仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

ほんとに誰でもいいのⅣ

2008年09月26日 16時14分19秒 | Weblog
ヒデオは環七に出る前に少し悩んだ。が、いつもどおり環七を右折した。ヒデオがポツンと言った。
「臭いだめなんだ。」
「なーに。」
「さっき、はっきりわかったよ。」
「何がわかったの。」
「自分に着いた臭いがさ、だめなんだよ。」
「臭いー・・・。」
しばらく沈黙。
「ほらっ、さっき、石鹸変えたじゃん。」
「石鹸・・・・」
「アキコの臭いは気にならないんだよ。」
「私の臭い・・・・」
「自分にさあ、なんか香料の臭いとか着くと起たなくなるんだよ。」
「えっ。」
「今日、なんか、変でさぁ。直ぐ、起っちゃうんだよ。」
「なにいってるのよー。でも、変ね。自分の身体の臭いって3秒位すると慣れちゃうのに・・・」
しばらく沈黙が続いた。
くすくす笑いながらアキコが言った。
「ヒデオ、私のこと、女だと思ってないんでしょ。」
「そんなことないよ。」
「だって、今みたいな事、好きな女の子に言える?。」
「好きってー・・・。」
ヒデオはしばらく考えた。
「よくわからないけど。アキコのことは好きだよ。」
「バカッ。」
しばらく沈黙。
「不思議ね。「ベース」がなかったら、ヒデオとこうしていることはなかったわよね。」
「ああそうだね。」
「あのころの「ベース」の感覚だと男とか、女って感覚なったわ。セクスもセクスって感じじゃなくて・・・、一緒になれるって感じだったもの。誰とでもよかったわ。隣にいる誰かでほんとによかった。」
「セクスって・・・・。」
「なーに。」
「今日、アキコといっしょなりたいな。」
「いいよ。前みたいに乱暴にしなければね。」
ヒデオは一瞬、戸惑い、アキコの肩を抱いた。
アキコはヒデオの腿に手を添えた。