
今まさに読むべき本が、2冊ある。これこそが、今まさにそこにある危機を物語る本と言うべきか。まずは、一冊目を紹介です。
今のトランプ政権のやり方を見てると、トランプが与える気紛れは狂気となり、その狂気は凶器になり、凶器は驚異となり、世を支配する。つまり、今のアメリカはトランプの気紛れな狂気そのものが支配してると言っていい。
これこそがまさに老害という名の狂気ではあるが。「恐怖の男~トランプ政権の真実(FEAR:Trump in the White House)」(ボブ・ウッドワード著)は、上で述べたトランプの愚かさと狂気と気紛れの全てを語ってる様に思う。
狂気のトランプ政権
因みにこのウッドワード氏は、ウォーターゲート事件を暴き、ニクソン大統領を辞任に追い込んだ有名な記者です。その他にもブッシュ政権のイラク政策の迷走を描いた「ブッシュのホワイトハウス(the state of denial)」など、常にジャーナリズムの世界で注目を浴び続けてる。
「恐怖の男」のタイトル”FEAR”は、”恐怖=権力”というトランプの持論から来てます。
気に入らない政権幹部の首を唐突に次々と切るのは、恐怖を与え権力を維持する為だとされる。いつ解任されるか分からない政府高官にはこれこそが”今そこにある恐怖”なんです。
トランプ政権の特徴は、政治経済軍事の全ておける政策決定のプロセスが正規な手順を経ずに決められてる事です。
スティーブ・バノン主席戦略官、ピーター・ナバロ大統領補佐官、トランプの娘婿ジャレッド上級顧問と、どの組織にも属さない影武者が、トランプに直談判し、大統領の政策決定に大きな影響力を与えている。
著者のウッドワードは、この3人の中でトランプの対中国強硬路線はピーター・ナバロ大統領補佐官が黒幕の筆頭になってると指摘する。
ナバロは、米国の貿易赤字は半分以上が中国であり、制裁関税で中国との貿易赤字を減らさないと中国に経済だけでなく軍事も覇権を握られてしまうと、”中国脅威論”を唱え、トランプから強い信頼を得ているとされる。
”臥した虎”中国に怯えるアメリカ
それともう一冊は、上述したトランプの筆頭黒幕であるピーター•ナバロ著の「米中もし戦わば〜戦争の地政学」(Crouching Tiger: What China's Militarism Means for the World)。
この本の原題の意味は、”臥(ふ)した虎〜中国軍が世界に与える驚異”という意味ですが、”臥した虎に怯えるアメリカ”でも良かったかな。”臥した”とは、身を低くし何時でも臨戦態勢にある様を言います。
清(1616〜1912)の時代の”眠れる獅子”から平成の”臥した虎”ですか、中国も強くなったもんだ。
でも、その”眠れる獅子”と恐れられた中国(清)もアヘン戦争(1840〜1842)や日中戦争(1894〜1895)で敗れ去り、欧米列強が半植民地化してしまった。
しかし今は、アメリカを堂々と敵に回し、”臥した”中国は、世界を脅かす程の存在になった。だが歴史は繰り返すのなら、再び中国はアメリカに敗れ去るのか?それとも今度はアメリカがヤラれる番か?日中戦争の再現か?アヘン戦争の再現か?いや、米中全面戦争の間で丸焦げになるのか?
日本の防衛省が”今まさに読んでる本”という事で、オイオイ日本はそんな流暢な事で大丈夫かよって。
この今まさに読むべき本は、アメリカの立場から中国との衝突が避けられるかを地政学から分析した本である。
内容は深刻だが、地政学とあるのは、戦争というものが如何に地理と政治的要素の融合体であるかを物語ってる。
事実、その地政学の視点で見れば、日本が米中全面戦争の一番の犠牲になるのは火を見るより明らかですね。
”中国との全面核戦争なんてあり得ない” ”北朝鮮が日本に核兵器を使う筈がない”と楽観的に考える貴方は、絶対に読むべき本である。米中戦争こそが今そこにある危機、いや”十分にあり得る危機”というのがわかる筈。
特に自衛隊の現状を考えると、日本は今のままでは”ジ・エンド”と言わざるを得ない。
70%以上の確率で戦争は起きる?
このピーター・ナバロって人、自書の「中国による死(Death by China)」を元にしたドキュメンタリー映画を監督プロデュースした後、トランプの政権アドバイザーに就任し、トランプを操る黒幕と言われてます。
この「中国による死」は、ナバロ氏が今の大統領補佐官の前の政権アドバイザーという側近の時に出版した本なので、結構リアルで生々しいですね。
この本の冒頭では、”これまでの世界史を振り返ると、中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国と対峙した場合、70%以上の確率で戦争が起きる”とナバロ氏は警告する。特に台湾問題がこじれたら、かなり高い確率で米中戦争は起きると。
何だか自分から戦争を煽ってるようで、ブッシュの黒幕のチェイニー元副大統領とダブりますね。
この本の主な内容としては、
1、米中戦争の一番の引き金は、国際法を無視した中国の南シナ海進出であると。中国が東アジアの海域で覇権を握れば、米国の安全保障と経済に甚大な悪影響を与えるが故、容認できない米国は武力により阻止するだろう。
2、もし米中戦争になれば、通常兵器による通常戦争に留まらず、核兵器を使った全面戦争に発展し、最悪の事態になる。つまり、通常戦争では中国軍が劣勢になので、共産党の権力維持の為にも”核”を選択する。
3、米中の核戦争という最悪の事態を避ける為、東&南シナ海からの米軍の撤退だが、米国にとっても経済の生命線となる重要な通商路なので、撤退はあり得ない。もし東シナ海から米軍が撤退するなら、尖閣列島だけでなく沖縄も中国の属領となる。故に、追い詰められた日本は核武装し、中国と戦う道を選ぶかも知れないという。
つまり、中国との貿易赤字を減らせれば、中国の経済と軍拡を弱体化でき、米中が戦争になる最悪のリスクも減るという。でもそんな簡単な事なのだろうか?
しかし、北朝鮮と米国が武力衝突する危機については、ナバロ氏は想定していない。
事実、米朝会談でのアメリカは北朝鮮に媚びを売ってるのは明らかだった。
結局米国は北朝鮮への圧力を中国に頼り、中国に対する戦略の見直しを迫られてる。ナバロのような対中国強硬派の参謀を得たトランプ政権が、”臥(ふ)した虎”にどう立ち向かうのか?
中国脅威論と全面核戦争と
やり方次第では、全面核戦争という最悪の事態も免れない。ただ、トランプの気紛れな狂気でこの難題をコントロールできるのだろうか?
それに”中国脅威論”だけで、米中の経済摩擦が米中の冷戦が、解決できるとは到底思えない。
それと、通常戦争ではアメリカが有利とあるが、それも実に怪しい。
アメリカの軍事的優位の3つ柱は、①空母戦闘群、②グアム・日本・韓国の大規模基地、③高度なC4ISRシステムだ。
①に関して中国は、空母に対し1600Km彼方から空母を撃沈できる対艦弾道ミサイルを完成させ、その上マッハ10で飛ぶ対艦巡航ミサイルも完成させたとされる。故にこれが事実だとすれば、アメリカの軍事パワーの象徴である空母戦闘群やイージスシステムは劣勢に晒される。1000億ドルの空母を100万ドルのミサイル1発で潰してしまう現状は、アメリカに多大なコストを跳ね上げさせる。
②の日本やグアムの大規模基地は、中国の多彩で大量なミサイル攻撃に対して全く無防備になると。
③のC4ISR情報システムは衛星に依存してるが、中国はキラー衛星を完成させた。もしこれが事実だとすれば、中国は制宙権を確保する事になり、アメリカは全くの劣勢に立たされるとある。
つまりアメリカは、日本やグアムに基地を有するとはいえ、中国までの1万キロの距離の過酷さは厳しいものがある。とはいえ哀しいかな、日本・韓国・台湾こそがアメリカ本土防衛の最前線なのだ。
ここを死守し中国を封じ込めなければ、アメリカの軍事的敗北は避けられない。
つまり通常戦争でも、中国が核攻撃に踏み切る以前に、不利に追い込まれたアメリカが”核”に手を出す可能性も高い。トランプが血眼になって米中経済戦争を仕掛けるのも頷ける。
アメリカに勝算はない?
ただ、中国は北朝鮮を利用し、アメリカへ核の驚異の矛先を向かわせようとしている様に思えなくもない。北朝鮮経由で”核を1発くらい落としてもバチは当たらんだろう”という事か。少しぐらいアメリカも痛い思いをしろっていう、中国のこの考えには、僕も賛成する部分ではある。
ただ、南シナ海進出には絶対に同意できない。どう考えても、大日本帝国時代の”南下政策”の大失態とダブルからだ。
仮に戦力的に中国が優位だとしてもだ。西のインド、南のオーストラリアに囲まれたら、流石の中国も孤立する。北のロシアは傍観するだろうしね。
そうなれば、曖昧な日米同盟は俄然強固となり、台湾と朝鮮半島をタテの防衛線にしたアメリカに一気に叩かれる。
そのアメリカは、北朝鮮に上手く近づき、手懐け、味方につけ、中国との全面戦争を回避擦る事も出来る。いやベトナム戦争同様に、北朝鮮を盾にして、日本・韓国・台湾を最前基地にした”通常戦争”に持っていけば、勝算は十分にあると踏んでるのだろうか。
しかし、アメリカのこの甘い?考え方こそが、今そこにある本当の等身大の危機であり、今避けるべき考え方であり、危機であろうか。
上述した様に、今やアメリカの自慢の軍事力は、既に中国の驚異ではなくなってるのも事実。実際にそうでなくとも、そう認識した方が痛い目に遭わずに済むかもしれない。
アメリカが終わる日
ナバロ氏のこの”行き過ぎた?”中国脅威論は、今の成り上がったアメリカを戒める為の防御策と反省になれば、中国との全面戦争は避けられるかもしれない。
しかし、アメリカファストを自慢に掲げるトランプの気紛れでクレージーな狂気こそが、中国の原始的で荒っぽい鉄槌を食らう羽目になろうか。
中国は今や”眠れる獅子”ではないし、清王朝みたいにデカイだけの国ではない。”中国に睨まれた”アメリカに勝算はあるのか?”臥した中国”は、アメリカに核を落とすべきか?アメリカの終焉は意外にも早く到来するのか?
この本に書いてある事が本当だとすれば、トランプが気紛れで無能な支配者であり続ければ、トランプのズラ同様にアメリカ軍は最悪、跡形もなく吹っ飛ぶかも知れない。
いや、この中国脅威論を真に受けたアメリカに、アヘン戦争や日中戦争同様、”臥した虎”である筈の中国があっさりと敗れ去るのか?
一方でアメリカに頼るしかない日本は、核保有国にならずにアメリカの核抑止力に頼るだけなのか?それとも、核武装した日本が丸焦げになるだけの、米中の痛み分けで終わるのか?
嗚呼、こんな事考えるだけで夜も眠れない。でも読んでおいて損はない本だと思う。
追記〜日本が進むべき選択とは?
ナバロ氏は、日本に3つの選択肢を指摘しています。①中国に近づくか②(憲法改正して)核武装するか③アメリカにつくか。
ナバロは、①よりも②の方が危険だとも指摘する。
現実的に見れば、②なら僅か数分で日本は丸焦げだろうし、③のアメリカと共に戦えば、米中痛み分けで朝鮮半島か日本が戦場になるだけだし、①なら勿論、日本人全てが反対でしょうし、アメリカを敵に回し、これまた日本は丸焦げになる。
結局、ナバロの3つの選択肢も日本丸焦げの目は避けられない。全く嫌な男ですな。
つまり中国が強く出れるのも、こういった状況が解りきってるからで、日本としては非核を貫くブレない勇気と知略が必要でしょうか。
故に、米中の2強の弱体化&孤立化を辛抱強く待つしか、残された道はないかもしれない。
勿論全面戦争にならなくても、中国は日本に対し、”脅し”として数ダース程のミサイルは打ち込む可能性が高いですから、今のうちに堅固な地下シェルターを作るべきでしょうか。
それに今のアメリカは口先だけですから、中国との全面戦争になったら直に本国へ逃げ込むでしょうね。
一方で、米国は中国への覇権システム委譲を進行中という、信じられない様な一部の専門家の声もある。
でも上述した様に、中国の南シナ海制圧は、旧日本軍の南下政策と同じで、100%裏目に出そうな気がする。いや、そう思わないとやってられない。
つまり、残された選択肢は、中国につくか?アメリカと共に戦うか?の二つ。転んだサンだったらどっちを選びます?
白象さんのブログとても興味深かったです。台湾問題こそが米中戦争の鍵と。日本は両者に入って非核を貫けるのか?
ナバロ氏は暗に日本に対し、非核を貫いて欲しいと願ってる様なニュアンスも見え隠れしますね。これこそが第四の隠れた選択肢かもです。
でも、転んだサン言うように、全面核戦争の危機を等身大に受けとるべきですかね。ホント怖い時代になったものです。
でも白象さん言う様に、核を落とされない為には、日米は戦う羽目になるんですかね。同盟国としていや敵対国として。
ホント怖い時代です。
一番の理想は、アメリカが自然消滅する事なんだけど。世界が1つになって、アメリカをやっつける。そして、中国には清王朝末期の分裂時代に戻って欲しいな。
白象さんのコラム、とても怖かったです。"戦わなければ困るのは米国と日本と知る"なんて、流石に言う事が違いますね。全く背筋が凍り付きますね。
日本列島は東京オリンピックまで持つのかな?
とにかく怖い時代になったもんです。