小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

選挙で「いいね!」をしないわけ?

2014年12月18日 | 国際・政治
 
 有権者の25%(17%という説もある)の得票を得た自民党が圧勝した?
全体の投票率は50%前半で、戦後最低だったことがミソであるが、今回の選挙結果がこれからどういうカタチとなってあらわれるか・・。
勝って兜の緒を締めたい安倍首相は、選挙後にさっそく一流企業の経営者らを集めた。アベノミクスを盤石のもとにするには、来年の春闘では賃上げの要求に応えるように、と要請したらしい。
円安、株高になったものの、景況感はさっぱり良くならない。実質所得アップつまりGDPが増えなければ、アベノミクスの失墜は明らかとの読みだろう。

 いま雇用状況にしても、就業者数は増えているがもちろん正規雇用ではない。11月に発表された実質GDP成長率は、1.6%減という数値だったのだが、これは就業者数が増えている現象とは乖離している。(就業者数の増加は2013年初頭から今日まで一定の上昇率でタイムラグはない)
 
 消費増税後は消費の伸び悩みがくっきりと浮き彫りとなっているし、若い世代はますます非正規雇用や、低賃金での就労を余儀なくされるだろう。

 そんな中でおこなわれた衆議院選挙だった。
そもそも今回の投票率の低さは、20・30代の若者たちの動向によるものであることは疑いない。
かれらはこの選挙結果をある程度予想していたのであろうか。
あるいは判断を保留したのか、政治などの社会的事柄には無関心かのいずれかに違いない。
 なぜ低賃金、非正規雇用に甘んじられるのか。そのほうが心理的なプレッシャーが少ないから楽だし、たくさん稼がなくても生きる術を知っている。
「失われた20年」というデフレ化のもとで育ってきた彼らは、購買欲がないのかモノに執着しない。そんなふうに分析する識者は多い。

 出所を失念したが、若者の生活満足度調査というものがあって、1977年度を100とした場合、直近の調査では若者たちの満足度は125もあるという。
 一方、中高年のそれは不満度のほうが高い。確認の意味で総務省や生保会社のデータを調べたみたら、20 歳代の 73.5%は今の生活に満足しており、その満足度は中高年よりも
高い。おおむね若者たちは現状に満足しているようだ。

 わたしはいまだに成熟していないせいか、青年期よりいつも不平・不満を抱えている。どんな糞爺かいかようにも想像してもらって結構。
ともあれ、若者たちが現状に不満がないというのは分からない。子供がいないせいか、二、三十代の若い人たちと話すことは稀であるし、彼らの生活信条を知悉しているとは言い難い。
 慢性的な不況下のもとで育ってきた若者たちは、ある意味で「足るを知る」を弁えているのかもしれない。

 しかし、実際のところ、若者たちにスポイルされたとはいえ、民意を反映したものとして、この選挙結果は社会的にも法的にも了承される。
 違憲状態だという司法の断定があっても、統治機構という政体は信任を受けたものとして機能し、粛々と動く。
 このことは厳然たる事実だ。
 現状の不平・不満、意見・異論は、代理人たる代議士候補に託し、選挙で勝ってもらわねばならない。

 しかし、個人的に選挙に頼らず、なんらかの意思表示はできる。身体をはった現実的なデモンストレーションという活動だ。憲法でそのことは保障されている。一度は経験したほうがいいだろう。

 現状の生活に、若者たちはほんとうに満足しているのだろうか。
 
 最近、フェイスブックをやりはじめたが、これは友達ネットワークの「絆」生成プログラムである。
 見たこと、食べたこと、経験したことなどアクテビティに関する同感、同調、共感、分かち合い、共有で満ち溢れる。

 身近な関係ではなくても、友達の友だちが連環していくので、好感情の連鎖はひろがっていく。
「いいね!」というボタンを押すだけで、その絆の実感がいわば報酬のように深まっていく。共感の一言をそえてコメントを書くことで、さらに充足感が補強されることもある。
 多くの友だちのネットワークをつくることで、共感醸成される機会はさらに増えていく。

 SNSやゲームなど、現実の不平・不満を解消するアイテムにこと欠かない若者たち。
 どうして議論や対話を避けるのだろう。対立、衝突は、怖いものなのか。
 仲間はずれが嫌なのは分るが、そんなにつながっているのが心地よいのか。

 だれか、この孤独な、分からず屋のくそ爺に、こんこんと説明してくれる若者はいないだろうか。

 

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2 コメント

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若者のコトバ使い (Janne victoria)
2014-12-21 16:32:49
私も【 若者 】ですが、最近の もっと若い[ 一部の ]人達のコトバ使いを理解出来ない... と言うか、ついていけない... と言うか・・・。それは、ヘンな時に「 ◯◯ かも。」と言うのです。例えば、「 ◯◯を欲しい? 」と聞くと若者の返事 →「 欲しい かも。」「 ◯◯を食べたい? 」と聞くと若者の返事 → 「 食べたい かも。」
そんな返事を聞いて私は思わず、「 ハッキリとした返事をしなはれ! キッパリとした返事が出来ないのかいな? あんたは、【 いい鴨 】か!? 」と呆れてしまいました。そんな話を老女にすると、「 日本人は、奥ゆかしいから自分の本音をハッキリさせないで、そういった返事をするんだよ! 」と言っていました... が、私、そうは思いません。ハッキリとした返事をすると後で何か障りが生じた場合、【 逃げ道 】がなくなってしまうので曖昧な返事を【 とりあえず 】するのだろう... と思えてなりません。そういったコトバ使いをする若者[ バカ者!? ]が多そうな今の世の中、『 こんこんと説明できる 』口達者な人が、どれだけいるか... (・・?)
たくさんいるであろう事を祈っています。
減らず口をたたく Janne victoria より
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Unknown (フジ)
2014-12-23 13:35:50
おお、愛しのジャンヌ。あなたの若者へのお嘆き、分かりますとも。「きもい」なんていう省略語も、なんとも気持ち悪い。でも、日本人が奥ゆかしいかはともかく、曖昧、婉曲、省略、洒落などの言葉づかいを好みますね。いや、安易に使ってるのでしょうか・・。若者たちに説教しても無駄でしょうね。彼らは未成熟だし、早急です。日本語の深み、美しさに気づくのは、多くの経験を積まなくてはならないでしょうね。
 しかし日本語もかなり柔軟で、時代や地域でかなり変節してきました。「いとおかし」は今どき使えませんですし、新しいは、ちょっと前は「あらたしい」と言っていたとか・・。「減らず口」って、なんで「たたく」のか? いやはや日本語はむずかしいっす。マジで。(背筋がムズムズしますね)
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