二人は「ベース」に戻った。ヒロムはワードプロフェッサーの前に座っていた。当時のワープロは今のディスクトップくらいの大きさだった。ヒトミもいた。ヒトミは隅でファッション雑誌を見ていた。
「入室しないのか。」
ヒデオが聞いた。
「今日は演劇部が仕切っているから・・」
「お前が話しをしなくていいのか。」
「うん、今日はいってもボディータッチくらいだから。・・・・」
ヒデオは何も言わなかった。
「マニュアルも作ったし、問題ないよ。」
ヒロムは画面から目を離さなかった。ヒデオはヒロムの顔が見えるほうに移動した。
「今度、入室時間を制限しようかと思うんだ。・・・・・
入室が、まちまちだと指導するほうが大変だからね。・・・・・
『営み』まではいかないようにしているんだ。・・・・・・
『営み』に至る日をね、曜日か、日にちで決めようとも思っているんだけど。・・・・・
特別な価値観をつけるほうが彼らにとって意味があると思うんだよ。・・・・」
ヒロムは画面から目を離さないまま話し続けた。ヒデオは腰を落として、ヒロムの目と目線が合うようにした。ヒロムは気づかなかった。
「ヒカルから、これを預かった。」
話の腰を折った。
「何?。」
ヒロムはやっと画面から目を離して、ヒデオの差し出した手を見た。
「何だ。鍵か、もう、使わないの。」
「ああ、部屋を借りた。」
「へー。」
「お前、ヒカルに何かしたのか。」
ヒロムの表情が一瞬、曇った。ヒロムは目線を画面に戻し、表情を作り直して言った。
「いや、別に・・・・・・。その辺に置いておいてよ。」
ヒデオは立ち上がるとヒロムの脇に回り、机に叩きつけるように鍵を置いた。そのまま、部屋を出ていこうとした。アキコが追いかけた。
「どうしたのよ。」
「アキコの言うとおりかもな。」
「何が。」
ヒデオは答えず車に向かった。
「待ってよー。」
車に乗り込もうとするヒデオに向かって
「いっていい?。」
ヒデオは助手席側に回って鍵を開けた。アキコは慌てて乗り込んだ。
「ねえ、私の部屋によってよ。着替え・・・。」
返事はなかった。エンジンをかけるとヒデオはタイヤを鳴らしながら急発進した。
「入室しないのか。」
ヒデオが聞いた。
「今日は演劇部が仕切っているから・・」
「お前が話しをしなくていいのか。」
「うん、今日はいってもボディータッチくらいだから。・・・・」
ヒデオは何も言わなかった。
「マニュアルも作ったし、問題ないよ。」
ヒロムは画面から目を離さなかった。ヒデオはヒロムの顔が見えるほうに移動した。
「今度、入室時間を制限しようかと思うんだ。・・・・・
入室が、まちまちだと指導するほうが大変だからね。・・・・・
『営み』まではいかないようにしているんだ。・・・・・・
『営み』に至る日をね、曜日か、日にちで決めようとも思っているんだけど。・・・・・
特別な価値観をつけるほうが彼らにとって意味があると思うんだよ。・・・・」
ヒロムは画面から目を離さないまま話し続けた。ヒデオは腰を落として、ヒロムの目と目線が合うようにした。ヒロムは気づかなかった。
「ヒカルから、これを預かった。」
話の腰を折った。
「何?。」
ヒロムはやっと画面から目を離して、ヒデオの差し出した手を見た。
「何だ。鍵か、もう、使わないの。」
「ああ、部屋を借りた。」
「へー。」
「お前、ヒカルに何かしたのか。」
ヒロムの表情が一瞬、曇った。ヒロムは目線を画面に戻し、表情を作り直して言った。
「いや、別に・・・・・・。その辺に置いておいてよ。」
ヒデオは立ち上がるとヒロムの脇に回り、机に叩きつけるように鍵を置いた。そのまま、部屋を出ていこうとした。アキコが追いかけた。
「どうしたのよ。」
「アキコの言うとおりかもな。」
「何が。」
ヒデオは答えず車に向かった。
「待ってよー。」
車に乗り込もうとするヒデオに向かって
「いっていい?。」
ヒデオは助手席側に回って鍵を開けた。アキコは慌てて乗り込んだ。
「ねえ、私の部屋によってよ。着替え・・・。」
返事はなかった。エンジンをかけるとヒデオはタイヤを鳴らしながら急発進した。