその若い男の所へ行く、など、
「一人で複数の役が出来る」落語の特色をメインに置いた新作。
お客さんに参加させたり、かなり実験的ではあるが、
演者の感情・思いが出ており、楽しげにやっていた。
最後はもう少し賑やかに会話しておいた方が、
サゲにつながりやすいと思う。
「高津の富」(小鯛):○-
マクラは江戸の物価の話。
「吉原に売るのに、娘と嫁では嫁の方が高い」といった話が面白かった。
ネタは、「頑張ってやっていた」印象。
最初の田舎者のお大尽は、もう少し落ち着いた感じが欲しい。
一通り笑った後に見せる勝ち誇ったような表情が可笑しかった。
2等に当たる妄想は生き生きして良い。
「朝起きて」の繰り返しは、少し早くなってしまっていた。
当たりの見比べるところはまあまあ。
1等に比べて、2等以降を読むところが早くなってしまっていたが、
「1等に当たった」と気付いている訳ではないから、
少なくとも最初は1等も2等以降も同じペースで読んでいくのが良いと思う。
当たった直後に見せるのがガッツポーズで、
これはこれで自然で良かった。
あとはサゲまできっちりと。
特に違和感なく、安心して聞けるものだった。
21時20分ごろ終演。
半年に1回程度の勉強会のようだが、
安い値段で冒険を見せてくれるので、また行っても良い、と思った。
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