ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

取消訴訟

2012年05月05日 19時25分13秒 | 行政法
ソーシャルゲームの景品表示法違反の可能性があるという記事がありました。


コンプガチャは違法懸賞
「携帯電話で遊べる「グリー」や「モバゲー」などのソーシャルゲームの高額課金問題をめぐり、消費者庁は、特定のカードをそろえると希少アイテムが当たる「コンプリート(コンプ)ガチャ」と呼ばれる商法について景品表示法で禁じる懸賞に当たると判断、近く見解を公表する。
 同庁は業界団体を通じ、ゲーム会社にこの手法を中止するよう要請し、会社側が応じない場合は、景表法の措置命令を出す方針。」

中止を要請するのは、勧告ですね。

勧告は本来行政指導であり、任意に従うかどうかを被勧告者の判断に任せられます。

これに応じない場合は、景品表示法上の措置命令を出す方針ということで、これが出されれば当然に取消訴訟における処分性は認められます。

さて、先の勧告自体に処分性を認めることができるでしょうか。


勧告自体は先に記述したように行政指導であり、一方的、強制的に手法を中止する義務を課すわけではないので処分には当たりません。

しかし、全体として見た場合にどうなのかは、悩むところではないでしょうか。

勧告に従わなかった場合に公表もあり得るでしょうから(景品表示法にあるのかな?)、全体として見た場合の勧告の意義、後続する手続きの流れ、確実性などをもって処分性ありとすることもできないわけではないでしょう。

当該会社にとってそのサービスが利益の大多数を占める場合には、処分性が認められる方向にも働くでしょう。



予備試験の第1回も不同意の決定について処分性が認められるかを問う問題であったので、このような問題は今年の新司法試験のヤマだと言われています。

2011年の新司法試験

2012年02月24日 00時31分10秒 | 行政法
先日紹介した本ですが、
新司法試験の問題と解説 2011 (別冊法学セミナー no. 208)

読むと本当にすごい簡潔に書いてくれている印象です。

ま、過去には答案に対して色々批判もあったようですが…。



刑訴法は思いっきり勘違いをしていました。


別件逮捕の中で、違法な捜索差押を検討するのは、どうやら違うようでした。

別件逮捕は、余罪取調べのみの令状主義の潜脱につながるかどうかを検討するようですね。

別件逮捕後の余罪による捜索差押目的があるならば、別件捜索差押として検討すべきようでした。

行政代執行法

2012年02月21日 00時09分23秒 | 行政法
初めて行政代執行法をきっちりやりました。

たったあれだけしかない条文なのに、知らなかったことがありました。


1条は、代執行以外の強制は法律でしかやっちゃだめだよ。
→条例でやっちゃだめだよ。

2条は、作為義務は条例でも定めていいよ。

だったんですね。


条例は1条に含まないとか、2条には含むとかは覚えていましたが、内容は全く理解していませんでした。

怖い!!

裁量権

2012年02月04日 19時16分10秒 | 行政法
平成23年度論文試験公法系第2問の行政法の問題で、国土交通大臣の通達による、住民の同意が何に当たるかがよくわかりません。


通達により法の規定する期限、条件を付加したものと捉えると、要件を追加したものとして考えられますが、これは要件裁量とはいえなさそうです。


要件裁量とは、規定の要件が広く解釈できる場合、公益を害するおそれなど、抽象的文言が使用されている場合などに認められるものであり、追加することを要件裁量とはいえないと思います。


効果裁量とは、要件を満たす場合であっても、なお、処分するかしないの問題といえるかと思います。
すなわち、処分内容の選択の問題と、処分をするかどうかの問題があると思います。


住民の同意は、要件を追加してものである以上、要件裁量ではないし、要件を満たさないから許可しないと言っているので、効果裁量とも異なります。

しかし、法律上の要件は満たしているので、独自に通達により要件を追加したが、これにより、処分を認めない、すなわち許可しないという効果が発生していますので、効果裁量とも言えそうです。


去年のこの問題は相当むずかしいです。

原告適格

2012年02月04日 17時43分35秒 | 行政法
行政法の原告適格は行訴法9条の問題です。

これはホントに厄介です。



まず、原告の具体的利益を認定する必要があります。


次に根拠法令の趣旨、目的です。
これは規則に委任されていれば規則も根拠法令になります。

これらが不明確なら、関連法令の趣旨、目的を検討し、これらから根拠法令の趣旨、目的を認定し、原告が主張している権利利益が一般的公益ではなく、個別的利益としても保護されているかを検討します。

そしてあてはめをする場合には、原告らに重大な支障が生ずる場合なのかどうかを考え、保護されている利益といえるかを検討します。


重要なのは、法が個別的利益として保護しているのかを認定し、本件ではどうなのかを認定する必要があり、二段階を踏まなければならないことです。


ここで、保護されている利益がもともと重大なのか、軽微な場合もあるのかも検討の余地があると思います。

例えば、生命、身体の危険として、原発や火災のような被害が大きいもの、それと比較すれば騒音のような被害が小さいもの、といった場合、害される利益の態様、程度の考慮が変わってくると思います。

附款

2012年01月15日 20時17分05秒 | 行政法
行政行為の附款には、以下の4種類があります。


・条件
行政行為の効力の発生・消滅を将来の発生不確実な事実にかからしめる附款。

・期限
行政行為の効力の発生・消滅を将来の発生確実な事実にかからしめる附款。

・負担
法令に規定している義務以外の義務を付加する附款。

・撤回権の留保
行政行為をするにあたって、将来撤回することがあることをあらかじめ宣言しておくことを内容とする附款。



附款は、法律が当該行政行為を行政庁に認めた裁量の範囲内になければならない。
条件は、行政行為の効果に直接影響を及ぼすが、負担に反したとしても行政行為の効果に直接影響を及ぼさない。
ただし、負担に反した場合、行政行為の撤回事由となる場合がある。



平成23年の新司法試験論文試験公法系行政法で、通達に附款の効力を認められるかのような問題が出ていたと思います。

無効確認訴訟

2012年01月02日 22時24分59秒 | 行政法
無効確認訴訟でなるほど、という判決があったので、一部引用して記載します。


もんじゅ訴訟
名古屋高金沢支判平成15年1月27日

要旨
無効確認訴訟は、その行政処分の瑕疵が重大かつ明白な場合に限り認められるが、明白要件は、特段の事情のある限り不要となる。
なぜなら後の技術的発展によってその過誤が明白になったとしても、重大かつ明白性の要件は処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白でなければならないが、この要件では提訴を断念せざるを得ず、住民らの生命が保護できないからである。

内容
「最高裁の判例は、違法な行政処分を無効とするには、原則としてその違法が重大かつ明白なことを要するが、特段の事情のあるときは、必ずしも明白性の要件は必要としないとしているものと解され」る。

「原子炉が」「潜在的危険性を有するものであることからすると、設置許可の段階における安全審査において、その調査審議及び判断の過程に重大な過誤、欠落があるとすれば、当該原子炉は、付近住民にとって重大な脅威とならざるを得ない。」

「かかる何事にも代え難い権利、利益の侵害の危険性を前にすれば、原子炉設置許可処分の法的安定性並びに同処分に対する当事者及び第三者の信頼保護の要請などは、同処分の判断の基礎となる安全審査に重大な瑕疵ある限り、比較の対象にもならない、取るに足りないものというべきである。」
「以上のことからすれば、原子炉設置許可処分については、原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして、その無効要件は、違法(瑕疵)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要と解するのが相当である。」

「最高裁判決は、」「原子炉設置許可処分取消訴訟における原子炉施設の安全性に関する行政庁の判断の適否に対する裁判所の審理、判断は、現在の科学技術水準に照らして行うべき旨を判示している。」

「これによると、処分当時の知見による安全審査に問題がなくとも、その後の科学技術の進展によって新しい知見が得られ、この新知見によって判断すれば、処分の前提となる安全審査に看過し難い過誤、欠落のあることが判明した場合には、当該処分は違法と判断されることとなる。」

「住民が」「出訴期間経過後に」「処分の効力を争う訴えを提起しようとすれば、無効確認訴訟を提起する外ないが、かかる場合に、違法事由に『重大かつ明白』の要件を要求することは極めて不当なことといわなければならない。」

「最高裁」「判決は、『瑕疵が明白というのは、処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白であることを指すものと解すべきである。』と判示しているのであるから、処分後の新知見に基づく処分の無効確認につき、違法(瑕疵)の明白性を求めることは、事実上、提訴の断念を強いるに等しいことであるからである。」



ものすごく実質に沿った判決だと思います。

しかしながら、本無効確認判決は、最高裁判決平成17年5月30日により破棄され原告の請求が棄却された。

平成23年度予備試験論文再現(行政法)

2011年11月14日 22時54分06秒 | 行政法
第1 設問1について
1 本件不同意決定は抗告訴訟の対象たる処分(行政法3条2項)に当たるか。
2 「処分」は、法的安定性の要請、及び取消訴訟により取り消されるまで公定力(25条1項)が認められるので、このような取消訴訟の対象とすべき「処分」とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、又は範囲を確定することが法律上認められていることをいうと考える。
  そして、これに当たるかどうかは、具体的に、①公権力性があるか、②直接法効果性があるか、という観点から判断すると考える。
3(1)①について
  本件処分は、乙町長が行政庁として行っているので、公権力性は認められる。
 (2)②について
  本件不同意がなくても、建築確認がある以上、Aは建築を開始できる。
  しかし、不同意のまま行うことは、本件条例7条1項から新築等の中止勧告、命令を受け、さらにこれに従わない場合には本件条例8条により公表をされるおそれがある。
  このような中止命令、公表という処分を受けることは、民間企業であるAにとっては、本件条例において罰則規定がないとしても信用を失う著しく不利益を受けることになる。
  また、不同意に処分性を認めなければ、このまま建築を続け命令、公表がされるのを待って初めて取消訴訟を提起することになるので、これは非常に不安定な地位に立たされることになる。
  よって、このような地位に立たされるという直接法効果性が認められるため、②を満たす。
4 以上から、本件不同意決定は抗告訴訟の処分に当たる。

第2 設問2について
1 Aは不同意決定の①取消訴訟(行政法3条2項)を提起し、②同意決定を義務付ける訴訟を併合提起し(3条6項2号、37条の3第1項2号)、さらに③中止命令、公表という処分を差し止める訴訟(3条7項2号、37条の4第1項)を提起すべきである。
2 取消訴訟について
 (1) 処分性は認められる。
 (2) Aは申請をした本人であり原告適格が認められる(9条1項)。
 (3) 被告は乙町長が属する乙町である(11条1項1号)。
 (4) 出訴期間は、知ったときから6カ月であるが(14条1項)、本件不同意決定の通知は2011年2月18日に行われており、2011年8月18日までに行えばよく、現在は2011年7月上旬であり認められる。
 (5) 本件不同意決定の処分があり、建築を開始すれば中止命令などがなされるため、訴えの利益もある。
 (6) さらに、乙町を管轄する地方裁判所へ訴えてきすれば満たす(12条1項)。
 (7) 以上から、不同意決定の取消訴訟は認められる。
2 Aはさらに、同意決定という「処分」を義務付ける訴えを提起するべきである。
 (1) Aは申請者であり原告適格を満たす(37条の3第2項)。
 (2) 取消訴訟との併合提起をしており認められる(同3行2号)。
 (3) 他の被告適格や出訴期間等については、取消訴訟と同じであり認められる。
3 Aはさらに、建築を開始するために、中止命令、公表がされないように差し止めの訴え(37条の4第1項)を提起すべきである。
 (1) 「重大な損害を生じるおそれ」ある場合に限り認められる(37条の4第1項)。
    これは、本来行政側の処分を、裁判所が強制的に停止させるものであるため、必要性がなければ認められないことを規定したものと考える。そこで、金銭賠償による保障を甘受すべきでなく、金銭賠償では償えない損害が生じるおそれがあるかどうかにより判断すべきである。
    本件において、中止命令、公表がなされると前述のように民間企業たるAにとっては取り返しのつかないものであり、金銭賠償では償えない損害となる。
    よって、重大な損害が生じするおそれがあるといえる。
 (2) Aは申請者であり、建築を開始しようとしている者であるから法律上の利益があり、同3項を満たす。
 (3) 以上から、差し止めの訴えは認められる。
4 したがって、Aは①②③の訴えを提起すべきである。

以上


自己評価 B
評価 A


感想
処分性の判断において、少し薄いと思います。
また、問題は、乙町長の同意を得るためとあるのに、差し止め訴訟を書いたのは問いに答えていませんので、減点のおそれがあります。問題を読んでいないと怒られますね。
それ以外は一応の水準は満たしていると思いますが、憲法との兼ね合いから中間ぐらいの成績だと思いました。
しかし、蛇足は採点されない無害的記載事項が証明されました。

要件事実問題

2011年07月11日 23時05分29秒 | 行政法
要件事実の問題集がないから勉強が難しい。

模試は受けたが経験する問題数が余りにも少ない。


要件事実問題集が1000円であればバカ売れしたと思います。

紛争類型別のを事例型にするだけで良かったのに。

辰巳の民事実務基礎テキストは日時とかが所々間違っていて不安です。

金銭消費貸借

2011年07月11日 21時39分02秒 | 行政法
金銭消費貸借契約の請求原因


平成22年7月1日、XはYに金500万円を貸した。
返済期日は、平成23年7月18日とした。

詳細
1.XとYは、平成22年7月1日、YがXに対し500万円を返還するとの合意をした。

2.XはYに対し、500万円を交付した。

3.XとYは1の合意の際、1の債務の弁済期を平成23年7月18日とするとの合意をした。

4.平成23年7月18日は到来した。


簡易
1.XはYに対し、平成22年7月1日、弁済期平成23年7月18日とする約定で金500万円を貸し付けた。

2.平成23年7月18日は到来した。


請求原因のときに消費貸借契約に基づきとかは記載してはいけない。

書くのは訴訟物のとき。

努力

2011年06月27日 08時50分46秒 | 行政法
努力ってのは2種類あると思います。

無駄な努力と有効な努力。


無駄な努力は、解ける問題を何回も解く。

ただし、これは場合にもよります。
解ける問題を早く解いてパブロフの犬状態を作るためなら意味があるかも。


しかし、論文試験ならこれをやると問題を見ただけで答えが浮かぶがそれは知っている問題になぞらえようとしたに過ぎず、知らない問題なのに、知っている問題と錯覚してしまい、出題に答えていない答案になってしまいます。


無駄な努力を排除すればやるべき努力が見えてくると思います。