仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

言葉の少ない会話の中でⅢ

2008年09月04日 17時19分10秒 | Weblog
アキコが来た。ヒデオの背後から近づいて、肩を叩いた。ビクンッとヒデオは跳ねた。アキコはまた、怒られるかと思った。
「おー、お疲れ。飯は。」
「まだよ。」
そういうとヒデオは立ちあげった。二人はヒデオの車に乗った。
「何がいい。」
「マサルが言っていたラーメン屋さんに行かない。」
「いいよ。場所、わかる。」
「学校の近くだって言ってたよ。」
「じゃあ、あの辺か。」
ヒデオは外苑西通りを目黒方向に走った。
「そういえば、マサルに合う。」
「最近、会わないね。」
「そう。」
「儀式のころは毎日いたのにね。」
「どうしたんだろう。」
会話が止まった。明子はハンドルを持つ、ヒデオの肩にもたれ掛かった。ヒデオは何も言わなかった。安心感みたいなものがあった。二人は同時にそれを感じていた。寄り添ったり、触れ合ったり、アキコとそうしていると初期の「ベース」の感覚を取り戻した。いまはヒロムや常任の間で「指導」と言う言葉が当たり前のように使われていた。二人ともその言葉が不思議に思えた。