瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

『何度も廻り合う』その35

2006年02月16日 22時50分51秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





ギリギリ時間内で自転車を返却した後、ゾロとコテージで合流する為に、土産抱えてブルーケレンからクラシックバスに乗って行く事にした。

丁度入国して来た団体客と行き会い、車内は朝とは打って変った混雑振り。

それでもルフィは素早く1番前の席を確保して座る。

その後ろに座ったと同時にバスが発車、ガタゴト揺れながら、石畳の道を進み出した。

揺れるったってルフィの運転から比較すれば雲泥の差だわ。

滑らかに流れてく車窓からの景色を眺めつつ、その快適な乗り心地にほっとする。


「バスは良いわね……安全で、ちっとも揺れなくて。」

「そうかー?結構ゆれてると思うけどなァ??」

「……あんたの運転に較べりゃ天と地よ……この場合、勿論『天』はバスで、『地』はあんた………っつかねェ!!死ぬかと思ったわよ!!!はっきし言って!!!!
「ナミが5分以内でとう着しろっつうから、すっ飛ばして走ってやったんじゃねェか。」
だからってブレーキ1回も踏まずに爆走する!!?自転車じゃなくて、ジェットコースターにでも乗ったのかと思ったわよ!!!……本当に…よく、生きて辿り着けたものかと…ああ、生きてるって素晴しい…命が有るって、何て素敵な事なんだろう…!!」
「おんもしろかったよなァァ~~~♪俺、久々に思っ切し自転車漕いだぜ!!どうせなら初日っから乗り回したかったよなァ~~~。そうすりゃもっと色々廻れたかもしんねーし。…何でもっと早くに教えてくれなかったんだ??」

「え?そ、それは……最終日の予定に組み込んでたから…。」

「予定なんて変えりゃ良いじゃん。2日目に持って来てりゃ、1日中乗って廻れたぜ?」
「それじゃお金掛かっちゃうでしょ!?3時間超えたら延滞金付くんだから!!」
「良いじゃねェか、少しくれェ付いても。その分移動が楽になるんなら悪くねェ。」
「い、1日目はお茶飲んでイベント観て廻って、2日目はアミューズメント観て廻って、3日目は自転車借りて場内観て廻ろうって、決めておいたのよ!!」
「だから何で決めた通りに動かなきゃなんねェんだ?その場で行きてェ思ったトコ行って、やりてェ思った事やった方が楽しいんじゃねェか?」
「それじゃ効率良く全部廻れないじゃない!!」
「何で全部廻る必要有んだよ?廻れる訳無ェじゃん、2日ちょいで、こんな広いトコ。」
「あんたが全部廻りたいって言ったから、無理してでも行こうとしたんでしょォ!?」
「…まァ、そうだけどよォ~……廻り切れねェんだったら、好きなトコだけ行ったり、してたりした方が良かったんじゃねェかな~なんてな。」


無邪気に、ただ自分の考えをぶつけてるだけなのは解ってる。

ルフィの瞳に責めてる色は見えないし。

だけど……


「ルフィは……楽しくなかったんだ…今回の旅。」

「んん?…そんな事無ェぞ?すっげー楽しかったに決まってんじゃねェか♪」

「…でも、強引に引き摺られて、好きな様に廻れなくて、がっかりしてんでしょ?」



きっとゾロも、そう思ってんだ。

引き回されて、疲れるだけだって。

こんな所ちっとも面白くねェ、早く帰って寝ちまいてェなァって。

だから付いて来なかったんだ、いいかげん付き合い切れねェつって。


最初から、楽しみにしてたのは、自分だけだったんだわ。

1ヶ月前からガイドブック観たり、HP観たりして予定練ってたのに。

これでも一生懸命、2人が楽しめそうなコース考えたのに。

多分……3人で行く、最後の旅になるだろうからって。


だけど無駄だったんだ、全部!

誘うんじゃなかった…楽しんで貰えないなら、旅行なんかすんじゃなかった!!



「おい、ナミ。さっきからおどろ線背負ってて暗ェぞ。車酔いかァ?」

「……悪かったわね……無理に引き回しちゃって……せめてもっと余裕有るコース考えてたら、ゾロも付き合う位はしてくれてたかしらね…。」

「ゾロ??……充分付き合ってる様に見えるけどなァ~。」
「付き合ってくれてないでしょ!?事実、今!!」

「この3日間、修行してるあいつ見たか?」

「え?……そう言われると……見てないよな……」

「あいつ、ひまんなると修行する奴なのに。修学旅行中なんか、皆して部屋でTV観てる横で腹筋やってて、サンジがうっとうしいっつってけってたもんな。」


…確かに、普段はTPO全く気にせず、ちょっとでも間が空きゃ、竹刀振り回したり、指1本で腕立て伏せするよな奴だけどさ。


「竹刀持って来て無いし、単に疲れてやる気起きなかったんじゃ?」

「夜ねる前には、部屋でちゃんと腕立てとかやってたんだ、実は。けど今回の旅行で、ナミの前じゃ1度もしてねェだろ?」

「ゾロなりに、私を気遣ってくれてるって事…?」


……でも結局、嫌々じゃあ……


「ゾロは素直じゃねェけど、俺と一緒で、嫌な事はぜってェしねェさ。だから、好きで付き合ってるとしか、思えねェんだけどなァ。」


ルフィの言う通りだとは、思う。

こいつら、基本的に自分の気持ちに忠実と言うか。

嫌な事頼まれれば、たとえ大統領からだとしても、きっぱり拒否する様な奴等だし。



つらつら考えてて、妙に視線がチクチクと刺さって来た。

正面見るとルフィが、シートからじぃぃっと真顔で、こっちを覗き込んでいる。



「な…何?何なの??」

「なァ………おめェ、また胸でかくなっただろ?」


無遠慮にしげしげと人の胸を見詰る。


「いや、さっき思っ切し背中に抱き付いてただろ?コート着てる上からでも判るなんて、すっげーデカパイだよなァ~って…うはははははははははははははははは…♪♪」


――ゴインッッ!!!!


「……真剣気に懸けた、私が馬鹿だったわ…!!!」




バスは目指してるスパーケンブルグに到着する手前で、何故か途中停車してしまった。

不思議に思い車窓から外を見ると、前でハーフェン橋が大きく跳ね上がっていた。


「ナ!!ナミ!!何やってんだあれ!?道が、橋が…上に持ち上がっちまってっぞ!!?」

「カナルクルーザーが橋の下通り抜けてくでしょ?あのクルーザーが通行出来る様、橋が高く持ち上がる仕組になってる訳!」
「ええ!?あの船、海出ちまえるのか!?俺達が乗ったのは出なかったじゃねェか!?」

「あれは通常のカナルクルーザーじゃなくて、『カナルカフェ』っつう水門巡りのコースを行くクルーザーよ。カナルカフェって言うのは、クルーザーの中でお茶やお酒を飲んだりしながら遊覧するってもので、中でも水門巡りコースを選ぶと、ああやって水門から海まで出て行けるみたいよ。」
「んな楽しそうなもん有ったんなら何で教えてくんなかったんだよ!!?乗りたかったぞ!!!俺は!!!」

「お金が2,000円掛かるし、予約も必要だし…こうゆう優雅な乗物、あんた達には不似合いだと思ったからよ!」


乗客の多くはカップルだって聞いてた。

所要時間40分掛けて、少グループでゆったりとお茶飲みつつ遊覧。

そんな中にルフィが入ってったら、ロマンチックな雰囲気ぶち壊して、他のお客から白い目で見られるの確実だもの。


「乗りたかった……すっげー乗りたかったのに…!!」


窓に張付きクルーザー眺め、ルフィはさめざめと悔し涙を流した。


「…もう少しあんたが落ち着きの有る大人になって、また此処に来る事が有ったら乗せてあげるわよ。」



船が通った後、ハーフェン橋はまたゆっくりと元に戻り、今度は左横のスワン橋が左右に開いて跳ね上った。

橋の横に在った信号が青に変り、通行を停めてた遮断機が上がると、一斉に人や車が道に流れる。

私達が乗ってたバスも橋を渡り、ホテルヨーロッパ前のレンブラント通りを走ってった。


「運河から海にって事は…ここの運河って海とつながってんのか?」


見えるトコまで橋を観送りながら、ルフィが聞いて来る。


「そうよ。そうやって常に水を入替えて、運河の水の澱みを防いでんだって。だから此処の運河に流れてんのは海水なの。」

「へーーー…って事は、なめたらしょっぱいんだな。」




パレスに続く坂道手前、終点スパーケンブルグでバスは停まった。


着いた時には約束の時刻を数分過ぎていた。


とはいえゾロの事、どうせ未だ寝てんじゃないかと思い、特に慌てずルフィと2人、フォレストパークまでの石段をゆっくりと上った。




泊ってるコテージの前まで行くと……予想を裏切りゾロは、起きて扉寄っ掛かり、地べたに足投げ出して待っていた。


近付いた瞬間、如何にも不機嫌そうに顔を上げ、じろりと睨まれる。


――あっっ、眉間に皺寄ってる……待たされて怒ってるわね、こりゃ。


「遅ェ。10分遅刻だぞ。」

「悪ィ悪ィ♪途中でバスが信号待ちしちまったんだよ♪」

「…随分また買い込んだな、ルフィ。バッグの中全部詰めらんねェんじゃねェのか?」

「任せろ!!気合で入るさ!!!」


両手に提げた土産袋を、ゾロに向って得意気に、高々と持上げて見せる。


「バッグに気合求めたってしょうがねェだろ。」

「ジーパンはもう乾いたの?」


座ってる傍まで近付き言う。

見下ろされるのを嫌ってか、腰に付いた土埃をパンと手で叩き、ゾロが立ち上がった。


「いや、未だ完全に乾いちゃいねェ。…ドライヤー当てたりしたんだけどな。」


それで地べた座って待ってたんじゃ、さぞ冷たかったろうに。


「内側にタオル入れて水吸わせた?」

「いや…してねェ。そのまんま干してた。」
「それじゃ乾く訳無いじゃない、馬鹿。」

「まァいいさ。それこそ後は気合で乾かす。その内体温で乾くだろ。」

「…私のセーター貸したげるから、腰ん所に巻いといたら?」

「濡らしちまっちゃ悪ィからいいって……っつか、さっきから何妙に優しいんだよ!?気持ち悪ィな!!
「着てて冷たくて寒いんじゃないかって心配してあげてんの!!悪い!?」



ふと黙り、顔を近付け、じぃーーっと見詰られる。


「ひょっとして……済まないとでも感じてんのか?」

「…す、済まないって何が…??」

「楽しかったか?ルフィと2人で観て廻って。」

「た、楽しかったけど?」

「おう!!楽しかったよなナミ!!2人乗りの自転車乗って、グルグル場内廻ってよ!!!」

「へェェ…そりゃあ、楽しく廻れて良かったな。」

「そ…そうだわね…。」


――だから何でそんな仏頂面して、人の顔凝視してくんのよっっ!?


「…ゾロが居なくてさびしがってはいたけどな、ナミは!」
「寂しがってなんかなかったわよっっ!!!」

「へェェェ…?」


意外そうな、でも少し嬉しそうに、一瞬にやけた。


……こいつでも置いてかれて、少しは寂しく感じてたのかしら?



「……良く眠れた?ゾロ。」

「…何でんな事聞いて来んだよ?」

「……別に……聞いちゃいけない事だった?」

「………そんな訳無ェだろ。」


気拙い……ひたすら気拙い沈黙が流れる。


「………あのさ……後4時間もしたら、帰っちゃうんだし…こっから先は、3人で廻ろう?」


――最後くらい、喧嘩しないで。


「……そういう約束だしな。その積りだ。」


顔を見合わせ、微笑んだ。


たったの3時間しか離れてなかったのに、凄く懐かしく感じた。




名残惜しくもチェックアウト。

荷物が多過ぎて纏め切れなかったので、フロントに電話して車で迎えに来て貰う事にした。



程無くして、チェックイン時と同じ、青いホテル車が到着。


迎えに来てくれたホテルスタッフの方に頼んで、コテージの前で3人、記念に写真を撮って貰う事にした。


3人横並びは不吉だっつうなら、縦並びはどうかとのルフィ案を採用し、入口前に立ってる緑の葉に赤い実付けた木の下で、3人縦に重なりポーズを取る。


1番下にゾロが屈んで、その肩の上に私が乗り、その私の肩の上乗って、船長帽被ったルフィが右手に短剣掲げ、ハイ、チーズ!


…まるでピサの斜塔よろしく傾き、グラグラ揺れてバランス取るのに大変だった。

カメラ構えたホテルスタッフの方が笑ってしまい、シャッター切るのに時間掛かるし。

ルフィは雄叫び上げて暴れるし、私は重いと文句を言うし、ゾロは照れて顔隠そうとするし。



崩れる寸前シャッターが切られ、何とか無事に記念撮影を終える事が出来た。






その36に続】





写真の説明~、泊ったコテージの前で。

緑の葉っぱに赤い実の生った木…南天に似た様なこの木の名前は何でしょか??(汗)

クリスマスシーズンに合ってて良いよなと思った訳でv
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『何度も廻り合う』その34

2006年02月15日 23時44分48秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





人気のお菓子屋さん、『タンテ・アニー』のイメージカラーは、濃い緑らしい。

看板から庇から包装用の袋までもが、その色で統一されている。

道で擦違った修学旅行生は、大抵この店の緑色した袋を提げていた。


ハウステンボスの土産店の中では知名度が随一、その理由は美味しいからっつうのも勿論だろうけど、営業の熱心さにも有るんじゃないかなァと思えた。

店の前で配ってるだけでなく、店内に陳列されてる殆どの菓子が、試食出来る様になっている。

ルフィは大喜びだ、端から端まで食って食って食い捲り…それでも店員さんはスマイル振り撒き、食べてる菓子の説明を熱心にしている。

カウンターを奥まで長く設けて、その下に商品を並べる、というのは上手いやり方だなと感心してしまった。

これならお客は手に取り悩む間も無く、目の前に居る店員さんに渡してしまい易い。

事実、ルフィもセールス・トークに乗せられ、既に4つも買わされていた。


「あんたね…人に借金してるってのに、よくそんなに買う余裕有るわね。」

「だってよォ~!どれもメチャ美味ェんだぜェ~!!このチョコバナナケーキなんか、バナナとチョコがぜつみょーにまっちんぐしてて最高に美味ェって!!」
「『ショコラーデ・バナーネン』です、お客様v」

「この…フェー…フェー…フェー??っつう、レアチーズケーキも、あんまチーズくさくなくてクリーミィでうっめェんだァ!!」
「『フェーセ・カースタート』です、お客様v」

「チョコ味のマドレーヌも美味かった!!1ヶづつ包んであっから、切り分ける手間が無ェのも良いよな!!」
「『ショコラーデ・ケイク』です、お客様v」

「そういやな!外でもらったあのチーズケーキは、カスケーキっつう名前らしいぞ!!あれも実に美味かったよな!!」
「『カース・ケイク』です、お客様v」

「……つまり、その4つを買わされた訳ね、あんた。」


私も姉のノジコと、ロビン先生に頼まれてた分、『カース・ケイク』を2ヶ買った。

それとウソップやサンジ君にあげる用に、個別包装されてる『ショコラーデ・ケイク(5ヶ入り)』も買う。

営業の為でも何でも、こうして試食が多く出来る様になってるのは有難いなァと思った。


店内の奥には狭いながら喫茶コーナーも設けられてて、種類は豊富でないけど生ケーキも食べられる様になっていた。




タンテ・アニーの隣も同じく土産食品を売る店で、と言うより、タンテ・アニーから左へ続く4店舗共全てそうみたいで。

どうやらこの通りの横並びは、『食』をテーマに配置されたらしい。

タンテ・アニー左隣の建物の壁に、大っきくチーズやワインの絵看板が掛かってるのには度肝を抜かれた。

それを見た途端、ルフィは嬉々としてまた中へ入ってく。

…目立つけど、正直、景観は悪くしてる気がするなァ。




チーズ専門店『フロマージュ・ダンジュ』で、ルフィはまた試食を重ねて行っていた。


その左隣には輸入食品や、オリジナルのハムやソーセージ等を売るグルメショップ、『タブリエ・ド・ロア』。

そこでもルフィは試食を重ねて行く。


その左隣にはワイン専門店『ディオニソス』。

そこでもルフィは試飲を……


少し間を挟んで左隣には、総合お菓子屋『ハンスブリンカー』。

そこでもルフィは…以下略。



兎に角横並んだ5店舗全てが飲食品を売っていて、しかも何処も試食もしくは試飲を充実させてるんじゃあ、ルフィにとってはパラダイス・ロード、抑えるのにえらく苦心した。




時間が無いからと何とか宥め、停めた自転車の前まで引き摺り戻す。


ハンドル前の篭は、ルフィの買い込んだ土産で、ぎっしりと埋まった。


「あんたこんな買って…漕いでくのに重くて大変になるでしょ!?私が漕ぐ訳じゃないけどさ!」

「俺だけじゃなく、ナミも買ってたじゃねェか。」

「私はお菓子3つしか買ってないもん!あんた、菓子だけじゃなく、ハムやウィンナーやチーズやキャンディーまで買ってたでしょ!」

「ナミだって、ワインまで買ってただろ?」


――ギクリとした……しっかり見られてたのね。


ワイン専門店『ディオニソス』で試飲してたオリジナル甘口ワイン。

爽やかなマスカットジュースみたいで、やや甘党の自分の好みに非常に合っていた。

量り売りもしてるって事だったけど……結局1瓶丸ごと買ってしまったのだ。


「………いいじゃない。もう送っちゃって、此処には無いんだから。」


既に送ってしまったのは、ルフィの荒っぽい運転で割られちゃ困ると考えたのと、ゾロに「高校生らしい健全な旅を目指す」と禁酒を強いた手前、知られて皮肉言われんのも嫌だなと思ったからっつか…。


「……ワイン買った事、ゾロには言わないでよね。」
「言わねェ言わねェ♪ぜっっってェ、言わねェ♪」
「その軽い言い方、すっごく当てにならないんだけど!!!」

「…所でこの建物は何なんだろうな?結構でっけェけど、ここも店か??」


停めてた壁の向うから、賑やかな音が漏れて来たのが気になったのか、尋ねて来る。


「『キッズファクトリー』よ。お子様用の小さな屋内遊園地みたいなものね。」
「よし!!!寄ってこう!!!」
「寄るなァァァーーーー!!!!!」


勇んで入口駆け込もうとするルフィの腕に縋り付いて止める。


「お子様用つったでしょ!?後15分位しか無いんだから!!そろそろ戻んなきゃ延滞金加算されちゃう!!!」
「え!?後15分なのか!?…大変だ!!早くお菓子の家行かねェと!!」
「って未だ行く気か!??」


……っつか初日に見たあの店の事、しっかり覚えてやがったのね、こいつ。


「心配すんな!!まだ15分も有んなら大丈夫だって!!」

「…もし延滞金付いたら、あんたに払って貰うからね!!」

「おう!!そんときゃ代りに払っといてくれ!!後でまとめて払う!!」
「3倍返しだかんね!?そんな借金重ねて、何時払ってくれる気よ!?」
「出世払いだ!!いつか必ず払う!!!」
「信用出来るかァァーーーー!!!!」



お土産いっぱい前に乗せ、自転車は走り出す。

落ちない様に車体に土産袋縛り付けてるとは言え、進む度にガタゴト揺れて、外へ飛び出して行きそうで怖かった。

ワインを送っておいて正解だったなと思った。




アチコチにクリスマスツリーが飾られた華やかな区画『ビネンスタッド』から、海に面して開けた区画『スパーケンブルグ』へと入ってく。

波は相変らず荒そうだけど、天気は大分回復してて、晴れ間も覗く様になっていた。


此処からブルーケレンに在るレンタサイクル屋に戻す事を考えると……3時間で場内をほぼ2周したって事になるのね。

やっぱり自転車は機動力が有って良いなァ。


オレンジ広場を突っ切り、デ・リーフデ号も横切り、自転車は一直線にお菓子の家『ヘクセンハウス』へと向った。




『ヘクセンハウス』は、グリム童話のお菓子の家をイメージした内装になってる、お菓子屋さんだった。

柱が林檎の生った木の様になってたり、ヘンゼルとグレーテルの像が在ったりで、メルヘンチックで結構可愛い。

…もっともルフィは、自分がイメージしてた程にはお菓子っぽくなくて、ちょっと落胆してた風ではあったけど。


ただ此処も、試食がかなり充実していた。

バウムクーヘンとクッキーの専門店で、殆どの商品が試食出来る様になっている。

風車や木靴の形したのや花の絵の描かれたクッキーは味も色々。

バターにチーズにアールグレイにチョコにローズマリーにレモンにミント、どれもサクサク、香りも良くて、とても美味しかった。


「うん!ふめェ!!…ひひょふなのに大きく割ってあって、ケチケチしてねェのも良いよな♪」


また出されてる全ての物をパクつき頬張りながら、ルフィは御機嫌で喋る。


「…ルフィ、せめてもうちょっと控え目に頂いたら?試食なんだから。」


もう1つの売物、バウムクーヘンも、種類色々置いてあった。

特に丸ごと蜜煮した林檎をバウムクーヘンに包んである『魔法のりんごバウムクーヘン』は、包装に赤いセロハンと白い発泡スチロールネットを使ってい、本当の林檎みたいに包んであってとっても可愛い。

この包装だけでも買いたくなるかも…ビビにあげたら喜ぶかな。


「ナミ!ナミ!こっちも見てみろ!お菓子の家も有るぞ!」


ルフィが手で招く、近寄って見ると、クッキーで可愛く細工された、とんがり屋根の小さなお菓子の家が並べられていた。


「あ!可ー愛ーいーvv買って行きたァーーい!!」
「な!?買って行きたくなんだろ!?…俺も買ってこうかなァ~~。」

「…でも止めた方が良いかもね。耐震性に問題有で送れないみたいだし、長時間持ったまま帰るにも難しそうだわ。」

「んあ?そ、そうかァ~~。んじゃ、このリンゴのバウムクーヘン買ってくかな。」


言うなりさっさとキャッシャーの方に持って行く。


「…ってちょっと待て!!あんただから買い過ぎだってば!!大体、そんな買ってく程、渡したい人間多いっつうの!?」

「何言ってんだ!?ほとんど自分のために買ってるに決まってるじゃねェか!!」
「それじゃお土産の意味無いでしょう!??」
「ナミは違うのか?」
「お土産ってのは主に、人様にあげる為に買うの!」


……そうね……やっぱ私も買ってっちゃおうかな。

ビビに林檎のバウムクーヘン、ノジコに木靴のクッキー、ロビン先生には風車のクッキーを買ってったげよか。

ウソップとサンジ君の分は、もう買ってあるから良いわよね。



暫くアレコレ手に取り考え込み、油断して目を離してしまったのがいけなかった。


気が付けば、ルフィの姿が店に無い。


焦って外に飛び出し前後左右見回す――自転車は未だ店の横に停めてあった。

……って事は、直ぐ側に居る筈!!


「ルゥゥゥフィ~~~~~!!!!!」

「おーー!!呼んだかァ~~~!!?」
「って直ぐそこかい!!!!?」


直ぐ隣の店ん中から声がして、かくんと拍子抜けしてしまった。




パイプを咥えた船長さんの人形が、入口前にシンボルとして立ってる店、『キャプテンショップ』。

ミュージアムスタッドに在った輸入雑貨屋『フィギュアヘッド』同様、店の周りには真鍮の鐘や舵輪と言った船装器具が雑然と置かれている。

ルフィが店奥から笑いながら、入口前の人形が被ってるのと似た様な、白地に黒い鍔帽被って出て来た。


「ルフィ!!!急に居なくなったら心配するじゃない!!!…って何よ、その偉そうな帽子は??」

「キャプテンハットだ!!カッコ良いだろ♪♪」
「またそんな無駄遣いしてっっ!!!」

「世界廻って芸観せた時に、お代入れてもらう用のぼうし買っとこうと思ってな♪本当は麦わらぼうしが有りゃ良かったんだけど……似合うかー?」
「似合うかじゃないっっ!!!いい年してそんな帽子買ってどうすん――」


――ぽすっと頭に、それを被せられた。


「うん!おめェも良く似合ってるぞ♪」


「…………は…?」


ぽんぽんと帽子ごと頭はたかれ、愉快そうに微笑まれて……あの……こゆ場合、どう反応したら良いの…?


ってゆうか、こいつは一体全体、何を考えてる訳??


……解んない、ゾロ以上に解んない。


「店ん中沢山面白ェもん有ったぞ!!俺が剣買ったトコと似たようなふんいきだ!!ちょっと入って観てこうぜ!!」
駄目!!!あんたがそんな店入ったら、また1時間近く篭りっきりになっちゃうじゃない!!!」


ぐいっと引張られる腕を、逆に引張り返す。

冗談じゃない、フィギュアヘッドの時の二の舞は御免だわ。


「時間が無いって言ったでしょ!?見てよ!!もう5分しか無いって――えええええっっ!!!!??


ルフィに指し示した腕時計の時刻を確認して、一気に心臓が凍り付く。


どどどうしよどうしよルフィ!!!延滞金が!!延滞金が付いちゃうっっ!!!もう駄目…!!5分って…ま、間に合わない~~~~!!!!

「……5分も有りゃ、余裕で着けると思うけどな。」


飄々とルフィは答える、落ち着き払った態度だ。


「…ほ…本当…!?本当に間に合う!?5分しか無いのに!?」

「おう!!大丈夫だ!!」


自信たっぷりに断言されて、根拠は無くても心強く感じてしまった。

笑顔の後ろに後光まで射して見えるのは気のせいか??


調子良いとは思うけど……こいつが居てくれて、本当に助かったと思った。




「フルスロットルで行くから、しっかり摑まってろよ!!」

「わ…解った!!」


サドルに跨り、言う通りに手を回して背中にしがみ付く。

飛ばされないよう、ルフィが買った帽子は、私が握り締めてく事にした。

篭に入ってる土産袋も全て、車体にしっかり結び付けてある。

漕ぐのに邪魔にならない様、自分の両足は後ろ側に曲げた。


――良し!!発進準備完了!!


「最短コース教えるから、宜しく頼むわよ!!キャプテン!!」

「任せろ!!!そいじゃあ……飛ばすぞォォ!!!!



ペダルが大きく踏み込まれる、車輪が回転し、一気に加速してった。


オレンジ広場をばびゅん!!!と爆走し、ハーフェン橋を越え、あっという間にビネンスタッドに到達する――その瞬間、車体がフワリと浮き上がった。


「次!!右か!?左か!?」
「…ひ、左!!運河に沿って良いって言うまで真直ぐ!!!」


――ガクン!!!と左に曲がった、シンゲル運河に沿って、並木道をどんどん直進してく。

道行く人達が驚いて振り返ってく、前から来る人は皆避けてく。

石畳の道をルフィはひたすらジャコジャコ音出し、物凄いスピードで立ち漕ぎしてく。

ガクンガクンガクンガクンと行きの高速船並に揺れた。

…か…風が顔に当って寒い…ってより痛いっっ。

ゴォォォ…!!!とか耳に聞えて怖いっっ。

もう、前だけしか、向いてる余裕無いし。



運河の十字路まで差し掛かった。

またルフィが方向尋ねて来る。

左のジョーカー橋を渡る様指示した。

越える瞬間、またフワリと車体が浮く。

篭の中のお土産も浮く…ってか既に外に飛び出しぶら下がってるんですけどっっ。


前からバスが来た――身が縮んだ!!

ルフィは全くスピード緩めず、左に横っ飛びして避ける。

避けたと同時に、自分の体が左へ投げ出されそうになって、必死でしがみ付いた。


あ…だ…駄目……車酔いしそう……

こいつひょっとして80キロ超位軽く出してない!?

ビッグ○ンダー○ウンテンもびっくり!?



アムステル運河に沿ってまた直進、そして爆走!


バスチオン橋を越えて――自転車は無事5分前に、レンタサイクル屋『フィッツ』に到着する事が出来た。




迎えてくれた店の小母さんが、すっかりオールバックに決まってしまった私とルフィの髪型を見て、声にならない程に爆笑してくれた…。






その35に続】




写真の説明~、ホテル・アムステルダム横の海沿いの道。


海の側まで下りられ、見渡せるv
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『何度も廻り合う』その33

2006年02月14日 23時00分33秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





チョコレートハウスを出て、裏通りの風車前に停めておいた自転車を取りに戻った。



「さて…後1時間ちょいしかないけど、どっか行きたいトコとか有る?」
「食いもん!!食いもん売ってる店に行きてェ!!!」


ハンドル握って振り返り、ルフィは即答だ。

その如何にも「らしい」要望に、思わず微笑してしまう。


「OK!じゃ、ナビすっから、なるたけ数多く廻れる様、頑張って漕いでよ!運転手!!」

「ラジャー!!!」


ペダルを漕ぎ漕ぎ走らせる、走行距離が伸びてく毎に加速して行く。

緑の葉に赤い実を付けた、天然のクリスマス・ツリーの様な並木を過ぎ、美しい花々と女神の像で飾られた噴水の在る広場を縦断してく。




クリスタル橋を渡り、日中でも閑静な区画、ミュージアムスタッドへ。

昨日行ったオルゴール博物館、『オルゴールファンタジア』は、今日は休館だった。

昨日行っといて良かった…まァ知ってたからこそ、昨日の内に行っといたんだけどね。


「なァーー、昨日行ったオルゴールの博物館前に在るこの銅像って…誰の像だ??」


銅像を前にして一旦停止、振り返ってルフィが尋ねて来る。

オルゴールファンタジア前の一角は、猫の額程の狭さではあるけど広場になってい、中世の格好した1体の銅像が、小さな花壇に取巻かれる様立たされていた。


「さーー…私も詳しくは知らないけど、この建物ってオランダのユトレヒト大学講堂をモデルにしてんだって。だからそこの創立者とか、或いは初代学校長の像とかじゃないかしらね?」

「へー!これってオランダの建物をモデルにして造ったのかー!」

「ハウステンボス場内に在る建物は全て、オランダに実在する歴史的建造物をモデルに、なるたけ忠実に再現してあるって…来る前に説明しといたじゃないのさ。」

「へー!全部にモデル有んのかー!そうする意味は解んねーけど、すげーなー!」


バレエシアター『クリスタル・ドリーム』、『柿右衛門ギャラリー』、ストリートオルガンの工房『ピーレメント・ボウ』、鐘の博物館『カロヨン・シンフォニカ』、シーボルトが長崎に居た当時の資料を展示する『シーボルト出島蘭館』…その名の通りミュージアムの建ち並んだ区画を抜け、バス停の在る橋を渡って、再び場内1番のショッピング街、ビネンスタッドに入ってった。




街に入って先ず目に付くのは、見目麗しいオフホワイトのゴシック建築『スタッドハウス』と、その横で高く聳え立つクリスマス・ツリー。

場内のほぼ中心、昼のイベント会場にもされるこのスタッドハウス周辺は、さっきのミュージアムスタッドに在る広場とは段違いに広々としてて、正しく『広場』と呼ぶに相応しく思えた。


「…って事は、あの教会のモデルになった建物も、ちゃんとオランダに在るんだな?」

「そうよ。今では専ら結婚式を挙げる為の教会として使用されてるけど、元はゴーダの市役所『スタッドハウス』をモデルにして建てたんだって。」


館内は硝子の美術館『ギヤマン・ミュージアム』にもなってるスタッドハウス。

正面の鮮やかな花時計前では、今日も観光客が入替り立替り、記念撮影して行く。


…私達も来た最初の日から、写真を撮ったもんなァ。

3人の真ん中に写った人間は早死にするジンクスが有るって言ったら、ゾロが真ん中に立たされて。

ゾロ、凄く嫌そうな顔してたっけ……もう随分前に有った事の様な気がする。


「ナミ!ナミ!あそこ見ろ!!でっけーくつが置いてあっぞ!!」


花時計を見詰て懐かしく思い出してた所で、自転車が急発進する。

びっくりして正面を向き、ルフィの指す方向を見れば、確かにそこには、巨人用かと思える程にビッグサイズな黄色い靴が、ドカンと店先に置かれていた。

だけじゃなく、店の周り中カラフルに塗られた木靴がアチコチ並べられてるし、壁面にまでゴチャゴチャ吊るされてる。


「すっげーよなー!!こんなでっけーくつ、誰がはけんだろうなー!?」

「誰も履けやしないわよ、馬ァ鹿!唯のディスプレーだってば!此処『ホーランドハウス』は、木靴なんかのオランダ民芸品を売ってる店だから、そのシンボルとして置かれてるんでしょ。」

「へー、そんな店が在ったのかァ。」

「何言ってんの!最初の日に軽ぅく観て行ったじゃない!」

「へ?観たっけか??…う~~ん…いまいち覚えてねェなァ~~。」

「……まァ…あの時のあんたは、この直ぐ横の回転木馬に心奪われてたからね。」


場内の中心ビネンスタッドは、数多くの土産店が建ち並び構成されている。

中でも最も多彩な店が並ぶ専門店街は、小さな子供用プレイランド『キッズ・ファクトリー』、テント市場『ワールド・バザール』、そしてこの回転木馬『カルーセル』を、三角形に取り囲む風になっていた。


「そーそー!この回転木馬!良いよな~~~、楽しそうだ♪」

「楽しそうったって…小っさい子供用じゃないのさ。」


在り来りの、白馬や馬車に乗ってクルクルと回る回転木馬は、未だ昼前という事からか、小さい子供を連れた家族が数組のみ乗っていて、はっきし言ってガラガラだった。


「ガキ用でも楽しけりゃ良いじゃねェか!これ、パスポートで乗れんだろ?乗ろうぜェ♪」
「い・や!!乗りたきゃ1人で乗んなさいよ!!何なら写真撮ってビビに即写メしたげるわ!!」
「いーからいーから♪♪恥の旅はかき捨てっつうじゃんか♪♪」
「それ言うなら『旅の恥はかき捨て』よ!!兎に角!!い~~や~~~!!!!


嫌だっつってるのに、ニコニコ笑顔で無理矢理抱えられて乗せられた。

年甲斐も無く、派手な鞍付けた白馬の上に、2人並んで跨って……前に乗ってた5歳位の女の子の、好奇な視線が痛かった。


ノスタルジックなオルガンのメロディーに合せて、馬車は上下に揺れながらクルクル回る。

心棒に摑まって周囲を見渡す…景色が流れて、回って行く。

ゆっくり、ゆっくり、風が心地良い。

結構楽しい…と言うより、懐かしかった。


ルフィと…ゾロと…3人でよく乗って…遊んだっけ。

前の女の子に、幼い頃の自分が重なって見えた。

その右には幼い頃のルフィ、そして左にはゾロ。



ああそうだ、近所の遊園地に、家族に連れられて、3人で遊びに行って……そしたら、必ず乗ってたんだ。


白馬の数が少なくて、けど3人共それに乗りたがって…1頭しか残ってなかった白馬に乗るのを…どうやって決めたんだっけ?

最初はジャンケンだったか……その前に、ゾロが降りたんだ。

そんで私とルフィでジャンケンして…私が勝って。

けどルフィは諦め付かなくて…2人摑み合いの喧嘩になっちゃって。

そしたらゾロが……ルフィ殴って止めたんだ。


「負けたんだろ?じゃあ、お前が降りろ」って――



……随分、私は、2人に頼って来たんだと思う。

ルフィに引張られて、後ろからゾロが付いて来てくれて。


春が来て、2人が居なくなったら……私は、どうするんだろう?




約3分程回転し、木馬はゆっくりと動きを停止した。


ルフィと2人降りて、ホーランドハウス前に停めておいた自転車にまた跨る。


「なつかしかったなーー♪俺とゾロとナミとで、よく乗って遊んだよな♪」

「……そうだね。」

「もっと長く乗ってたかったよなァ~~~、1時間くれェよォ~~~。」

「そんなに長く乗ってたら、目が回って倒れちゃうわよ。…それに、1回の時間が長いと、後の子供がその分待たされて、可哀想じゃない。」

「覚えてるか?回転木馬の1頭しか残ってなかった白馬取り合って、お前とゾロ、よくケンカしてたよなァ~!」
違うわよ!!!あんたと私が取り合って喧嘩してたんでしょが!!!記憶を改竄すな!!!」

「んあ?………そうだったっけか??」

「あんた達、どぉぉも私とゾロは喧嘩ばっかしてるってイメージで見てるみたいだけど…実際には喧嘩まで発展するのは稀なんだからね!!」


私とゾロは、考え方が丁度正反対なせいか、よく言合いはする。

だけどお互い、執念深い性分じゃないから、あっさりと終らせて、後に遺恨も残さない。

第一、大抵の場合、喧嘩になる前に、ゾロが引いてくれた。


「事実、この旅行中、ずっとしてるじゃねェか。」
「だからむしろ今の状態のが珍しいんだってば!!!……大体ねー!あんたとゾロだってよく喧嘩してたでしょォ!?それこそ殴り合いの大喧嘩まで発展してさ!!」

「俺とゾロのケンカと、ゾロとナミとのケンカは違う!俺とゾロがケンカすんのは、どっちが上か決める為にしてんだ!けどゾロとナミは……何でケンカしてんだ?」


いきなり真剣な眼差しを向けられ、少し怯んだ。


「それは……だから……考え方の違いからというか……」


何故喧嘩すんのか?――改めて聞かれると、自分でも理由が解らず、戸惑ってしまう。


「ガキの頃から不思議だった。でも今は俺、何となく解る。」

「……解るって…?私達が喧嘩する理由が…?」


「気付くと変っちまうかもしんねェから、言ってやんねェけどな。」


にぃっっと音が聞えて来る様な、普段通りの能天気な笑み。

けれども黒目勝ちの瞳は、怖い位に真剣で。

前に向き直って、ゆっくりペダルを漕ぎ出す。


「……気付く?変る?誰が??何が??………全然解んない。あんた、今日おかしいわよ、ルフィ!」

「そうか~~~?俺はいつもと変んねェつもりだけどなァ~~~。」
「おかしい!!!すっごくおかしいわよ!!ずぅっと!!絶対!!」


背後から怒鳴っても馬耳東風、笑いながら通りを直進してく。

…駄目だこりゃ…こいつがこうゆう態度になったら、蹴っても殴っても相手してくんない。

解せなくはあったけど、追求を諦め、黙って放っとく事にした。




中世のオランダの街並みが続いてる様な『ルーベンス通り』。

並んでるお店の殆どは専門店、キャラグッズに香水にチューリップ染の布製品にマグカップに硝子製品と…バラエティ溢れるお土産が並んでて、本当だったらアチコチゆっくり観て行きたかった。

けどルフィは止らない、回転木馬を横切り、ワールド・バザールも横切り、ひたすら直進してく。



前を見て、何処を目指してるのか解った。

2階の窓から人形が顔を出して、鐘を鳴らしてるお店。

店の前では店員さんが1人、道行く人に、提げた篭から何かを出して配ってる。


「美味そうなにおいが向うからしてる!!なァナミ!!あれお菓子だろ!?寄ってみようぜ!!」

………まったく、鼻が利くんだから。

「『タンテ・アニー』、アニーおばさんの美味しいチーズケーキを売ってる店だって!外の県にまで名が知られてる店よ!…良いわ!私も丁度此処でお土産買って来る様、頼まれてたから!!」



店の前の建物、キッズ・ファクトリーの壁に寄せる様、自転車を停める。

降りて早速、ルフィは店員さんから、配ってた物を貰いに行った。

若い女性の店員さんが配っていたのは、チーズケーキを賽の目状に細かく切った物だった。


一口で食べると、ゴーダチーズをしっかりと焼き込んだ生地の中に、オレンジの風味が効いてて、とっても美味しく感じられた。

修学旅行生の口コミで、全国に人気が広がって行ったってのも、理解出来るわね。


「うんめェェェ~~~~!!!すんげェェうんめェェェ~~~~!!!――もっともらえねェかな?」
「止めて、見っとも無いから。」


真顔で相談して来るルフィにきっぱりと告げる。


「早く店入ろうぜ!!他にもししょくさせてもらえっかもしんねェ!!」


……まったくこいつは……悩みが無くてつくづく羨ましいというか……。


「……あのさァ……ルフィは…ゾロが一緒でなくて、寂しくない訳…?」


店に入り掛けてたルフィの足が止る。

振り向いた顔には、「?」が幾つも浮んでた。

いきなり何言い出すんだとばかりに首を傾げてる。


「や、ちっとも!…どうせすぐ、昼になったら会うんだし。」


「卒業したら?…春が来て、別れ別れになっちゃっても?」

「そんでも、2度と会えなくなるワケじゃねェだろ?」


――2度と会えなくなるかもしんないじゃないっっ。


「あんたそれでも親友かっっ!!?」

「ナミは、さびしいのか?」

「…………寂しくなんか、ないわよっっ。」

「………ふーーん……。」


暫し2人、無言で顔を見合わせてた。

けど直ぐにルフィは、くるりと180°向きを変えて、店ん中に駆け込んでった…。




……ウソップとサンジ君まで離れて行かなくて、心から良かったと思う。


2人まで離れて行っちゃってたら……私はきっと、泣き出してただろうから。





その34に続】





写真の説明~、ストリートオルガン工房『ピーレメント・ボウ』の前に置かれた、アンティークなストリートオルガン。

日に何度か演奏して観せてくれたりする。

観られたらラッキーv
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信濃への旅その2

2006年02月13日 19時25分04秒 | 旅の覚書
…っつう訳で、しょうがないんで(?)月曜毎に前回長野旅行について書いてきます。(苦笑)


前回何処まで書いたっけ…??ああ、宿表門まで辿り着いた所か……ちっとも進んどりゃせんがな。(汗)

んでまぁ、宮澤賢治ちっくコート着たお迎えの人に案内して貰って、雪降り積もった庭抜け橋渡り、宿の玄関に入って行きました。

庭が広いんですよ…この宿…散策道が在って、山向うまで登って行ける。(汗)
中庭に仙仁川なる川も流れててね…凄いよ、江戸時代の古井戸まで在るらしいよ。
何か上杉謙信縁の御先祖様が開いた湯宿らしいっすよ、ほへ~~。

細かい話になりますが、表門~橋上には足滑らせない様に筵が敷かれておりました。
ってもツルツル滑りそうだったけどね。(笑)


玄関には秘湯に行った事有る方ならお馴染み、「秘湯を守る宿」なるでっかい提灯がぶら下っておりました。
全国の秘湯を守る協会ってぇのが在りまして、それに入会してる宿には、漏れなくこの提灯が飾ってあるのな~。

先ずはラウンジに通されて抹茶&茶菓子のサービス、その間に友人と私の荷物は部屋に運んで頂けました。
茶菓子は上品な餡子玉っつか…下に薄くスライスした金柑と葛…だったか?敷いて置いてあったの。
美味しかったですよv

ラウンジ、5年前(だったか…?)に来た時とは大分感じが変わってましたねー。
昔は和風で民芸調、今は欧風アンティークな雰囲気がそれにプラスされたよな…ホテルヨーロッパに近い感じで、英国調アンティークソファが置かれてました。
で、火鉢に懐かしい感じの薬缶がかかってて、しゅんしゅん湯気出してました。
改装したんだそうで…3月にはまた本館も大規模に改装予定だそうな。
此処ラウンジは書斎にもなってて、本が沢山並んでたのが良かったな。
各テーブルには愛らしい花1輪、それに文豪の著した詩文が1つづつ、何か詩文が好きな宿だったみたいで、兎に角あちこちに詩が書いてあった。(笑)


一息吐いた所で部屋に案内して頂く事に。
廊下通る間、風呂や食事場所等の、館内の御案内を受ける。
風呂は名物洞窟風呂だけでなく、貸切風呂に小さな家族風呂なんてのも在りますよって事でした。
ランプが灯されてる入り組んだ廊下の端々に、昔風の家具とか民芸品とか絵が飾られてたのが趣深く。


部屋通されて直ぐに、濃いピンクのチューリップが1輪、入口に飾ってあったのが見えまして…春だね、もう直ぐと…。
で、入口の直ぐ正面には何と流しが置かれてましたよ~贅沢!
…けどこの流しについては…正直私らより、仲居さんが来てお茶とかサービスし易い様に~っつう意味のが大きかったんではと…流しなんて、特に使わなかったし。(笑)
便利だな~と思ったのは流し下に有った冷蔵庫ね。
通常の宿とかで良く有る有料ドリンクが入った物とは別に、も1台何も入ってない冷蔵庫(←いや硝子ポットに入った冷たい「柿の葉茶」とグラスが中に有りましたが…)が用意されてたのな。
好きに使って下さいよ、と…こゆサービスは嬉しいv
流しの左には洗面所とトイレ…洗面所の鏡が三面鏡みたくなってたのも心憎い気配り。

部屋は先ず畳の敷かれた和室に繋がってまして、テーブルの上にまた茶菓子とそして漬物が置かれてました。
今度の茶菓子はピーナッツヌガーっぽいヤツでした。
漬物は…大根??タクアン???…後で正体解りましたが。

んで一段下がって、窓際がちっちゃく洋間になってて、英国調のソファが2脚、テーブルが1脚置かれてました。
このテーブルの上にもやっぱり花が1輪活けてあったのですよ。
懐かし~い感じの書斎机も置かれてました。

窓を開けるとウッドテラスが在ってね…椅子が2脚置かれてました…すっかり外は雨から雪に変ってて、しんしんと降り積もる雪が…雪景色がそりゃもう美しいのなんの!
雪は大変だけど、真っ白で綺麗で、憧れるな~と思った。(←雪の大変さを知らない都会人の感覚)

此処で、案内して下さった仲居さんがお茶淹れて下さいました。
お茶は煎茶ほうじ茶紅茶珈琲、冷蔵庫には冷たい柿の葉茶等御座いますよ~との事。
取敢えずはほうじ茶で一服一服。
お茶啜りながら夕食時間について伺われる。
夜6時~8時位までの間なら、自由にどうぞとの事。

…此処で問題が有りまして…実は洞窟風呂って混浴なんですよ。
や、体隠せる様に湯浴み服とか置いて有るんですがね…。
それでもいや~ん恥かしい~ってな女性の為に、女性専用バスタイムなる時間が設定してある。
別に自分が見られたりする事にはあんま抵抗無いんすが…やっぱお見苦しい物見せるのも悪いしね、こっちもあんまお見苦しい物は見たかない。(笑)
5年前に入った時は、混浴時間でも頑張って入りに行ったんすよ…前位隠して下さってるに違いない、向うさんだって恥かしいのはおんなじよと思って。

……おっさん達、逃げも隠れもしねぇ。(苦笑)

そんな訳でやっぱ入るなら女性専用時間に入りたいよねと…で、女性専用時間って夜8:30~9:30だって……夕食は最低でも2時間かけてゆっくり食べて頂きますよと……

……じゃ、6時~食うしか選択の余地無いじゃん。(汗)

そんな訳で6時~にして貰いました。


仲居さんが一通りの説明終えて下がられてから、宿内探検に出ようと…また1つ有難かったのが、部屋の鍵が2つ有った事。
お陰で1人1キー、助かりました…あ、室内の鍵は流行のオートロックではなかったです。


探検に出て…私らの部屋の1階上が露天風呂付貸切風呂となってまして。
この記事上の写真がそうです、足を十分伸ばせる石の内風呂から、上がって窓出て露天に繋がってまして、窓からは見事な樹氷林が見渡せるっつう。
綺麗でしたよ~、予約入れる必要無く、好きな時間に来て、中から鍵掛けて入る様になってました。

…ただですね…人気が凄過ぎて中々入れんかった。(汗)
これは2日目での話ですが、この貸切風呂の前には第2書斎が在りまして、しょうがないから着替え持ってそこで本読んで待機してて、空いたとこで即駆け付け漸く入れたっつう。(汗)

皆、露天風呂が好きなんだよね、つまりは。(笑)

この貸切風呂&第2書斎の在るフロアが館内最上階みたいでした。
で、そこから散策道に出られる様なってたんすがね~。
生憎の雪でね…結局今回この散策道は行けませんでした。(泣)
や、木の手摺や石で拵えてある階段がツルツル滑って危ねぇ危ねぇ!!
過ごした3日の内、この道に足跡が付いてたって事は全く有りませんでした…そりゃねぇ…。


私らの部屋から1階下った所には、名物洞窟風呂が。
も1階下ると最初に通されたラウンジ、それに売店、お食事処、第一書斎、家族風呂、喫茶所なんかも在りましたねー。
…行ってから間が空いてるんで、今一自分の記憶に自信が持てませんが…間違ってたらすんません。(汗)

この宿チェックイン時間が昼1時なんですよ。
そのせいか早くから来て宿探索して歩いたり、お茶飲んでたり、温泉入ったりなお客が多い、兎に角えらく人出を見掛けましたです、平日だってのに。


さてさて、2人で適当に遊んで回ってる内に6時になりました。
夕食は館内で1番下の階(多分)、料亭『深仙庵』にて…通された畳敷きの個室には、赤々と炭の燃える火鉢が置かれてました。
テーブルの上にはやっぱり花1輪、そして火の灯してある蝋燭。
食前酒は竹筒に容れられた濁り酒。
席の前に置かれてた本日の『お献立』――


先附   ごま豆腐
前菜   梅見月のおもてなし
向附   山里のお造り
焼物   姫ますの塩焼き
お吸物  鯉の昆布巻き
強肴   信州牛の石焼ステーキ、又は杉の香焼
箸休め  熟し柿ゼリー
蒸し物  ヤーコンの包み蒸し
煮物替り 松代芋とかぶの梅あん
御飯   
香の物
デザート


――「どれも美味しかったですわよv」で終わらせちゃ拙いっすかね?(笑)

…行ってから大分間が空いたもんで、正直忘れて来てるんだ。(苦笑)

いやでも本当どれも美味しかった!!
器も変に気取り無く、如何にも山里の料理~って感じで好感持てました。
上品な薄味でしてねー、ごま豆腐は濃厚なプリンの様に。(←センス無い表現で御免なさい…)

お造り…刺身ですが、鮪なんて出さない、そりゃそうだ、山なんだから。(笑)
鯉のアライに姫ます、刺身蒟蒻、で御座いました。
酢味噌と生姜醤油の2種類で戴きました。

姫ますは豪快に、串(←杉の枝を削って作られた物と思しき)に刺して塩焼きされた物を持って来て下さいました。
豪快な料理でありながら、ちゃんと腸が取ってあったのがねー…細かいなと。

強肴は2種類有る内から選んでって事でした。
私は石焼ステーキ、友人は杉の香焼…杉の香焼ってのは、川魚や肉や野菜を杉の葉っぱで包み燻し焼きして甘辛い信州味噌で味付け~な料理かと。(←記憶薄れてます、すんません)
どっちも美味しかったっすv(←お互いに食べ合った)
石焼ステーキねー、肉が柔らかいのなんのってvv
杉の香焼も良い匂いで美味しかったv

箸休めの柿ゼリー、友人が殊更気に入ってたメニューです。
中間デザートでね…確かに美味しかった!
本当~に熟れた柿そのまんまの味わいでねー。
何とかお替り出来んもんかと、本気で悩んでたよ、友人。(笑)(←「アンコール!」言ってみたらどうかと提案してみたが)

で、蒸し物の『ヤーコン』…これ、何かと言うと、アンデス原産の芋らしいです。
何か優れた整腸作用が有るとかで、『あるある事典』っつう番組でも取上げられて注目浴びてんですよーと。
部屋に置かれてた漬物も、これだったらしい……変ったタクアンじゃなかったのね。(汗)
いやびっくりしたんですけどね、蒸すと芋なんすよ…サトイモっつかそんな食感なの。
実は献立読んだ時点で、「ヤーコンって何??」と気になったもんで聞いてみたんですよ。
したら丸ごと焼いた物わざわざ持って来て、「これがヤーコンですよ」と説明して下さってねー…や~~、聞いてみるもんだね。(笑)
芋でしたよ、正しく…皮や中身が白っぽい焼芋でした。
感心してじーっと見てたら「何ならスライスして来ますから、生で少し食べてみますか?」と…。
生で食べたら林檎みたいなシャキシャキ食感でした、味の薄い。
不味くはなかったっす…本当、聞いてみるもんだ。(笑)

御飯まで来て、「宜しければ御飯以外にも、蕎麦やうどんを選べますよ」なんて言われたんで、私は蕎麦(←せっかく長野来たんだし~と)、友人は御飯にしました。
御飯には澄し汁付でした。
蕎麦、美味しかったですvツルツル喉越し良かったv

デザートは栗のアイスにフルーツ…須坂の近くに在る小布施は、栗の産地として古くから有名な古都なのですよ。
以前来た時は、その小布施に在る、北斎美術館にも寄りやした。
旧い街並が残されてて、観光するにはお勧めですよ、小布施は。

食後の珈琲まで美味しく戴きましたv…しかし満腹、正直きつかった…。(汗)


なんですけどね~、食後直ぐ入ったら体に悪い事承知で、無理くり風呂行きました。
だって……食べ終る頃には9時近かったんだもの。(卓上の蝋燭が…蝋燭が燃え尽きてたよ…)
2時間なんてものじゃない、3時間もかかったよ。(汗)
慌てて部屋に着替え取りに戻りましたとも!


戻った部屋にはすっかり布団が敷かれておりました。

……どうして日本の旅館って、こう、客の居ない隙に布団を敷いたり退かしたりする習慣(?)が有るのか…?
別に嫌じゃないけど…何か不思議。

テーブル上にはお夜食と(またもや)漬物が用意してありました……済みません、今日はもう食えません。(涙)
可愛いプチサイズのおにぎりとフルーツ…林檎の皮が梅の花形に刳り貫かれてて、また可愛いんだ~。
友人はそれでも後でしっかり食べました…偉いよ。(汗)
「だってお前…今日食わないで何時食うんだよ?」←明日って日が有るじゃないか。
…自分の分の夜食は、冷蔵庫に入れて次の日の昼に回しました。(あ、その為でも有るのか?冷蔵庫??)


メインの洞窟風呂です。
写真は撮れなかったんすけどね…冷泉とは言え天然のサウナですから。
一旦外出まして別棟入って、脱衣所から中に入ると、先ず普通の内風呂が。
この内風呂は温度が高い…どうやら洞窟風呂とは別に掘り出し、加温してるらしいです。
全部冷泉だと寒いからねー、流石に。
内風呂は24時間ずっと女風呂なんですよ、所謂、兼洗い場です故。

…が、洗い場の右横に…扉が付いてる。
これが洞窟風呂への入口になってまして、鍵なんか掛けておらず、中心の洞窟風呂からまんま、そのまた横の男風呂とも繋がっている。

或る意味これはスリル有る構造ってか…以前此処泊った時ね…早朝私1人で内風呂入ってた時の話なんですが。
何せ早い時間だったから…他に誰も居らんかった。
だけど途中、老婦人がお1人、入って来ましてね。
暫く洗い場並んで、体流してたんすよ。

したら扉の向うから声かかって来ましてねー。
どうやらこの婦人の旦那さんだったらしく……扉開けて内風呂まで入って来ちゃったんですよ!!!

洗い場の陰から手ぇ振って、「他にも客居ますよー」と意思表示しましたら、直ぐに出てって下さいましたが。

――本っっ気で焦りましたね!!(焦笑)

朝から奥さんと仲良くしっぽり温泉入る気だったんでしょが…旦那様……済みませんね~邪魔しちゃって。(苦笑)
でも私以外に他にも女性客居たら、大変な騒ぎになってましたよ!!(笑)
未だこの時は貸切風呂無くてねー、ひょっとしたら何回かそゆ事件が起きたりして、そいった件も考慮して造る事にしたのかもと、ね。(どうなんでしょね?)


えーーと…話ズレましたね。(汗)

そんな訳で洞窟風呂の方は混浴、なので恥かしがり屋の女性の為に、一応体覆う為の湯浴み着が用意されてまする。
バスタオルみたいにくるりんと体に巻いて、スナップで止めてずり落ちない様になってる。
…良く考えたもんだ…もっともどうやって着たら良いか、悩んでる方も結構いらっしゃったが。(笑)

この洞窟風呂の湯温は体温位しかなくて(←冬はやっぱ少し加温してあるらしい)、入ってみると温水プールに似た感じです。
むしろ洞窟になってる事考えると、この温度で良かったと思う。
でないと上せて入ってられない。

中で道が2つに分かれてて、左は直ぐ行き止まりになってるんだけど、右は段々と滝になってて30m位…有るらしい。
下は砂利が敷かれてて、野趣溢れてるったらない。

轟々と下に落ちてく湯(水か?)の滝登ってって、1番上まで浸かりに行きました。

周りの照明は裸電球のみ…はっきり言って仄暗い。

何か電球に被せてる傘に、お札みたいなもんが貼り付いてるんすけど…。

いや…実はこの時、私しか入ってなくて…友人は流石にきついから言うて、少し休んでから来るって事だったのね。

30分近く、1人で居ましたよ…正直怖かった。(汗)

八墓村に出て来る鍾乳洞みたく、岩肌の露出した中でさ…岩から噴出す冷泉の音が、ひたすら轟々と鳴っててねぇ…。

透明な湯の中で足動かすと、砂利がふわぁっ…て漂い、揺らめいてねぇ…。


……あんま迫力有る環境だった故、徐々に下って行ったっつう…友人や他のお客が来る頃には、私、1番下まで下りてました。(照笑)


友人が来た時にはもう、女性専用時間終る頃だったんで、残念ながら友人はちょっと浸かるだけでした。

で、時間いっぱいまで2人して浸かってて、〆に内風呂に浸かって…私は先に上がって。


内風呂の外には池が在ったんですが…脱衣所から見てたら、この池をどうも友人は露天風呂だと勘違いしたみたいで。(笑)
わざわざ窓開けて、雪の降り積もった庭出て、池の水触って確かめてました。

…友人曰く、触る前に湯気出てなくて気付いたんだとは言ってましたがねー…前に泊った時にも同様の勘違いしでかしたんすよ、こいつ。(大笑)
まぁ確認もしないで、漢らしくどっぽんと浸かったりする性分でなくて幸いだったっつか。(←解ってて何も言わずに脱衣所から見守ってた自分も相当性格アレですが)(笑)

尚、風呂にいらっしゃった他のお客様方も、友人のこの行動を見て、次々と後に続いて行ったそうな…。


風呂から出た所にはお休み処が在って、蕎麦茶のサービスがしてありました。
お休み処の火鉢に当りながら、2人で暫く蕎麦茶啜ってましたよ。


体温位しか無いのに、湯から出た後暫く経っても、体はポカポカ。
温泉(冷泉)の力って凄いよな~と感心しつつ、寝床に就きましたとさ。



そんじゃ次回はまた月曜に~。
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バトンを1振り♪ あ~ら不思議♪(←ララベル)

2006年02月12日 23時21分50秒 | ただいまおかえり(雑記)
ワンピ仲間の真牙さんから『暴露バトン』を頂きました。
真牙さん、有難う御座いました♪
そして、何時もお世話になっております。(礼)
『暴露』言われると、恥しい答えたくない事ばっか浮ぶのは何故だろう??(苦笑)
まぁ、そんな中で、ま~だ答えられそうな事をさらっと、さらっと。(笑)


1・実は――がいる。 
 
此処で『霊』が居るとか何とか言えたら、中々アレで面白いんすがね~。
残念!父親母親弟、田舎に母方の婆ちゃん、後はあんま親交深くない(←父方はね)親戚御一同しか居ません。
 
 
2・実は――やらかした。 
 
36歳過ぎて漸く結婚した叔母の為のお披露目カラオケパーティで、私、事も有ろうに『三年目の浮気』を歌ってしまいました!!(←本当)
その叔母…旦那さんとの長きに渡る別居生活の果てに、今年目出度く離婚となりそうで御座います。(叔母は今、田舎の実家に戻ってます…)
御免、叔母さん…悪気は無かったんだ…。(←有ったら大問題だよ)
 
 
3・実は――知っている。 
 
……知らない事なら山程有るんですがねー…。(悩)
あ、ウルトラセブンの正体、私、知ってます!
デビルマンの正体も知ってます!
――でも言えない。
何も~言えな~い~♪ 話しちゃい~けな~い~♪
デビルマン~がだ~れ~なの~か~♪
…ってな訳で、言えません。(笑)
少年名探偵、江戸川コナンの正体も実は知ってますが、そいつも教えちゃやれねぇなぁ~!!(笑)
 
4・実は――でした。 
 
実は虚弱体質でした。(恥笑)
アトピー性皮膚炎に鼻炎に気管支喘息、かてて加えて生まれつき足が悪く、子供ん時2度手術しまして…腹から腿までばっさり傷跡が残ってます。
んでその名残で少しびっこ引いてんだ。
私が妙に人見知りしてあんま会いたがらないのはこれも遠因だったりします。
…くだらないお思いでしょうが、やっぱさ、人にあんま見られたくないんよ、見栄っ張りだから。(苦笑)
あ、でも今は元気です!
親がね、だからって甘えさせちゃ拙い言うて、プールやらキャンプやらひたすら参加させて、食べ物も変に制限しなかったお陰で、むしろ今は普通人より元気なんですよ。(笑) 
ただ、急激な運動は今でも控えさせられてます(心肺機能がね…)…だから、正直、ハウステンボスでのカヌーは…出来ないと思うな。
急激じゃないから大丈夫思っても、も~し急に倒れて人様に迷惑懸けたら~思うと出来ない…御免なさい。(っつか最初から言えば良かったんですがね…格好付けずに正直に)(苦笑)

 
5・実は――が好き。 
 
女の子が好きでした。
え?そんなん知ってる??(笑)
いやね…子供の頃からセクシーな女の子が好きでして。
他の女の子達が「キティちゃん大好き~v」言うてた中、自分は「ベティちゃん大好き~v」言うてまして…1字違いでも偉い違い。(苦笑)
本気で女の子の唇が気になったりねー。(恥笑)
先生に心配されて、親に相談なんて事も有った。
先生、親にそんな相談せんで下さいよ。(苦笑)
だから高橋留美子氏が漫画で「女だって女の子が好き」ってのを、一般にまで堂々と言って下さったのは…心強く思ったんすよ、うん。(笑)
 
 
6・実は――が苦手。 
 
閉所恐怖症です。
2時間以上(←2時間でも実はきついけど)長くじっとしてられない…発狂しそうになる。
高所恐怖症ではないんだけど…これのお陰で海外旅行が出来ない。(泣)
後マフラーとかネックレスとか…首に巻くのが苦手…何かトラウマ有るんだろか??(謎)
 
 
7・実は――した事ある。 
 
え~と、児童館の先生のアルバイトしてた事有ります。
や、何か子供好きだと周りに勝手に思われて、勝手に応募させられたの。(汗)
特に好きでもなく、さりとて嫌いでもなく…なんすけどね。(苦笑)
漫画やアニメが好きで、ガキと同レベルの話題で盛り上がれたんで、それなりに楽しかったっすが。(「馬鹿!おめぇ、グランゾートの召喚呪文は違うだろ!!」とか指導して…)(笑)
最後の日に子供達が書いた色紙プレゼントして貰ったんですが…見事に「また漫画話しような!!」とかしか書いてねぇんだわ!!(爆笑)
いや~自分の勤務態度が良く解るエピソードっすねv
 
 
8・実は――が欲しい。 
 
金!!金!!ギブミーマネー!!!
当れジャンボ宝くじ!!!
そしてワッセナーを1戸購入だ!!
余った金はハウステンボス側に寄付するって事で!!(←心温まる話ですねv)(←っつかどうせなら『足長おじさん』に寄付しなさい) 

 
9・実は――持ってる。 
 
エロ本…??
他に思い付かなかったよ…。(苦笑)
いや、持ってますよ、うる星とかワンピのエロ同人誌。(恥笑)
実写は駄目、照れるから…あくまで二次コン。(苦笑)
 
 
10・暴露させたい7人を指名。 
 
あ~~~、バトンがバトンだからな~~~。(笑)
誰か「是非暴露したい!!」って方居られます??
いらっしゃったらコメント欄ででも名乗って下さいませ。
お渡し致しますんでv


っつう訳で何となくハイに、やけっぱちっくに答えさせて頂きましたv
結構楽しかったよー♪
真牙さん、楽しいバトンを本当に有難う御座いました!(笑) 
 
 
【おまけ:本日の食事】

朝食…カップ蕎麦
昼食…袋ラーメン

評価…ちゃんと栄養の有る食事を摂りましょう。(←いやまったく) 
 
コメント (2)
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魔法のバトンをくるりと振れば♪(←チャッピー)

2006年02月11日 22時35分06秒 | ただいまおかえり(雑記)
ワンピ仲間でプロ野球好き仲間(と勝手に仲間にする…)のふふさんから【変換バトン】を頂きました。
ふふさん、有難う御座います。(お辞儀)
手術後、体調は如何でしょうか?
快方に向って…居るんですよね?(汗)
どうぞお大事に…。

んではバトン回答…


【やり方】は、

お題のテーマを一発変換して下さい。
やったら、1つお題を増やして下さい。
それで5人の人に回して下さい。

【テーマ】
あいーん→遭いーん
どっぐふーど→ドッグフード
こまねち→コマね地
みかん→みかん
だっちゅーの→奪ちゅーの
りかちゃん→里香ちゃん
ふぉー→フォー
・・・→・・・
きれてないっすよ→切れてナイッスよ
かんじゃにえいと→患者にエイト
やっさん→やっさん
ようかん→洋館
かとぅーん→課トゥーん
ぶいしっくす→部位シックス
きんききっず→近畿キッズ
ひつがやとうしろう→筆が雇う四郎
かんじゃに∞→患者に無限大
おんざれいでぃお→穏座礼ディお
おれさまのびぎによいな!→俺様のビギニ良いな!
おきたそうご→起きた相互
むひょうとうる→霧氷と売る
くさのじろう→草野次郎
ぱんだ→パンダ
きくまるびーむ→聞く丸ビーム
ばんぷおふちきん→バンプオフチキン
でぃぐれいまん→ディグレイ万
ひさぎしゅうへい→ひさぎ州兵
ごりょうだらにまる→御陵陀羅尼丸
まじんたんていのうがみねうろ→ま人探偵脳が見ネウロ
だいけんらんぶとうさい→大検乱舞搭載
こざびび→コザビビ
そなたひそう→そなた悲壮
さーたーあんだぎー→サーター編んだぎー


…「俺様のビギニ良いな!」と見事に一発変換出来たのが自分らしいっつか…。(苦笑)

それと「コザビビ」…ええ!?何で一発変換で!!?えええー!!!?
…と、焦った…これって上手く変換出来た方が恥しいっすね…何か。(苦笑)


【追加単語】

んじゃあ此処は自分らしく、

「あいをなみなみと」で。(←嫌だな…)

自分は「愛をなみなみと」になりました…「ナミナミ」と変換出来んかったか…悔しいな。(笑)


【次に回す方】

やっぱ単語が単語だけに、

マサムネ師匠!…不肖の弟子に1つ手本を!!っつかナミフィギュアコーナー、あまりのセクシーダイナマイツさにR指定にしなくて良かですか!?(笑)
さやさん…大変そうですが、宜しければお受け頂きたい。またナミ話致しましょうv
結城 慶子さん…入口のミカンさん&ミカン君が可愛いvちゃんと刺青や煙草が描き加えられてるのが細かいv
minさん…今のTOP絵のロビンちゃんの、きりりと凛々しい表情に魅了されてしまいましたvv
いとうさん…貴女のナミバカコーナーが好きなんです好きなんです好きなんです!!お忙しいでしょうが宜しければ!


以上、(勝手に)ナミ愛仲間5名様、どぞ宜しくお願いします~。




それと、毎度お世話になりっ放しの宿敵Pさんから【17歳バトン】も頂いたのでこちらも回答を…。
Pさん、回して頂き有難う御座いました!
あ、風邪はもうすっかり大丈夫です!
御心配お懸けしまして済みませんです。(汗)
…ただ、続けてアレが来ちゃって頭痛やら悪寒やらが断続的に来てはいますが…「涙の渇く間も無く更なる受難が襲い掛かるなんて悲劇のヒロインチック~v」なんて悦に入ってまするv(馬鹿)
んでカセットテープでなら有ります!!
待ってます…何時までもv(笑)

…しかし微妙~に答えたくないバトンを回して下さる辺り、流石「宿敵」で御座いますな。(笑)


「17歳の時何してた? 」

……いや、日々遊んでばっかでしたな。(苦笑)
私の高校、制服自由(←標準服は有るが制服は無いトコだった)で昼休み外出自由と、自由な校風が売りな学校だったんですよ。
っても制服、皆着てましたねー…他校の制服ですが。(苦笑)
私の友人の1人がラムちゃんファンで、わざわざセーラーの上だけ買って来て、スカーフをアニメのラムちゃんに合せて黄色に染めてねー。(素晴しきオタク魂っつか)
かなし絵の上手いコで、『あずまんが大王』の大阪さんに雰囲気良く似た可愛いコでした。
今も親交は続いてて今もオタク友達です、ジャンルは違うけどね…影響は今でもかなし受けてる。
昼休み外出自由ったって、周りに在る店、鄙びた駄菓子屋1軒に蕎麦屋が1軒中華屋1軒漫画喫茶1軒(←今みたくなネットカフェじゃなくて、本当に漫画が堆く積んであるだけなトコ、時間制限無で好きなだけ居られる…店主の好みから吾妻氏の漫画が多かった)位しか無かったからな~。
荒れても無くほのぼの楽しい学校で御座いました…昼に蕎麦屋でラーメン食ってたら、やっぱり昼食べに来た担任が奢ってくれたりな。
この頃の友人との親交が今でも1番深い、気に喰わない教師の悪口言って同調したり(←部活顧問の教師だった)、学校泊り込んで用務員さんとお茶飲んだり…思い出は美しく見えるものとは言え、日々のほほんと楽しく過してたんじゃないかな~。
無責任が許される最後の年齢だったんでしょうな。(笑)


「17歳の時何考えてた?」

…くだらない事しか考えてなかったんじゃないかと。
や、実は6人位で交換日記してて(照笑)、今も残しては有るんだけど…あんま自意識過剰な内容過ぎてまともに読めない。(苦笑)
あの頃自分は若かった!


「17歳の時やりのこしたこと」

勉強だな~やっぱ~~。
もっと本読んどくんだった。
もっと文章書いとくんだった。
曲りなりにもブログで文章書いたりしてて、しみじみそう感じますね。
勉強~は♪ 出来る内に♪ してお~いた方~が良いわ♪
後にな~って♪ 気付いた~って♪ 遅いわ♪
森高千里ちゃんの歌う通りで御座います。(笑)


「17歳に戻るとしたら?」

…戻りたいような、戻りたくないような。
好きな奴も嫌いな奴も大量ごった煮での日々お付合いって、案外貴重だった様に感じるんですな、今では。
特に修学旅行。


「17歳に戻っていただく人」

んじゃこちらは毎度お世話になってるハウステンボス仲間な皆さんに!(巻き込んじゃって済みません)

mattarinonbeさん…アリスガーデン、私も楽しみですvんで私も、広大な敷地活かして子供用の広場作って欲しいかなと…ぶっちゃけ過去のアレキサンダー広場みたいな。
chibapeanutsさん…馬車のレポ、こっそり参考にさせて頂きました。(笑)次は『フィギュアヘッド』のレポに期待しておりますv(ちゃっかり)
ふくちゃん…ウェルネスセンターのプール、異常寒波のせいで3/17まで営業休止だそうで…うああ、また行けない。(涙)
ぐらさん…苺大福!!苺大福!!!苺大福ー!!!!美味しそう~vv良いな~~~(垂涎)
ウロウロさん…のチョコフォンデュレポもこっそり参考にさせて頂きました。(笑)お忙しそうですが、体調にはお気を付けて。

…5名様、どうぞ宜しくお受け取り下さいませ。(礼)
でももしもブログのテーマに合わないから~と思われた場合は、お断りOKですんで~。(笑)



【おまけ:本日の教育的指導】

つい最近、ニュースのキャスターが「満天の星空ですね~」等と仰ってましたが…「満天」っつうのは「空いっぱい」って意味だからして、「満天の星空」だと「空いっぱいの星空」って意味になっちゃって間違いなんだよ!!

…や…実は自分も結構前に同様の間違いを…しかも間違ったまま某所に文章投稿しちゃって、気付いたくせに「言って直して貰うのも悪いし言うの面倒だし~」とかアレな理由からそのまんまで……御免なさい、S条さん…時効って事で許して…。(殴)


やっぱ勉強は大事だねv(焦笑)



元巨人監督、藤田さんが亡くなられたそうで…御冥福をお祈りします。

最近、名監督と呼ばれた方がどんどん亡くなって行ってる様な…。(涙)

コメント (7)
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『何度も廻り合う』その32

2006年02月10日 23時02分41秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】






風車の建つ岸辺越しに、キンデルダイクの花畑を眺めた。



キンデルダイク程の華やかさは無いけど、そのキンデルダイクの3基の風車とワッセナーの家並みまで入れられて、写真を撮るには結構良さ気かもしれない。

裏通りに在るから人があんま通らないのも良いわよね、隠れた撮影ポイントだわ。


「これで風車の周りに花でも咲いてりゃ、最高なのになー。」


同じ事を考えてたのか、風車の周りをグルグル廻りつつルフィが言った。


「春には咲くらしいわよ!七色のチューリップが一面に!」

「七色!?本当か!?虹みてェだな♪♪」

「そう!秋に埋めといた球根が、3月下旬頃になると一斉に開花して、風車の周りにまるで虹の様な花畑が出来上がるでしょうって、ホームページに出てたわよ!」


赤白黄色、ピンクに紫、オレンジに紺色したのも咲くかしら?

風車を取巻く様に咲揃って、岸辺を埋めて。

春風にゆらゆらふわふわ、靡いて揺れる。

運河を挟んで後には、同様に咲揃ったキンデルダイクのチューリップ畑、そして風車が重なり観えて。

きっと此処は、場内でも有数の春のスポットになるわね。


「春か~~、春も良いよなァ~~~、花がきれーでポカポカあったかで♪」

「夏も秋も冬も、どの季節も綺麗よ此処は、きっと!」




そろそろ店が開く頃かと、ミステリアスエッシャーの建つ通りからニュースタッドへ入る。


休憩場所に考えてたチョコレートハウスは、丁度開店の準備をしてる最中だった。




なら待ってようかとその間、出入口前に在ったキャンディショップ『ドロピエ』に入る事に。


黄色でポップい店ん中には、観てるだけでも楽しくなる位、色も形も味もバラエティに富んだキャンディが、どっさりと売られていた。


時季に合せてリースやツリーやブーツの形した物も売ってる……へェェ、全て量り売りなんだ…可愛いから買っちゃおうかなァァ。


「イチゴにメロンにオレンジにチョコにコーヒーにミルク…お!エダムチーズ味だと!どんな味すんだろなァー??」

「そりゃエダムチーズの味がすんじゃないのォ?エダムチーズ味なんだから。」


選んだキャンディを篭に入れ、量りに乗せながら応える――あ、ちょっとオーバー!


「…そーいやよー。エッシャーの横で何か行列出来てただろー?あれって何の行列だったんだろぉなー。」


ミステリアスエッシャーの右横、アムステル運河に面した辺りには、ベンチが数個置かれ、この街では珍しく長い長い行列が出来ていた。

その殆どが家族連れ、寒い外に在りながら結構な賑わいで、近くを通り過ぎてく人の目を集めていた。


「ああ!あれは多分、乗合馬車だわ!エッシャーの建物の裏に、花で飾られた小さいログハウスが在ったでしょ?あそこが受付になってて、そっから馬車乗ってニュースタッドをくるんと1周するイベントみたいよ。」
「馬車!!?なんだよ早く言えよォ~~~!!!俺、馬車乗りてェ!!!乗りに行こうぜ!!!」

「駄目よ!!!時間無いんだから!!!…あの長い行列見たでしょ!?今から並んだら30分以上は絶対待たされるわ!!!」
「え~~~~!!?そんなァァ~~~~!!?だったら何でもっと早く教えてくれなかったんだよォォ~~~~!!?したら真っ先にここ駆けつけて1番乗り出来たかもしんねーのに!!!」
「だからっっ!!!そんなされたら時間潰れちゃうから教えなかったのっっ!!!…そりゃ私も馬車乗りたかったけどさ。あんなに人気有るんじゃちょっと考えちゃうわよ。有料だし。」


諦め付かないルフィは、尚も不平を鳴らす。



そうこうしてる間に、既に前のチョコレートハウスは開店してたので、何とか宥め賺し脅して引き摺り連れてった。


連れてってる途中で間の悪い事に、カッポッカッポッと馬の蹄の音が道に響いて来た。


艶の有る黒い毛並みした2頭の馬が、数人のお客を馬車に乗せて牽く光景を目の当たりにしたルフィは、更にギャンギャン騒ぎ、店に入るまで煩い事この上無かった。


「ナミのアホォォ~~~~~!!!!チョコレートなんて東京にだっていっぱい売ってて珍しくも何ともねェだろォォ~~~~~!!!?」

「けど、チョコレートの滝はあんま無いんじゃないの?」
「ええっっ!!!?チョコレートの滝っっ!!!?」


聞いた途端、我先にと扉を開いて、店内に入ってく。


……………扱い易いと言うか。




扉を開いて店内に1歩入ると、チョコレートの甘ァ~い匂いが鼻腔を擽った。


出入口正面には天井まで届かんばかりの高さから、チョコレートが3段にトロトロと流れ落ちてる『滝』が在った。


うわっっ美味しそう…これはちょっと指突っ込んで舐めたくなるかも。


「な!なァ!!これ…なめて良いのか…!?なめて良いんだよな!??そうだよな!??」


瞳キラキラさせ、後数㎜で触れるトコまで指近付け、ルフィが聞いて来る。

バックに『うずうず』という書き文字でも入れたくなる様な表情だった。


「いや…駄目よ…舐めちゃ駄目よルフィ!!指を入れないでって書いてあるわ…気持ちは解るけど。」
「なめちゃダメなのか!!?じゃ、何の為に置いてあんだよこれ!!?」

「そりゃ多分……店のシンボルなんじゃないの…?」


『目の毒』って語句を、ストレートに実現させたよなシンボルだわよね。


「今日の日付が入った看板が前に置かれてる。此処で記念撮影して下さいって意味みたい。」
「記念さつえい!!?……うああああ!!!…バカだ…俺って大バカだ…!!何でカメラ忘れちまったんだァァ~~~~!!!」


忘れて写真が撮れない事がよっぽど悔しいらしく、床に蹲って頭を抱えてる。


「まー、確かにあんたは大馬鹿だと思うけどさーー。」
「やっぱりひとっ走りしてカメラ取って来る!!!ここで待ってろナミ!!!」
「だからしなくて良いってばっっ!!!寝てるゾロの邪魔しちゃ悪いでしょ!!?」


言うが早いか扉開けて飛び出して行きそうなルフィの腕をがしっっと抑えて止める。

どうにも撮る撮る煩くて仕方なかったんで、滝の前で2人並んで私の携帯で写真を撮った。




店内は右が喫茶、左が売店と2部に分れていた。


中心奥には硝子張りの工房が在って、店員さんがチョコを製作してく過程を見学出来る様なっていた。


売店フロアにはチョコ専門店の名の通り、多種多様のチョコがいっぱいに陳列されてる。

チョコだけでなく、紅茶やアイスやクッキーまで…正に甘党天国、甘いの好きな人には堪んないわね。




喫茶コーナーもやっぱりメインはチョコメニューだったけど、カレーやパニーニなんかの軽食も置かれていた。



ルフィと2人でテーブル席に向おうとした所、先ずカウンターで注文してお金払ってからだと店員さんから説明を受ける。


「んじゃあ…ホットチョコレートを2つ頼むって事で…」
「ナミナミ!!あいつら食ってんの何だ!?」


ルフィが指す先を見ると、右の窓際角の席で、私達より早く入って来てたカップルが、仲良くチョコレートフォンデュを突っついて食べていた。


「チョコレートフォンデュ??」

「生クリーム入れて溶かしたチョコの中に、フルーツやマシュマロやパンを浸して食べんの。美味しいんだってェ~~!」
「ぜひそれを食おう!!!!」
「駄目。却下。だって2,600円もするってんだもん。」
「い~~~いじゃんかよォォ~~~~!!!!ちゃんと俺も半分払うからさァァ~~~~!!!!」
「だったら借金の方先に払え!!…第一、あれは予約しないといけないって、このメニューに書いてあるもの!」
「えええ~~~~~~!!??」


結局2人共、500円の『ホットチョコレート』で落ち着いた。

ルフィは生クリーム付、私はマシュマロ付。



暫し待たされトレーに載って出て来たのは、白い空のカップ・スプーン・絵入の小さ目ポットにたっぷり容れられたホットチョコレート・小皿に盛られたチビマシュマロ数個等々…ルフィの方の小皿には生クリームがこんもり。


2人して1番奥の窓際の席に座った。


ポットからカップにチョコを注ぐ…湯気がほわわわんと立上り、甘い香りが辺りに漂った。

マシュマロを2、3個抓んで中に浮べ、スプーンで掻き混ぜて飲む。


――美味しい……甘ァい…!!カカオが利いてるvv


疲れが取れるわァ~~~!!(←運転してないからちっとも疲れてないけど)


「え!!?お前、マシュマロなんか入れて飲むのか!!?」

「…当り前でしょ?それ用に出されたもんなんだから。マシュマロは熱い飲み物の中に入れると、クリームみたいに溶けるのよ。」

「そそそうなのか!??全然知らなかった!!!俺、ツマミで食えって意味かと思ってたぜ!!!」

「……まァ、抓んで食べても良いのよ、別に。」


前に座ったルフィは、豪快になみなみとカップに注ぎ、皿に盛られた生クリームを、一気にどっぷりと浮かべて飲んだ………甘そうっっ、溢れてるしっっ。


「うあぢっっ!!!あぢっっ!!!――けど美味ェし甘ェ!!!…俺、飲むチョコなんて、ここ来て初めて飲んだ。ココアに似てっけど…やっぱチョコみてェな味すんなァ~~~♪」

「そりゃホットチョコレートだし。」


ルフィは余程気に入ったらしく、熱いと言いつつご機嫌で啜る。

ウソップと2人、生来からの甘党だもんね。

気に入ると思って連れて来た甲斐が有ったわァ。


「ゾロも来りゃ良かったのになァ~。こぉぉんな美味ェもん飲めたのによォ。」


「……むしろ居たら来なかったわよ。甘いの苦手で、誘っても嫌がっただろうし。」

「こぉぉんなに美味ェのにかァ~~??」


熱くて中々飲めないのか、フーフー息吹き掛けつつ聞いて来る。


「居なくて助かったわよっっ!!!居たら此処には入れなかったからっっ!!!……いっそ旅行自体来なきゃ良かったのよ!!来たくなかったんならっっ!!!」

「来たくなかった??……別にんな事は無ェと思うけどなーー。」
「どう見たってそうゆう態度だったじゃない!!!何処行って観ても、何食べたり飲んだりしても、『へェ』とか『まァまァだな』なんて、どーでもいーよーなさ!!!いちいちいちいち人に文句付けて反抗して挙句の果て1人別れてコテージでゴロ寝!!ざけんじゃないわよ!!!何様の積りよ!!?そんな嫌だったんなら何で付いて来たのよあの馬鹿っっ!!!!」


喋ってる内に段々興奮して来てつい、バンッッ!!!とテーブル叩き付けて叫んでしまった。


零されちゃ困るとばかりにルフィが、自分の分の載ったトレーを持上げ避難する。


「……そりゃやっぱ……俺とナミの2人だけで、旅行に行かせたくなかったんじゃねェかァ?」


「……………は?」


「だから、俺とナミを2人っきりで行かせたくなかったんだろ、ゾロは。」


思わず目が点になった様な気がした。


いきなり何を言い出すんだ、こいつは??


天井見上げてのほほんとチョコを啜る表情からは、皆目真意が読み取れない。


「……だったら…今は何で2人っきりにしてる訳!?矛盾してるじゃない!!」


「あーー……これは多分……ゾロなりに、気ィつかってるっつぅか…。」


「気を…遣ってる!??」

「俺じゃすぐケンカになっちまって、甘えさせてやれねェから~~……とか何とか……昨夜俺に言って来た。」

「甘えさせてやるゥゥ!!?何その偉そうな言い分!!?私が何時甘えさせてなんて頼んだっつうのよ!??」

「俺に聞かれてもなァ~~~~。」


ズズズズーーーッと音を立てて飲み切る。


「素直じゃねェからなァ、あいつも♪」


にかっっ♪と歯を剥き出し満面の笑顔、2杯目をカップに注いでまた啜る。


「……何それ?全っっ然、意味不明だわっっ!!」

「ナミは鈍感だからなァァ~~~~♪」
「あんたに言われたくないわよっっ!!!」


怒鳴ってもルフィはニマニマ笑って流す。

その笑ってる瞳から、明らかに愉快がってるのが見て取れた。


……何だかもう、真剣に取り合ってるのが馬鹿みたいに思えて来たんで、いいかげん話を打ち切った。






その33に続】





写真の説明~、ニュースタッド、チョコレートハウスの横の並木。


毎年クリスマスに合せた様に、赤い小さな実をどっさり付ける。

…何て木でしょうね…?聞いた筈なのに忘れてしまった。(汗)


馬車は楽しいですよ~、車体が高いから、結構見晴らし良いんだ~。

有料ったって500円位だし…ただ、回転が悪いので、割かし行列待ちしてる場合が多いのが難点。


はいはい、書いててもう恥しいの何の…多分読んでる方も恥しいかと……御免なさい。(苦笑)
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『何度も廻り合う』その31

2006年02月09日 23時14分19秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





「クリスマスリースって俺達の泊ってるトコだけでなく、全部のコテージに飾ってあったんだなー!!」


建ち並んでるコテージの周囲を、自転車で滑る様に巡る。


湖に面して建ってる全戸のドアには、松ぼっくりと銀色の飾りが付いた、小振りなクリスマスリースが…

…と思ったら赤い花飾りの付いた物まで有る…並びによってリース変えてんのかしら?


「良いわよねェ!!こういう、季節を感じさせてくれるサービスって!!」

「今度またクリスマスシーズンに泊る時はよー!!ケーキ買ってパーティーしようぜ!!俺、とうの下にケーキ屋見付けたんだ!!シャンパンやツマミも必要だなー、全部ここで売ってたよな!?そん時はウソップもサンジも今度こそ連れて来て、全員で朝までワイワイ騒ごーぜ♪♪」

「………今度のクリスマスって!?来年の!?再来年の!?…戻って来る保証有る訳!?」

「う~~~~ん……来年は無理かもしんね~なァ~~~~!!まァ~~~でもいつか……今度だ!!」



――そんなあやふやな口約束で信じられるかっっ。



「ん??今何か言ったかナミ!??」
「あー幻聴でしょ!幻聴!!」




悔いを残さぬ様にとフォレストパークをさんざ周回した後、坂道をだーっと下ってまた港街に戻った。



今度はパレスへの坂道、レンブラント通りを上ってく。


幅広い道の両側には、紅葉した並木。

風が吹く度、紅い枯葉がヒラヒラと舞い落ちて来る。


なだらかに見えても長く続いてる分結構きついのか、今迄バイク並のスピードで走ってたルフィのペースが落ちた。

白い息を立続けに吐いてる、聞えて来る呼吸が大分荒い…ちょっと疲れて来たのかも。(でも降りてやんない)


ゆっくりと背後に流れてく、並木や花壇を振り返って見送る。


電飾で金色に煌く夜も素敵だけど、朝昼の侘び寂び溢れる表情も良いものね。


「パレス正面の門まで来たら、Uターンして道戻ってね!!」

「…え!!?このまま…ヘッ!…パレスの庭まで…ハッ!…入ってくんじゃねェのかよ…!??」

「残念ながらパレス内は自転車乗入れ禁止なんだって!!」

「…んだよもォ~~~!!!…ハッ!…だったら…ヒッ!…最初っから上らすなよなァ~~~~…!!!」

「まァまァvvその分帰りは下りで爽快よォvきっと!!」


坂道を上がる度、煉瓦造りの宮殿が、少しづつ姿を見せてく。



鉄製の門の前まで来た所で、ルフィはさっき同様前輪部分を思い切り持上げ、ぐるり180°車体の向きを変えて、道を戻った。

丁度側歩いてた親子連れが、驚いて目を見張る。

見ていた小さな女の子は、拍手までして喜んでいた。

…本当、こいつ、パフォーマーの才有るわ。




行きとは反対に、自転車は下り坂をハイスピードで滑り落ちてく。

当って来る風でオデコは全開、ルフィのジャケットが目の前でバタバタと鳴り、私のコートまで見事に捲れ上がって寒い。


「あ~~~の~~~さ~~~!!!ブレーキ位ちゃんと掛けてくんない~~~!!?」

「何言ってんだっっ!!!下り坂じゃブレーキ禁止!!!法律でそう決められてんだぞ!!!」

「無いわよそんな法律!!!前から車走ってきたらどうすんのよ!?事故っちゃうでしょ!?」

「大丈夫だ!!そく横飛びのいてやっから安心してろ!!!」
「安心出来る訳有るかっっ!!!」

「それよか今度はどこ行くんだー!?もうすぐ坂下りきっちまうぞォー!?」

「次右折!!バス停横抜けてまた右折して!!」


下り坂で加速したスピードのまま、連チャンで右折してく。

曲がった時ガクン!!!ガクン!!!と物凄い衝撃が車体から伝わって、少し怖かった。

……朝で通行人が殆ど居なくて良かったと思う。




港街のフェルメール通りを進み、海辺に佇むホテル・デンハーグ横まで来た。


「お!!!あの船だ!!!――ちょっと降りて、観て来て良いか!!?」


答えも聞かぬ間に、ルフィが自転車を停める。

そして前に繋留されてる大きな木造帆船目掛けてひた走り。


早朝、私が日の出を観に来た桟橋に繋留されてた帆船、『観光丸』だった。


「何度観てもでっけー海賊船だよなァ~~~!!!」
「海賊船じゃなくて『観光丸』!!オランダから江戸幕府に献上された、日本初の帆船を復元した物だって、何度言えば解んのよ!!?」

「まー細かい事は良いから♪♪今日はこれに乗れんだろ!?いつ乗るんだ!?」

「帰る前に乗るっつったでしょ?だから…4時の回に乗船しようかと考えてるわ。」
「えーー!!?そんな遅くなのかァ~~~!!?ちょうど側まで来たんだから、今乗っちまおうって!!!」

「どの道12時からじゃないと出航しないわよ。その証拠にお客さん、1人も待ってないでしょ?」


…生憎の曇天だけど、航海するにはむしろ日焼の心配無くて良いかもしんない。


波が幾分高くて気にはなるけど…運休するって事は……多分、無いわよね…?

桟橋脇に立てられた、フラッグのはためき具合を見ていて、少し不安になる。

雄々しく空高く聳え立った太いマストまで、強風に煽られてゆらゆらと揺れていた。



「やぁぁっぱ海は良いよなァァ~~~♪♪」

「そうねーー…って、あんたがそこまで船や海が好きだったなんて、ちっとも知らなかったわ。」

「ここに来て好きになった!!こぉぉんな広くてどこまでも続いてて、圧倒されちまうじゃんか!!」

「……まー…確かにね。」


海を見てるとちっぽけな自分が良く解るとか、寄せては引く波に無常を感じて寂しく思うとか…演歌みたいなフレーズが実感出来るわよね。


「なァ!!こっから船乗ってどこまで行くんだ!?また別の島か!?」

「ん~ん、大村湾を40分程クルージングして戻って来るわ。」

「……なんだ、どこにも行かねェのか…つまんねーな。」

「甲板で帆張りとかロープの結び方の実演とか、色々アトラクション有るらしいわよ!…パスポート使って乗れるんだから贅沢言わない!!」




暫くルフィと2人、桟橋寄っ掛って海を呆ーっと眺めた後、また自転車乗って海沿いを走ってった。


端まで行ってまたUターン…垂直になるまで前の車体を持上げ、ぐりんと向きを変えて道を戻る。


「…ルフィ、あんた……もォ~~し世界1周しててお金に困ったら、こういう大道芸して稼げば良いと思うわ!!」

「えーー!?大道芸って、昨日観たショーみたいなのか!?…そうか!!あーいうの観せて金かせぎゃ良いんだな!!」


私の思い付きに、ルフィは満更でもない様子で、しきりに頷いている。


「あんた元々芸人体質だもん!!世界を股に掛けるパフォーマーとしてやってけるわよ!!きっと!!」

「そうかーー……じゃ、お代を入れてもらう用に、ボウシでも買ってくかなーー…!!」


ホテル・デンハーグ前を横切る、正面玄関の横には、海辺のホテルのカラーに似合った、蒼い色調のクリスマスツリーが飾られてるのが見えた。




海沿いをどんどん進む、冷たい潮風が顔に当って寒いけど、心地好い。



オレンジ広場まで差掛ると、今度は右横にデ・リーフデ号が見えた。


――と、自転車がまた急停止する。


「お!!また海賊船!!!」
「だから海賊船じゃないってばっっ!!!あれは『デ・リーフデ号』!!!日蘭交流の先駆けとなった船を復元した物なのっっ!!!」
「まー良いじゃねーか!!たいして違わねえって♪♪」
「全っっ然違うわよっっ!!!」
「あれにも乗れたら良いのになー。小っせェけど、俺、さっきの船よりもこっちのが好きだ!!俺達の船に似てるからな!!」

「…………またあの夢の話……。」
「夢じゃねーって!!!昨夜ゾロも見たって言ってたし…!!!」
「ハイハイ!いいから!!早く発進させて!!レンタル3時間過ぎたら延滞金発生しちゃうんだから!!」


綺麗な三角形したクリスマスツリーの飾ってある広場から、白い跳ね橋『スワン橋』を渡る。

中央広場の在るビネンスタッドへと入り、ホテル・アムステルダムに沿うようして道を進んだ。


「……なーー!!通る度になぞに思ってたんだけどよー!!この…右っかわずっと続いてる建物って何なんだ!?」

「ホテル・アムステルダムよ!!昨日ランチ・バイキング食べに来たでしょ!?」

「えええ!??あのホテルかァァ!!?ちっとも気が付かなかったぞっっ!!?」

「確かに…建物が軒を連ねてる様で、1棟のホテルとはとても思えない、面白い造りよね♪」


古い街並みが改修を重ねてく内に、1つの大きなホテルに変化してったというコンセプトで建てられたそのホテルは、一見しただけではホテルに見えない。

初めて宿泊しに来た人が出入り口を中々見付けられず、右往左往したりしたというエピソードが何処かで紹介されてたっけ。




ビネンスタッドバス停を通り抜けた地点で、バスから降りた数人のお客と擦違った。

時間にして10時ちょっと過ぎ…そろそろ少しは賑やかになって来る頃かも。


「しかしよ~~~!!店、全然開いてねェなァ~~~!!だから客もあんま歩いてねェんじゃねェかァ~~~!?」


無邪気な口振だが辛辣なルフィの言葉に苦笑してしまう。


「まァねー…場内の店の多くが10時過ぎに開店ってのは、私もどうかと思うわーー…。」

「レストランとかもっと早く開いてくんねーと腹減っちまって困るよなァ~~~!!」

「後少ししたら開き出すだろうから…そしたらどっか寄ってお茶でも飲も♪」




ミュージアムスタッドの運河沿いを通り、クリスタル橋を渡ってニュースタッド地区へ…また閑静な運河沿いの、ワッセナーの観える道を選び走って貰った。



風車の羽根が回る、小さな広場前で自転車を停めて、またちょっと休憩する。


「風車って、あの花畑に在るだけじゃ無かったんだなー。」

「そうよ、この地区には2基、フリースラントには1基、それとキンデルダイクに在る3基…他にも、ワッセナーの方にも1基在るみたいだから……少なくとも場内に7基以上在るって事じゃないかしら?」



風車の在る広場からは、それこそ花畑の如く色取り取りの童話調の家が、運河を挟んで整然と建ち並んでる様が観渡せた。


「良いよなーーー……いっぺん、あーいう家住んでみてーよなァーーー…。」

「意外ねー、あんたでもマイホーム願望なんて持ってる訳?」

「マイホームっつか、これって別荘だろ?遊びてェ時だけ来て暮らすなんて、何か良いじゃんか♪」

「ああ、そういう発想か。」

「1コ買っといてよ、年取ってから皆で暮らすのも良いよな♪」

「皆して……?」

「ナミやゾロやウソップやサンジや…ビビやロビン先生も呼ぶか!毎日皆で美味ェもん食って飲んで若ェ頃の冒険話とかして騒いで、夜になったら花火観て…そんな感じで面白おかしく暮らすんだ♪な!?良いだろ!??」


「………そうね…夢の様な老後の計画だわね。」

「1コ幾らぐれェすんだろーなァ~~~??皆でワリカンにするって事でよ~~~。」
「一戸建て3,713万円よりとか、何処かに書いてあったわよ。」
げっっ!!?そんなすんのかっっ!!?……10人くれェ集めて、1人371万くれェでェ~~~…。」
「10人で1軒の家住んだら流石に狭苦しいわよ、馬鹿。」

「まーー将来誰か宝くじ大当りすっかもしんねーし!俺が油田掘り起こすかもしんねーし!!夢はでっかく、前向きにけんとうしとくとしよう!!!」


「………そうね、その頃まで―――」



――あんたが忘れずに、覚えていられればね。



「…何を覚えてればだって???」



「………場所の事よ。」





その32に続】





ブレーキ掛けずに坂道下ってはいけません。(←そりゃそうだ)


写真の説明~、また一昨年のクリスマスシーズンの写真ですが…早朝のキンデルダイク。

人が居ないのは早朝だからです、何時もは人気撮影スポットなんでかなし人が居ます。(笑)


【07年1/4追記】…ホテル・アムステルダム横海沿いの道は、実は自転車交通禁止だったという事を知り、修正入れました…御免なさい。(土下座)
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『何度も廻り合う』その30

2006年02月08日 23時37分37秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】






すったもんだの末、一旦ゾロとは別行動を取る事になった。



12:30にコテージ玄関前での待合わせ、それまでゾロは服乾かしつつ、ひたすら寝てる積りらしい。

それならばと、当初は朝食後に送ってしまおうかとも考えてた、荷物の番を任せた。

また観て廻ってる間に、新たに増えるかもしれないし。



先に宿の精算だけは終らせとこうと、私とルフィはコテージを出て先ず、ホテル・ヨーロッパのフロントに向った。



精算を終えた証明書を発行して貰い、今度はパスポートを使って、スパーケンブルグ~ブルーケレン迄、クラシックバスに乗って移動する。


「ブルーベリーって陸の出入り口が在るって地区だろ?そんな端まで何しに行くんだ??」


乗車して素早く先頭席押えたルフィが、振り返って聞く。

開園間も無い時間故場内に人は少なく、バスに乗って来る客も私達以外居なかったんだから、そう急ぐ必要も無いのに…野生の習性ね、きっと。


「『ブルーケレン』だってばルフィ。3日目で足も疲れただろうし、今日は自転車で廻ろうかなと思って…で、レンタサイクル屋がそこに在るから行こうとね!」

「自転車かーー!別に足疲れちゃいねーけど、それで廻るのも面白そーだな♪」


石畳の車道をガタゴト揺れながらバスは進む。


10分程もして目的の場所、ブルーケレンに到着した。


間のバス停で待ってるお客さんが居なかったせいで、早く着いたらしい。

…まァ、この時間に出入国口方面向う人は、あんま居ないわよね。

場内ホテルをチェックアウトしたお客は、大概ホテル側の送迎バス使ったりする訳だし。



目指してたレンタサイクル屋『フィッツ』は、バス降りて直ぐ目の前、カナルステーション裏側に在った。


「うっはーーー♪♪♪自転車沢山置いてあっぞ♪♪♪――お!!前の車輪だけバカでけーのが有る!!!ほろ馬車みてーな形したのも有んなァーー♪♪♪よしナミ!!!これ乗ってこーぜ!!!」
「それは4人乗り用よルフィ!…2人しか居ないんだから、2人乗りで充分でしょ!」
「2人乗り!?2人乗りってどれだ!?どんなんだ!?」


すっかりトム・ソーヤーの瞳になっちゃってるルフィ引き摺って受付で尋ねる。


直ぐに「いらっしゃいませ!」と、オレンジのジャンパー着た、気さくそうな小母さんが出て来た。


「2人乗りですね?3時間で2,000円。それとは別に保証金として500円…この500円は返却時にお返し致しますので。」


説明しながら小母さんは、自転車がズラリ並んで置かれてるフロアから、黄色い縦長の車体した自転車を、担いで出して来てくれた。

外の道に置いて貰った自転車には、成る程2人で乗って運転出来る様、ハンドル・サドル・ペダルが前後に2人分設置されている。


「じゃ、私が1,000円、ルフィが1,500円出すって事で。」


受付で借用証書にサインしながらルフィに言う。


「えええ!!?何で俺が500円よけいに出さなきゃなんねーんだよ!??」

「大丈夫よ。保証金だから、返却時何も問題無ければ返って来るわ。」
「だったらナミが払えよ!!!戻ってくんなら構わねーだろォ~~!?」

「あんた達の借金肩代わりしてて、尚余計に払わされるのは癪に障んの!」


借金の一言が効いたのか、ルフィが渋々と1,500円払う。


手続きを済ませてからも小母さんは、更にキーの掛け方外し方サドルの高さの調整の仕方まで、親切丁寧に説明してくれた。


一通り教わった所でルフィが前に、私は後部のサドルに跨り、ハンドル握って出発進行。

2人してペダルを思い切り漕ぎ出す。


………が、上手く前に進んでくれないっっ。


のたーりのたーり亀並のスピードで、数㎝も漕いだかなって所で敢無くぱったりと倒れてしまった…。


「ルフィ!!!あんたペダルしゃかりきに漕ぎ過ぎ!!!もっとこっちに合せてよ!!!」
「ナミがもっと早くこぎゃいいだろォ!!?んなトロくこいでちゃ全然つまんねーよ!!!」

「もっとお互い息を合わせなくちゃ!!『イチ!ニ!』って声出しながら漕ぐと良いですよ!!」


見かねた小母さんが、苦笑しながらアドバイスをくれる。


掛け声に合せて漕いでみる……トロトロとではあるが、自転車は何とか前進し出した。


「「イチ!!ニ!!イチ!!ニ!!イチ!!ニ!!イチ!!ニ!!イチ!!ニ!!イチ!!ニ!!…」」

「イチ……あ~~~~!!!!もォォやってらんねェェェ~~~~~~!!!!!ナミ!!!おまえこぐな!!!!!俺がこぐ!!!!!


「……………ルフィ…!」


ペダルから私の足を離す、と同時にスムーズに自転車は走り出した。


速度を次第に上げながら、青赤白黄色とカラフルにパンジーの咲揃うキンデルダイクを抜け、バスチオン橋を渡り、あっという間にフリースラント地区の並木道へと入ってった。


「や~~~っとサイクリングらしく、楽しくなって来たなァ~~~♪♪」

「……そりゃあんたはさぞかし楽しく御機嫌で御座いましょうよ。」

「やァァっぱこう…肩で風切って進むっつうの!?トロっちいんじゃカッコ付かねーよなァ~~~♪♪」

「………すいませんね、馬力足らずで足引張ってトロくして。」


――突然、キキキーッとブレーキが踏まれ自転車が停止する。


珍しく神妙な顔付きして、ルフィが振り返った。


超の付く鈍感野郎でも、少しは私の背後漂うマイナスオーラに気付いたらしい。


「……ナミ……ひょっとして、楽しくねェのか?」
「この顔が楽しそうに見えるか!?」


ルフィに向け、ぐっと顔を突き出す。


「うわっっ、鬼みてェな恐ェ顔。噴火5秒前だな。」
「あんたねェ!!これじゃ私乗っかってるだけじゃない!!ただのお荷物扱いじゃない!!!それでどうして楽しくして居られるっつうのよ!!?」


……こんなんだったら1人用のを別々に借りるんだったわ。

「漕ぐな!!!」だなんて、まるきし足手纏いの邪魔者みたいじゃないのさっっ。


ぶちぶち不平垂れてる前で、ルフィが困った顔して考え込んでる。

ちょっとは反省したのかしら?だとしたら良い傾向だけど。


「んじゃよォ!俺が運転担当で、ナミはナビ担当って事で!!」

「……ナビ担当!?」

「いやほら…何か今前見たら…この先通り抜け禁止っつう感じで行止りになっちまっててよォ…ひょっとして、道、間違えちまったのかなァァなんてな♪」


決まり悪さ気に指し示してる前を見ると、確かに「この先立入禁止」なる感じに、通行止めが置いてあった。


見回せば並木どころか、木が密集して林にすらなってて、観光客1人も歩いてない此処は一体何処なのよ!?


「ひょっとしてじゃなくて、明らかに道間違ってるわよ馬鹿っっ!!!」
「悪ィ♪悪ィ♪…という訳でナミ!ナビ担当に任命する!!宜しく頼むぜ♪」


にかっっと歯を剥き出して、何時もの屈託無い笑顔。

…誤魔化されてる気もするけど、こいつなりに気を遣ってくれてんのよね。


「…了解!それじゃあ早速、Uターンして道戻んのよ運転手!!」
「ラジャー!!!」


掛声と同時に地面蹴り上げ一気に前輪を持上げる――自分の体が仰向けにされる。

後輪だけ地面に付けぐりんと向き180°変換、ガシャンと車体を前に倒して、来た道を逆走してく…パフォーマーもびっくりだ。


ゾロといい、この運動能力には昔から憧れるのよね。




道を戻り、薄桃色のコスモスに縁取られたアムステル運河の横を行く。


石畳の上だとガタゴト振動して腰が痛くなるので、なるたけ煉瓦の敷き詰めてある道の方を渡る様言った。


この辺りの並木道は幅が広く、サイクリングするにはお誂え向きよね。


「これで右の広場に何か飾ってありゃ良いのになー!!土ばっかりですっげさみしい!!」

「春になれば百花繚乱!!綺麗な花々が咲乱れる予定らしいわよ!!それこそ迷路の様な庭園を造る予定なんだって!!」

「へー!!花で迷路かー!!それもきれーで面白そーで良さ気だよなー♪♪春にもまた来てみてーよなー!!」

「ゾロと2人、また迷子にでもなりたい訳ー!?」
「迷子じゃねーよ!!ゾロと一緒にすんな!!しっけーだなっっ!!!」

「他人から見たら五十歩百歩よ!!――あ!!そこ!!右折して橋渡って!!」


ジョーカー橋を渡りビネンスタッド地区へ…赤茶色した煉瓦の街並みが、並木が、道を歩いてる人が、どんどん後ろへ流れてく。

早い早い♪楽ちん楽ちん♪…漕いで貰ってると、景色ゆっくり楽しめて、或る意味得かもね。



ドムトールンを横目にハーフェン橋を渡れば、そこは潮風吹き抜ける港街スパーケンブルグだ。


「この次、右の道行ってくれる!?せっかくだからフォレストパークも1周しとこう!!」


賑やかなクリスマスデコレーションされてるホテル・ヨーロッパの横で、ルフィに叫んだ。


「ふぉれすとって…ひょっとして俺達が泊ってるトコかァァ!?」

「そうよォ!!フォレストヴィラ宿泊客でないと入り難い区域だからね!!悔いを残さないよう1周しとこう!!」



右折してえっちらおっちら坂道を上る。(←ルフィが)

風に煽られルフィの髪が踊り、首筋に汗が光って見えた。


紅葉した樹木に囲まれた道を上り切る。

目の前にはウェルネスセンターの白い建物が在った。

その出入口前に立つ一際のっぽの紅葉樹には、白・赤・銀色のクリスマスの飾りが枝いっぱいに吊るされてる。


「ここにもこんなでっけークリスマスツリーが在ったんだなー!!」

「…そうね、食事会場位しか行ってなかったから気が付かなかったわ!」



枯葉舞い散る湖畔の周囲を廻る。

途中、湖の中に浮ぶ島まで架った木の橋を渡って行く。


橋の上から観る景色があんま綺麗だったんで、自転車を停めて貰ってルフィと暫く眺めていた。


赤に黄色にと色付いた木の葉…ひっそり建ち並んだコテージ…湖がそれらを鏡面の様に反射して、まるでモネの描く風景画みたいに観える。


「…ね、カメラ出してくんない?ルフィ。」

「お?…悪ィ、忘れた♪……荷物朝全部送っちまうとか言ってたから、つい全部バッグにまとめてしまっちまって♪」
「あんただから何の為にカメラ持って来たりしてる訳!!?」
「何なら今コテージ戻って、取って来てやろうか?どうせすぐ側なんだから!」

「……別に取りに戻るまでしなくても良いわよ。寝てるゾロの邪魔しちゃ悪いし。」

「起して3人で写真とるとか。」
「怒られるわよ、ゾロに。」
「自転車乗ってるトコ見せてうらやましがらせよう。」
「羨ましがる訳無いでしょ!?あいつが自転車位で!!」
「…うらやましがると思うけどなァァ♪」


にしししっ♪と何だか意味深に笑う。

その笑い方がちょっと癇に障ったんで、頭をペンと叩いてやった。




取敢えずはまた2人で自転車に乗り、後1周湖の周りを走る事にした。


シャーーーッと軽快な音立てて自転車が進む。


前で立って漕いでるルフィの赤ジャケットが、風を受けてバタバタとはためいてる。


その背中が幼い時分に見てた頃より随分と広く逞しく見えた。


「……あのさ……ルフィってまた…身長伸びた…!?」

「…しんちょう??おーー!!伸びた伸びた♪♪今172cmまで行ったぞ!!」


…………高校1年までは、私の方がずっと身長有ったのになァァァ…。


ゾロと私とルフィで、丁度大・中・小の並び順。


一緒に登下校してると、必ず何人かに「兄弟?」って聞かれたもの。


「見てろよ!!その内ゾロだって抜かしてやるさっっ!!!」

「ゾロは幾ら何でも無理なんじゃないのォォ!?あいつ、178㎝も有んだからさァァ!!」
「エースはもっと高ェぞ!!!だから!弟の俺だってそんくれェ高くなるかもしんねェじゃねェか!!!」

「……成る程、一理有るわね。」


妙に納得しつつふと右を見ると、見覚えの有るお城の様な煉瓦の建物。


…なんだ、そっか…パレスハウステンボスって、フォレストパークの横に在ったんだ…!

なら、フォレストパークからも行ける様にして貰えると助かるのに。

パレス前の坂道ってなだらかに見えて、駆け足で上ると結構きついのよねェ。



「……ねェ!!私、重くない!?何なら運転交替しようか!?」
「あー!?別にちっとも重かねーよ!!大丈夫だって!!」
「だって2人分も乗せて漕いでんだから…いいかげん疲れたでしょお!?」


キキィッッ…!!とブレーキ音響かせ自転車が停まる。


「…なら、試しに1人でこいでみて、どんだけ負担有るか確かめてみるわ!」


そう言って私を降ろし、ペダルをまた漕ぎ出す。

――ばひゅん!!!と一気に自転車は前に進んだ。


「おおおおっっ!!?すっげェェ!!!!軽ィ!!!ペダルも何もかも軽ィぞナミ!!!!」



そのまま私残して湖を1周―――1分も経たない内に戻って来た。



「いや~~~~もすっっげ快調!!!!ペダルが軽ィのなんのって!!!!ナミィィィ~~~お前、ずいぶん重かったんだなァァァ~~~~♪♪♪♪うはははははははははうはははははははははうはははうはうはははは…♪♪♪♪」



――ガンッッ…!!!!!!



オデコにウェストポーチを思っ切し投げ付けて、自転車ごと地に沈めてやった。(←中の携帯無事だと良いけど)



「………あんた、本っっっ当に失礼…!!!!!」






その31に続】





…ああ…何だかとっても青春話している…。(赤面)

2人乗りは人気が有って、午前中で無くなっちゃう場合も有りです。


『8/20追記:写真の説明』…紅葉するフォレストパーク。

…勝手ながら『その9』と写真取替えた…済みませぬ。(汗)
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『何度も廻り合う』その29

2006年02月07日 22時21分09秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





早朝、『観光丸』の繋留された桟橋を1人で歩いた。


細く長く、海に突出た木の桟橋。


灯台の在る端まで、近付けるだけ奥まで歩く。



見渡す限りの海って、こういうのを言うんだなと思った。


前後左右どっちを向いても海、まるで海上に1人取り残されたみたいで心細い。



……そう感じるのは、自分が置かれた現状からかもしれないけど。






11月29日         書いた人:ナミ






昨日同様、3人で早朝の散歩に行こうと思ってたのに…

あいつら生意気にもしっかり学習してて、部屋に鍵掛けそのままバックレ寝に出るなんて…!!

いっくらドンドン扉叩いて喚いても、ウンともスンとも言いやしない。

鼾すら掻かずって事は……ありゃしっかり起きてたわね。



どんよりと薄暗く空を覆ってた雲に赤みが差す。

雲間から零れた光が、細波立つ海面に一筋の道を作った。

たった1つの光が世界を一瞬にして輝かせるなんて本当に不思議。

30分前までの夜の名残はもう何処にも無いんだから。



「せめてカメラだけでも、昨夜の内にルフィから借りとくんだったわ…。」


携帯じゃ朝陽は上手く撮れそうに無い。

昨日も試してみたけど駄目だったし。

せめてビビやロビン先生にメルして観せてあげたっかったのになァ。


あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿あの馬鹿…!!

何よたったの3日位、こっちに合せてくれたって良いじゃない。

子供の頃から散々人トラブルに巻き込んどいて。

自分達ばっか好き勝手やって挙句の果て仲間放っぽってどっか行くだなんて不公平甚だしいわ。


行けば良いんだ、世界の果てまで何処までも。

私やウソップやサンジ君の知らない所で、きっとまた新しい仲間見付けて、楽しく宜しくやるんでしょ?

知らない場所で知らない仲間に囲まれて…何時かこちらの事なんて遠い記憶の彼方?


あんた達、何で何時も道に迷うか解ってる?

前しか向いてないから、後ろを向こうとしないからよ。

自分の来た道辿って帰りたくとも、振り向かず見てもいないんじゃ、帰り様が無いじゃない。



2人共、迷子になって泣けば良いんだ。



何時か人も通わぬ未開の地でも行って、帰って来れずにずっと独りで寂しく泣いてりゃ良いのよ。




ポチャンと、目の前で水音が響いてはっとした。

手摺から身を乗り出して、じっと音のした方を見詰る。

朝まで降り続いてた雨のお陰で手摺は冷たく濡れていた。


海面には波紋が浮んでる…それもそこかしこに。


またポチャンと音がして魚が跳ねた。

それをさっと海鳥が咥えて遠くへ飛び去ってく。


ああそうか、飛魚だ、此処の呼名で『あご』は大村湾の名産だもんね。

浮んだ波紋を数えるに相当居るわ、道理で漁船も沢山見掛ける筈ね。

ルフィが見たら大喜びで海飛び込んで捕まえ様としたかもね…カナヅチのくせに。




……我ながら底意地の悪い考えだわね。

そもそもあいつら、独り残されたって泣きゃしない。

何が有っても涼しい顔して立ち向ってくんだから。



むしろ残されて泣くのは………きっと私だ。




――本当に言いたい事口に出して言わねェんだよ…!!!




……言える訳無いじゃない。


そんな事言ったら、あんた達が困るでしょう?


困って…惑って…行きたい道真直ぐ行けないかもじゃない。




陽はすっかり昇り、海を白く眩く照らしていた。


曇ってはいるけど、この風向・風速は天気回復の兆し。

良かった、傘も荷物に入れて送れそう。

何だかんだで花火は二夜とも観られたし、行きと帰りが晴ならば、先ず先ずのお天気運だったって事よね。



…遠くで繋留されてるヨットのマストが風で擦れて鳴ってる。

何だかすすり泣いてでもいるみたい。


精神衛生上、今聞くには良くない感じだわ。


独りで海見てるなんて歌謡曲じゃあるまいし…今朝も無事日の出を拝めた事に満足して私はコテージに戻った。





「ひひょーひひひょうほはへひゅうはわっへふひょはっっ!!ひょうはひゃわんふひひょははぼひゃほふはひひょはふへへはほっっ!!」


…「微妙に昨日とはメニュー変ってるよなっっ!!今日は茶碗蒸しとか南瓜のフライとか増えてたぞっっ!!」と…多分、言ってるのだろう。

相変らず口いっぱい食い物詰め込んだままルフィが喋る。

喋ってる時は食べなきゃいいのに、その間も惜しくて出来ないらしい。

まったく……こんだけ食ってて何で太んないんだろ??

こいつの胃腸こそパラレルワールドにでも繋がってんじゃないかと思うわ。


「増えたメニュー6品位有るよな。カンパチの照焼に茶碗蒸しに白菜と茄子の炒め物に南瓜のフライ、おでんの具も変ってたし、蒸しパンにココア味が加わってたろ?まァ替りに無くなったメニューも有るが…ヒジキのおにぎりは残しておいて欲しかったよな。粥も好きだけどよ。」


隣に座ってるゾロがルフィに応える。


私の言付けを守って、全メニューを1盛りづつ皿によそって来たルフィと違って、こいつは和食中心だ。

見るからに地味ぃぃで渋ぅぅい色合い、まるきし年寄り染みた選択。

主食が粥だから病院食にも似た感じ、洋食中心の自分の皿とは正反対。

同じ環境に育ってて、どうしてこうまで三人三様好みがバラバラになるんだろう?





コテージに戻った私は朝食に行こうと、熟睡してる筈の2人の寝室の扉をノックした。


程無くして、さっきあれだけ煩く叩いても起きては来なかったルフィが瞳輝かせてひょっこりと、その背後からは眠たそーに欠伸しつつもしっかり身繕い整えたゾロが、寝室から出て来た。


………やっぱさっきはタヌキだったのね……。


「偶々だ。腹減ったんで起きた頃、丁度てめェが帰って来たんだよ。」


食後の日本茶を啜りながら、いけしゃあしゃあとゾロが言う。


「ひょおひょお!!はわはわば!!はばへっはわーほぼっはほひはひひんぶぼふわびははへっへひはわへばっっ♪♪」


持って来た6種類のパン抱えて1度に噛付きながらルフィが言う。


「……ああそう、計った様にナイスタイミングで帰って来れてラッキーだったわァァ。お陰で直ぐ様朝食会場に向えたし。」



昨日と比較して、朝食会場のトロティネは、席がスカスカに空いている。

やっぱり平日、火曜の朝というのは人が少ないものなのねと、入って来た時思ったわ。


なのに、何故か案内された席は店内奥、最も料理から遠くに離された窓際隅っこ。


…好意的な意味で取るなら、「窓の外広がる湖畔の景色を眺めながらお食事して下さいませよ」っつう風では有るけど……そう素直に取って良いものかしら…ねェ…?

とは言えルフィが行っても別に料理隠すでもなく、にっこり笑顔でサービスして下さるなんて、流石サービス業のプロフェッショナルだわと感心しちゃう。



「んじゃ食べたままでまた聞いてて!今日の予定話すから!…先ずは荷物纏めて帰る用意をして――」
「ああ俺今日は午後から参加させて貰う。午前中は2人で適当に観て廻ってろよ。」


私の言葉を遮り、いきなりゾロが口を挟んで来た。



「……午後から参加って……どうしてよ!?じゃあ午前中はあんた、何処で何してるって訳!?」


仏頂面で私に向い、ちょいちょいと自分の腿を指す。

「触ってみろ」って意味らしい…触れてみるとゾロの履いてるジーパンがしっとり湿ってるのが解った。


「昨夜の雨のお陰でな……未だ生乾きなんだよ。」

「………替えは?持って来てないの…?」
「無ェ。これ1着っ切りだ。」
「何で1着しか持って来てない訳!!?普通持って来るもんじゃない!!!」
「煩ェ!!!冬だってのに着替え3日分持って来てるてめェのがこっちから見たら異常だっつの!!!」
「異常!!?おかしいのは何時だってルフィやあんたの方じゃない!!!大体人の忠告聞かずに昨夜散歩に出るから…そうよ!!自分で勝手に濡れに行った様なもんじゃない!!!それこそ異常な行動だわ!!!」
「濡れに行った訳じゃねェ!!!しょうがねェだろ不可抗力だっっ!!!」
「ちょっと濡れてる位何よ!!!そんなん気合と根性で乾かしなさいっっ!!!大丈夫よあんた体温平均値より高いから!!!着たまま歩いてりゃ昼前には乾いてるわよっっ!!!」
「無茶苦茶言ってんなっっ!!!俺に風邪引かす気かよてめェはっっ!!!?」
「引きゃしないわよゾロは風邪なんて!!!現にあんだけ頭から降られたのに風邪引いてないじゃない!!!最終日なんだから3人で一緒に廻って――」
「我儘もいいかげんにしやがれナミ…!!!!」


――バァァン!!!と、物凄い剣幕でテーブルを叩かれた。


一斉にレストラン内の視線が、私達の席に集中してるのが解る。



ゾロが本気で怒ってる。


元より凶悪顔で凄まれて、悔しいけど、少し怯んだ。



「1時チェックアウトまで、俺はコテージ戻って寝てる。12:30頃、玄関前で待ってっから、そこで合流すりゃ良いだろ?」

「………賭けで負けたら、私の決めたスケジュールに従うって決めたじゃない。約束、破る気なの…?」

「……だから午後から大人しく従ってやる。昼食場所にも文句は付けねェ。」

「…まさかそれ狙ってわざと服濡らしたんじゃないでしょうね?」

「そんな狡い真似するかよ。妙な勘繰りすんな。マジで怒るぞ。」

「………解ったわよ…!!私とルフィだけで楽しく観て廻るわよ!!!あんたなんかそのまま寝込んで風邪引いちまえ!!!迎えにだって来てやんないわ!!!そのまま置いてきぼりよっっ!!!!
「おー、そしたら滞在費は当然てめェに請求する様頼んどくから宜しく頼むわ。」


両腕を頭の後ろで組み、椅子の背に踏ん反り返って、アカンベしながら言う。

置いてけっこねェよなァァといった、憎たらしい程余裕たっぷりの態度。

ああもう本当に置いてってやりたいっっ。


「12:30にちゃんと玄関外まで出てなさいよ!!!中入って呼びになんて絶っっ対行ってやんないんだからっっ!!!」


憤然として前に向き直る。



前の席ではルフィがのほほんと皿を抱えて、こんもり盛ったコーンフレークをスプーンで掬い食べながら、愉快そうに観客に徹していた。

お皿を抱えてんのは多分、テーブル叩かれた衝撃で中味が零れないようにだ。


「…ははひはふいはほは??」

「ああ、後はてめェの希望を聞くのみだ、ルフィ。」


「……ルフィは…私と…一緒に行くよね…?」



――行ってくれるよね……?




ずずずずっと皿に口付け、残ってた牛乳とフレークを呑込む。

それからゴシゴシと袖で口元拭い、にかりと笑ってこう言った。




「おう!!もちろんだ!!!」






その30に続】








…という訳でナミ編開始~。

大体11話位?そろそろ終り意識して書いてかんとね~。(汗)

またどぞ宜しくです。(礼)


写真の説明~、観光丸と朝陽。




おまけの週刊ジャンプ、ワンピ感想~。


今回涙々の展開でしたが…

何とはなしに缶コーヒー『ボス』の元CM、『世界を敵に回したしんちゃん』を思い出した自分は「非情」っつかつまりは「情けない」っつか…。(汗)


だってだって――

「皆がニコの事悪い女だって言うの…」
「ロビンちゃんは悪くないよ!!」
「そう言ってくれるのは貴方達だけv」
「僕等は何時だってロビンちゃんの味方さvたとえ全世界を敵に回そうとも!」

――ほら、ぴったり!

是非、皆で缶コーヒー『ボス』を不敵に呑みながら、世界政府に立ち向って欲しい。(不謹慎で御免なさい)
コメント (2)
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