仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

瞳の奥を覗かれたⅥ

2008年06月24日 13時00分15秒 | Weblog
 ヒカルは濡れた身体のままでミサキを抱いた。ミサキは涙を止められなかった。
ヒカルの体温が自分に伝わる。安心感が満ちてきた。この感覚は絶対に違う。ヒカル以外の誰からも得ることはできない。そう、思うとまた涙が出てきた。涙と鼻水でグチョ、グチョになった顔は五反田の駅でヒカルが抱きしめたときと同じ顔だった。ヒカルはミサキの家着に手を掛けた。ミサキは素直に従った。ミサキは赤い下着をつけていた。土曜日はいつも赤い下着だった。ヒカルは下着も取った。抱きかかえて、風呂に入った。狭い風呂だった。この手のマンションは当時、ユニットバスが普通だった。バスタブのヘリにミサキを座らせた。ミサキはヒクヒク啜り上げていた。ヒカルはシャワーを出して、ミサキの足元からゆっくりと全身を濡らした。石鹸を取って、そのまま、ミサキの身体にこすりつけ始めた。くすぐったかった。全身に塗り終わると、ヒカルは石鹸を置いた。足先から洗い始めた。洗うと言うよりも、ミサキの右手になったつもりで、触れるか触れないかの感触で撫で、擦り、掴み、また撫でる感じを繰り返した。ミサキの柔らかい肌とヒカルの指の硬い皮膚の間の石鹸の滑らかさがミサキに刺激を与えた。
 ヒロムの両手の人差し指がミサキの踝からスタートして膝の脇を通り、太腿の横を這って、ミサキ自身に近づいたと思うと掌が太腿を撫でた。また、踝から始まり、今度は背中を通って、乳房のしたで掌に変わり、腹を撫で下り、ミサキ自身の手前で止まった。また、登り始め、乳房の下で人差し指に代わり、乳房を周りを円を描くように回って、首筋で掌に代わった。ミサキの顔は涙で崩れた顔から、徐々に高揚していった。ヒカルの掌は背中をゆっくりと降りて、ヒップのところで人差し指に戻り、今度は二手に分かれて、左手は右の乳房に右手はミサキ自身に向かった。
「アンッ」
ミサキ自身にツンと触れるとすぐに離れ、左の乳房に向かった。ヒカルの掌は熟れ過ぎた桃を潰さないように細心の注意を払って触れる時のようにミサキの乳房を包んだ。ヒカルはミサキがいつもしてくれるように触れたかった。愛おしさを掌に集中した。ミサキの肌とヒカルの掌が溶け合い、体の芯にまで届きそうな快感がうねりとなって押し寄せた。それは大きく波打ち、小さくさざめきミサキを取り込んでいった。ミサキも今感じている快感をヒカルに伝えたかった。両腕を伸ばし、ヒカル自身に触れた。ヒカル自身はミサキの手の中で徐々に硬直していった。ヒカル自身が頂点に達した時、ミサキは手を離し立ち上がった。同時にヒカルの動きも止まった。中腰のヒカルに泡だらけのミサキが抱きついた。身体を摺り寄せながら、二人は立った。見つめ合いキッスをした。長いキッスの後、ミサキはヒカルの手を解き、振り向くとバスタブに左手を掛け、右手を太腿の間から通して、ヒカル自身を捕まえた。ゆっくりと、ゆっくりとヒカル自身をミサキ自身に招き入れた。ヒカルは一瞬、ハッとした。いいのか、その思いもミサキの中に入っていく自身の感覚が忘れさせた。