瀬戸際の暇人

今年も休みがちな予定(汗)

銀河漂流バイファム感想その6

2008年11月09日 16時31分13秒 | 漫画&アニメ
スコット・ヘイワード…2043年3/23生まれ、15歳、A型、ジェイナスのキャプテン。(↑)
最年長という事で嫌々リーダーを任されるも、次第にキャプテンシーが覚醒、皆から信頼される様になる。
思うに登場キャラ中最も成長したのは彼じゃないかと。
生真面目で神経質で悲観的な性格から、出会った当初はケンツやバーツと対立したりもした。
クレアとは幼馴染の関係で、物語後半はまるで夫婦みたくなっていた。
しかしスタッフの対談記事を読むと、「クレアにふられてルチーナに求婚する」エピソードも考えられていたらしい。(笑)

「『大きくなったら結婚しようね』って、スコットが約束するんですよ(笑)」
「ちょっと待って!ルチーナが大きくなったらクレアになっちゃうよ!」
「描いた人(キャラデザ)が言ってるよ(笑)」
「だからドラマになるんですよ!それで大きくなったルチーナが、『貴方は私にクレアの影を見てるのね!』っつって…(笑)」

キャラデザを担当した芦田氏曰く、「奴の悲鳴は絶品だね(笑)」…良くも悪くも愛されてたらしい。(笑)
ファンの間でも最初は人気が無かったが、21話が放送されて以来鰻上り…以前公式サイトで行われた人気投票では、3位に着いててビックリした。



・第19話「もう一つの戦争、ジェイナスの小さなママ」脚本○ 演出○ 作画△ 総合○

ベルウィック星軌道を離脱して10日目になり、異星人の通信も傍受出来る様になった。
それはジェイナスが敵の勢力圏内に入りつつ有る事を示している。
そんな折ジェイナスの行く手に敵の飛行物体が観測され、緊張が高まった。
出撃しようとするロディとバーツ、だがスコットが引き止める、飛行物体はジェイナスに相対速度を合わせ、見かけ上静止して居た。
そのまま攻撃して来る気配を見せない、敵の不気味な行動に不安を募らせるブリッジ。

マ「あたいさァ、こういうの1番嫌なんだァ!来るんだか来ないんだか煮え切らなくってさァ!」

緊張が続いて疲れてるクルーを慮り、一時警戒態勢を解除するスコット。
ロディの提案を聞入れ交替で休む事を決めるも、責任感の強いスコットは引き続きブリッジに残った。

一方女子の中で最年長のクレアは、幼いマルロとルチーナの世話をしていた。
早く眠るよう諭すも、彼女を母親代りに思う2人は、甘えて離してくれない。
ブリッジの仕事が待ってる彼女は心中困り果てていた。
何とか2人を寝かせて駆け付けるクレア、しかし不安を感じて起きたマルロ&ルチーナが、彼女を追って来てしまう。
敵との睨み合いにピリピリしていたスコットは、ブリッジに入って来た幼い2人に激昂、監督不行き届きだとクレアに当り散らす。
「早く寝かし付けて仕事を手伝え」と言われた上、全員に温かい飲物を持って来るよう要求された彼女は、抑え難い怒りを胸に2人を連れてブリッジを出るのだった。
それでも彼の命令通り2人を寝かし付けた後、食堂で飲物を用意してた所、おねしょをしてしまったマルロが泣きながら現れる。
そこへタイミング悪く現れる他の女子(+フレッド)、中でもシャロンがおねしょをしたマルロをからかった事で、遂にクレアの怒りメーターが振り切れてしまう。

「笑い事じゃないわよ!!私の身にもなってちょうだい!!子供達の替えの下着はもう1枚しか無いのよ!!」

ヒステリックに叫ぶ彼女に唖然とした一同は、後でブリッジに交替で入る時、彼女の様子がおかしい事をスコットに話す。

シ「『私の身にもなってちょうだい!!』――ってこうだもんねェ~!」

その頃クレアは洗面所で、マルロが汚した服を洗っていた。
そこへルチーナが「マルロが赤い顔して苦しそう」と伝えに来る、だが不機嫌極まってた彼女は「恐い夢でも見たんでしょう」と素っ気無く応対してしまう。
「早く寝なさい!!」と厳しく叱られ、べそを掻いて部屋に戻るルチーナ…その姿を見ながらクレアは「私の方が泣きたいくらいよ…」と零すのだった。
そこへ泣きっ面に蜂でスコットから呼出が掛かる、「くだらない事は後回しにして早く来てくれ!」と怒鳴られ、再び堪忍袋の緒を切らすクレア。
その頃ブリッジではスコットとロディが、思い切って攻撃に出るか否かを討論していた。
ロディは「試しに打って出よう」と唱える、スコットは「いや待て、罠かも」と引止める。
侃々諤々意見を戦わしてたそこへ、ブチ切れたクレアがやって来た。

「私だって好きでやってる訳じゃない!!あの子達が懐いて来るから仕方なくママをやってるだけ!!なのにあれもこれもなんて…もう沢山よォ!!」

言うだけ言って去って行くクレアを、スコットは唖然として見送るのだった。

洗濯に戻ったクレアは、優しかった母親の事を、泣きながら思い返していた。
スコット達男の子に髪型の事を笑われ、大好きなママに抱き付いたあの日…戦争さえ起らなければママの傍に居て、甘えていられたのに…。
思い出の中のママが優しく笑う、「貴女の髪型は、貴女の笑顔に似合う様切ったものよ。泣き顔なんかには似合わないわ…だから笑って」。
思い出に耽っていた彼女の耳に水音が届く、不審を感じたクレアが窺ったそこには、タオルを濡らすルチーナの姿が在った。
驚いて事情を訊いた彼女は、マルロが熱を出したのを知る。
自分が怒った為にルチーナは独りで看病を……その事に気付いた彼女は深く悔んだ。

一方討論の結果、攻撃する策を選んだブリッジは、ロディとバーツを出撃させ、敵の出方を探った。
或る範囲まで離れた所でロディが突いてみる、すると敵は突如攻撃を開始した。
応戦する一方、探査ロケットを飛ばすブリッジ、敵の何機かがそれを追う。
撃ち落される瞬間、探査ロケットは敵の中継ステーションを捉えた。
この先戦いが避けられない事を覚り、スコットの胸に不安が渦巻く。

その頃クレアは自分が傍に居る事に安心し、大人しく眠る幼い2人の寝顔を見ながら、この船のママになる決意をするのだった……。


(感想)…★は付けてませんが、私はこの話良く出来てると思う。(←じゃ付けろよ)
「訳を知った皆が親身になり助けてあげる」パターンが多い所を、敢えてそんな展開にしなかった制作陣を褒めたい。
クレアが不満を持ちながらも、己の役目を担う決意をする話。
他の子供達は終いまでそれを知らないんですよ…けど悩みってそういうもんだと思う。
話を聞き慰めてはあげられても、理解して解消してやる事は出来ない。
ママに甘えたいのは自分もだけど、でもしょうがない、私はこの子達の中で1番のお姉ちゃんなんだから…そんな風に彼女が思うまでの成長物語なのですよ。
しかし観ていて兼業主婦の悲哀がひしひしと伝わって来るな~、クレアに甘えるスコットの姿は物の見事に旦那の「それ」だもの。(笑)
もっともスタッフは当初、この2人をカップルにする予定は無かったんではと。
始めは「ヒーローはヒロインと結ばれる鉄則(←この頃は未だ有った)」に則り、クレアはロディとカップルになる案も有ったんじゃないかな?
その根拠に原作者の星山氏はロディとクレアが恋人同士っつうパラレル小説を書いており、ビデオのおまけのパラレルミニ短編ではカチュアを加えたトライアングル関係を描いとった。(笑)
スコット役を演じてた鳥海勝美氏も、クレアは最終的にスコットをふって、ロディと恋仲になるんだと考えてたらしい。(←おいおい)
だが結局そうはならずクレアはスコットと纏まる形に…話が展開してく内、無理を感じて諦めたのかも。(笑)
それとクレアがヒロイン降格したってのも大きい…この件についてはまた改めて。
この回惜しむらくは作画、担当したアニメーターさんの絵は良く言えば個性的で直ぐ判る、てゆーかテロップ確認した限り原画を独りで描いてるもよう…だとしてむしろ褒めるべきかも。(汗)


★第20話「立てスコット!リーダーはきみだ」脚本○ 演出○ 作画△ 総合○

ジェイナスがタウト星に辿り着く為には、前方に立ち塞がる中継ステーションを突破しなければならない。
加えて突如敵が開始した不正確なビーム攻撃も有り、スコットの苛々は頂点に達していた。
「いっそ先手を打ってステーションを爆破しちまおう」とロディやバーツが進言するも、慎重派のスコットは「危険が多過ぎる」と首を横に振る。
彼を納得させる目的でステーション爆破のシミュレーションを行うロディとバーツ、作戦に加わるケンツとマキ。
出た結果は納得させるに不十分だったが、スコットに見せようと携えて来る4人。
だが碌に眠らず居たスコットの精神と体はボロボロで、とても話が聞ける状態ではなかった。
苛立ちを剥き出しにして喚くスコット、「皆どうして勝手な真似ばかりするんだ!!どうして僕の言葉を聞いてくれないんだ!!」、唖然とする皆の前で、彼は遂に倒れてしまう。
原因は過労から来る発熱だった、直ぐに医療室へ運ばれ、安静に寝かされるスコット。
ロディとバーツはクルーの中で最も冷静なカチュアにキャプテン代理を頼み、中継ステーションヘの攻撃を開始する。
ステーションの破壊には成功したものの、その帰路に敵軍から猛攻撃を受け、苦戦する作戦チーム。
不慣れなカチュアの指揮が、戦況を更に混乱させる。

その頃医療室で目を覚ましたスコットは、泣きながら心情を吐露していた。
「皆が好きなんだ…もう誰も死なせたくない…!」、彼の思いを聞いて宥めるクレア、「もう少し休んだ方が良い」…しかしそこへ危険な戦況を伝える放送が入る。
カチュアの指揮を耳に入れたスコットは、直ぐにブリッジへ駆け付け、替って指揮を取る。
彼の活躍のお陰で無事危機を回避出来たロディ達は、ヘトヘトに疲れて帰還した。
「今回ばかりは駄目かと思った…」、呟くロディとバーツの前に、2人を出迎えるスコットの姿。

「無事で良かった…だが『他に策が無かった』なんて言わないでくれよ!僕はこんな危険な作戦、二度とゴメンだからな!」

その言葉を聞いた2人は、やはりスコットこそリーダーに相応しいと再確認する。

その頃ブリッジに居るカチュアは、戦闘中カーゴルームから妙な波が出てるのに気付いた事を、スコットに至急知らせるべきか悩んでいた。
察したシャロンが呑気に声を掛ける。

「気にすんなよ、今の所害は無ェんだし♪」


(感想)…此処で物語最初から敷き続けた1つの伏線が漸く解消されました。(笑)
始めは最年長ってだけでリーダーに任ぜられるも、今一馴染めずに居たスコットが皆から認められるようなったのに感動。
先ず皆の命を最優先にして考える…だから彼はリーダーに相応しいんだと。
その事を再確認して以来、バーツが彼相手に一歩退がる様なるんですよ。
結果やっと年長男組3人が結束するという…まぁそれには次の話も影響してるんですが。(笑)

他地味に気に入ったのがシャロンの言い様。
キャプテン代理に任ぜられるも自信が無いカチュアは指示が出せず、苛立ったバーツからハッチを開けろと言われ、

シ「『ハッチを開けろ』だと。どうする?キャプテン代理!」
バ「早く開けろォ!!」
シ「はいはい~♪――開けちゃったよ、キャプテン代理!」

…最後の台詞も含めて、ホント好い性格しとるわ。(笑)


★第21話「敵ビーム波状攻撃?僕たちに明日はある」脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

中継ステーションを撃破してから3日後、敵の不正確な遠距離ビーム攻撃は相変らず続いていた。
カチュアは「例のカーゴルームから出ている、謎のエクストラ力線が関係しているのでは」とスコットに話す。
ビーム攻撃はエクストラ力線が確認されたのと同時に始まってるというのが、彼女の見解だった。

その頃RVの整備を終えたバーツとロディはバスルームでシャワーを浴びていた。
だが一緒に整備していたケンツは何故か入って来ず、誰も居なくなってから浴びようとするのを見て2人は不思議に思う。

ロ「そういやあいつ、今迄俺達と入ろうとしないな」
バ「尻尾でも生えてるとか♪」

少年2人笑って交わした冗談を、洗濯しに来たシャロンとペンチが真に受ける。
興味を持った少女2人はケンツの風呂を覗き、尻尾が生えてるかを確認しようと企んだ。

シ「なんだ、あいつのちっちぇーな」
ペ「あ…あれ尻尾じゃないわよ!(赤面)」

――とその時、敵ビームが掠って船体が揺れた。
慌てて風呂から飛出すケンツ、その時覗いてた乙女2人は見てしまう。
ケンツの秘密…それは尻尾ではなく、未だ尻に青痣が有る事だった。

その頃スコット・カチュア・ジミーは、カーゴルームから発するエクストラ力線を調査していた、そこへバーツとロディも加わる。
ジミーが言った、「この前と遺跡の様子が違っている」と…不思議にも遺跡の周りに生えてた筈の苔は枯れていた。
スコットが調査した結果、エクストラ力線は遺跡から放射されてる事が判明した、だが理由は結局判らず終い。
一旦お開きにしてブリッジに戻ると、ケンツが姿をくらました事で騒ぎになっていた。
斯く斯く然々訳を聞いたクレアは、「女の子が覗きなんてはしたない」と怒り、スコットも彼女に同調した。

ス「少しは他人の気持ちを考えろよ!誰だって知られたくない事が有るだろ!」
シ「だって他人の秘密って面白いじゃん!」

全く悪びれず言うシャロンを厳しく睨むスコット、その迫力に押され、流石の彼女もケンツに謝る事を約束する。
話はそこでビーム攻撃に移り、船外に出て外壁の調査をしたマキの報告から、当っても大して損傷を負わない事が判明した。

バ「またやられたら、ちょっとしたトラブルは有るかもしれねーぜ」
ス「トラブルって?」
バ「ドアが開かなくなるとか、そんな程度の故障だよ!」

取敢えずは一安心、そこへクレアから昼食の用意が出来たとの知らせを受け、食堂に集まる皆…だがケンツは姿を見せないままでいる。
此処に来て心配になったシャロンとペンチは探しに行こうとするが、「お前らだと却って喧嘩になる」とロディに止められ、彼に捜索を任せる事にした。
更にバーツとジミー、ペンチを気遣ってフレッドが捜しに向う――「大丈夫!ケンツの奴解ってくれるよ!」、ペンチを力付け出て来たフレッドは、尋ね人を倉庫の中で見付ける。
「皆心配してるから早く戻って来いよ」と告げるフレッドに、「倉庫に面白い物が有るから見に来いよ!」と誘うケンツ。
彼の言う面白い物――それは大量に積まれたエロ本だった――真っ赤になって慌てふためくフレッド。

ケ「いいか!?誰にも言うなよ!男と男の約束だぞ!!」
バ「ほほう、『男と男の約束』ねェ…」

そこへやって来たバーツに見付かり、事件は加速して転がり始める。

さて食堂に戻ったケンツは、皆の注目を浴びつつ、黙々と食事をしていた。
ペンチがお詫びの意味で自分の分を差出す、シャロンも謝りついでに慰める、だがその慰めは却って彼の怒りの炎に油を注いだ。
忽ち喧嘩になる2人、そこへジミーがケンツの腕を引っ張り、外へ連れ出す。
2人っきりの場でジミーは己の尻を見せた――そこにはケンツと同じく青い痣が――同じ痣を持つ者同士、固い友情の握手を交わすのだった。

一方食事を終えたバーツは、ロディを連れて倉庫へ向う、目的は勿論エロ本、「ほぅら、こういうの好きなんだろォ?」、「バ、バカ言え!」と否定するも、熱く滾る血潮は止められない、我を忘れてエロ本を読み耽る男2人。

一方フレッドから居場所を聞いたスコットは、倉庫へロディとバーツを捜しにやって来た。
スコットの声を聞いて慌てる2人、しかしバーツが或る企みを思い付く。

ス「お~~い!ロディーー!バー…………ツ」

彼が目を留めたそこには、1冊のエロ本が観音開きになって落ちていた。
すかさず前後左右確認、忍び足で駆け寄り、手に取って見る。
その光景を物陰に潜むロディ&バーツが、含み笑って観察していた。
気付かず読書に没頭し出すスコット、悪戯が成功して笑いながら出て行く2人。

――とそこへ第2の衝撃が船を襲った。

「いかん…ついうっかりしてしまった」

強震で正気に戻ったスコットは、ブリッジに戻ろうと出入口を振り返り気付いた――今の衝撃で扉が閉まって開かなくなった事に。

一方ブリッジに戻ったロディとバーツは、クレアからスコットの行方を知らないか尋ねられた。

ク「貴方達を捜しに出たのよ…会わなかった?」
バ「おい…!あいつまさか、あのまま……」

犯人2人ヒソヒソと話してるそこへ、件のスコットから連絡が入る。
曰く「ビームが当った衝撃で倉庫の扉が開かなくなり閉じ込められてしまった、ロディとバーツに助けに来るよう頼んでくれ!」…連絡を受けたクレアは、その妙に焦った口調と共に、何故2人に限定するのかを不審に思いつつ、指名された男達に伝えて救出に行って貰った。

その頃倉庫に閉じ込められたスコットは、2人が救出に向った事を聞き、ホッと安堵していた。
しかし手に持つエロ本に目が止った瞬間、このままでは非常にヤバイ事に気付く、慌てて振動で大量に転がったエロ本を隠してるそこへ、第3第4の衝撃が船を襲った――エロ本雪崩に埋められるスコット。
悲鳴を聞いて駆けつけたロディとバーツは、エロ本の山に囲まれ、ばつが悪そうに笑うスコットを発見した。
懸命に言い訳を考えるスコットに向い、姦計に嵌めた2人が笑って言う、「男の子、男の子!」――再びエロが結ぶ男の友情だった。
そこへ間の悪い事にシャロンがやって来る。

シ「へー!男は女の裸を見ても良いんだァ!」

「皆に言触らそう♪」とはしゃいで言うシャロンに、スコットが「内緒にしてくれ!」と必死で頼む。
意外にもシャロンは彼の懇願を聞き入れ、皆には黙ってる事を約束してくれた。
しかし以来スコットは、シャロンに弱みを握られ、苦労する破目に……。


(感想)…「バイファムで最も笑った話は?」と訊かれたら、恐らく1番に挙げられるだろう爆笑感動巨編。
「エクストラ力線」が話の本筋と見せ掛けて、その実「青尻」や「覗き」や「エロ本」が繋ぐ友情こそメインだという。(笑)
この話以降シャロンとペンチは仲良くつるむ様になった。
ジミーとケンツも和解し、特にケンツはジミーを気に入る様になった。
そしてロディとバーツとスコットの仲が固い絆で結ばれた。
親しくなるまでの経緯を知ってるからこそ、観ている方もキャラ同士の仲に納得出来るという。
奥深い演出に「天晴れ」を差し上げたい。

平野脚本で網野演出で芦田作監で、しかも原画に西島・渡辺、動画を近永・山内が担当…と来れば神回になるのも当然。(敬称略)
全編細かい所まで描かれていて楽しいったら。
挙げればバーツの珍しく下ろしてる前髪とか(シャワー浴びたから)、電車ごっこしたり床に落書きしたり(←後で叱られたと思われ)ウィンナーを巡って争ったりするマルロ&ルチーナとか、ケンツを捜しに出るまでのやり取りとか、ロディを誘って食堂を出て行くバーツを見るフレッドの焦点が合ってない目とか、エロ本を眺めるロディとバーツのリアル過ぎる表情とか…てゆーかあの本誰の所有物ですか?(笑)
聞いた話じゃあそこは本来艦長室で、つまりは艦長のコレクションだとか…あっさり殺された上、そんな疑いを掛けられる艦長があんまり可哀想です。(泣笑)
お色気担当のケイトさんが死んでしまい、潤いを求めたスタッフが考えた苦肉の策だったのでしょう、きっと。(笑)
ちなみにこの回でケンツが発掘した艦長服は、次回への伏線に活かされます。(細かいな~)
マルロとルチーナから「何でお尻が青いのか」訊かれ、マキが「きっとトマトと一緒なのよ。小さい頃は青いんだから!」と答えたのは名台詞だったと思う。
その後に言ったジミーへのフォローも含めて、この回のマキも地味に好い感じなのです。
しつこくもう1つ…倉庫でオルゴールを見付け、音色に聴き惚れるフレッド…何となく印象的で好いシーンに感じられた。

そんな訳で要必見!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀河漂流バイファム感想その5

2008年11月07日 20時40分16秒 | 漫画&アニメ
シャロン・パブリン…2047年9/10生まれ、11歳、B型。(↑)
自分の事を「オレ」と呼ぶ、開けっ広げでマイペースな少女。
己の気分優先で行動する性質から、人間関係を掻き乱す事にかけては超一流、特に正反対の性格であるペンチとは当初敬遠の仲だった。
しかし或る事件を切っ掛けに親しくなり、後半は一緒に組んでる姿を頻繁に見掛けた。
意外にも(?)寝相は頗る良く可愛い物好き、好んで着用してる苺パンツは寝てる時は履かないそうな。
意識はしていないがケンツが好きで、彼に何時もちょっかいを出していた。
彼のトレードマークのレッドベア(赤い熊)は、彼女が描いてやった物である。(ケンツ曰く「威厳が感じられない」)
手先が器用でジャンク品工作が得意、身長の足りない年少組でも戦闘可能になったのは彼女の功績が大きい。
一方戦闘は苦手で(誰も得意でやってた訳じゃないだろうが…)、砲座に座った際に「来るな!来るな!」と言いながら撃ってたのが印象的だった。
ぶっきらぼうを気取りつつ年下には優しい性格、最年少のマルロ&ルチーナの(世話をしてたのはクレアだが)相手を最もしてたのは彼女である。
母親はスペースダンサーで、父親は本人曰く「替ってばかし」だとか。
風船ガムを膨らましたり、サスペンダーを弾くのが癖。
後、ニンジン、タマネギ、ピーマンが嫌いらしい。



★第16話「総員援護体制!カチュアを連れもどせ!」 脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

ベルウィック星第2ステーションを出発して18日目、スコットは皆を食堂に集め、このまま地球へ向かうか、それとも囚われの両親を救うべくタウト星に進路を変えるか、どちらかを選択するよう言った。
一旦航路を変更すれば元に戻すのは困難、だからこそ全員が納得するまで話合うべきだ…スコットの説明を聞き真剣に悩むも、皆の思いは既に一致していた。

――囚われの両親を助けに、タウト星へ向う。

満場一致で会議を〆ようとした寸前、シャロンが口を挟んで来た。

シ「未だ聞いてないヤツ居るじゃん」
ス「今作業中のロディとマキの事か?2人の答は既に聞いてある。皆と同じく『タウト星に向う』方を選んだ」
シ「違うよ!カチュアだよ!」

彼女の名前が出た途端、顔を強張らせる皆。
空いたままの席に視線が集中する…彼女はこの会議に参加していなかった。

ケ「あいつの意見なんて訊く必要ねェよ!もし訊いて、あいつまで『自分の両親の所へ行きたい』なんて言ったらどうすんだ!?あいつは異星人なんだぞ!――敵の所なんかに行けるか!!」
ジ「カチュアに訊かなきゃ解らない!!」

カチュアを巡って再び険悪になるケンツとジミー。
話が拗れる雰囲気を覚ったスコットは、一旦会議を〆る事にした。

その頃カチュアは独り展望室で泣いていた。
「ケイトさんはああ言ってくれたけど…やはり此処には居られない…だって私は異星人で、皆にとっては敵だから…」
悩みぬいた末カチュアは、ジェイナスから出る事を決める。

一方ケイトも独り自室に篭って思い悩んでいた。
「子供達にしてみれば両親に会いたいのは当然…でも救出なんて出来っこない!」
ただ独り残った大人として、これまで子供達を保護して来た。
それが大人の責任だから…けれど今子供達は両親を救おうと、敵軍に向って行こうとしている。
戦えば死ぬのは見えてるのに、知ってて向わせるというの?私は一体どうしたら良い?
幾ら考えても答が出ない事に苛立ち、つい酒瓶に手が伸びてしまう。
そんな彼女の胸に蘇る、あの時のロディの言葉。

「酒で自分を誤魔化さないで下さい!――皆仲間じゃないですか!!」

伸ばした手が止り、彼女の唇が綻んだ。

その頃ブリッジでは、格納庫に在る小型艇の発進口が突然開いた事で、騒ぎが起っていた。
まさかカチュアが!?――嫌な勘が走り、艦内に確認を取るロディ――予感は的中した。
スコットとロディがケイトの元へ、カチュアがジェイナスを出た事を伝えに走る。
知らせを聞いたケイトは、自分が彼女を連れ戻そうと決断した。

「責任よ、これは大人の!子供なんかに負けてられないわ!」

晴れやかな顔で告げるケイトに、ロディは笑顔で返した。
カチュアを連れ戻しにケイトがパペットファイターで、その護衛役にロディがバイファムに乗って出撃。
操縦席に座ったケイトがロディに語りかける、「もう、お酒に逃げたりしないわ」と。

その頃ジェイナスでは、ジミーとケンツが再び激突していた。
カチュアを追出したのはケンツだとジミーが責める。
俺は悪くない、向うが勝手に飛出したんじゃないかとケンツが叫ぶ。
仲裁に入ったバーツはジミーの涙を見て、彼の譲れない思いを知るのだった。

その頃飛出したカチュアは、何処へ行ったらいいか判らず、独り操縦席で泣いていた。
両親は死んでしまった…ジェイナスには戻れない…自分の行くべき所が見付からない…。
胸に去来するジェイナスの仲間との楽しかった日々…でも異星人の自分は二度とあの輪に入れない…。
悲しみに暮れていたその時、レーダーが近付く敵の姿を捉えた。
急いでジェイナスに知らせようとして、ふと思う――自分だって「敵」なのに…そんな自分が教えなくても、ジェイナスだって直ぐに気が付くだろう。
更に思う…このまま近付く「敵」と自分が出くわせばどうなるか?自分は向うと同じ異星人、けどきっと向うからも「敵」に見られるだろう……気付いた彼女の胸に恐怖が宿った。

その頃ケンツは独りジェイナス艦内の遊歩道で考え事をしていた。
遊歩道はコンピューター制御で1日の自然風景を映し出す仕組になっている。
それは人間のメンタリティーを考慮してプログラミングされた物だった。
人工の夕空の下悩む彼の元へ、シャロンがやって来る。
彼女は言う、「オレさ、偶にこやって空観に来るんだ…人工だって知ってても…なんか落着くんだよな…」、言い辛そうにしている彼女だったが、ケンツには何を言わんとしてるか解った。
シャロンは尚も続ける、「オレさ…思うんだ。あのコ…自分が異星人だって事知らなかったんじゃねーかなって…」、聞いた瞬間ケンツは怒鳴った、「俺はあいつの事なんか心配してねーぞ!!」と。
憮然として去って行くケンツを、シャロンは笑って眺めていた。

一方カチュアを追って出たケイトとロディは、やっとカチュアの乗る小型艇の姿を捉えた。
ケイトが通信でカチュアに戻って来いと説得する、しかし彼女は聞かない、自分に構わず早く逃げろと…敵が近くに居るのだと――通信を聞いたスコット達が緊張する。

カ「私なんかもうどうなってもいいの…!!」
ケ「だったら何で皆に『敵』の事を教えたの!!――カチュア!!意地を張らずに戻って来なさい!!大人の真似なんてしないで!!」

恐怖と自棄でパニックを起すカチュアを諭し、ロディと共に彼女を敵の襲撃から守るケイト。
懸命な説得を聞き入れたカチュアがジェイナスに戻って来るのを知り、喜びに沸くブリッジ、そこへケンツが現れ檄を飛ばした。

「皆何やってんだよ!?早く援護してやらねーと、あいつらやられちまうじゃねーか!!」

意地を張り通していた少年の絶叫を機に、一致団結して援護体制に移る皆。
スコットが指示を飛ばし、バーツがネオファムで出撃、ケンツも砲座から援護する。

ケ「皆早く戻って来い…!!」

カチュアを先に戻らせ、敵と奮戦するロディとケイト。
後少しで帰還しようとした所で――ケイトの機体が被弾した。
ケイトの悲鳴が轟く、隣に居たロディも叫ぶ、激しく炎を噴出し、徐々にコースから外れて行く機体。
最早助からない事を覚悟したケイトは、救出しようと追って来るロディを制止し、子供達に向い最期の言葉を伝えた。

「いい事、皆、助け合って行くのよ!今迄だってそうして来たでしょ!?
 異星人だから敵、そんな考えは私達大人だけでいいの!真似しちゃ駄目!
 カチュア、今迄通り上手くやって行けるわ!皆仲間なのよ!
 失敗を恐れないで、自分達が正しいと思った事を、迷わないで精一杯頑張るのよ!きっと会えるわよ、御両親に!
 楽しかったわァ…皆と知合えて…有難う、皆!

 ……ロディ…貴方は素敵よ…少し大きくなったら、一緒にお酒を酌み交わしたかったわね…。
 フフフ…自分を誤魔化すお酒じゃなくて、楽しいお酒をね……」

どんどん遠ざかるケイトの機体…暫くして暗闇に光が閃いた。
子供達は息を呑んでそれを見詰め、ロディは帰らぬ人の名を絶叫するのだった……。

「ケイトさァーーーーん……!!!!」


(感想)…この作品に登場する大人は子供を生かす(活かす)為に在る。
解ってはいた事だけど……衝撃は小さくなかった、ケイトさんの最期に流れるBGM、ずばり『鎮魂歌』っつうタイトルなんすが、今でも曲聴いただけで泣けます。
スタッフの間でもケイトさんは人気が高かったらしく、だから此処まで生かされたんじゃないかなと…監督曰く死んだ後も「霊にしてくれ」と脚本家に頼んだらしい。(笑)

この回はシャロンに注目だなー、彼女としては悪気が全く無く、「凄い秘密を知ったから言って廻っただけ」ってトコだろうと。
ただ予想以上に大騒ぎになって、ケンツが悪者みたくなっちまったのは悪かったなと…反省はしてるんですよ。(笑)
ケンツはケンツで自分が悪い事言ったと思えない、けど相手だって悪くない…それは解る。
でも自分は悪くないのに謝るなんて納得出来ない…そやって悩ませる切っ掛けを与えてしまった責任を感じて、彼女なりに話をしに来たのかもしれない。
お互いカチュアを嫌ってる訳じゃなく、素直に言えば「戻って来て欲しい」のだし。

最期のケイトさんの言葉は彼女の大人としての責任…亡くなるまで散々悩んでた姿を知ってるからこそ、心に迫って泣けるのです。
実はケイトさんはビデオ版でゴニョゴニョニョなんですが(汗)、自分の中でバイファムはTVシリーズ1で完結してる作品なんで触れません。


★第17話「さよならケイト、めざせ新たなる目的地!!」 脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

ケイトが死に、ジェイナスには遂に13人の子供だけが残された。
ロディが彼女の自室で、彼女の写真をぼんやり眺めて居た所、皆がケイトの遺品を片付けに来る。
急いで写真を懐に隠すロディ。
「何しに来たんだ?」と機嫌悪く尋ねたロディに、シャロンは全体会議でケイトの宇宙葬をする事に決まったんだと告げる。
会議にロディは参加していなかった。
遺品の周りにカチュアの造った花をいっぱいに詰込んだケースを宇宙へ流す。
見送る子供達はそれぞれに、ケイトへ永遠の別れを告げた。

悲しみに浸る間も無く、子供達はタウト星へ軌道変更の準備を進める。
軌道変更のチャンスは7時間後の1度だけ、逃せば後は無くなる。
全員忙しく立ち働く中、ロディは誰よりも精力的に動いていた。
しかしどうにも様子がおかしい…いっそ殺気立って思えるロディの前に、シャロンがケイトのバンダナを首に巻いて現れた。

ロ「……どうしたんだ、それ?」
シ「良いだろ♪タタミだよ!」
バ「それを言うならカタミ(形見)だろ!」

バンダナを見詰めたまま、ぼんやりと立ち竦むロディ。
明らかに普通じゃない態度を心配し、バーツが少し休めと忠告するも、ロディは聞く耳を持たない。
だがそこへスコットが重ねて忠告した、「キャプテンとして命令する、『休みたまえ!』」と。
切れてロディが突っ掛るも、スコットは退かなかった。

「今の君は普通じゃない。そんな状態でミスでもされたら取り返しがつかなくなる」

憮然として引き下がるロディ…けれど自分でも訳の解らない苛立ちを感じては居た。

ブリッジを出てケイトの部屋を通り過ぎる時、真っ暗な室内に人影を見付けた。
人影はカチュアだった…ロディの耳に、すすり泣く声が届く。
我知らず足が向った、背後に人の居る気配を感じたカチュアが、驚いて振り返る。
部屋の入口に逆光を背にしたロディが立って居た。

「………此処で何をしてるんだ?」

表情は見えないが、響く声は険しい。
怯える様に後ずさるカチュア。
それを許さず、傍に寄って肩を強く掴んだ。

ロ「何故君はあの時飛出したりしたんだ!?何故異星人だったりしたんだ!?何故――」
ジ「カチュアをいじめるなァァ…!!!」

何時の間にか近付いたジミーに足を殴られ、漸く我に返る。
慌てて手を離し、泣きながら部屋を出て行く彼女、それを追ってくジミーを、ロディは呆然と見送った。
彼女に罪は無い…解っていた筈なのに、思わず責めてしまった…彼女だって罪の意識に苛まれ、苦しんでるというのに…ロディの胸が罪悪感に満たされる。
机に置いてあった酒瓶に手が伸びた、それは生前ケイトが口にしていた物、一口含んだ途端激しくむせた。
そこへシャロンが「大きな宇宙船の破片みたいなのが流れて来る」と知らせに来る。

ブリッジに駆けつけたロディに、バーツやスコットが計画を説明した。
「衝突する前にバーツとケンツが行って、爆弾で軌道を変更する。」
話を聞いたロディは自分も志願する。
バーツやスコットに引止められるも、彼は断固意思を曲げようとせず、折れたスコットは出撃の許可を出した。
その頃、コンピューターは微弱な熱反応を計測していた…。

RV3機で廃船に向い、ロディが内部に時限爆弾をセットして廻る。
これで後は離れて待つだけ――だが廃船の内部に敵が3機隠れていた。
その内ジェイナスに向かった2機をバーツとケンツが、残り1機は廃船内でロディが相手をする。
早く離れないと爆発に巻き込まれてしまう、ブリッジでスコット達が心配するも、出撃した誰1人戻って来ない。
3人の身を案じたカチュアが小型艇に乗って救助に向う。
その頃バイファム(ロディ)は激しい格闘の末敵メカを倒したものの、破片に挟まり身動きが取れずに居た。
仕掛けられた爆弾が爆発するまで残り時間後僅か、自分を救出しに来たカチュアをロディは必死で止める。
「俺の事はいいから早く逃げるんだ!!…俺が言った言葉を気にしてるなら謝る!!済まなかった…あの時の俺はどうかしてたんだ!!君は何も悪くない…!!」
どんなに説得するもカチュアは逃げようとせず、あわや爆発寸前彼女の機転でロディは窮地を救われ、苦戦していたケンツも無事帰還する事が出来た。

船に戻ったロディがカチュアに礼を言う、「有難う、君のお陰で助かった!」と。
ケンツもぶっきらぼうながら彼女に礼を言った。
その時ロディの懐から1枚の写真が落ちた――ケイトの写真だ――拾ったバーツがロディに渡して言う。

「ほらロディ…『タタミ』だぜ!」

笑顔で受け取るロディ、そこへシャロンが労いに来る。
ロディはシャロンに、ケイトのバンダナを大事に持っているよう言う。
戻って来たロディにフレッドが朗報を伝えた。

「兄さん!無事タウト星への軌道変更に成功したよ!」


(感想)…この回のロディの行動はとても主人公らしいものじゃないんだけど、人として気持ちが良く解るのです。
彼女のせいではないと理性で解っていても、感情がそれに反して責めずに居られない…リアルに考えられる状況だと思うよ。
それでもジェイナスに居続けたカチュアは偉い、最終回まで観てると本当、彼女は1番人間が出来てて偉かったなと。
命を賭してロディを助けたのは、もうこれ以上自分の前で、人が死ぬのを見たくなかったからでしょうねー…。(泣)

偉いと言えばジミーも…弱冠7歳ながら、彼には敵とか味方とか考える前に、1番大事なものが見えている。
己の大事なものを守ろうとする彼の姿にも感動した回でした。

他注目すべきシーンは、廃船の中で繰り広げられた、ロボ同士のプロレスファイト。(笑)
プラレス3四郎も度肝を抜かれる様な必殺技の応酬に、全国のメカフェチが絶賛の嵐。
描いたアニメーターさんは偉大だ!(笑)
ちなみにこの回の原画担当者は神志那弘志氏、只野和子氏、西島克彦氏、渡辺浩氏…他動画に山内則康氏が居る。
今集めたら豪華アニメーター勢揃いっつって、全アニメファン大注目になるでしょうな。


★第18話「落書き天国、キャプテン自信喪失!?」 脚本○ 演出△ 作画○ 総合○

航路変更後3日、子供達は慣れないオペレート操作に四苦八苦していた。
お陰で最年少のマルロとルチーナは放っとかれ、退屈で仕方ない。
艦内を体験して廻り、壁に落書きしたり…終いには火災報知器のスイッチを押し、皆を慌てさせる。
だがその悪戯によって、未発見の格納庫が在る事が判った。
中からウェア・パペット(宇宙用パワードスーツ)用のニュートロンバズーカが見付かりケンツは大喜び、こっそり自分の物に決めてしまう。
そんな訳で叱るのは止そうじゃないかと話す年長組の中、キャプテンのスコットだけは幼い2人に厳しく説教するのだった。
「もしも火災報知器の判断を鵜呑みにして室内の酸素を除去していたら君達は死んでたんだぞ…!」
落書きにまでお叱りが及んだ所で、ロディが或る1案を提示した。

ロ「なぁスコット、7階の壁に限り、『落書きエリア』に指定したらどうかな?誰だってムシャクシャする事が有るだろ?そうしたら良い気晴らしになると思うんだ」
ス「しかし美観が…」
バ「おーおー、美観と来た!」

スコットのみ渋るも他年長組全員、満場一致で賛成可決。
喜んでペンを手に出て行くマルロ&ルチーナを見ながら、ロディやクレアやバーツは「自分も幼かった頃は悪戯ばかりしていた」と思い出話に花を咲かす。
それを聞いて「実は自分も…」と告るスコットを、3人は一斉にからかうのだった。

さて心置きなく落書きに勤しむマルロ&ルチーナだったが、ケンツから「皆忙しいんだから、お前らも何か仕事しに行って来い!」と説教され、食事当番のペンチの元へ手伝いに行く。
話を聞いたペンチは快く2人に手伝いを頼む、しかし誤って自動調理器に133人分セットしてしまった事に気付かず、彼女は2人に食材をセット分用意させた。
結果自動調理器から続々と吐き出される133人分のビーフシチュー。

フ「大変だ!!キッチンからビーフシチューが溢れてる!!」
マ「今度はキッチンかよ!?皆よくやってくれるよ!」

止めはニュートロンバズーカを手に入れたケンツだった。
シャロンに協力させ、独断で船外試射を始めた彼は、反動からバズーカをジェイナスにぶつけてしまう。
激しく振動するジェイナス、テーブルから滑り落ちるビーフシチュー。
スコットの「貴重な食料を死守しろ!」の命令に、必死でシチューを守るジェイナスクルー(特にジミー)。

騒動が収まった後で、ペンチは自分のセット・ミスに気付いた。
しかし正直に言い出す事が出来ず悩む。
一方スコットは相次ぐトラブルに、キャプテンを続けてく自信を失ってしまった。
もうキャプテンを止める…皆を前にそう言い掛けた時、ペンチが艦内放送で自分の失敗を告白した。
ペンチが悪い訳じゃない、皆仕事が多過ぎて疲れてるんだ…泣いて居る彼女の元に集まった全員が話すのを聞き、スコットは言葉を呑込んでしまう。
その後気分転換を目的に、皆はディスコ大会を開いた。
楽しく彼らが踊る一方、真面目なスコットは「これで本当にタウト星に行けるのだろうか?」と、ひたすら苦悩するのだった……。


(感想)…どん底に暗い話が続いてましたから、観ていて救われるよな明るい回でした。(笑)
遊んで居ながらちゃんと次回へ続く伏線を色々貼ってるのが偉い…ニュートロンバズーカとか自信喪失するスコットとか。
落書きプロムナードやシャロンの描いたレッドベアマークなんかもそうだけど、これは最初から狙って出した物じゃなかったろうな。
17、18話共に平野脚本で会話のテンポが頗る宜し、特にロディとバーツの会話には笑った。
マルロとルチーナを叱りに行く際に――

ロ「俺も行くよ!君だけじゃきつく叱りかねないからな!」
バ「優しい男だぜェ、俺は」

と言ってたのが一転、ケンツを叱りに行く時に――

バ「ケンツの野郎~~~!!」
ロ「優しい男じゃなかったのか?(笑)」
バ「相手によるよ!!」

何だかんだでバーツはケンツを可愛がってるなと感じた。(笑)
手の特に懸かる弟の様に思ってたのかも。
しかし軌道が外れてたら叱るだけじゃ済まなかったってぇのに、ルチーナ&マルロの悪戯を聞いて「皆甘い顔してるから駄目なんだ!」とのたまうケンツは良い度胸、正に「お前が言うな」ですな。(笑)
他シチューを3皿スライディングキャッチして受け止めるジミー、ペンチのミスと聞いて精一杯シチューを平らげようとするフレッド等、見所尽くし。
大量のシチューを細々描いた、この回のアニメーターさんも素晴しい。

ただいきなりディスコシーンに繋がる辺り、コンテの時間配分のミスを感じなくもなかったり…担当者鈴○行氏と知って成る程と。(苦笑)
後ブリッジに幼い2人残して皆で踊り捲ってるのは、スコットじゃなくても不安に思うんですが…。(可愛かったけどね)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀河漂流バイファム感想その4

2008年11月05日 20時41分39秒 | 漫画&アニメ
ペンチ・イライザ…2048年11/28生まれ、10歳、A型。(↑)
ロディ&フレッドと同じ学校に転校して来た少女で、趣味は読書と詩を書く事、典型的な文学少女と言えよう。
母親が看護婦だそうで、怪我をした人の看病などお手のもの、また年の割りに料理も上手いらしく、クレアやマキと共に食事当番を引受ける場面を頻繁に観掛けた。
大人しい性格だが芯は強く、当初性格が正反対なシャロンとは犬猿の仲だった。
しかし或る1件で共犯となって以来、親しく付き合う様になる。
フレッドから思われてる事にどうやら気付いてるらしく、自分から迫ってみたり…将来魔性の女になりそうに思えて仕方ない。(笑)
ちなみに意外にも(?)寝相は頗る悪し。
元キャラは『ミンキーモモ』のゲストキャラだったフェアリー。
キャラデザの芦田氏曰く、「思ったより可愛く描けたんで、ゲストで終らせるには勿体無いと考えて」、引き続き『バイファム』のレギュラーに引っ張って来たそうな。(笑)
私の記憶が確かなら、フェアリーだった時に声を担当したのは、シャロン役の原えりこ氏…ちょっとした奇縁である。
放送後出たビデオ版~は、眼鏡を装着するようになった…萌え男狙いか!?


★第13話「射撃訓練開始!恐怖の宇宙戦闘初体験!!」 脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

ベルウィック星第2ステーションを出発して6日目、宇宙空間でのRV操縦法マニュアルを見付けたロディ&バーツは、早速試してみようとスコットにRVの船外活動許可を願った。
最初渋っていたスコットだが、命綱を付けて船外に出るのならOKと、2人に許可を出す。
張り切ってロディはバイファムで、バーツはネオファムで出撃、丁度その頃マキも独断でパペット・ファイター(宇宙用小型戦闘機)の操縦を試そうとしていた。
初めて体験する宇宙生活に、子供達は何処か気持ちが浮立っている。
これから何が待ってるのか判らないっていうのに…リーダーを務めるスコットには、皆の明るさが不安で仕方ない。

一方ケイトは自分に宛がわれた部屋に篭り、謎の遺跡の分析を続けていた。
「植物の成長を促進させる機能が備わっているという事は…遺跡が運び込まれる以前のクレアド星は、植物の生えない不毛の惑星であったとの推論が立つ。
 しかし私達が調査に入った時、クレアド星は緑生い茂る豊かな惑星だった。
 あの遺跡が地球外生命体により建てられたのは間違い無い、という事は地球人が入植する以前から、クレアド星には異星人が先住してたのも間違い無いだろう。
 だけど…それなら何故、無人だったのか?」
悩みながら熱操作反応を分析した結果、クレアド星は過去に核汚染を受けていた事を突止める。
「という事は…あのクレアドは、先住した異星人の手により1度核汚染され、そして異星人の手で再び自然を再生された星…!?」

一方宇宙空間に初めて出たロディは、その無限さを実感していた。

「……広い……吸込まれそうだ……」

正に天地無用、縋る物なぞ有りもせず、ただ頼りなく漂うだけ。
果てしない夜が自分達をすっぽり包み込んで思える。
バーツに声をかけられるまで、ロディはジッと遥かに在る光を見詰めていた。

その頃ブリッジでは、同室となったペンチとシャロンが、パンツを巡って諍いを起していた。

シ「何で人のパンツ勝手に洗うんだよ!?」
ペ「だって貴女、下着ずっと履いたままで、洗ってないでしょ!?」
シ「しょうがねーだろ!!アレ1枚っきゃ無ェーんだから!!それにずっと履いてる訳じゃねーよ!!寝る時は脱いでるだろ!!」
ペ「だから尚更問題なんじゃない!!」

正反対の性質である2人は、何かと衝突を繰り返していた。
途切れる事の無い明け透けな女の子会話に辟易するスコット。

その頃ロディとバーツは当初の企み通り、こっそり命綱を切り離して射撃訓練を始めていた。
気付いたスコットが勝手な真似をするなと怒ったそこへ、タイムリーにも敵が襲来――全員に緊張が漲る。

「まさかもう、戦闘なのか…!?」

未だ訓練を始めたばかりで実戦に入ればどうなるか?
ロディ達の胸に恐怖が沸き起こる。
ブリッジに駆け付けたケイトは、自分達は民間人で応戦する意思が無い事を敵側に通信する。
だが何時までも応答は返って来ない、そうこうしてる内に2体の敵メカがジェイナスに接近。
諦めず通信を試みるケイト、スコットもギリギリまで待てとロディ&バーツを制止する。
しかし堪え切れなくなったバーツが発砲、それを皮切りに遂に始まる戦闘。
とは言え訓練したばかりの腕前では敵う筈も無い。
呆気無くバーツの機体が被弾、ロディは単身で立ち向わねばならなくなる。
兄のピンチにブリッジで泣き叫ぶフレッド、そこへ密かにパペットファイターの操縦訓練をしていたマキが出撃、ケンツとシャロンも砲座から援護する。
こうなっては最早止れない、スコットも腹を括って指示を飛ばした。
各々無茶苦茶な攻撃ではあったが、必死さの勝利か辛くも敵メカを撃退した子供達。
何とか全員無事ジェイナスに帰還を果たした後…彼らは宇宙を漂う敵船の残骸と擦れ違った。

ロ「まるで幽霊船だ……」

「何時かは自分達の船も…」、子供達の胸に不安が迫る。
「そうさせない為に、自分が強くならなくちゃいけない」と、ロディは意を決するのだった……。


(感想)…やっとタイトル通りに銀河漂流開始、冒頭ナレーションに代ってスコットが航海日誌を読上げる形に。
このアイディア、ナイスだったと思う、お陰で「主役は子供達」というコンセプトが、より明確に感じられるようなったなと。
そしてこの回から漸く戦闘らしいシーンが登場するという。
これまで10、11話でチョロッとやった位ですからね…11話の場合ロボに乗らずに撃破だし。
まったくロボットアニメらしからぬ展開ですな(笑)
普通の子供達が自分の身を守る為に仕方なく戦う破目になる。
そうなるまでの展開を、これだけ丁寧に見せてくれたスタッフは偉い。

この回でもギリギリまで戦闘を回避しようとする。
自分達は民間人だと必死に訴えるも、敵は非情に突っ込んで来る。
恐怖を堪え切れずバーツが撃つまでの緊張感、パニックに陥るブリッジの様子が凄まじくリアル。
現実に起きたらそうなるだろうなと感じずに居られないんですよ。
砲座に着いたシャロンの方へ敵が向って来て、「撃たなきゃやられるぞ!」と思っても、撃てなくて硬直するトコとか。
唯一リアルじゃないとしたら、辛くも勝利する所ぐらい?…けど勝たなきゃ話そこで終っちゃいますから、それは仕方ない。(笑)

そしてペンチとシャロンの諍いは次回への伏線。
実は私がバイファムで1番好きだったキャラはペンチで、1番好きなコンビはペンチ&シャロンだったり…2人の間柄って何となく『ダーティペア』のユリ&ケイに似て思えない?髪の色や型も似てるし。(笑)
まぁでも『バイファム』で特別好きなキャラは居なかった、皆好きで…敢えて挙げるならスコット・ペンチ・フレッド・ケンツかなー。
ペンチの何が好きって、幼くして女の強かさを持ってるトコ、そーゆー奥深い女の子が自分は大好きなのです。(ユリとか響子さんとかナミとか)(笑)


★第14話「敵のスパイか!?舞いこんだ謎の逃亡者」 脚本○ 演出○ 作画○(←ちと野暮ったいが) 総合○

宇宙での初戦闘を体験するも、地球へ向うジェイナスの旅路は順調だった。
スコット苦心の作「当番表」も完成し、集団生活が上手く滑り出した或る日、ペンチが書いた詩をシャロンが勝手に読み上げるという事件が発生。
ペンチは恥かしさから泣き出してしまい、彼女が好きなフレッドはシャロンを強く非難する。

カ「あまり、人の嫌がる事はしない方が良いと思います」
シ「…だから女は嫌いなんだよ!」

カチュアからも咎められ、すっかり不貞腐れてしまうシャロン。
とまぁそれなりに平和だった生活の中、救難信号を発する小型船が流れ着いた。
正体が知れないとはいえ放っとく訳にもいかないと、ジェイナスに収容する彼ら。
小型船に乗っていたのは瀕死の重傷を負った男であった。
直ぐに集中治療室へ運ぶ途中、意識を取り戻した男は、カチュアの姿を目にした途端、何故か驚いた顔を見せる。
そして男を治療したケイトは、何処か地球人と違うように感じていた。
男性に父の面影を見たペンチが看病を買って出る。

ペ「ママは看護婦だったの。私も何度かお手伝いをした経験が有るわ。…あの人のお髭、パパに似てるの。悪い人じゃないと思うんです」

男に父親の影を重ね懸命に世話をするペンチの姿を見て、彼に助かる見込みが無い事を告げられず苦悩するケイト。
その頃ケンツは男の正体を敵側のスパイじゃないかと疑っていた。
病室の外でこっそり見張っていたケンツに気付き、激しく怒るペンチ。
しかしタイミング悪く男が逃げ出そうとしたのを知り、ケンツは益々疑いを濃くする。
またロディやバーツも不審を感じる様になって行った。
それでもペンチは強く否定し、病室から皆を出て行かせる。
意識が回復した男の前で、ペンチは両親を思って書いた詩を読み聞かせる。
だが男の関心はカチュアに向けられていた。
カチュアの生立ちを頻りに尋ねる男に、ペンチは嫉妬の念から憤りをぶつける。

ぺ「そんなにカチュアが好きなら、2人でお話すればいいでしょ!」

泣きながら病室を出るペンチと擦れ違ったケイトは、男に「あの子は貴方に父親を重ねているのだ」と話す。
そうして彼女が落として行った詩集を、男に渡して読ませてやった。
「…余程両親が恋しいのだろう」
ペンチの気持ちに理解を見せた後で、男はケイトに自分の話を聞くよう願った。

――それは、ケイトに深い衝撃を与える話だった。

その頃食堂に集合した子供達は、案外ケンツの言う通り「男=敵側のスパイ」説が正しいのではと噂し合っていた。
丁度そこへ敵の無人偵察機飛来の知らせ…ロディ&バーツはスコットの指令を受け、発見される前に撃ち落そうと出撃に向う。
その途中、ロディは男が逃亡する場面に遭遇、そのまま案内に連れてかれる。
小型戦闘機に乗って艦外に出た男は言った。

敵が追っているのは自分であると…だから自分が囮になって引き付ける間に逃げるのだと…。
自分の名前は「ラレド」、君達にとっては敵に当る異星人であり、「ククトニアン(ククト星の人間)」であると…。

ペンチが泣きながら止めるも、男は首を振る。
「ベッドで死ぬなら、この方が良い」と…。

ペ「嘘よォ!!!この人助かるのよねェ!?ケイトさん…!!」

だがケイトは沈痛な顔で押し黙るだけだった。
異星人の男「ラレド」は、ペンチが聞かせてくれた詩を褒め、励ました後、独り敵の中へ突入して行った。
レーダーが彼の乗った小型戦闘機の後に続く数機の影を捉える。
暫くして小型戦闘機は忽然と消えた、それを呆然と見守る子供達、ブリッジにペンチの号泣が響いた……。


(感想)…平野氏が脚本を担当したお陰で、この回も会話のテンポが絶妙。
というか粗筋で書き切れなかった部分まで、すんごく見応え有るんで要注目。
一晩懸けて当番表を作成したスコットのシーンから始まり、マルロ&ルチーナに航路の説明を強請られ難儀していたロディがこれ幸いとスコットに擦り付けるシーン、ペンチのナイトを自認するフレッドが断固シャロンに謝罪を要求するシーン、諸々。
カチュアに嫉妬したペンチが、詩の件で慰めてくれた彼女を無視し、シャロンに微笑み掛けるシーンは切ない。
「だから女は嫌いなんだ」と言った事を忘れ、「男には解んねーよ!女の気持ちってのは複雑なんだから!」と180度転換するシャロンには笑った。
食事当番姿のフレッドとケンツが、会話しながら料理するシーンは、ほのぼの可愛い。

マ「今日の当番誰?」
ク「ケンツとフレッドよ」
マ「うへ~!最悪だよ~!」

評価が最悪だった為か、フレッドの当番はこの先も有ったが、ケンツが食事当番する所は、以来見掛けなかった。(あ、でも28話位で非常食作ってたか…)

…とまぁ主筋以外の所でも見せ場の多い回でした。
バイファムで良いなと感じるのは、何時も画面で2人以上の人間が動いている事。
出来るだけそう見せようとするスタッフの心意気が好きだった。

今回個人的に表彰したいのがスコット…徹夜で当番表作ったり、幼いマルロ&ルチーナに解らせようと再び徹夜で図を描いたり…この回の彼、それしかしてないし。(爆笑)
そんな生真面目な彼が私は好きだ。(笑)

ラスト、レーダーだけで男の死を表現した演出にも唸らせられた。
むしろ抑えてある分だけ、心に迫って来るのです…。


★第15話「衝撃!!異星人が残した意外なメッセージ」 脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

ベルウィック星第2ステーションを出発して10日目。
異星人のラレドと密談を交して以来、ケイトは自室に閉じ篭り切りになってしまった。
机の上にはウィスキーの水割りが入ったグラス、吸殻が山積みになった灰皿。
回しっ放しのテープがラレドの言葉を幾度も繰り返す。

「我々ククト人…ククトニアンは、人口の増加により、母星ククトから周辺の星への移住計画を立てていた。
 クレアドもベルウィックも、その内の1つだった。
 始めに民間の科学者達が、調査を兼ねて移住を開始した。
 そこへ地球軍が武力で攻め込み、ククトニアンの科学者チームを殺戮、地球人の入植を推進したのだ。
 事件を機にククトの軍部は宣戦を布告、二星間は戦争状態に突入した。
 だがククトニアンの中にも和平を願う者が居る。
 私もその1人で、地球側とコンタクトを取る事を目的に動いていた。
 どうか私のメッセージを地球側の中枢に届けて欲しい。
 そして一刻も早くこの戦争を終結させて欲しい……

 それと…カチュアと言う娘の事だが――」

明かされた真実は、一個人で負うには重過ぎた。
相談したくとも信頼していたクレーク博士はもう居らず、周りは子供ばかり。

「何もかも…私に押し付けて、勝手に死んじゃうんだから……」

独り悩み続けるケイトは、次第に酒と煙草に溺れて行った。

一方自室から出ようとしないケイトを、子供達は不思議がり心配を募らせていた。
特に彼女に憧れるロディは、ルチーナとマルロの会話から、彼女が酒浸りで居る事を知り、部屋へ訪れ体を気遣うよう忠告する。
しかし彼女はそんなロディの忠告に耳を貸そうとはしない。

「子供の君に何が解ると言うの?」

素気無く応対されたロディは、黙って部屋を出るのだった。

食堂に戻ったロディと入れ違いに、クレアはケイトの部屋まで食事を届けに行く。
部屋に居たケイトは酔い潰れて眠っていた。
回っているテープに気付いて近くに寄り、間違えてボリュームをONにしてしまう。

「カチュアと言う娘の事だが――彼女は紛れも無く私と同じククトニアンです。」

流された音声は衝撃的な真実を告げた。
驚いて部屋を出たクレアはマキと鉢合い、誰にも言わない事を約束した上で彼女に相談する。
だが間の悪い事に、その話をシャロンが立聞きしてしまう。
秘密は忽ち全員に知れ渡り、子供達の間に異様な雰囲気が流れた。

話を聞いたロディは、ケイトがその事で悩んでいると考え、再び彼女の部屋を訪れる。
「酒で自分を誤魔化そうとしないで下さい!!」、「子供のクセして大人のやる事に口出さないで!!」、「大人だからって独りで悩む必要は無いでしょ!?皆仲間じゃないですか!!」
グラスを奪おうと揉み合う内に、2人の唇が触合う――落ちたグラスが響いて割れた。
ブランデー味のファーストキス…思い掛けぬ衝撃に部屋を飛び出すロディ。

「皆仲間じゃないですか!!」

部屋で独り蹲るケイトの胸に、ロディの言葉がこだました。

一方食堂に集まった他子供達は、カチュアの様子を頻りに窺いつつ食事をしていた。
自分に集まる視線にカチュアも気付かずに居られない。
シャロンがケンツにヒソヒソと耳打ちし、教えられたケンツが重圧を振り払う様に爆発する。

「何で敵と一緒に食事しなきゃなんねェんだよっっ!!!」

全員が息を呑み、意味を悟ったカチュアが顔色を変える。
カチュアがケンツに問質す、「『敵』とは自分の事か?」と…問われたケンツは一瞬怯むも彼女に向って叫んだ。

「ああそうだ!!!お前が敵で異星人だって言ってんだァァ…!!!」

沈黙が下りるテーブル――次の瞬間、ジミーが物凄い勢いでケンツに殴り掛かった。
驚いて止めに入った仲間を振り払い、泣きながらケンツを噛み付け殴るジミー。

「ジミーもう止めて!!」

そんなジミーをカチュアが制止する、しかし彼は止らない。

「嫌だァァァ…!!!!」

何時も傍に居てくれたカチュア、口下手が為に孤独な少年にとって、それがどんなに救いになったか。
その彼女が「敵」と呼ばれ、爪弾きにされるのを、彼は絶対に許せなかった。
自分のせいで暴れる彼を見るのに耐えられず、泣きながら食堂を飛び出すカチュア。
タイミング良く戻って来たロディが、喧嘩する2人をどうにか引き離し、漸く落ち着きを取り戻すのだった…。

ロ「…喋ったのか?」
ケ「俺…何も悪い事してないもんね…。本当の事言っただけだぜェ!?」
マ「だから、マズイんだよ」
ク「その通りね…でも、カチュアは何も悪くないのよ」
ケ「なんだよー!?皆して良い子ぶりやがってチキショー!!!…何で俺ばっかり…!」

結果悪役を押付けられてしまったケンツまでも泣き出してしまう。
最早自分達だけでは到底解決しようがない、そう思ったクレアはケイトに相談する。
子供達から事情を聞いたケイトは、自分が独りで悩んでいたせいで、此処まで問題が拗れた事を済まなく思い、腹を括って皆に全てを話そうと決意した。

ブリッジにカチュアを含めた全員を集め、ラレドとの会話を録音したテープを流す。
子供達にとってもそれは、今迄持ってた判断基準を揺るがされる様な、衝撃的真実だった。
曰く、先に手を出したのは地球人である事…敵側にも戦争を望んでない者が存在する事…そしてカチュアの事。
中でも軍人一家に育ち、地球軍=正義の味方と信じるケンツにとっては、とても信じられない話だった。
テープは更に続ける…ベルウィック星を脱出した地球の民間人が、ククト星の衛星タウトに捕らわれている事を聞いた子供達は愕然としてしまう。
両親達は無事地球に避難したと信じ、自分達は地球に向かっていたのに、敵軍の捕虜として捕まってたなんて……一体自分達はこれから何処を目指せば良いんだ…!?
テープを聴き終った後、ロディ・バーツ・スコットの3人は、ブリッジに残って会議する。

その頃カチュアは知ってしまった自分の境遇に苦悩し、これからどうすべきか途方に暮れていた。
彼女を気遣い訪れたケイトは、泣いて縋るカチュアを抱き締め、優しく諭してやる。

「今迄通り、貴女はこの船の仲間です。そう思ったからこそ、皆と一緒に聞いて貰ったのよ…」


(感想)…約30分間でよくぞこんだけ重いドラマを詰込んだな~と感心してしまう。
加えて脚本&演出の意図する所を、アニメーターが充分に掴んで描いているのが凄い。
最も恐れ入ったのがカチュアの秘密を知り、彼女の背後からこっそり窺うシャロンの表情。
この時の悪気無く意地悪を企んでる表情がリアルに子供なんですよ。
その後の食堂でのシーンも、さながら何時爆発するか解らない時限爆弾を見詰めてる様なハラハラドキドキ感。
カチュアの顔を窺って食べる皆の仕草がね~、マキとか不自然に気ぃ遣ったり、スープ掻き回したり、実に細かい。(笑)
カチュアがフォーク落して拾うまでの沈黙とか……現実に爪弾きされた経験の有る人は、真に迫ってて観るの辛く思うでしょう。
結果悪者になっちゃったケンツだけど、そういう役を擦り付けたのは他の皆で、解ってるからこそ特に年長組は、騒ぎが収まってから後ろめたい表情を見せるという。
偉いのはシャロン、散々掻き回した末、「オレ知らねー」って顔で、騒ぎを他所に飯食ってるんだから。(笑)
子供の頃を思い返せば、こういう子も確かに居ました。
シャロンの件は次回に回すとして…。

この回のケイトさんはひたすら酒飲んで悩んでばっかり、けど大人になった今こそ、心情がよく理解出来るっつか。
なし崩しにガキ共の女教師役を務めさせられ、良い大人を演じなければならず…愚痴1つ吐けない環境に居たんじゃ、ストレス溜り捲るでしょうからなぁ。
しかしこの回のケイトさんは色っぽい、なまじ周囲が子供ばかりな為、そのセクシー度が頗る高く感じられるのです。(笑)
キスシーンの後、はだけたガウンを直す所がなんとも……。




…なんか粗筋が長くなって来て感想を短く抑えるしかないという、本末転倒な書き方になりつつあるなぁ。(汗)
てゆーか粗筋に思い切り主観が混じってて、ぶっちゃけ粗筋じゃないんですが。(汗)
台詞とか実際は多少異なりますんで、願わくばやはり直に御覧になって頂きたい。(→http://streaming.yahoo.co.jp/p/y/bch/10050/)
んで違ってると思っても、大目に見て下さいませ。(笑)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀河漂流バイファム感想その3

2008年11月03日 16時11分45秒 | 漫画&アニメ
バーツ・ライアン…2044年9/26生まれ、14歳、O型。(↑)(B型説も有るが、煽て上手な点を考えると、O型っぽい気がする)
『ネオファム』の操縦者であり、主人公の良き相棒、悪友的立場。
風貌はツッパリ兄ちゃん風で、実際積み木を崩したりしてたもよう。
原因は少年時代実の母親が死亡、後妻さんが家に入った事によるらしい。
カーマニアで車を何処からか調達して来たり、素人の筈がRVの操縦法に詳しかったり、ケンツばりに便利なキャラだった。
大人相手にはつっぱるも、年下相手には優しく、面倒見の良い性格。
特にケンツの操縦法が見事で、彼のあだ名の「軍曹」はバーツが名付けたもの。
スコットの対極に位置する様な人付き合いの上手い奴で、チームのムードを盛上げる役を担っていた。
EDでも見られる通り、後にマキとは好い仲になる。


★第9話「雷鳴の中の敵襲、僕達だけで戦うんだ!」 脚本○ 演出○ 作画△ 総合○

ジワイメルウ基地軍本部からの連絡を待ち続け、1週間が過ぎた。
何時かは軍が救助に来てくれる事を信じ、四六時中管制室で待機するスコット。
様子見に訪れたマキが、うんざりした口調で彼に尋ねる。


マ「何時までこんなトコで待ってなきゃいけないのさ!?このままじゃオバンになっちゃうよ!」
ス「君で5人目だ」
マ「え?」
ス「皆同じ事を訊きに来るんだ。今日その事を訊きに来たのが君で5人目なんだ」


そこへシミュレーションで訓練を終えたロディ&バーツも加わる。


バ「よ~お!何か連絡有ったか~?」
ス「これで7人…」


自分も含め、誰も彼もが痺れを切らしてるのを覚り、思わず苦笑うスコット。

基地に貯蔵されていた食糧も残り少なくなって来ている。
点検に入ったクレアとケイトは、もって後1ヶ月位だろうと話合っていた。

遂にスコットが軍本部に通信を試みようとする。
ロディ・マキ・バーツは最初危険だと反対するが、このまま居ても埒が明かないとの意見から、最終的に彼の判断を許してしまう。
しかしやはりジワイメルウ基地からの応答は無い…。
間の悪い事に落雷が原因で停電発生、暗闇と不安に包まれる基地内。
暫くしてサブ電源が入り回復したレーダーは、基地へ接近する敵軍の偵察隊を捉えていた。

瞬く間に緊張が漲る――スコットは自分の軽率さを心から悔やんだ。

直ぐさまロディ達はケイトに知らせ、彼女の指示で基地内の電気を消して回り、全員を管制室に集める。
基地に接近する異星人のメカは2機。
管制室のカメラに映るそれを、固唾を呑んで凝視する全員。
今迄の様にやり過ごせれば越した事は無い…。
そう考え沈黙する皆だったが、ただ1人ケンツだけは「先手必勝!」を企て、こっそり抜け出す。
「敵はたかが2機、それ位なら自分が倒してやる!!」
己の実力を省みず、バズーカ砲を持ち出し、雷鳴轟く外へ出るケンツ。

一方ケンツが抜け出した事に気付かず画面を注視する中、突如シャロンが素っ頓狂な大声を上げて指差す。
そこには干しっ放しの洗濯物が映っていた。


ク「…入れなかったの?」
シ「だってオレ干す係だもん!」
ペ「また洗わなきゃなんないわね」
バ「なーに呑気な事言ってんだよ!!あれ見付かったら俺達が此処に居るって解っちまうじゃないか!!」


絶体絶命のピンチにも関らず、のほほんと洗濯物の心配をする女子に、そんな場合かとバーツが怒鳴る。
彼が危ぶんだ通り、干してあった洗濯物に、明らかな反応を示す敵メカ。
格納庫を覗かれ、シャトルまで発見される。

――見付かったか!?…皆の背筋に冷汗が流れる。

そこへ更なるアクシデント発生、何時の間にか敵メカの背後に回っていたケンツがバズーカ砲を発射!
とうとう子供達の存在が敵に知れる事となる。

砲弾は外れて敵メカ2機に追われるケンツ。
こうなったら隠れていても仕方ないと、ディルファムで出撃するロディ&バーツ。
2人の後からマキが、フレッドが、「おーもしろそー♪」と言ってシャロンが…スコット、クレア、小さな子供達をカチュアに頼んでケイトも続く。

毎日シミュレーションで腕を鍛えていたロディ&バーツだったが、訓練でやった様には上手く操縦出来ず、忽ちピンチに陥ってしまう。
それを見てフレッドとシャロンは、ディルファムに乗って援護に向おうとする。
「あんた達操縦出来るの?」と尋ねるマキに2人は言うのだった。
「高下駄を取付けて訓練はしていた、大勢出て来ればビックリして逃げるかもしれない」と。
それを聞いてマキも機体に乗込み出撃する。

状況は正にバーツの機体が撃破される寸前だった。
そこへ突如出現した3機のディルファム。
フレッド達の思惑通り、動揺を見せる敵の機体。
その隙を突いてロディが1機を撃破、形勢不利と見たもう1機は、撃破された機体から仲間を救出すると、アゾレック基地から去って行ってしまった。

雨も上がり明るくなる空を見詰め、バーツは「運だけだったな…」と呟いた。
その言葉にロディも頷き、シミュレーションだけでは強くなれない事を実感する。
そして彼は救出の垣間見えた敵兵の姿を思い返す。
自分達と同じ人間だった姿を見て彼は攻撃を躊躇し、結果逃げられてしまったのだ。
ケンツから「何故仕留めなかった!?俺だったら逃がさなかったのに!!」と追求され、彼を厳しく睨むロディ。
ロディの気持ちを覚ったバーツがケンツに言う。


「いいじゃないか。俺達は殺し屋じゃないんだからな」


(感想)…この回も台詞が頗る活きてる、EDに出るキャスト名見たら、6話目と同じく脚本平野靖士氏なんですよ。
メイン脚本家の星山博之氏も巧いんですが、こと台詞の巧さに関しては、平野氏が際立ってたと思います。
洗濯物出しっ放しで敵に見付かるピンチに、「また洗わなくちゃいけない」とのたまうペンチなんか大爆笑もの。
警報を聞いてフライパン持ったまま駆け付け、後から来たフレッドの頭にぶつけちゃったりとか、この回のペンチは天然ボケ極めてて可愛いんだv
その後フレッドに「ねえ、これどうしよう?」と尋ねる辺りも、ほのぼの可愛いなぁ。(その後持ってない所を見ると、途中で置いて来たのだろうか?)
限り有る食料を摘み食いしに来たケンツに対して、「頭の黒いネズミさん」と窘めるクレアも好い感じ…尚この表現は後に他クルーからも使われたり。(笑)
ブリッジと貯蔵庫での会話、絶望的な状況でありながら、何処か呑気なのが解るなぁと…希望が無さ過ぎて笑うしかない感じと言いますか。


マ「退却よ!何してるの!?早く逃げなきゃ!」
ス「僕の責任なんだ!!僕が責任取らなきゃ!!」
マ「もーう!何言ってんのよォ!」
ス「僕がこの場所を離れる訳にいかないんだ!!」


なぞと責任を背負って退こうとしないスコットを、「良い子だからこっち来なさい」とばかりに引き摺って来るマキも楽しい。(笑)
此処はマキだからこその適任に思えた、バーツ・ロディ相手じゃ喧嘩になるだろうし、クレアじゃ余計スコットが意地になるだろうからね。
最初は好き勝手してた子供達が、グループの中で己の役割を確立してくという。
後ケンツとシャロンの凸凹コンビの始まりとか…この回も見せ場が多くて挙げ切れない。
8話の「高下駄」を伏線に活かしてるのも見事だよなあと。

戦ってる異星人の姿を最初は見せず、段々と明らかにしてくという演出法は、バイファムが初だそうな。
姿が見えないせいで子供達には恐ろしい化物に思えた異星人が、実は自分達と殆ど変らない人間だという事を知る…後の展開を考えると、この描写は二重の意味で深かったと思うのだ。

作画△付けましたが、決して拙くはないです。
ただ何時もと比較して、この作監さんの絵は野暮ったい…けどキャラの動きなんかは相変らず細かいし、充分楽しめるクオリティですよとフォロー。(汗)


★第10話「宇宙か地か──基地攻防の大決戦!」 脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

アゾレック基地に立て籠もっている事が異星人に知られてしまった。
もう此処には居られない、ケイトは直接ジワイメルウ基地まで、自分が出向こうと考える。
同じ頃バーツも単身ジワイメルウヘ向かう準備を進めていた。
だがその案にロディが異を唱える。
彼は言う、「最早この星に居る限り危険に変りはない。特に基地は戦闘に巻き込まれる可能性が非常に高い。ならばシャトルで第2ステーションヘ向かってはどうか」と。
ジワイメルウ側の態度を見てると、あまり当てにするのは危険である…ロディはこの数日間で軍への不審を募らせていたのだ。
ならばいっそ第2ステーションに係留してあるジェイナスに乗込み、自分達の力で地球に向ってはどうか?
しかしロディの提案を聞いたバーツは、せせら笑って訊く。
「俺達だけで地球まで辿り着けると思うのか?そもそもシャトルを操縦する事が出来るのか?」
それに対し返答に窮するもロディは折れず、結果子供達が二派に分かれる事態まで発展する。
慌てたスコットはケイトに意見を乞い、皆を何とか1つに取り纏めようとする。
だがケイトまでも「ジワイメルウ基地に赴いて救助を頼むべき」と主張するのを聞き、余計ロディは意地になって反発する。
彼女に密かに恋焦がれてた彼にとっては、むしろ火に油を注がれた様なものだった。

バーツの主張するジワイメルウ基地へ向う派…ケンツ、マキ、ケイト、ペンチ、クレア
ロディの主張する第2ステーションへ向う派…フレッド、カチュア、ジミー、ルチーナ、マルロ、シャロン

スコットの説得に耳を貸さず、トラックで軍本部に出発するバーツ派。
中立の立場に立ってしまったスコットは、ケイトから頼まれた事も有り、ロディの側に残って彼の説得に当るも、むきになったロディはシャトルのコクピットで出発の準備をする。
苦悩するスコット…そこへ遂に軍本部からの連絡が届く。
だがそれは彼らを救助する目的で為されたものではなく、軍本部の基地が異星人からの攻撃によりほぼ壊滅した事を伝える内容だった。
焦ってバーツに連絡を取ろうとするも、無線は切られていて繋がらない。
スコットはロディに知らせ、車にミサイルを搭載し、バーツらを助けに向かう。
同じ頃バーツらも基地が壊滅した事を知らされ、愕然としていた。
そこへ飛来した異星人の中型艦に見付かり、追われるバーツ達。
責任感からバーツは皆を途中の森で降ろすと、自らが囮になり異星人の目を引き付ける行動に出る。
間一髪の所で逃れ、敵艦にトラックを突っ込ませるバーツ。
丁度駆け付けたスコットとロディは、それを見て皆がやられてしまったと思い込む。
切れたスコットは皆の弔いとばかりに、ロディと力を合せてミサイルを中型艦に命中、撃破する。
だが森の中から出て来た皆を見て…更にバーツが無事だったのを知り、ほっと胸を撫で下ろすのだった。

再び1つに纏まり、アゾレック基地に戻った子供達は、ロディの唱える「自力で地球行き」を検討するが……。


(感想)…8話が年少組の絆が結ばれるまでを描く話なら、この回は年長(男子)組の絆が結ばれるまでを描いた話かと。
また前回失敗して責任感に苛まれたスコットが、大活躍を見せてくれたのが嬉しい。
極めて自然にエピソードを重ねてる点が何とも素晴しいですな。
自然と言えば、皆が二派に分かれる過程もそう。
バーツから「どっちに付くか?」と訊かれ、ケンツが勇んで彼に付く、続いてマキが。
フレッドの顔を済まなそうに見た後、ペンチもバーツ側へ。
そんな彼女に対し、「ゴメン…僕やっぱり…(兄さんを残してはいけない)」と、謝って留まるフレッド。
ジミーはカチュアの付く方へ、カチュアは正直興味が持てなかったのか、或いはロディ同様基地に向う方が危険と読んだのかも。
幼いルチーナ&マルロは、険悪なムードを他所に遊び疲れ、座り込んだ場所が丁度ロディ側だった。
皆の仲裁をするスコットをクレアは気に懸けるも、スコットから好きにするよう言われてバーツの側へ。
そして天邪鬼なシャロンは、敢えてケンツとは異なる側へ。
それぞれのキャラらしい、納得の行く分かれ方だと感心してしまった。

ラストで基地に戻り、ロディ&バーツからおやすみと挨拶され、スコットも手を挙げて返す。
そうした後で自分の手を不思議そうに見詰める彼…段々と人付き合いの仕方を覚えてく姿が、観ていて心に沁みるのですよ。
今迄そんな真似した事無かったんだなーと思うとね…。


★第11話「さらばベルウィック、ジェイナスの旅立ち」 脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

アゾレック基地を出て、第2ステーションから地球行きを決めた子供達は、全員で協力してシャトル発進の準備を整える。
その作業に最も貢献したのはカチュアだった。
彼女は何故かシャトルに関して知識が有り、分厚いマニュアルを直ぐに読み解いて皆を驚かせる。

出発を直前にして、ジミーが基地の滑走路に絵を描き出す。
「こうして自分の顔を描いておけば、パパやママが見付けてくれるかもしれない」
それを聞いた他の子供達も、各自ペンキを携え己の顔を描こうとする。
ロディとバーツは皆の気持ちを酌み、ディルファムを操縦して全員の顔を描いてやるのだった。
そんな中カチュアだけは参加しようとしない。


「貴女は描かないの?」


気遣うケイトに対し、彼女は顔を曇らせる。
やがてシャトルは第2ステーションヘ向け発進した。
離れて行く滑走路を笑顔で見下ろす子供達。
そこには地上絵になった皆の顔が有った。

無事大気圏を抜け出し、無重力状態になったシャトル内で、無邪気に遊び出す年少組。
はしゃぐ皆を他所に、カチュアの胸に蘇った悲しい記憶。

第2ステーションが敵襲に遭った時、避難用シャトルに乗り遅れた彼女は、両親を乗せて発進したシャトルが、撃墜される瞬間を目撃していた。
そして同じく乗り遅れたジミーと出会い…恐らく彼の両親も同じシャトルに……。
カチュアはその事をジミーに告げられずに居た。

シャトルが第2ステーション到着後、直ぐに全員でジェイナスに乗り移る。
久し振りのジェイナス艦内は、留守を守っていたメインコンピューターのお陰で、全ての機能が守られていた。
これからはこの船を自分達で操縦して、地球へ向わねばならない。
ブリッジに集まった年長組は、メインコンピューター…通称「ボギー」に、これから世話になる意味を込めて、親しげに挨拶するのだった。

一方ケイトはクレークと共に研究した遺跡を確認に、カーゴルームへ向う。
そこへ「第2ステーション内に在るパパとママの部屋に戻りたい」というジミーの願いを聞いて、カチュアが相談に訪れた。
遺跡を目にしたカチュアが言う、「それ…何処かで見たような…」と。
驚いて彼女に問い質すケイト。
不思議な事に遺跡を容れるコンテナの表面には水滴が付着していた。

カチュアとケイトが話してる間に、ジミーはケンツに協力して貰い、宇宙服を着てステーションの中に在る自分の部屋に、荷物を取りに行く。
後でそれを知らされたロディ・スコット・バーツは、ケンツを厳しく叱った。
敵襲に遭い廃墟と化したステーション内には、危険な破片が飛び交っている。
なのに相談も無く、命綱すら付けずに行かせるなんて、と。

年長組が危惧した通り、ジミーはふとした弾みで、宇宙空間に飛ばされる寸前だった。
間一髪でケンツがそれを見付け、ロディとカチュアが助ける。
無事彼を救助した後、ロディはカチュアに「折角だから君も自分の荷物を探しに行けばいい」と勧めた。
彼の勧めに従い、自分の荷物を見付けるカチュア。
その中には亡くなった両親の写真が有った。

船に戻ったジミーは、皆から思い出の品を見せてくれと頼まれるも、素っ気無く逃げてしまう。


シ「あいつ愛想悪いんだよなー!騒ぎ起こして助けられた後だってさ、頭チョコンって下げただけだぜ!」
ペ「あの子幸せよ…パパやママの物が見付かって…」
シ「言えてる…」


その頃部屋で両親の写真を眺めるカチュアは、自分に赤ん坊だった頃の思い出が無い事を疑問に感じていた。
そこへジミーが両親の写真を見せにやって来る。


「地球へ行けば会えるんだ…」


嬉しそうに微笑むジミー。
だがカチュアは知っている、彼の両親が乗ったシャトルが、どんな目に遭ったかを…。
込上げる思いを堪え切れなくなったカチュアは、ジミーに写真を大切に持ってるように言い、部屋から走り去るのだった……。


(感想)…この回も平野脚本で、台詞と言うか会話の面白さが際立ってます。
シャロンとケンツの喧嘩とか、ケンツとバーツのやり取りとか、クレアから「貴女も女の子なんだから、料理くらい勉強しなさい」と食事の手伝いに連れてかれ、通りすがりカチュアに「おまえも手伝えよな!」と八つ当たるシャロンなんて楽しくて仕方ない。

演出も負けてなく、地上絵の案なんて実にナイスだったと思う。
実は脚本段階ではこれ、名前を書く案だったんですと…この回のコンテ&演出を担当された三浦将則氏は素晴しい。

で、此処で明かされるカチュアの悲劇。
「両親に会いに行く!」と希望を胸に張り切れる他子供達とは違い、自分の両親の死を知る彼女には目標が持てないのです。
彼女が何処か余所余所しいのは、それが原因になっていると。
そしてジミーの両親の死についても、彼女は知ってしまってる。
だからカチュアは何時もジミーの傍に寄り添い、ジミーもそんなカチュアにだけは気を許せるのです。

………………………泣ける。


・第12話「発進準備完了!地球へ向けて出発だ!!」 脚本○ 演出○ 作画△ 総合○

スコットがブリッジに全員を集合させ、改めてジェイナスで地球に出発する事を宣言する。
「僅か14人…それも子供ばかりのクルーだが、皆で力を合せ、やってみようじゃないか!」
そう全員を鼓舞した後、彼は航行時の編成を発表した。
先ずメインオペレーターのA班は、バーツ・クレア・フレッド・ペンチ。
バーツは主に武器管制担当、クレアは航海データの計算・分析担当、フレッド&ペンチはその補佐を担当。
続いてA班の交替要員であるB班に、ロディ・マキ・シャロン・カチュアの名が呼ばれる。
RVを含む武器関係担当をふられたケンツは大喜びするも、通常時は格納庫の保安点検係と聞きガッカリしてしまう。
チーム内で年少のジミー・マルロ・ルチーナは、資材管理と皆の手伝いを頼まれた。
ケイトさんは全員のオブザーバー、そしてキャプテンは最年長の自分が務めると宣言するスコット。
役割が決められた子供達は、出発への決意を新たにし、それぞれ仕事を開始した。

年少組は張り切って荷物の片付けに取り組む。
作業中ジミーは遺跡の周りに苔が生えてる事に気付いた。
その事をケイトに伝えに行こうとする頃…ケイトはカチュアの鞄を弾みで開けてしまい、中に有った写真を偶然見てしまう。
写真には何とあの遺跡と全く同じ物が写っていた。
驚いたケイトは、カチュアが「以前何処かで見た記憶が有る」と言っていたのを思い出す。
そこへタイミング良くジミーが、遺跡の周りの苔について知らせに来た。
現場に駆け付け遺跡を調査した所、周囲に生えてるのは確かに苔だった。
写真の中の遺跡にも目を通せば、同じく生い茂る緑に囲まれている。
2つの事実からケイトは、或る仮説を打ち立てた。
「もしかしたらこの遺跡には、植物の生育を促進させる力が有るのかも…」
底知れぬ力を感じた彼女は、遺跡の有るカーゴルームへの立入りを、厳しく禁止するのだった。

一方ブリッジでは、メインコンピューターの弾き出した「現クルーのままでは100%出発不可能」との回答に、スコット達が衝撃を受けていた。
しかしカチュアの機転で「サブコンピューターにクルーの不足分を補わせれば出発可能」との回答を導き出し安堵する。

一難去ってまた一難、出発を前に今度は、ジェイナスの進路を塞ぐ鉄骨が問題に上った。
ロディ・バーツ・マキが撤去作業を請負い、ウェアパペットや宇宙服を装備して艦外に出る。
だが鉄骨は予想以上に頑丈な為、人間の力ではビクともしない。
そこでロディがバイファムに乗り、鉄骨を引っ張る役目を負った。
危険な目に遭いもしたが、無事鉄骨を撤去する事に成功したロディ。

漸く全ての準備が完了したジェイナスは、地球へ向けて発進するのだった……。


(感想)…決して出来が悪い訳じゃないけど、展開が地味で大人しい回。
コンピューターの弾き出した計算に一喜一憂したり、鉄骨を除去するだけですから。(笑)
そういう所まで丁寧に描くのがバイファムらしいと言えるけど。

後は遺跡の謎が少し明かされたり…もっともスタッフ曰く、この遺跡は理由付けの為に設定した物で、あんまり重要じゃないんだそうな。(笑)

「何かよく解らん物出しときゃ、マニアが一生懸命謎解きするだろうって考えて(笑)」(←某氏、談)

あくまでバイファムの本筋は「子供達が仲間の中で如何に成長してくか」なのですよ。
だからタイトルにされてはいても、「バイファム」だって本当は主役でない。
その証拠にこの回で漸く主人公が乗って登場。(笑)
第1話から登場はしてたんですが…ベルウィック星に居る間、ずっと無人のステーションに置きっぱにされてたなんて、主役メカに有るまじき扱いですわな。(大笑)

スポンサー会社の心中、推して知るべし。




【おまけの余談】…以前記事で紹介した『ふしぎの国のアリス』が、現在ヤフー動画で11話まで無料配信中!(~2008年11/30迄)
ぶっちゃけ原作とは全く話違うわ、決して名作ではない凡作だわで、超オススメとは言い難いんですが、ヒロインのアリスが可愛いんで、この機会に観てみてはと。(←身も蓋も無い)
あーでも懐かしいな~、こやって記事書いた丁度に無料配信してくれると、とても助かる。(笑)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする