Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

真冬のネイチャー・センターでの交流学習(現地校訪問編)

2008-01-19 | シカゴ日本人学校全日校
今週は、私にとって久し振りの大きなイベントがあったので、以下レポートします。

シカゴ日本人学校と現地校との交流学習(小学2年生)~真冬のネイチャー・センターでの体験学習~

1月13日、華氏20度台(摂氏約-5度前後)の凍える寒さの中、シカゴ日本人学校全日校小学2年生の交流学習が、シカゴ郊外北にある相手校の招待で、学校の近所のリバーシャイヤー・ネイチャー・センターで行われた。風が吹くと体感温度が華氏10度台(摂氏約-10度ぐらい前後)まで落ちるという悪コンディションの天候の中、寒さに立ち向かうかのように、プログラムは果敢に行われた。

去年の10月26日から始まった交流学習のプログラムは、1回目が日本人学校が相手校を訪問、2回目は、こちらが相手校を招待したのを経て、3回目を迎える。4回目の相手校を招待する1月29日のプログラムが最後となる。今回私も保護者のお手伝いで、もう1人のお母さんと一緒に訪問した。

相手校は、地元でも評価の高い学校であり、日本人学校との交流学習プログラムも今年で 6年目になる。日本人学校の他の学年の交流学習もそれぞれ相手校が決まっているが、同じ相手校と何年も続くケースが多いので、現地校の日本人学校の良い部分を吸収しようという姿勢が感じられる。小学3年生は、バッファロー・グローブの現地校と交流を続けて今年で、13年目である。地元の新聞、ディリー・ヘラルド誌やアーリントン・ハイツ・ポスト誌でもその交流学習の微笑ましい場面がときどき大きくとりあげられているから、地元の人々の日本人学校への関心がいかに大きくなっているかがわかる。なお、去年の12月29日付けのシカゴ・トリビューン誌の一面にシカゴ日本人学校全日校が大きく紹介され、相手校でも先週その話があったという。(http://www.chicagotribune.com/news/chi-japanskul_29dec29,0,5598130.story)

スクールバスで、学校から20分ぐらいで、リバーシャイヤー・ネイチャー・センターへ到着。建物の中へ入り、少し遅れて、現地校の子供たちが到着し、久し振りの再会に目を輝かせる。荷物を置いて、2つの大きなグループに分かれて、ネイチャー・センターの係の人の案内で、ハイキングを開始。「こんな真冬の木々が枯れた自然で何が学べるのだろうか。」と思いきや、早速、先が黒くなったわらのような植物が横たわる一角を指差し、「この焼けこげた草の部分は、わざと人が焼いたのです。人工的に人間が植物を植えたので、それを焼いて、新しく自然に植物が生えるようにしたのです。」と説明。

細い草道を誘導され、歩いていると、小さな穴が転々と続く。「これは、鹿の足跡です。」何か堅い物でさしたかのような深い小さな穴が3つくっきりと現われているので、鹿たちの力強い走りが想像される。現地校の担任の先生が、「小さな穴は、赤ちゃんのだから、家族で来たのね。」とすかさず説明してくれる。池を通り過ぎると、再び、係の人が、立ち止まって、押し倒されたわらのような背の高い枯れた草を指差し、「これは、鹿の家族が横たわったので、倒れているのです」と説明。普通に見ると、単に草が押し倒されているだけの光景なのに、鹿たちが生き生きと生活する様子が目に浮かんでくる。日本人学校の担任の先生や私が生徒たちに通訳するたびに、子供たちみんなの驚く表情がでる。息子のパートナーは、何回も来ているので、ときどき説明しながら、息子をリードしている。パートナーの父親の話によると、このネイチャー・センターは子供たちの一番のお気に入りの場所なんだそうだ。

木の根っこから80センチぐらいの高さで囲っているゲートを指し、「これは、鹿から木を守っているのです。鹿を襲うコヨーテが減ってきていて、そのため鹿の数が増えてしまったから。自然の土地も開発で減ってきているから、ますます鹿が増えてしまうの。」と係の人が残念そうに言う。このような自然と動植物のかかわりについては、小学2年生には、後でじっくり説明しないとピンとこないかもしれない。

デス・プレイン・リバーまでくると、カモが数羽元気に泳いでいた。そのとき、オスは、メスを引き付けるために緑などの綺麗な色の羽がはえていて、メスは卵を産み、育て守るために目立たないように茶色の羽がはえていると説明があった。雛がかえるとお母さんの後を従順についていくという。私も何回もよちよちと歩くそのなんともいえない可愛らしい様子を近所のあちこちで目撃しているが、日本の都会近郊ではめったにお目にかかれないから、シカゴ近郊のこの環境がいかに自然に囲まれているかがわかる。

そして、真ん中だけ、おので削ったかのように、三角形にきれいに切り取られた木の部分が、ビーバーがかじった跡だと言う。「ビーバーはかじらないと歯がのびてしまって、生きていけなくなる。」とのこと。これで、だいたい25分の寒さの中のハイキングが終わった。それだけの短い時間で、生徒たちは、さまざまな生態系を生物たちの足跡を実際に見たり触れたりしながら、勉強したことになる。たとえ寒くても、自然を味わいながら学ぶという行為は、体全体が満ち足りた気分になる。

寒さにかじかんだ手足をさすりながら、建物に入る。5つのテントの前で、部屋を暗くし、懐中電灯を真ん中に数本立てて、キャンプファイヤーを演出。それをみんなで囲んで、現地校の先生たちが用意してくれたユーモア溢れるおなじみの歌をみんなで踊りながら、歌う。そして、マシュマロを浮かべた暖かいココアをみんなでいただく。身も心も温かくなりながら、お互いパートナー同士顔を見合わせながら、本当にうれしそうにココアを飲んでいる。

その後、グループに分かれ、テントに入って、各自持ってきた絵本を持参した懐中電灯で読む。日本人の子供たちに一生懸命読み聞かせをしてくれている現地校の子供たちも何人かいた。茶色のクラッカーにマシュマロが塗られ、チョコレートをはさんだ甘いアメリカ特有のスナックもふるまわれ、双方の子供たちの顔は笑顔でいっぱいだ。最後にお父さんとお母さんに宛てて手紙を書くよう指示される。ネイチャー・センターと室内の即席キャンプ体験を子供たちは、どう親に手紙で説明したのだろうか。

このようなネイチャーセンターでの体験学習をこの現地校では、年に4回ぐらい行うという。広大なネイチャー・センターがあたかも自分の学校の一部のような感覚で、大自然を利用して勉強できる環境のスケールの大きさに感嘆する。おそらく、自然から直接入った生徒たちの知識は、体に沁みこんで忘れないことだろう。その貴重な体験学習を日本人学校の生徒たちにも紹介してくれたのは、本当にパートナーとして日本人学校を大事にしていてくれているということだと思う。

息子の担任の先生は、感激した様子で、「今回、こういうユニークな形の交流プログラムで、キャンプにいったことのない子もいるので、とても楽しい企画でした。学校に帰って早速、子供たちは(交流体験の)絵を描きました。子供たちは、テントの中での活動が面白かったと言っているし、鹿の足跡がこんな形なんだ、冬でもグース(カモ)が川で泳いでいるんだとわかったと言ってます。ネイチャー・センターによんでもらっての交流活動という機会はなかなかないので、ラッキーだったと思います。」と語った。

前回、日本人学校に現地校が訪問したとき、手伝いにきた現地校の保護者と共にアメリカ人の子供たちが、かぶとの折り方を一生懸命学ぶ姿勢を見たり、またアメリカ人の保護者たちから、日本人学校のことをいろいろ聞かれた。異文化も貪欲に吸収しようとする彼らの懐の広さも感じられ、各学年共に、この素晴らしい交流学習プログラムが現地校とずっと続くことを願ってやまない。







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