マサルは昨日も会っていたような話し方だった。合わない時間を感じさせないような雰囲気があった。
「エー、わからないよ。後ろからじゃ。」
ヒデオも普通に話した。
「マサル、「ベース」に行くの。」
「違うよ。ホールで軽音のコンサートがあったからちょっと聞いてた。」
「帰るの。」
「うん。」
一瞬の沈黙。
「ところで、ヒカルどうしてる。」
マサルが聞いた。
「マサル知らないの。!?」
「最近「ベース」に行ってないから。」
「お茶する。」
「いいよ。」
マサルのベンベーが先頭に立って走った。「ベース」の前を通り過ぎて、青山通りに出た。大胆にAG大の前でユーターンして歩道脇に車を止めた。
「ここの上の店に行こう。」
マサルは先頭に立って、路地を入った。雑居ビルの五階にあるサンバクラブAJに案内した。大音響の音楽が流れているのかと思ったら、スローテンポのボサノバが流れていた。
「ライブの時以外は静かなんだ。」
マサルはジントニックを頼んだ。アキコはターキーのシングル、ヒデオはジンジャエール。壁にへばり付いているような幅の狭いカウンターに、長い足の椅子、小さな丸窓から外が見える席に付いた。アキコが腰掛けると足が宙に浮いた。ヒデオとマサルはお尻の半分をのせ、片足を床に、片方を椅子に引っ掛けた。アキコを真中に挟むようにして、話し始めた。
「ヒロムから何も聞いたないの。」
「最近、あまり、行かないから。」
「ヒロムも知らないよ。」
「そうなの。」
「マサル、どこに住んでいるんだっけ。」
「下北、と言えば聞こえがいいけど、池の上に非常に近い下北かな。」
「あー、それでかな。ヒカル、ミサキと池の上と駒東の中間くらいのところのアパート借りたよ。」
「そうなんだ。電話は入れたの。」
「ないよ。」
「ヒデオのところで働いてるの知ってる。?」
「そうなんだ。だから最近来ないのか。」
「何で最近、来ないの。」
「えー、TG会の集会にいったら、オヤジが絡んでるらしくて、嫌になったて言うか、少し萎えた。」
「なにそれ、?」
「うん、なんか気が抜けちゃってさ。」
「ふーん。」
「住所は、?」
ヒデオがマサルの出したメモにヒカルの住所を書いた。
「ヒカルに言っておくよ。」
「何を。」
「マサルが会いたがっていたって。」
「あーそうか。」
「この時間なら、いると思うから行ってみたら。」
「そうだね。」
ヒカルの話題が終わると音楽の話題になった。ヒデオは沈黙に入ってしまった。アキコとマサルは「トーキングヘッズ」や「シカゴ」、「プリンス」の話に盛り上がった。
店を出て、マサルはベンベーに乗り、窓から顔を出した。
「住所、ありがと。」
それだけ言うとタイヤを鳴らして走り去った。
「エー、わからないよ。後ろからじゃ。」
ヒデオも普通に話した。
「マサル、「ベース」に行くの。」
「違うよ。ホールで軽音のコンサートがあったからちょっと聞いてた。」
「帰るの。」
「うん。」
一瞬の沈黙。
「ところで、ヒカルどうしてる。」
マサルが聞いた。
「マサル知らないの。!?」
「最近「ベース」に行ってないから。」
「お茶する。」
「いいよ。」
マサルのベンベーが先頭に立って走った。「ベース」の前を通り過ぎて、青山通りに出た。大胆にAG大の前でユーターンして歩道脇に車を止めた。
「ここの上の店に行こう。」
マサルは先頭に立って、路地を入った。雑居ビルの五階にあるサンバクラブAJに案内した。大音響の音楽が流れているのかと思ったら、スローテンポのボサノバが流れていた。
「ライブの時以外は静かなんだ。」
マサルはジントニックを頼んだ。アキコはターキーのシングル、ヒデオはジンジャエール。壁にへばり付いているような幅の狭いカウンターに、長い足の椅子、小さな丸窓から外が見える席に付いた。アキコが腰掛けると足が宙に浮いた。ヒデオとマサルはお尻の半分をのせ、片足を床に、片方を椅子に引っ掛けた。アキコを真中に挟むようにして、話し始めた。
「ヒロムから何も聞いたないの。」
「最近、あまり、行かないから。」
「ヒロムも知らないよ。」
「そうなの。」
「マサル、どこに住んでいるんだっけ。」
「下北、と言えば聞こえがいいけど、池の上に非常に近い下北かな。」
「あー、それでかな。ヒカル、ミサキと池の上と駒東の中間くらいのところのアパート借りたよ。」
「そうなんだ。電話は入れたの。」
「ないよ。」
「ヒデオのところで働いてるの知ってる。?」
「そうなんだ。だから最近来ないのか。」
「何で最近、来ないの。」
「えー、TG会の集会にいったら、オヤジが絡んでるらしくて、嫌になったて言うか、少し萎えた。」
「なにそれ、?」
「うん、なんか気が抜けちゃってさ。」
「ふーん。」
「住所は、?」
ヒデオがマサルの出したメモにヒカルの住所を書いた。
「ヒカルに言っておくよ。」
「何を。」
「マサルが会いたがっていたって。」
「あーそうか。」
「この時間なら、いると思うから行ってみたら。」
「そうだね。」
ヒカルの話題が終わると音楽の話題になった。ヒデオは沈黙に入ってしまった。アキコとマサルは「トーキングヘッズ」や「シカゴ」、「プリンス」の話に盛り上がった。
店を出て、マサルはベンベーに乗り、窓から顔を出した。
「住所、ありがと。」
それだけ言うとタイヤを鳴らして走り去った。