1シーズン6話のみのTVドラマだが、異常なまでに感情移入してしまい、一晩で一気に見終えてしまう。
レヴューは”リアリティがなさすぎる”とか”過疎地にしては若者が多すぎる”とか、散々だが、田舎に住んでる私から見れば、他人事に思えない程に悍しく感じた。
流石に、我が柳川市はここまでは酷くはないが、近い将来こんな風に過疎化し、消え去る運命なのかなと、等身大の恐怖を感じてしまう。
”この先、3千以上の過疎地が消滅すると言われてる。鵜頭川村もその中に含まれてる”と、青年団の若者が説くシーンがある。
都会に住んでる人が見れば滑稽にも思えるセリフだが、田舎に住んでる人から見れば、全くの笑い事ではない。
確かに、豪雨災害が起きてから1ヶ月近くも経ってるのに、救助が全く来ないという設定には流石に無理はあるが、近い将来こういう事が起こらないとも限らないし、今の自民党が過疎地域の深刻な惨劇を無視しないと誰が断言できようか?
この村は何かがおかしい
主人公で医師の岩森明(松田龍平)は娘を連れ、行方不明となった妻・仁美(蓮佛美沙子)を捜しに、妻の故郷”鵜頭川村(うずかわむら)”を訪れる。そこでは、12年ぶりに開催される”エイキチ”という名の神を祀る祭りの準備の只中で、村は活気づいてる様に見えた。
が、そこは矢萩一族の不条理な権力が支配する一方で、村に取り残された若者たちが鬱憤を溜める、絶望に支配された空間だったのだ。
そんな中、突如大雨が襲い、村は孤絶状態に・・・やがて1人の若者が何者かに殺害され、遺体で発見される。村中を不信と不安が覆い始める中、更なる殺人事件が次々と発生。憤懣を溜めてた青年団の若者らは自警団を結成し、奮起を促し先鋭化するが、岩森もその争いに巻き込まれていく(Amazon)。
やがて、自分の過去に向き合う事になる岩森だが、自身の罪と隠された村の秘密と連続殺人事件の犯人とが次々と暴かれてゆく。
私はこうした純朴でシンプルなシリアスなドラマにとても弱い。
最初は、松田龍平さんがカッコよくて、見惚れながら見ていたのだが、奥さん役の蓮佛美沙子さんも透き通る様な純朴な美しさを持つ女優さんで、この2人に引きずられる様にして、不気味で陰湿なパニック・スリラーな世界にのめり込んでしまう。
手術ミスで患者を死なせてしまうという苦い過去を持つ岩森だが、同じ様に12年前の暗い過去を引きずる奥さんとの心の接点はなく、夫婦は最悪の結末を迎える事になる。
結果から言えば、岩森は(故殺とは言え)患者と女房を殺し、鵜頭川村青年団の団長である降谷(工藤阿須加)は、同じ青年団の若者と村でたった1人の巡査と町長を殺してしまう。
一方で、鵜頭川村で不法な産廃業を営む、矢萩総業の重鎮である矢萩吉朗(伊武雅刀)は、村一番の権力者で、実質的に矢萩一族が村一帯を支配する。更に、橋とトンネルを壊し、外部との接点を完璧に封じ込み、事実上のやりたい放題である。
”エイキチ”祭りというのも全くのインチキ行事で、若い娘を洞窟の中に3日間封じ込み、”筆下ろし”ではなく”神降し”という名目でレイプする。全ては矢萩一族が仕組んだ伝統のお祭りである。
最後に
ただ気になったのが、エピソードの終りに、先の展開が大まかに紹介されるが、これは全くの余計である。
それに、シリアスな要素を詰め込みすぎた感がなくもない。手術ミスで患者を死なせてしまうとの岩森の過去は、ドラマ版では余計に思えたし、3人を殺した青年団(降谷)の設定も無駄に思えた。
6話完結のドラマに余計なフラグは盛り込むべきではない。展開を複雑にしても見る側は混乱するだけである。つまり、過疎化した村を何とか立て直そうとする青年団と、村を一極支配する矢萩一族との一騎打ちというシンプルな展開で十分だった筈だ。
こうした余計を排除するだけで、ドラマにはリアルが充填し、見る側は感情をスムーズに移入できる。
そういう意味では、”B級”と酷評されても仕方がなくもない。
松田龍平さんも蓮佛美沙子さんもとても良い雰囲気で演じていたので、少し残念ではある。更に、勧善懲悪すぎる感は拭えないが、過疎地域というのは、こうした醜い対立は当り前なのかもしれない。
しかし、過疎社会の深刻な病巣や悍しい矛盾を描いたドラマとしては、秀作ドラマとも言える。
ああ〜あの頃はこんなので盛り上がってたような気がします。
私もこの手のソフトで遊んだ事ありますが、あらゆる選択を駆使しても悪い方向にしか行かない。
同じ様に、高齢化や過疎社会の問題って
ある意味、もはや施策の取りようがないのかなとも思います。
コレはダム建設に纏わるストーリーだったかな
とても怖い映画でした。
「八つ墓村」程に完成度はないんですが、こんなんアリか?っていう悍ましさの連続で、見てて背筋が震えました。
ただ、日本のTVドラマの共通する欠点ですが、フラグを詰め込み過ぎというか、わざわざ設定をややこしくてる感がある。
青年団と矢萩一族とのシンプルな一騎打ちで通した方が傑作になり得たのに、実に惜しい気もします。
鵜頭川村の様な盆地に囲まれた過疎地域は、独特の得体の知れない閉塞感が漂ってますよね。
何度も言うようですが、とても怖いドラマでした。
あるいは泉鏡花「高野聖」や「夜叉ヶ池」の世界観を連想させたりもします
閉ざされた社会であろうがなかろうが、集団狂気は身近なモノのケみたいに横たわり
絶えず私達を引き込もうと
手薬煉引いて待ち構えている様に感じます
平和と戦争の狭間におかれた今も
鵜頭川ムラは世界の至る所に散在しているのではないでしょうか