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お勧めの本 恩田 陸、蜜蜂と遠雷

 「お爺ちゃん、これ面白いから読んだほうがいいよ」と、図書館から借りてきたらしい若草色の表紙の本「蜜蜂と遠雷」を見せられた。



 そういえばここしばらく本を読んでいない。それならばと、iphoneに入れてあるアマゾンの電子書籍Kindleで見てみるとまだ文庫本は出ていないが、電子版はハードカバーの6割引で売っている。これは買えとの啓示だろう、おとなしくダウンロードのボタンをクリックした。

 日本で開催されるピアノコンクールへの出場者を決めるためのフランスで開かれたオーディションの場面から話は始まる。その会場に現れた型破りの少年が主人公の一人だ。

 物語の殆どの部分はピアノコンクールで出場者達がふるい落とされていく過程を描いている。単調になりがちな設定だが、主人公たちの過去やバックグラウンドを丁寧に説明していく事により、場面場面でいちいち感情移入ができるのだ。

 そしてこの物語は音楽の、ピアノの素晴らしさも教えてくれる。本選で演奏されることはなかったが、課題曲として指定されていたラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲作品43をスティーヴン・ハフのピアノとBBCオーケストラでどうぞ。




 昔、文庫本だったら一時間に100ページ読む乱読家だった私が最近はすっかり本から遠ざかっていた。集中力が続かないのだ。集中力が低下するのは歳のせいだから昔のように本を心から楽しむのはもう無理なのだろうと思っていた。

 ところがこの本、3日で読み切った。昔に比べるとスピードは落ちたかもしれないが、次のページを読みたいという久々に感じる快感。夕食を取りながら読んだのも久しぶりだった。 

 極め付きは、あと少しで読了となった時、ページをめくるのが遅くなったこと。そうそうこの感じ。すっかり忘れていた、アーア、もうお終いかという、この感じだ。

 まだ本を楽しむことができると教えてくれたこの本、お勧めだ。




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