クレア・バーブランド…2044年3月19日生まれ、14歳、O型。(↑)
大佐の父を持つ良家のお嬢さんで、ガールズクラブの班長をしていた経験から、周囲を取り纏める才に長けている。
特に年少組の世話を一手に引受け、結果マルロ&ルチーナなどは、母親の様に懐いていた――人呼んで「ジェイナスのママ」。
人付き合いの苦手なスコットがリーダーをこなせたのも、彼女のフォロー有っての事。
そのスコットとは幼馴染の関係で、物語中ずっと親しくして居たが、39話での彼女の言動から推察するに、恋愛感情は抱いてなかった様に思われ。(スコットの方は彼女への思いを自覚してた様だが)
しかし39話のと或る事件で彼の漢らしさに気付き、以来完全に恋人の関係に納まってしまった。
フレッド&ペンチが「新婚さん」に例えられるなら、この2人の場合3年過ぎた夫婦の様な…。
育ちの良さ故か相当な潔癖症、シャロンとペンチが覗きをした際は、「女の子らしくない」と叱り、スコットがエロ本を所持してたと知った際は、彼をとことん詰った。
おまけにヒステリー持ち…なんとなくスコットの前途が多難に感じられる。(笑)
演じていたのは二代目磯野カツオ役等で有名な冨永みーな氏、放送当時彼女は高校生だったが、子役の経験数多く既に演技はベテランの域だった。
ドラマ『大草原の小さな家』のキャリー役とか…バラエティ番組のナレーションを担当しても居るので、恐らく大抵の人が名前は知らなくても声は知ってるだろう。
前にも書いたが放送前はこのコがヒロインだと、多くのアニメファンに考えられていた。
理由として当時のヒロインっぽいスタイルだったのが有るのですが…制作スタッフの発言にこんなのが有る。
「ヒロインがどんどん変わって行くのが面白いね」
「最初はクレア・ペンチが人気だった。それが段々とマキ・シャロン・カチュアの方が人気上ってって…後半ペンチなんか、すっかり…」
表向き主人公にはロディを据えてたけど、スタッフ側としちゃ「13人全員が主役」って意識で作ってたのかも。
後半クレアやペンチの人気が落ちたのは、或る意味「女の子らしさ」が災いしたのかなーと思ったり。
特に女の子ファンからは、世間で言われる女らしいコはあまり人気無く、男と一緒に戦う様な強いコのが人気高いから。
★第38話「輸送機をうばえ!」脚本○ 演出○ 作画△ 総合○
捕虜救出作戦は成功したものの、ロディからの連絡は3時間以上過ぎても途絶えたままだった。
苛立ったバーツが捜しに行こうとするも、スコットは「今動けば敵に自分達の位置を教える事になる」と止める。
バ「後少しで夜が明けちまうんだぞ!!敵はそれを待ってるんだ!!」
ロディの安否が気に懸かるも、さりとて良案が浮かばず、苦悩してるスコット達の元へ、メルの父親が或る提案を持ってやって来た。
「再び収容所を襲って、自分達が此処から脱出する為の輸送機を奪う作戦に力を貸して欲しい」と言うのだ。
戻らない仲間の事を心配して居るこの時に、随分勝手な話じゃないかと憤るバーツ。
だがメルの父親は言った、「彼を救う為にも、収容所を襲って敵の注意を引き付けたいのだ」と。
父「私らが襲うから、切っ掛けさえ作ってくれればいい」
バ「上手い事言ってェ…また俺達を囮に使う気じゃないのォ?」
父「…君達子供を囮に使う様な、酷い男に見えるかね?」
苦笑った後でメルの父親は、部隊を指揮する男の名をスコット達に告げた。
――その名は『ミューラァ』。
会議をしてるそこへ待ち侘びてたロディからの通信が入る。
「岩場に隠れたものの、手強い男(ミューラァ)が見張って居て、戻って来れない」との話だった。
ならばメルの父親の提案通り、騒ぎを起して相手の目をこちらに引き付けよう。
納得したスコット達はメルの父親の作戦に協力する事を決めた。
スコットとメルの父親が先に偵察に潜り込む。
その際メルの父親はカチュアの産みの親について彼に話した。
もしあの子の両親が未だ生きているとしたら、恐らくこのククト星ではなく、コロニー(宇宙都市)に居ると思われる。
現在ククト星に居るのは捕まった地球人と、私達の様な反政府を主張する者と、それを監視するククト軍しか居ない。
話を聞いたスコットは、カチュアがそれを知った際の心情を思い、顔を曇らせた。
ククト星を捜しても、彼女は両親に逢えないのだ。
輸送機を奪う為、再び収容所を襲撃する計画は、直ちに全員に伝えられた。
テントで寝ていた年少組を起し、安全な場所に避難させる。
その頃ミューラァと部下数人は、ロディを追って砂漠に来ていた。
夜明けまで待機の命令を受けた部下が、何故そんなにも追って来た機体に執心するのか、ミューラァに尋ねる。
ミ「初めて手応えの有る奴に会った。パイロットの腕が良いのか、ともメカの性能が良いのか…是非中に居る奴の顔を拝んでみたくてな!」
部「そんな事言ってェ~、中から赤ん坊が出て来たらどうしますゥ?」
ミ「もしもその時は、ミルクをプレゼントしてやろう!」
そこへ収容所から再び襲撃を受けているとの連絡が入った。
よもや2度も襲われるとは考えてなかった収容所は現在混乱を極めている。
至急応援を求められたミューラァは、仕方なく部下達をその場に残し、単身引き返して行った。
「しめた!あいつさえ居なければ!!」――強敵が去ったのを見て、ロディが岩陰から飛出す。
呆気無く部下を倒した彼は、ミューラァの後を追って、収容所に急いだ。
その頃ケンツはスコットから守備隊長を任されたものの、避難した女子供を護るだけの役目に飽き足らず、命令を無視して戦地に向った。
彼の後にフレッドが、シャロンが、ジミーが続く。
慌てて引き止めるクレアに向い、ケンツは叫んだ――「心配すんな!俺が付いてんだ!」
シャロンを運転役に、4人を乗せたトレーラーが勇ましく出発する。
そんな彼らの姿を見て、ガイやメルやケイやユウも、武器を携え飛出して行った。
戦いは明らかに捕虜の側が優勢だった。
数で勝ってるだけでなく、バーツやマキやカチュアがRVで応援している。
スコットも指揮役に立って活躍、更にはケンツ達がトレーラーに乗って参戦。
シャロンの危なっかしい運転で、ピンチに陥ったケンツ達を、ガイ・メル・ケイ・ユウの4人が助ける。
数時間後、輸送機奪取に成功した彼らは、ロディからの「手強い奴(ミューラァ)がそっちに向っている」という知らせを受け、収容所から一斉に撤退した。
全員で逃げる途中に合流したロディは、バーツから自分を追って来た男の名を聞かされる。
その頃収容所に到着したミューラァは、完全に裏を掛かれた事を知り、むしろ相手への感心を抱いていた。
夜が明けて、ガイ達との別れの時がやって来た。
解放されたリベラリスト達が、輸送機に乗込んで行く。
彼らはこれからコロニーに向うのだと言う。
見送るケンツに、ガイは自分の鞄をプレゼントし、覚えた地球語で別れを告げた。
「サ・ヨ・ナ・ラ!…ア・リ・ガ…ト!ワ・ス・レ・ナ・イ、キ・ミ・ノ・コ・ト…!」
輸送機に乗ったメルやケイやユウも「グンソー!」と叫ぶ。
聞いてる内に泣けて来たケンツは、背を向けたまま言った。
「良かったな…父ちゃん達に会えて!」
輸送機がゆっくりと飛び立って行く。
ロディ達は手を振ってそれを見送った。
貰った鞄をぎゅっと抱き締め、ケンツが走り出す。
「おーい!!!有難なーーー!!!大事に使うよーーー…!!!」
草を蹴散らし、飛んで行く機体を追い駆けながら、大声で叫ぶ。
何時までも、何時までも…ケンツは彼らが去った空を、じっと見詰て居た……。
(感想)…有り勝ちな演出と知っててもラストシーンには泣いた。
BGM『君はス・テ・キ』が良く有っててねー。
1度フレームから外れて走り出す辺りが演出的に素晴しい。
地球軍が正義と信じてた少年が、ククトニアンの少年と1番仲良くなる…物凄くドラマティックだと思うんですよ。
今迄の価値観がクリアされ、彼がこれからどんな風に成長するのか、気になる所で御座います。
他に気になったのは、トゥランファムに乗ったマキ&カチュアが、敵ロボを倒した後、吹き飛ばされたロボットの腕を見て呆然とするシーン。
子供向けロボットアニメという事でボカシてあるけど、この子供達は人を殺してるんだよなと再確認させられる。
己の命を守る為に仕方なくやってる事とは言え、大人になって思い返した時どう感じるんだろうなと。
そんな風に敢えて視聴者に痛みを気付かせるスタッフは意地が悪い。(笑)
「1度運転してみたかったんだ」と言って、トレーラーを運転するシャロンは、34話からの伏線ですね。(笑)
隣でパニクッてるフレッドが情けなくも可愛い。
兄さんを救う為の作戦と聞き、勇ましく飛出したものの、結局泣いてただけだったのが何とも…。(笑)
後ケンツのバズーカに弾を込めるジミーも良かった、本当の兄弟の様に観えて微笑ましい。
マキが並んで寝ているシャロンとペンチを指して、「何時もと逆ね!」と評したのにもウケた。
そういやラストのスタッフ名見てたら、原画に「横山健次」って有ったんですが、ひょっとしてワンピースで作監やってる横山氏?…あのゾロが妙に崩れる絵の。
もしもそうなら尾田氏の絵が合わないだけで、実は下手ではないのかもしれないと思ったり…。(失礼)
この回心に残った台詞――
「心配すんな!俺が付いてんだ!」
――それはツッコミ待ちなの?ケンツ。(by.クレア)
・第39話「包囲網を破れ!」脚本△ 演出△ 作画○ 総合△
ガイ達と別れて3日目、ロディ達は再び13人で砂漠を旅していた。
メルの父親から貰った情報によると、この先に地球人の捕虜収容所が在るらしい。
約半分の行程を過ぎた所で、水の有る廃墟を発見した彼らは、キャンプを張って休憩する事にした。
暫く振りに綺麗な水を浴びて、大いにはしゃぐ子供達…だが砂漠に残るタイヤの跡を辿り、ミューラァの部隊が刻一刻と近付いて来ていた。
さてキャンプを張る事を決めた彼らは、車から必要な荷物を降ろして行く。
その時奇妙な音が爆ぜ、直後クレアがぱったりと倒れた。
傍に居たスコットが驚いて駆けつけると、彼女の胸に真っ赤な染みが付着している。
まさか撃たれた!?――焦ったスコットが傷を見ようと、胸に手を入れて確認する。
その途端、気絶してたクレアが目を覚ました。
無事を喜んだのも束の間、体勢の気まずさに慌てて離れる。
騒ぎを聞き付け他の仲間達も集まって来た。
そこで明らかになった真相…荷物の中に有ったジミーの手作りジャムが、温められた事で中の空気が膨張、弾け飛んだコルク栓がクレアの胸に当り、驚いた彼女は倒れてしまった…という訳だ。
己の勘違いに気付いたスコットが、真っ赤な顔でクレアに弁解する。
そんな彼に対し、クレアは「気にしてないわ」と、笑って応えた。
夕食を前にスコットは、クレアに自分の鞄からコンパスを取って来るよう頼んだ。
テーブルに着いて待って居る間、見張りを終え戻って来たフレッド&ケンツと一緒に、ガイ達との思い出話に花を咲かす。
「今頃あのコ達どうしてるかなー」、「ズリィよなー、俺達が協力してやったから解放されたのに、助かったら即おさらばなんて!」…僻んで言うケンツをスコットは窘めた。
「あの人達は此処の食料を減らさないよう、早々に僕らと離れたんだ。自由を取り戻したものの、今頃足りない食料で大勢を抱え、大変な思いをしてるだろう」
彼の説教を聞いたケンツは神妙な顔付で黙った、フレッドも納得した様に頷く。
洗濯を済ませた女子達も戻り、次第に賑やかになって来る食卓。
一方見張りを替ったロディ&バーツは、先刻起きたスコットの件を肴に、雑談を愉しんで居た。
「スコットの奴、随分クレアを意識してたみたいだな!」、笑いながら話してるそこへ、クレアの姿が目に入った。
つい双眼鏡で行動を追ってしまう…どうやらトレーラーの方へ行く積りらしい。
運転席に入ってスコットの鞄を――ってヤベェ!!!あそこにはスコットに頼んで入れて貰った俺達のエロ本がっっ!!――バーツとロディの顔から一気に血の気が失せた。
同じ頃、スコットも遅かりながら、自分の鞄の中身を思い出し、蒼褪めて居た。
マズイマズイと叫びつつ現場に急行するも時既に遅し、硬い表情でクレアからコンパスを渡された彼は、「見られてしまった」事を知る。
これを機にギスギスし始める2人の仲。
その夜、見張り役のロディ&バーツの元に、マキが差入を持ってやって来た。
マ「実はクレアの様子がおかしいんだけど…2人とも何か心当たり無い?」
――げっっ!!!
マキの言葉に思わず腰を浮かせてしまう2人。
その場は誤魔化したものの、事件の主犯として責任を感じずには居られない。
バーツはスコットとクレアの様子を見にキャンプへ下りて行った。
皆が寝静まった頃、スコットは独り火を焚き、エロ本を燃やした。
そこへクレアが険しい顔でやって来る――2人の周囲に漂う気まずい空気。
ク「軽蔑するわ!…そんな汚らわしい雑誌…」
ス「…何……?」
ク「あの時だって、貴方はそんな積りで手を…!!」
ス「違うっっ…あれはっ!!」
ク「だったらどうしてそんな物持ってたのよ…!?」
ス「…弁解はしないよ……嫌な物を見せて済まなかった……」
ク「何とか言ったらどうなの!!?」
彼女が自分を詰るのを背で聞きながら、スコットは黙ってその場を後にした。
泣き崩れるクレア、そこへ全てを見ていたバーツが、声を掛ける。
「実はアレ…俺とロディが頼んで、入れて貰ってた物なんだ」
告白を聞いたクレアは、スコットへの言動を反省し、謝りに行くものの、深く沈み込んだ彼の様子に、声を掛けるのを躊躇う。
「何も言えなかった…私」、心配するロディとバーツに、クレアが俯いて言う。
ク「大体あの真面目なスコットが、あんな雑誌に興味持つ訳無いわね」
その言葉に一瞬複雑な顔を見せたものの、話を聞いた2人はあまり自分を責めないよう慰め、気晴らしにと自分の銃を貸してやった。
夜明け間近の空の下、クレアは銃を撃ち続ける――そこへ敵の部隊が襲って来た。
直ぐに皆に知らせて、スコットと共に年少組を避難させる途中、彼女は彼に謝り、言い訳せず全て己で背負うとした、漢らしい態度を褒めるのだった。
スコットの指示でロディ・バーツ・カチュア・ケンツがRVに乗込み直ちに出撃。
だがミューラァ部隊の猛攻を受け、戦況は徐々に悪くなって行く。
そこへ更に「ガンテツ」指揮官の部隊も襲撃に加わった。
しかしミューラァとガンテツは互いに反目し合い、むしろ相手の攻撃は歩調が乱れて行く。
続いてジェダ達リベラリストのグループが、遺跡の発する力線に引かれ応援に現れた。
加勢を受けて一気にロディ達の側へ傾く戦況。
ジェダ達に捕えられたミューラァは、戦闘後バイファムから降りて来たロディを見て、自分の好敵手が未だ子供だった事を知り、激しいショックを受けるのだった……。
(感想)…エロ本狂想曲第二楽章(笑)、笑い無くして観れない面白い回ではあるんすよ。
演出も決して下手じゃない、マキから尋ねられて「げっっ!!!」と、2人が腰を浮かせるシーンなんか、もう爆笑もんで御座います。
クレアから「真面目なスコットが、あんな雑誌に興味持つ訳無い」と言われた瞬間、ロディとバーツが見せたメッチャ複雑そ~な表情なんかも見物。(笑)
これは描いたアニメーターさんも褒めるトコですが、「じゃあ俺ら不真面目だってェの?けどスコットだって喜んで観てたんだぜ~!」と言いたい所を、グッと堪えてる2人の気持ちが良く解るという。(大笑)
食卓を囲んでの会話なんかも、聞いてるだけで楽しくなる。
しかしロボットアニメだってのに、ホームドラマばりに食事シーンの多い番組だ。(笑)
1度も出て来なかった回って、片手で数える位しか無いのでは?
とまぁ楽しめたんですが、冷静に見て出来は決してよろしくない。(この回好きな方には御免)
ラストでジェダさん達が加勢に来る展開は、あまりに御都合主義に思えた。
遺跡の力線を今更キャッチしたって…どうせなら前回解放された捕虜の中にジェダさんの仲間が居て…って風にすれば、話がスムーズに繋がったのではないかと。
ただそれだと子供達だけの旅じゃなくなる…そう考えて止めたのかもしれない。
クレアの気晴らしの仕方も、もちっと別のものにして欲しかったな~。
最も壮絶だったのが唐突に登場した「第三機動特務隊々長ガンテツ」。
高笑いと共に参上、派手派手しく名乗り上げ、凝ったメカ変形まで披露しながら、あっさり死亡――
「お前何しに来たんだ?」大賞見事に獲得ですよ。(爆笑)
ひょっとしてスポンサーから、無理にでも新メカ出すようせっつかれて、切れたスタッフが嫌がらせで仕出かしたのかも。
『マイトガイン』しかり『ミンキーモモ』しかり、制作スタッフは偶にやらかすのです。(笑)
この回心に残った台詞――ロディ&バーツと交替して、見張りに就いたペンチ&シャロンの会話より。
シ「裸見て何が楽しいんだろ?」
ペ「でも、女の子って、好きな人が出来たら見て欲しいって、思うものらしいわ」
10 歳 の 少 女 の 言 う 事 だ ら う か ?
…にしても何時の間にか皆、事情を知っちゃってるのな。(笑)
恐らくロディとバーツがスコットを慮り、自分達の罪として皆に説明したのだろう。
・第40話「ミューラァの秘密」脚本○ 演出○ 作画△ 総合○
ジェダと再会したロディ達は、彼のグループの基地に案内され、暫く身を寄せる事になった。
そこで手渡されたマイクロ翻訳機を使い、それぞれククトニアンとの交流を試みる子供達。
ケンツ・シャロン・フレッド・ジミーは、基地の中の大規模な戦闘ロボット工場を見学。
ロディやスコットら年長組は、ククト星の歴史について教わった。
ジェダは語る――400年前迄はククトニアンの全てがこの星に住んでいた。
だが幾度か繰り返された戦争の為にククト星は荒廃…現在ククトニアンの殆どは「コロニー」と呼ばれる宇宙人工都市に居住している。
かつての母星に残るのは、捕虜として連れて来られた人間か、それを監視する軍の人間だけだと。
話は自分の産みの親の所在を尋ねて廻るカチュアの耳にも届いた。
「もし生きてるとしたら、恐らく君の親はコロニーに居るだろう」
ククト星を捜しても自分の両親とは逢えない…その事実はカチュアに深い衝撃を与えた。
政府軍に対抗し和平への道を探るジェダ達は、基地を拠点に地球軍とコンタクトを取ろうとして居た。
話を聞いたスコット達が協力を申し出る。
「自分達地球人がメッセージを送れば、地球軍も話を聞いてくれるかも」
提案に賛同したジェダは、彼らを連れて通信基地へ向った。
ただ独りロディだけは居残り、捕えられてるミューラァを訪ねる。
独房内に響く口笛…ロディと目が合った彼は、皮肉を篭めて笑った。
「地球軍のエースパイロット様が何の用だい?」
「僕は兵士なんかじゃありません!貴方達が向って来るから、戦わざるを得なかっただけです!――貴方は何で戦ってるんですか!?」
「素朴な質問が1番答え難いんだがな……俺は軍人で、戦う事はビジネスなんだよ」
「人を殺す事がですか!?」
「その口調…俺の若い頃そっくりだな」
独房内で衝突を繰り返す2人の前に、リベラリストの指導者である「サライダ博士」が現れた。
博士とミューラァとの対面の席で、ロディは驚くべき事実を聞いてしまう。
ミューラァはククトニアンと地球人との間に産れた混血児だった。
ミューラァに話合いを求めるも拒絶された博士は、2人きりの場でロディに彼の素性を話した。
地球人だったミューラァの母は、地球がベルウィック星への移民を軌道に乗せた頃、宇宙生物学の研究員として第2次調査隊に参加、サンプルを採集してる途中事故に遭って戻れなくなった。
独り残された彼女はククトニアンの調査チームに助けられ、彼らが居住するコロニーへ連れて来られた。
そこで当時医師だったミューラァの父に出会い、献身的な介護を受けた。
何時しか2人の間には愛が芽生えたが、ククト社会が地球との戦争に傾いてく中、彼の父は戦火に巻込まれて死亡、母は或る日軍部に連行されたまま戻って来なかった。
博士は彼の父と友人だった縁から、孤児となった彼を引取ったものの、成長した彼は博士の元から黙って去り…その後風の噂で軍部に入った事を知った。
「戦争の犠牲者とは、君や彼の様な者を言うのだろう…」
ロディから名を訊いた後、博士はそう呟き去って行った。
素性を聞かされた事で、再び気になって独房に戻るロディ。
だがそこでミューラァがリベラリスト達から拷問を受けてるのを目にしてしまう。
「残酷な真似はしないでくれ」と止めるロディを、リベラリスト達は黙って追い出す。
彼が叩く扉の向うで、ミューラァが笑って言った。
「皮肉だな…敵である地球人の君が、ククトニアンの俺を庇うのか…!」
聞くに堪えない音は尚も続く――ロディは両手で耳を塞ぎ、その場から走り去った。
一方通信基地に到着したスコット達は、地球軍にメッセージを飛ばしていた。
だが呼び掛ける電波が軍に傍受され、襲撃を受けてしまう。
スコットから連絡を受けたロディはバイファムで出撃、他子供達もジェダ達リベラリストに協力して戦う。
全員の力を合せて、政府軍を撃退するのに成功。
戦闘後、ロディは彼女の両親がククト星には居ない事を、カチュアに話すべきか悩むのだった……。
(感想)…14話で登場したラレドさんの正体が此処で明かされる。
またミューラァが混血だというのは33話で既に明かされてたり。
こっから最終回に向けて纏めに入りまして、遺跡の謎も少しづつ語られてく。
地球以上に長い歴史を持つククト星は幾度も核戦争を経験し、彼らにとっての母星で在りながら棲めなくなってしまった。
ベルウィック・クレアド等周辺の星を開拓するも、同じ様な歴史を繰り返した結果、ククトニアンは星を失ってしまった…身につまされる話ですね。
この回で最も印象に残ったのは、ミューラァが拷問を受けるシーン。
ジェダさん達を全くの正義として描かない、戦争の複雑さをきちんと描いて見せたスタッフには感服。
しかしノーミソクルクルになるお薬やら拷問やら…やばいシーンてんこ盛りな番組ですことで。(笑)
大佐の父を持つ良家のお嬢さんで、ガールズクラブの班長をしていた経験から、周囲を取り纏める才に長けている。
特に年少組の世話を一手に引受け、結果マルロ&ルチーナなどは、母親の様に懐いていた――人呼んで「ジェイナスのママ」。
人付き合いの苦手なスコットがリーダーをこなせたのも、彼女のフォロー有っての事。
そのスコットとは幼馴染の関係で、物語中ずっと親しくして居たが、39話での彼女の言動から推察するに、恋愛感情は抱いてなかった様に思われ。(スコットの方は彼女への思いを自覚してた様だが)
しかし39話のと或る事件で彼の漢らしさに気付き、以来完全に恋人の関係に納まってしまった。
フレッド&ペンチが「新婚さん」に例えられるなら、この2人の場合3年過ぎた夫婦の様な…。
育ちの良さ故か相当な潔癖症、シャロンとペンチが覗きをした際は、「女の子らしくない」と叱り、スコットがエロ本を所持してたと知った際は、彼をとことん詰った。
おまけにヒステリー持ち…なんとなくスコットの前途が多難に感じられる。(笑)
演じていたのは二代目磯野カツオ役等で有名な冨永みーな氏、放送当時彼女は高校生だったが、子役の経験数多く既に演技はベテランの域だった。
ドラマ『大草原の小さな家』のキャリー役とか…バラエティ番組のナレーションを担当しても居るので、恐らく大抵の人が名前は知らなくても声は知ってるだろう。
前にも書いたが放送前はこのコがヒロインだと、多くのアニメファンに考えられていた。
理由として当時のヒロインっぽいスタイルだったのが有るのですが…制作スタッフの発言にこんなのが有る。
「ヒロインがどんどん変わって行くのが面白いね」
「最初はクレア・ペンチが人気だった。それが段々とマキ・シャロン・カチュアの方が人気上ってって…後半ペンチなんか、すっかり…」
表向き主人公にはロディを据えてたけど、スタッフ側としちゃ「13人全員が主役」って意識で作ってたのかも。
後半クレアやペンチの人気が落ちたのは、或る意味「女の子らしさ」が災いしたのかなーと思ったり。
特に女の子ファンからは、世間で言われる女らしいコはあまり人気無く、男と一緒に戦う様な強いコのが人気高いから。
★第38話「輸送機をうばえ!」脚本○ 演出○ 作画△ 総合○
捕虜救出作戦は成功したものの、ロディからの連絡は3時間以上過ぎても途絶えたままだった。
苛立ったバーツが捜しに行こうとするも、スコットは「今動けば敵に自分達の位置を教える事になる」と止める。
バ「後少しで夜が明けちまうんだぞ!!敵はそれを待ってるんだ!!」
ロディの安否が気に懸かるも、さりとて良案が浮かばず、苦悩してるスコット達の元へ、メルの父親が或る提案を持ってやって来た。
「再び収容所を襲って、自分達が此処から脱出する為の輸送機を奪う作戦に力を貸して欲しい」と言うのだ。
戻らない仲間の事を心配して居るこの時に、随分勝手な話じゃないかと憤るバーツ。
だがメルの父親は言った、「彼を救う為にも、収容所を襲って敵の注意を引き付けたいのだ」と。
父「私らが襲うから、切っ掛けさえ作ってくれればいい」
バ「上手い事言ってェ…また俺達を囮に使う気じゃないのォ?」
父「…君達子供を囮に使う様な、酷い男に見えるかね?」
苦笑った後でメルの父親は、部隊を指揮する男の名をスコット達に告げた。
――その名は『ミューラァ』。
会議をしてるそこへ待ち侘びてたロディからの通信が入る。
「岩場に隠れたものの、手強い男(ミューラァ)が見張って居て、戻って来れない」との話だった。
ならばメルの父親の提案通り、騒ぎを起して相手の目をこちらに引き付けよう。
納得したスコット達はメルの父親の作戦に協力する事を決めた。
スコットとメルの父親が先に偵察に潜り込む。
その際メルの父親はカチュアの産みの親について彼に話した。
もしあの子の両親が未だ生きているとしたら、恐らくこのククト星ではなく、コロニー(宇宙都市)に居ると思われる。
現在ククト星に居るのは捕まった地球人と、私達の様な反政府を主張する者と、それを監視するククト軍しか居ない。
話を聞いたスコットは、カチュアがそれを知った際の心情を思い、顔を曇らせた。
ククト星を捜しても、彼女は両親に逢えないのだ。
輸送機を奪う為、再び収容所を襲撃する計画は、直ちに全員に伝えられた。
テントで寝ていた年少組を起し、安全な場所に避難させる。
その頃ミューラァと部下数人は、ロディを追って砂漠に来ていた。
夜明けまで待機の命令を受けた部下が、何故そんなにも追って来た機体に執心するのか、ミューラァに尋ねる。
ミ「初めて手応えの有る奴に会った。パイロットの腕が良いのか、ともメカの性能が良いのか…是非中に居る奴の顔を拝んでみたくてな!」
部「そんな事言ってェ~、中から赤ん坊が出て来たらどうしますゥ?」
ミ「もしもその時は、ミルクをプレゼントしてやろう!」
そこへ収容所から再び襲撃を受けているとの連絡が入った。
よもや2度も襲われるとは考えてなかった収容所は現在混乱を極めている。
至急応援を求められたミューラァは、仕方なく部下達をその場に残し、単身引き返して行った。
「しめた!あいつさえ居なければ!!」――強敵が去ったのを見て、ロディが岩陰から飛出す。
呆気無く部下を倒した彼は、ミューラァの後を追って、収容所に急いだ。
その頃ケンツはスコットから守備隊長を任されたものの、避難した女子供を護るだけの役目に飽き足らず、命令を無視して戦地に向った。
彼の後にフレッドが、シャロンが、ジミーが続く。
慌てて引き止めるクレアに向い、ケンツは叫んだ――「心配すんな!俺が付いてんだ!」
シャロンを運転役に、4人を乗せたトレーラーが勇ましく出発する。
そんな彼らの姿を見て、ガイやメルやケイやユウも、武器を携え飛出して行った。
戦いは明らかに捕虜の側が優勢だった。
数で勝ってるだけでなく、バーツやマキやカチュアがRVで応援している。
スコットも指揮役に立って活躍、更にはケンツ達がトレーラーに乗って参戦。
シャロンの危なっかしい運転で、ピンチに陥ったケンツ達を、ガイ・メル・ケイ・ユウの4人が助ける。
数時間後、輸送機奪取に成功した彼らは、ロディからの「手強い奴(ミューラァ)がそっちに向っている」という知らせを受け、収容所から一斉に撤退した。
全員で逃げる途中に合流したロディは、バーツから自分を追って来た男の名を聞かされる。
その頃収容所に到着したミューラァは、完全に裏を掛かれた事を知り、むしろ相手への感心を抱いていた。
夜が明けて、ガイ達との別れの時がやって来た。
解放されたリベラリスト達が、輸送機に乗込んで行く。
彼らはこれからコロニーに向うのだと言う。
見送るケンツに、ガイは自分の鞄をプレゼントし、覚えた地球語で別れを告げた。
「サ・ヨ・ナ・ラ!…ア・リ・ガ…ト!ワ・ス・レ・ナ・イ、キ・ミ・ノ・コ・ト…!」
輸送機に乗ったメルやケイやユウも「グンソー!」と叫ぶ。
聞いてる内に泣けて来たケンツは、背を向けたまま言った。
「良かったな…父ちゃん達に会えて!」
輸送機がゆっくりと飛び立って行く。
ロディ達は手を振ってそれを見送った。
貰った鞄をぎゅっと抱き締め、ケンツが走り出す。
「おーい!!!有難なーーー!!!大事に使うよーーー…!!!」
草を蹴散らし、飛んで行く機体を追い駆けながら、大声で叫ぶ。
何時までも、何時までも…ケンツは彼らが去った空を、じっと見詰て居た……。
(感想)…有り勝ちな演出と知っててもラストシーンには泣いた。
BGM『君はス・テ・キ』が良く有っててねー。
1度フレームから外れて走り出す辺りが演出的に素晴しい。
地球軍が正義と信じてた少年が、ククトニアンの少年と1番仲良くなる…物凄くドラマティックだと思うんですよ。
今迄の価値観がクリアされ、彼がこれからどんな風に成長するのか、気になる所で御座います。
他に気になったのは、トゥランファムに乗ったマキ&カチュアが、敵ロボを倒した後、吹き飛ばされたロボットの腕を見て呆然とするシーン。
子供向けロボットアニメという事でボカシてあるけど、この子供達は人を殺してるんだよなと再確認させられる。
己の命を守る為に仕方なくやってる事とは言え、大人になって思い返した時どう感じるんだろうなと。
そんな風に敢えて視聴者に痛みを気付かせるスタッフは意地が悪い。(笑)
「1度運転してみたかったんだ」と言って、トレーラーを運転するシャロンは、34話からの伏線ですね。(笑)
隣でパニクッてるフレッドが情けなくも可愛い。
兄さんを救う為の作戦と聞き、勇ましく飛出したものの、結局泣いてただけだったのが何とも…。(笑)
後ケンツのバズーカに弾を込めるジミーも良かった、本当の兄弟の様に観えて微笑ましい。
マキが並んで寝ているシャロンとペンチを指して、「何時もと逆ね!」と評したのにもウケた。
そういやラストのスタッフ名見てたら、原画に「横山健次」って有ったんですが、ひょっとしてワンピースで作監やってる横山氏?…あのゾロが妙に崩れる絵の。
もしもそうなら尾田氏の絵が合わないだけで、実は下手ではないのかもしれないと思ったり…。(失礼)
この回心に残った台詞――
「心配すんな!俺が付いてんだ!」
――それはツッコミ待ちなの?ケンツ。(by.クレア)
・第39話「包囲網を破れ!」脚本△ 演出△ 作画○ 総合△
ガイ達と別れて3日目、ロディ達は再び13人で砂漠を旅していた。
メルの父親から貰った情報によると、この先に地球人の捕虜収容所が在るらしい。
約半分の行程を過ぎた所で、水の有る廃墟を発見した彼らは、キャンプを張って休憩する事にした。
暫く振りに綺麗な水を浴びて、大いにはしゃぐ子供達…だが砂漠に残るタイヤの跡を辿り、ミューラァの部隊が刻一刻と近付いて来ていた。
さてキャンプを張る事を決めた彼らは、車から必要な荷物を降ろして行く。
その時奇妙な音が爆ぜ、直後クレアがぱったりと倒れた。
傍に居たスコットが驚いて駆けつけると、彼女の胸に真っ赤な染みが付着している。
まさか撃たれた!?――焦ったスコットが傷を見ようと、胸に手を入れて確認する。
その途端、気絶してたクレアが目を覚ました。
無事を喜んだのも束の間、体勢の気まずさに慌てて離れる。
騒ぎを聞き付け他の仲間達も集まって来た。
そこで明らかになった真相…荷物の中に有ったジミーの手作りジャムが、温められた事で中の空気が膨張、弾け飛んだコルク栓がクレアの胸に当り、驚いた彼女は倒れてしまった…という訳だ。
己の勘違いに気付いたスコットが、真っ赤な顔でクレアに弁解する。
そんな彼に対し、クレアは「気にしてないわ」と、笑って応えた。
夕食を前にスコットは、クレアに自分の鞄からコンパスを取って来るよう頼んだ。
テーブルに着いて待って居る間、見張りを終え戻って来たフレッド&ケンツと一緒に、ガイ達との思い出話に花を咲かす。
「今頃あのコ達どうしてるかなー」、「ズリィよなー、俺達が協力してやったから解放されたのに、助かったら即おさらばなんて!」…僻んで言うケンツをスコットは窘めた。
「あの人達は此処の食料を減らさないよう、早々に僕らと離れたんだ。自由を取り戻したものの、今頃足りない食料で大勢を抱え、大変な思いをしてるだろう」
彼の説教を聞いたケンツは神妙な顔付で黙った、フレッドも納得した様に頷く。
洗濯を済ませた女子達も戻り、次第に賑やかになって来る食卓。
一方見張りを替ったロディ&バーツは、先刻起きたスコットの件を肴に、雑談を愉しんで居た。
「スコットの奴、随分クレアを意識してたみたいだな!」、笑いながら話してるそこへ、クレアの姿が目に入った。
つい双眼鏡で行動を追ってしまう…どうやらトレーラーの方へ行く積りらしい。
運転席に入ってスコットの鞄を――ってヤベェ!!!あそこにはスコットに頼んで入れて貰った俺達のエロ本がっっ!!――バーツとロディの顔から一気に血の気が失せた。
同じ頃、スコットも遅かりながら、自分の鞄の中身を思い出し、蒼褪めて居た。
マズイマズイと叫びつつ現場に急行するも時既に遅し、硬い表情でクレアからコンパスを渡された彼は、「見られてしまった」事を知る。
これを機にギスギスし始める2人の仲。
その夜、見張り役のロディ&バーツの元に、マキが差入を持ってやって来た。
マ「実はクレアの様子がおかしいんだけど…2人とも何か心当たり無い?」
――げっっ!!!
マキの言葉に思わず腰を浮かせてしまう2人。
その場は誤魔化したものの、事件の主犯として責任を感じずには居られない。
バーツはスコットとクレアの様子を見にキャンプへ下りて行った。
皆が寝静まった頃、スコットは独り火を焚き、エロ本を燃やした。
そこへクレアが険しい顔でやって来る――2人の周囲に漂う気まずい空気。
ク「軽蔑するわ!…そんな汚らわしい雑誌…」
ス「…何……?」
ク「あの時だって、貴方はそんな積りで手を…!!」
ス「違うっっ…あれはっ!!」
ク「だったらどうしてそんな物持ってたのよ…!?」
ス「…弁解はしないよ……嫌な物を見せて済まなかった……」
ク「何とか言ったらどうなの!!?」
彼女が自分を詰るのを背で聞きながら、スコットは黙ってその場を後にした。
泣き崩れるクレア、そこへ全てを見ていたバーツが、声を掛ける。
「実はアレ…俺とロディが頼んで、入れて貰ってた物なんだ」
告白を聞いたクレアは、スコットへの言動を反省し、謝りに行くものの、深く沈み込んだ彼の様子に、声を掛けるのを躊躇う。
「何も言えなかった…私」、心配するロディとバーツに、クレアが俯いて言う。
ク「大体あの真面目なスコットが、あんな雑誌に興味持つ訳無いわね」
その言葉に一瞬複雑な顔を見せたものの、話を聞いた2人はあまり自分を責めないよう慰め、気晴らしにと自分の銃を貸してやった。
夜明け間近の空の下、クレアは銃を撃ち続ける――そこへ敵の部隊が襲って来た。
直ぐに皆に知らせて、スコットと共に年少組を避難させる途中、彼女は彼に謝り、言い訳せず全て己で背負うとした、漢らしい態度を褒めるのだった。
スコットの指示でロディ・バーツ・カチュア・ケンツがRVに乗込み直ちに出撃。
だがミューラァ部隊の猛攻を受け、戦況は徐々に悪くなって行く。
そこへ更に「ガンテツ」指揮官の部隊も襲撃に加わった。
しかしミューラァとガンテツは互いに反目し合い、むしろ相手の攻撃は歩調が乱れて行く。
続いてジェダ達リベラリストのグループが、遺跡の発する力線に引かれ応援に現れた。
加勢を受けて一気にロディ達の側へ傾く戦況。
ジェダ達に捕えられたミューラァは、戦闘後バイファムから降りて来たロディを見て、自分の好敵手が未だ子供だった事を知り、激しいショックを受けるのだった……。
(感想)…エロ本狂想曲第二楽章(笑)、笑い無くして観れない面白い回ではあるんすよ。
演出も決して下手じゃない、マキから尋ねられて「げっっ!!!」と、2人が腰を浮かせるシーンなんか、もう爆笑もんで御座います。
クレアから「真面目なスコットが、あんな雑誌に興味持つ訳無い」と言われた瞬間、ロディとバーツが見せたメッチャ複雑そ~な表情なんかも見物。(笑)
これは描いたアニメーターさんも褒めるトコですが、「じゃあ俺ら不真面目だってェの?けどスコットだって喜んで観てたんだぜ~!」と言いたい所を、グッと堪えてる2人の気持ちが良く解るという。(大笑)
食卓を囲んでの会話なんかも、聞いてるだけで楽しくなる。
しかしロボットアニメだってのに、ホームドラマばりに食事シーンの多い番組だ。(笑)
1度も出て来なかった回って、片手で数える位しか無いのでは?
とまぁ楽しめたんですが、冷静に見て出来は決してよろしくない。(この回好きな方には御免)
ラストでジェダさん達が加勢に来る展開は、あまりに御都合主義に思えた。
遺跡の力線を今更キャッチしたって…どうせなら前回解放された捕虜の中にジェダさんの仲間が居て…って風にすれば、話がスムーズに繋がったのではないかと。
ただそれだと子供達だけの旅じゃなくなる…そう考えて止めたのかもしれない。
クレアの気晴らしの仕方も、もちっと別のものにして欲しかったな~。
最も壮絶だったのが唐突に登場した「第三機動特務隊々長ガンテツ」。
高笑いと共に参上、派手派手しく名乗り上げ、凝ったメカ変形まで披露しながら、あっさり死亡――
「お前何しに来たんだ?」大賞見事に獲得ですよ。(爆笑)
ひょっとしてスポンサーから、無理にでも新メカ出すようせっつかれて、切れたスタッフが嫌がらせで仕出かしたのかも。
『マイトガイン』しかり『ミンキーモモ』しかり、制作スタッフは偶にやらかすのです。(笑)
この回心に残った台詞――ロディ&バーツと交替して、見張りに就いたペンチ&シャロンの会話より。
シ「裸見て何が楽しいんだろ?」
ペ「でも、女の子って、好きな人が出来たら見て欲しいって、思うものらしいわ」
10 歳 の 少 女 の 言 う 事 だ ら う か ?
…にしても何時の間にか皆、事情を知っちゃってるのな。(笑)
恐らくロディとバーツがスコットを慮り、自分達の罪として皆に説明したのだろう。
・第40話「ミューラァの秘密」脚本○ 演出○ 作画△ 総合○
ジェダと再会したロディ達は、彼のグループの基地に案内され、暫く身を寄せる事になった。
そこで手渡されたマイクロ翻訳機を使い、それぞれククトニアンとの交流を試みる子供達。
ケンツ・シャロン・フレッド・ジミーは、基地の中の大規模な戦闘ロボット工場を見学。
ロディやスコットら年長組は、ククト星の歴史について教わった。
ジェダは語る――400年前迄はククトニアンの全てがこの星に住んでいた。
だが幾度か繰り返された戦争の為にククト星は荒廃…現在ククトニアンの殆どは「コロニー」と呼ばれる宇宙人工都市に居住している。
かつての母星に残るのは、捕虜として連れて来られた人間か、それを監視する軍の人間だけだと。
話は自分の産みの親の所在を尋ねて廻るカチュアの耳にも届いた。
「もし生きてるとしたら、恐らく君の親はコロニーに居るだろう」
ククト星を捜しても自分の両親とは逢えない…その事実はカチュアに深い衝撃を与えた。
政府軍に対抗し和平への道を探るジェダ達は、基地を拠点に地球軍とコンタクトを取ろうとして居た。
話を聞いたスコット達が協力を申し出る。
「自分達地球人がメッセージを送れば、地球軍も話を聞いてくれるかも」
提案に賛同したジェダは、彼らを連れて通信基地へ向った。
ただ独りロディだけは居残り、捕えられてるミューラァを訪ねる。
独房内に響く口笛…ロディと目が合った彼は、皮肉を篭めて笑った。
「地球軍のエースパイロット様が何の用だい?」
「僕は兵士なんかじゃありません!貴方達が向って来るから、戦わざるを得なかっただけです!――貴方は何で戦ってるんですか!?」
「素朴な質問が1番答え難いんだがな……俺は軍人で、戦う事はビジネスなんだよ」
「人を殺す事がですか!?」
「その口調…俺の若い頃そっくりだな」
独房内で衝突を繰り返す2人の前に、リベラリストの指導者である「サライダ博士」が現れた。
博士とミューラァとの対面の席で、ロディは驚くべき事実を聞いてしまう。
ミューラァはククトニアンと地球人との間に産れた混血児だった。
ミューラァに話合いを求めるも拒絶された博士は、2人きりの場でロディに彼の素性を話した。
地球人だったミューラァの母は、地球がベルウィック星への移民を軌道に乗せた頃、宇宙生物学の研究員として第2次調査隊に参加、サンプルを採集してる途中事故に遭って戻れなくなった。
独り残された彼女はククトニアンの調査チームに助けられ、彼らが居住するコロニーへ連れて来られた。
そこで当時医師だったミューラァの父に出会い、献身的な介護を受けた。
何時しか2人の間には愛が芽生えたが、ククト社会が地球との戦争に傾いてく中、彼の父は戦火に巻込まれて死亡、母は或る日軍部に連行されたまま戻って来なかった。
博士は彼の父と友人だった縁から、孤児となった彼を引取ったものの、成長した彼は博士の元から黙って去り…その後風の噂で軍部に入った事を知った。
「戦争の犠牲者とは、君や彼の様な者を言うのだろう…」
ロディから名を訊いた後、博士はそう呟き去って行った。
素性を聞かされた事で、再び気になって独房に戻るロディ。
だがそこでミューラァがリベラリスト達から拷問を受けてるのを目にしてしまう。
「残酷な真似はしないでくれ」と止めるロディを、リベラリスト達は黙って追い出す。
彼が叩く扉の向うで、ミューラァが笑って言った。
「皮肉だな…敵である地球人の君が、ククトニアンの俺を庇うのか…!」
聞くに堪えない音は尚も続く――ロディは両手で耳を塞ぎ、その場から走り去った。
一方通信基地に到着したスコット達は、地球軍にメッセージを飛ばしていた。
だが呼び掛ける電波が軍に傍受され、襲撃を受けてしまう。
スコットから連絡を受けたロディはバイファムで出撃、他子供達もジェダ達リベラリストに協力して戦う。
全員の力を合せて、政府軍を撃退するのに成功。
戦闘後、ロディは彼女の両親がククト星には居ない事を、カチュアに話すべきか悩むのだった……。
(感想)…14話で登場したラレドさんの正体が此処で明かされる。
またミューラァが混血だというのは33話で既に明かされてたり。
こっから最終回に向けて纏めに入りまして、遺跡の謎も少しづつ語られてく。
地球以上に長い歴史を持つククト星は幾度も核戦争を経験し、彼らにとっての母星で在りながら棲めなくなってしまった。
ベルウィック・クレアド等周辺の星を開拓するも、同じ様な歴史を繰り返した結果、ククトニアンは星を失ってしまった…身につまされる話ですね。
この回で最も印象に残ったのは、ミューラァが拷問を受けるシーン。
ジェダさん達を全くの正義として描かない、戦争の複雑さをきちんと描いて見せたスタッフには感服。
しかしノーミソクルクルになるお薬やら拷問やら…やばいシーンてんこ盛りな番組ですことで。(笑)