【前回の続きです。】
船内に入った途端、非難と好奇の視線で、体中チクチクと刺された。
迷惑懸けたのは確かなので、一応済まなそうに頭を垂れながら、奥へと進む。
最後部右端窓際席をしっかり確保したルフィが、ガキみたく船窓貼り付き景色を眺めてる。
その隣でゾロは、もう早眠りの体勢、瞼を固く閉じている。
座り直す間も無くエンジン音が轟き、高速船はゆっくりと岸から離れた。
少しづつ、少しづつ、街から離れて行く…
18世紀王宮の様な、『ホテル・デンハーグ』。
その後の森から頭だけ覗かした、『パレス・ハウステンボス』。
雄々しくマストをぴんと伸ばした、木造帆船『観光丸』。
場内何処よりも高く聳える塔、『ドム・トールン』。
…離れて行く…皆…皆…離れて行く…
「ナミ!!ナミ!!窓から観てみろよ!!夕陽がすっげーきれーだぞ!!!」
手を引っ張り、興奮した面持ちでルフィが叫ぶ。
覗いた窓からは……山を焦す様な、赤々とした夕陽。
「な!?まるで山火事みてェできれーだろ!!?」
「……確かにイメージとしてはそんな感じだけど……もちょっと別の例え出来ないのルフィ…?」
往路同様、暫くは緩い速度で進んでいた船が、急に駆け足になる。
ガタゴトと揺れが増し、波飛沫が窓に掛かる。
見えていた街並が、一気に離れて行った。
「楽しいトコだったな!!」
朗らかにルフィが笑う。
その頭上には、古ぼけた麦藁帽子が載っかっていた。
着ている服は赤のノースリーブ、履いてる靴はビーチサンダル。
全身に風を感じて辺りを見回す。
気付けば乗っている船は、見覚えの有る小型木造帆船。
海風にはためく、麦藁帽子を被った髑髏の海賊旗。
こちらからは見えないけど、船首はきっと愛嬌溢れる羊の顔。
継ぎ接ぎだらけの愛する船……ゴーイング・メリー号。
後部デッキから、皆と共に私は、沈む夕陽を、離れ行く島を、見送っていた。
「楽しかった…怖いもんちっとも居なかったし…平和で、美味い食いもんや飲みもんいっぱい有って…なのに3日しか居られないなんて…オレ、すっげ寂しいぞォォーーー!!!!」
右隣で船縁ぶら下がってたチョッパーが、ウルウル目で海に向かい叫ぶ。
トナカイの様な狸の様な、毛皮モコモコの愛くるしい姿。
頭に被った『×』帽子は名医の証、頼り甲斐有る我等が船医。
「また来たいよなァ~~~。来れるかなァ~~~?チーズやハムやソーセージやワイン……どれもこれも美味かったよなァ~~~。」
「バナナマフィンも美味かったよなァ~~~。後50個くれェ買って行きたかったよなァ~~~。」
そのチョッパーの横で、ルフィが同調する。
「オレ、お菓子の家見たぞ!!魔女が住んでて、サンタが訪ねて来るんだ!!」
「俺も見たぞチョッパー!!良いよなァ~~~。あんな家に1度住んでみてェ~~~。そんでエントツから丸かじりすんだァ~~~v」
「食っちまったら駄目だよルフィ!!住めなくなっちまうじゃんか!!!」
「寂しがってんじゃねェよてめェら!!!」
バタンと扉開いて、ウソップが飛び出して来た。
一体誰の真似なのか?……手にはギター、頭にはテンガロンハット、黒いグラサン掛けて、長鼻の下にはマジックで描いたチョビ髭、ベルボトムジーンズといったスタイルだ。
「幾つもの出会いと別れを繰り返し、人は大人になって行く。愛する者を残しても、ぐっと涙堪えて独り旅立つ……それが漢の生き様ってもんだぜェェ!!!」(キラーン)
「うおおおっっ!!!ウソップカッコエェェーーーー!!!!」
「良いぞォォ~~~!!!漢・キャプテンウソップゥゥ~~~~!!!!」
「…っつう訳で聴いて貰うぜ…!!キャプテェ~ンウソップ様が歌う別れのバラード!!!てめェらしっかり声援頼むぜェェ!!!!」
「さよならは別ァ~れェ~のォ~言葉じゃなくゥてェ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「再び逢うまァ~でェ~のォ~遠い~約束ゥ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「今を~嘆ェいてもォ~胸を~痛ァ~めてもォ~ほんのォ~夢ェの途中ゥ~~♪…ジャンジャンジャンジャンジャカジャカジャジャン♪――どうしたどうしたァ!!?声が小さいぜてめェらァァ!!!!」
「ウソップ、ルフィ、チョッパー、あんた達、煩い。」
「ナミさん…!!」
背後からそっ…と肩を抱かれる。
振り返ると、右の瞳をキラキラと輝かせたサンジ君が立っていた。
気障ったらしい黒スーツと黒ネクタイ、咥えた煙草からはハート型した煙。
その煙が私に掛からぬ様、決して風上には立たない、見上げたフェミニスト根性。
「今度来た時は君と、あの海辺佇む、ホテルデンハーグに泊りたい…!!
宿泊する部屋は勿論、窓から海を見渡す、デラックスハーバービューツインだ。
寄り添い紺碧の海を見詰ながら、2人の夢について語合おう。
いっその事、結婚式も挙げてしまおうか?
幸い、あそこには教会も用意されてると言うし。
そうだ!ハネムーンはその後でも良いさ!!
昼に太陽の祝福を受けた2人は、夜には月と星の祝福を受けるんだ。
満天の星を映した夜の海を背景に、2人きりで乾杯をしよう。
夜も更けて…『そろそろシャワーを浴びて寝ないかい?』と俺が誘う。
君は『いやんv初めてなのに、一緒にだなんて恥かしいvサンジ君からどうぞv』と、初々しく拒むだろう。
その仕草に惜しく思いつつも、心トキメカセながら先にシャワーを浴びる俺。
逸る胸を抑え、腰にバスタオルを巻いて出て来ると、ベッドの上には――」
「――誰も居らずもぬけの殻。
間抜けな花婿さんがシャワーを浴びてる間に、花嫁さんは貰った御祝儀ごっそり持って、彼方へと逃げてしまいましたとさ!」
サンジ君の足元で、縁に寄っ掛かってたゾロが、茶々を入れる。
親父シャツに緑の腹巻に、左腕には黒バンダナ、左耳には3連ピアスといった、ダサさを超越したファッション。
右の腰には勿論、3本の真剣を差していた。
「話横取りして勝手に哀しい展開に変えてんじゃねェよ毬藻ォォォ!!!!」
「台詞長ェんだよてめェはァァ!!!!出番無かった腹いせかァ!!!?クルクルラブリン!!!!」
「煩ェェ!!!!毬藻は毬藻らしく独り寂しく湖底沈んで眠ってろっっ!!!!早よ帰れ故郷の湖に!!!!」
「国の起源を知る上でも、興味深いサンプルだったわね。」
左隣に立ってたロビンが微笑む。
風に吹かれ、はらりと広がる漆黒の髪。
同姓の私でも憧れる、彫像の様に整った容貌。
髪と同じ色した瞳は、理知を宿してきらりと輝く。
「かつて栄えた大国も、一日にして成された訳では無い。あの国の歴史は未だ浅いけど…ひょっとして私達は、綿々と続いてく国史の内の序章を、垣間見たのかも知れないわ。」
「始まりは全て0から、か…。」
希望と理想に溢れた、良い国だった。
エコロジー&エコノミー、自然と文化の共存……成功すれば良いなと思う。
その試みは必ずや、未来に生きる人達の指針となる。
刻々と、夜に染められて行く空。
濃紺の世界で、稜線のみが、薄桃色に輝いてる。
船は波を蹴散らし、真直ぐに航行してく。
「ぜってェ、また来ような!!」
何時の間にか近くに、ルフィが来て笑ってた。
さっきまで被ってた、麦藁帽子は消えている。
見回せば、居るのは帆船の上でなく、振動鳴り響く、高速船の中。
最奥窓際から並んだ席には、ルフィ、ゾロ、私の3人。
……ウソップ、サンジ君、チョッパー、ロビンの姿は、何処にも無かった。
「今度来たら忘れず馬車乗るぞ!!チョコレートフォンデュも食う!!タクシーにも乗りてェなァ~!!カナリカフェだったか!?あれも乗りてェよなァ~!!後キッズ何とか!!ガキ用遊園地でも1ぺん観てェ!!あ!!キャプテンショップ!!今度はゆっくり観るぞ!!そんで明かり点いたきれーなシャンデリアも観なくちゃな!!……こうして考えると、まだまだし残した事、沢山有るよなァァ~~~!!」
「…それだけじゃなく、知ってるか?地下にゃ迷路まで在るんだぜ!」
「地下に迷路ォォ!??」
「ゾロ、起きてたの?」
間で熟睡してると思ってたゾロが、むくりと身を起こす。
「…ルフィの声が煩くて寝付けやしねェ。安眠妨害極まりねェよ。」
その右腰に、3本の真剣は差してない。
「上ばっか歩いてて気付かなかったんだろ?今度来たら、俺が道案内してやるよ!」
妙に優越感たっぷりに、ニヤケる。
「へー!!そんなトコまで在ったのかァァーーー!!面白そうだな♪」
「あんたに道案内お願いしたら、それこそラビリンスみたいに、一生抜け出せなくなりそう…。」
「どういう意味だよそりゃ!!?」
「それを言うなら私だって…あんた達、飛ぶ魚を目の前で見た事有る?」
「「飛ぶ魚??」」
「飛魚よ!この海には沢山居て、ピョンピョン飛んでるトコ見たわ、私!」
「飛魚ってアレか!?羽の生えた魚か!?うわっっ、すっげー観てェェ~~~!!何で俺達にも観せてくんなかったんだよ!?」
「呼んでもあんた達、部屋に鍵掛けて、狸寝入りカマしてたんじゃないの!!!」
「まァ良いじゃねェか。次に来る時の為に、楽しみ色々残しといたっつう事でよ。」
ゾロが珍しくも、朗らかに笑う。
「そうだな!!全部、次来た時の宿題だな!!」
ルフィも力いっぱい、声立てて笑った。
「………そうだね。」
夕陽は沈み、街ももう見えない。
すっかり薄暗くなった空の下、波飛沫立てて、船は高速で進む。
被ってた帽子の鍔に触れた。
ルフィに渡された、『誓いの帽子』。
「……また来よう!!
今度は…皆で…!!」
ハウステンボスまでは何マイル?
お船に乗って行けるかな?
行って帰って来られるさ
波が高く荒れなけりゃ
お船に乗って行けるとも
【終】
写真の説明~、以前話に出した、ハウステンボスのオリジナルチューリップ、その名も『ハウステンボス』。
ピンク色してフリンジ付いてて可愛いっしょv
…改めてブログ上で、お礼を言う積りですが……
まったりさん、
ちばさん、
ふくちゃん、
ぐらさん、
ウロウロさん、
勝手にでは有りますが(汗)、資料として貴ブログを大いに参考にさせて頂きました。
有難う御座いました。(礼)
そして、此処までお読み頂いた皆さんにも、有難う御座います。(礼)
お陰で何とか、最後まで書き切る事が出来ました。
本当に有難う御座いました。
あ、追伸…最後のフレーズはマザーグースのパロディ、深い意味は無いです…まぁ、洒落で。(苦笑)
後、ウソップが歌ってるのは来生氏の『夢の途中』です、言わんでも解るでしょうが。(汗)
船内に入った途端、非難と好奇の視線で、体中チクチクと刺された。
迷惑懸けたのは確かなので、一応済まなそうに頭を垂れながら、奥へと進む。
最後部右端窓際席をしっかり確保したルフィが、ガキみたく船窓貼り付き景色を眺めてる。
その隣でゾロは、もう早眠りの体勢、瞼を固く閉じている。
座り直す間も無くエンジン音が轟き、高速船はゆっくりと岸から離れた。
少しづつ、少しづつ、街から離れて行く…
18世紀王宮の様な、『ホテル・デンハーグ』。
その後の森から頭だけ覗かした、『パレス・ハウステンボス』。
雄々しくマストをぴんと伸ばした、木造帆船『観光丸』。
場内何処よりも高く聳える塔、『ドム・トールン』。
…離れて行く…皆…皆…離れて行く…
「ナミ!!ナミ!!窓から観てみろよ!!夕陽がすっげーきれーだぞ!!!」
手を引っ張り、興奮した面持ちでルフィが叫ぶ。
覗いた窓からは……山を焦す様な、赤々とした夕陽。
「な!?まるで山火事みてェできれーだろ!!?」
「……確かにイメージとしてはそんな感じだけど……もちょっと別の例え出来ないのルフィ…?」
往路同様、暫くは緩い速度で進んでいた船が、急に駆け足になる。
ガタゴトと揺れが増し、波飛沫が窓に掛かる。
見えていた街並が、一気に離れて行った。
「楽しいトコだったな!!」
朗らかにルフィが笑う。
その頭上には、古ぼけた麦藁帽子が載っかっていた。
着ている服は赤のノースリーブ、履いてる靴はビーチサンダル。
全身に風を感じて辺りを見回す。
気付けば乗っている船は、見覚えの有る小型木造帆船。
海風にはためく、麦藁帽子を被った髑髏の海賊旗。
こちらからは見えないけど、船首はきっと愛嬌溢れる羊の顔。
継ぎ接ぎだらけの愛する船……ゴーイング・メリー号。
後部デッキから、皆と共に私は、沈む夕陽を、離れ行く島を、見送っていた。
「楽しかった…怖いもんちっとも居なかったし…平和で、美味い食いもんや飲みもんいっぱい有って…なのに3日しか居られないなんて…オレ、すっげ寂しいぞォォーーー!!!!」
右隣で船縁ぶら下がってたチョッパーが、ウルウル目で海に向かい叫ぶ。
トナカイの様な狸の様な、毛皮モコモコの愛くるしい姿。
頭に被った『×』帽子は名医の証、頼り甲斐有る我等が船医。
「また来たいよなァ~~~。来れるかなァ~~~?チーズやハムやソーセージやワイン……どれもこれも美味かったよなァ~~~。」
「バナナマフィンも美味かったよなァ~~~。後50個くれェ買って行きたかったよなァ~~~。」
そのチョッパーの横で、ルフィが同調する。
「オレ、お菓子の家見たぞ!!魔女が住んでて、サンタが訪ねて来るんだ!!」
「俺も見たぞチョッパー!!良いよなァ~~~。あんな家に1度住んでみてェ~~~。そんでエントツから丸かじりすんだァ~~~v」
「食っちまったら駄目だよルフィ!!住めなくなっちまうじゃんか!!!」
「寂しがってんじゃねェよてめェら!!!」
バタンと扉開いて、ウソップが飛び出して来た。
一体誰の真似なのか?……手にはギター、頭にはテンガロンハット、黒いグラサン掛けて、長鼻の下にはマジックで描いたチョビ髭、ベルボトムジーンズといったスタイルだ。
「幾つもの出会いと別れを繰り返し、人は大人になって行く。愛する者を残しても、ぐっと涙堪えて独り旅立つ……それが漢の生き様ってもんだぜェェ!!!」(キラーン)
「うおおおっっ!!!ウソップカッコエェェーーーー!!!!」
「良いぞォォ~~~!!!漢・キャプテンウソップゥゥ~~~~!!!!」
「…っつう訳で聴いて貰うぜ…!!キャプテェ~ンウソップ様が歌う別れのバラード!!!てめェらしっかり声援頼むぜェェ!!!!」
「さよならは別ァ~れェ~のォ~言葉じゃなくゥてェ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「再び逢うまァ~でェ~のォ~遠い~約束ゥ~♪」
「「ヒュー!!ヒュー!!」」
「今を~嘆ェいてもォ~胸を~痛ァ~めてもォ~ほんのォ~夢ェの途中ゥ~~♪…ジャンジャンジャンジャンジャカジャカジャジャン♪――どうしたどうしたァ!!?声が小さいぜてめェらァァ!!!!」
「ウソップ、ルフィ、チョッパー、あんた達、煩い。」
「ナミさん…!!」
背後からそっ…と肩を抱かれる。
振り返ると、右の瞳をキラキラと輝かせたサンジ君が立っていた。
気障ったらしい黒スーツと黒ネクタイ、咥えた煙草からはハート型した煙。
その煙が私に掛からぬ様、決して風上には立たない、見上げたフェミニスト根性。
「今度来た時は君と、あの海辺佇む、ホテルデンハーグに泊りたい…!!
宿泊する部屋は勿論、窓から海を見渡す、デラックスハーバービューツインだ。
寄り添い紺碧の海を見詰ながら、2人の夢について語合おう。
いっその事、結婚式も挙げてしまおうか?
幸い、あそこには教会も用意されてると言うし。
そうだ!ハネムーンはその後でも良いさ!!
昼に太陽の祝福を受けた2人は、夜には月と星の祝福を受けるんだ。
満天の星を映した夜の海を背景に、2人きりで乾杯をしよう。
夜も更けて…『そろそろシャワーを浴びて寝ないかい?』と俺が誘う。
君は『いやんv初めてなのに、一緒にだなんて恥かしいvサンジ君からどうぞv』と、初々しく拒むだろう。
その仕草に惜しく思いつつも、心トキメカセながら先にシャワーを浴びる俺。
逸る胸を抑え、腰にバスタオルを巻いて出て来ると、ベッドの上には――」
「――誰も居らずもぬけの殻。
間抜けな花婿さんがシャワーを浴びてる間に、花嫁さんは貰った御祝儀ごっそり持って、彼方へと逃げてしまいましたとさ!」
サンジ君の足元で、縁に寄っ掛かってたゾロが、茶々を入れる。
親父シャツに緑の腹巻に、左腕には黒バンダナ、左耳には3連ピアスといった、ダサさを超越したファッション。
右の腰には勿論、3本の真剣を差していた。
「話横取りして勝手に哀しい展開に変えてんじゃねェよ毬藻ォォォ!!!!」
「台詞長ェんだよてめェはァァ!!!!出番無かった腹いせかァ!!!?クルクルラブリン!!!!」
「煩ェェ!!!!毬藻は毬藻らしく独り寂しく湖底沈んで眠ってろっっ!!!!早よ帰れ故郷の湖に!!!!」
「国の起源を知る上でも、興味深いサンプルだったわね。」
左隣に立ってたロビンが微笑む。
風に吹かれ、はらりと広がる漆黒の髪。
同姓の私でも憧れる、彫像の様に整った容貌。
髪と同じ色した瞳は、理知を宿してきらりと輝く。
「かつて栄えた大国も、一日にして成された訳では無い。あの国の歴史は未だ浅いけど…ひょっとして私達は、綿々と続いてく国史の内の序章を、垣間見たのかも知れないわ。」
「始まりは全て0から、か…。」
希望と理想に溢れた、良い国だった。
エコロジー&エコノミー、自然と文化の共存……成功すれば良いなと思う。
その試みは必ずや、未来に生きる人達の指針となる。
刻々と、夜に染められて行く空。
濃紺の世界で、稜線のみが、薄桃色に輝いてる。
船は波を蹴散らし、真直ぐに航行してく。
「ぜってェ、また来ような!!」
何時の間にか近くに、ルフィが来て笑ってた。
さっきまで被ってた、麦藁帽子は消えている。
見回せば、居るのは帆船の上でなく、振動鳴り響く、高速船の中。
最奥窓際から並んだ席には、ルフィ、ゾロ、私の3人。
……ウソップ、サンジ君、チョッパー、ロビンの姿は、何処にも無かった。
「今度来たら忘れず馬車乗るぞ!!チョコレートフォンデュも食う!!タクシーにも乗りてェなァ~!!カナリカフェだったか!?あれも乗りてェよなァ~!!後キッズ何とか!!ガキ用遊園地でも1ぺん観てェ!!あ!!キャプテンショップ!!今度はゆっくり観るぞ!!そんで明かり点いたきれーなシャンデリアも観なくちゃな!!……こうして考えると、まだまだし残した事、沢山有るよなァァ~~~!!」
「…それだけじゃなく、知ってるか?地下にゃ迷路まで在るんだぜ!」
「地下に迷路ォォ!??」
「ゾロ、起きてたの?」
間で熟睡してると思ってたゾロが、むくりと身を起こす。
「…ルフィの声が煩くて寝付けやしねェ。安眠妨害極まりねェよ。」
その右腰に、3本の真剣は差してない。
「上ばっか歩いてて気付かなかったんだろ?今度来たら、俺が道案内してやるよ!」
妙に優越感たっぷりに、ニヤケる。
「へー!!そんなトコまで在ったのかァァーーー!!面白そうだな♪」
「あんたに道案内お願いしたら、それこそラビリンスみたいに、一生抜け出せなくなりそう…。」
「どういう意味だよそりゃ!!?」
「それを言うなら私だって…あんた達、飛ぶ魚を目の前で見た事有る?」
「「飛ぶ魚??」」
「飛魚よ!この海には沢山居て、ピョンピョン飛んでるトコ見たわ、私!」
「飛魚ってアレか!?羽の生えた魚か!?うわっっ、すっげー観てェェ~~~!!何で俺達にも観せてくんなかったんだよ!?」
「呼んでもあんた達、部屋に鍵掛けて、狸寝入りカマしてたんじゃないの!!!」
「まァ良いじゃねェか。次に来る時の為に、楽しみ色々残しといたっつう事でよ。」
ゾロが珍しくも、朗らかに笑う。
「そうだな!!全部、次来た時の宿題だな!!」
ルフィも力いっぱい、声立てて笑った。
「………そうだね。」
夕陽は沈み、街ももう見えない。
すっかり薄暗くなった空の下、波飛沫立てて、船は高速で進む。
被ってた帽子の鍔に触れた。
ルフィに渡された、『誓いの帽子』。
「……また来よう!!
今度は…皆で…!!」
ハウステンボスまでは何マイル?
お船に乗って行けるかな?
行って帰って来られるさ
波が高く荒れなけりゃ
お船に乗って行けるとも
【終】
写真の説明~、以前話に出した、ハウステンボスのオリジナルチューリップ、その名も『ハウステンボス』。
ピンク色してフリンジ付いてて可愛いっしょv
…改めてブログ上で、お礼を言う積りですが……
まったりさん、
ちばさん、
ふくちゃん、
ぐらさん、
ウロウロさん、
勝手にでは有りますが(汗)、資料として貴ブログを大いに参考にさせて頂きました。
有難う御座いました。(礼)
そして、此処までお読み頂いた皆さんにも、有難う御座います。(礼)
お陰で何とか、最後まで書き切る事が出来ました。
本当に有難う御座いました。
あ、追伸…最後のフレーズはマザーグースのパロディ、深い意味は無いです…まぁ、洒落で。(苦笑)
後、ウソップが歌ってるのは来生氏の『夢の途中』です、言わんでも解るでしょうが。(汗)