平成21年度刑訴法第1問の再現です。
写真、ビデオカメラ撮影は原則強制処分、今回は任意処分としています。
そして、Aは違法、Bは適法と結論付けています。
あてはめを重視しています。
一警察官Aの撮影行為について
1 警察官Aは甲宅2階の窓から顔を出した甲の容ぼうを、ビデオカメラで撮影。これは適
法か。
2(1) この行為が強制処分に当たるなら令状が必要なため、強制処分と任意処分の区別
(2) 人権制約あるなら令状必要は、捜査の迅速性、機動性を害する
強制処分は、被処分者の承諾なく、強度の人権制約を伴う処分を強制処分として
令状を要求し、司法審査させるべき。
(3) 写真撮影は原則検証令状が必要(218条1項)。
ビデオカメラでの撮影は、写真と異なり、動く写真といえプライバシーの制約度
合いが写真よりも高い。
そこで、原則として強制処分とすべき。
しかし、路上や路上から見える範囲であれば、プライバシーの制約度合いは低い。
よって、本問の場合、任意処分。
3(1) しかし、任意処分も人権制約を伴うため、無制約は不可。捜査比例(197条1項但
書)の原則から、「目的を達成するために必要な」範囲で行うべき。
そこで、かかる範囲は①現行犯性②緊急性③手段の相当性を要求する見解もある
が、①②は必要性を考慮したものと解するべきであり、①捜査の必要性と②手段の
相当性で判断すべき。
(2) ア 本問振り込め詐欺事件は、社会的問題も大きくなっており、事件も重大であ
る。また、掛かる事件に関与した疑いの濃厚な被疑者甲について、防犯カメラ
に写っていた犯人の同一性を判断する必要があり、連続した画像を防犯カメラ
と比較することで、確実な判断ができる。よって①必要性を満たす。
イ 一方、Aは路上から2階の甲宅の居宅を監視しており、カーテンを開け窓越し
に顔を見せた甲の容ぼうをビデオカメラで撮影している。2階であれば通常他
人から見られることはなく、高度のプライバシーが保障されるべきである。
また、Aとしても特段の事情がない限り路上で甲の容ぼうを撮影しえたので
あり、Aの撮影行為は②手段の相当性が認められない。
4 したがって、Aの撮影行為は、任意捜査の限界を超え、違法である。
二警察官Bの撮影行為について
1 警察官Bはレストランに客を装い入店し、かばん内に装備した小型カメラで、飲食し
ている甲の様子を撮影している。これは適法か。
2 レストラン内において他人から見られることも考えられるため、一定のプライバシー
権は放棄されているといえる。よって、Bの行為は任意処分である。
3(1) しかし、任意処分であっても前述のように限界がある。そこで、Bの撮影行為は
任意処分の範囲内か。
(2) ア 本問Bがビデオカメラで撮影したのは、防犯ビデオカメラに写っていた犯人
の右手首のあざを撮影するためである。これは前述の振り込め詐欺事件に関す
る被疑者であり、犯人と同一性の判断をするため、甲の右手首を撮影する必要
があり、①捜査の必要性がある。
イ 一方、撮影方法についても、Bはレストランに客を装って入店し、かばん内
に装備した小型ビデオカメラで撮影しているが、右手首のあざは小さく、路上
で近づいて撮影することも困難である。また、甲が右利きであれば飲食してい
る甲の右手首が見え、撮影がしやすい。さらに、飲食中ならほとんど席から離
れることもなく、小型ビデオカメラを固定して撮影することができ、犯人との
同一性を判断するための材料として有効である。よって、②手段の相当性も満
たす。
4 したがって、Bの撮影行為は、任意捜査の範囲内であり、適法である。
写真、ビデオカメラ撮影は原則強制処分、今回は任意処分としています。
そして、Aは違法、Bは適法と結論付けています。
あてはめを重視しています。
一警察官Aの撮影行為について
1 警察官Aは甲宅2階の窓から顔を出した甲の容ぼうを、ビデオカメラで撮影。これは適
法か。
2(1) この行為が強制処分に当たるなら令状が必要なため、強制処分と任意処分の区別
(2) 人権制約あるなら令状必要は、捜査の迅速性、機動性を害する
強制処分は、被処分者の承諾なく、強度の人権制約を伴う処分を強制処分として
令状を要求し、司法審査させるべき。
(3) 写真撮影は原則検証令状が必要(218条1項)。
ビデオカメラでの撮影は、写真と異なり、動く写真といえプライバシーの制約度
合いが写真よりも高い。
そこで、原則として強制処分とすべき。
しかし、路上や路上から見える範囲であれば、プライバシーの制約度合いは低い。
よって、本問の場合、任意処分。
3(1) しかし、任意処分も人権制約を伴うため、無制約は不可。捜査比例(197条1項但
書)の原則から、「目的を達成するために必要な」範囲で行うべき。
そこで、かかる範囲は①現行犯性②緊急性③手段の相当性を要求する見解もある
が、①②は必要性を考慮したものと解するべきであり、①捜査の必要性と②手段の
相当性で判断すべき。
(2) ア 本問振り込め詐欺事件は、社会的問題も大きくなっており、事件も重大であ
る。また、掛かる事件に関与した疑いの濃厚な被疑者甲について、防犯カメラ
に写っていた犯人の同一性を判断する必要があり、連続した画像を防犯カメラ
と比較することで、確実な判断ができる。よって①必要性を満たす。
イ 一方、Aは路上から2階の甲宅の居宅を監視しており、カーテンを開け窓越し
に顔を見せた甲の容ぼうをビデオカメラで撮影している。2階であれば通常他
人から見られることはなく、高度のプライバシーが保障されるべきである。
また、Aとしても特段の事情がない限り路上で甲の容ぼうを撮影しえたので
あり、Aの撮影行為は②手段の相当性が認められない。
4 したがって、Aの撮影行為は、任意捜査の限界を超え、違法である。
二警察官Bの撮影行為について
1 警察官Bはレストランに客を装い入店し、かばん内に装備した小型カメラで、飲食し
ている甲の様子を撮影している。これは適法か。
2 レストラン内において他人から見られることも考えられるため、一定のプライバシー
権は放棄されているといえる。よって、Bの行為は任意処分である。
3(1) しかし、任意処分であっても前述のように限界がある。そこで、Bの撮影行為は
任意処分の範囲内か。
(2) ア 本問Bがビデオカメラで撮影したのは、防犯ビデオカメラに写っていた犯人
の右手首のあざを撮影するためである。これは前述の振り込め詐欺事件に関す
る被疑者であり、犯人と同一性の判断をするため、甲の右手首を撮影する必要
があり、①捜査の必要性がある。
イ 一方、撮影方法についても、Bはレストランに客を装って入店し、かばん内
に装備した小型ビデオカメラで撮影しているが、右手首のあざは小さく、路上
で近づいて撮影することも困難である。また、甲が右利きであれば飲食してい
る甲の右手首が見え、撮影がしやすい。さらに、飲食中ならほとんど席から離
れることもなく、小型ビデオカメラを固定して撮影することができ、犯人との
同一性を判断するための材料として有効である。よって、②手段の相当性も満
たす。
4 したがって、Bの撮影行為は、任意捜査の範囲内であり、適法である。