北京冬季五輪がいよいよ始まった。
早くもショートトラックでは疑惑の判定を巡り、米メディアが大騒ぎしてるが、中国共産党からすれば(こんなのは)朝飯前であろうか。
でも開会式は(昨年夏の東京五輪と比べ)とても美しかったと、多少いい評価を受けてはいる。
”悲しすぎる”祭典に成り下がった東京大会に比べ、”受け容れられない”と揶揄される北京大会は、我々(アンチ五輪)にどんなドラマを披露してくれるのだろうか?
という事で今日は、冬季五輪の”伝説の中の伝説”とまで謳われた、スピードスケートのエリク・ハイデン(Eric Heiden)選手を紹介します。
名前だけでも覚えてる人は少なくないと思う(多分)。レイクプラシッド大会(1980)で、男子スピードスケートの500m、1000m、1500m、5000m、10000mの全ての種目を制覇し、五つの金メダルを獲得、世界中を震撼させた男だ。
ハイデン選手関しては、ブログを始めた頃の4年前の2月に2つの記事を書いた。しかし、レビューもコメントもゼロで、それじゃ彼の経歴に失礼だと思うので、一纏めにして再投稿します。
必ず全種目制覇するよ
彼は、恋人が編んでくれたマフラーを首に巻き、殺到するメディアの前でインタビューに答えた。
"このオリンピックで5つの金メダルを獲得したら、彼女にプロポーズする。その為にここに来たんだ。必ず全種目を制覇してやるよ"
全く冬の王者に相応しい、何と頼もしい言葉だろう。そこに悲壮感なんて全くなかった。全てを掛け、全てを犠牲にして、オリンピックに臨む日本人とは大きな違いである。
世界スプリント選手権と総合(世界オールラウンド選手権)では、4連覇を果たしていた無敵の王者は、大方の予言通り、5種目全てを制覇し、何事もなかったかの様な涼しい顔で、冬季五輪史上初の5つの金メダルを獲得。
この男こそ本当の意味での”レジェンド”である。
当時、アメリカと冷戦状態にあったソ連の新聞も"記録に残る勝利"と、ハイデンの栄誉を讃えた程の偉業であった。
私も、その偉業の瞬間は覚えてる。
そこには浪花節的な、感動も感傷も興奮も必要なかった。完成された衝撃と揺るぎなきハイデンの自信と彫像が、只々ブラウン管を支配していた。
空前絶後の完全制覇を達成し、世界の英雄伝説を従え、時代の寵児となった男には、当然の如く彼女にプロポーズし、結婚する青写真が出来上がってはいたが・・・
5つの金メダルなんて、呆気ないもんさ
しかし、当の彼女はハイデンがオリンピックで奮闘してる間に、(噂によれば)何とNHLのイケメン選手とデキてたらしい。哀しいかな、この時のオリンピックの主役はハイデンではなく、北米アイスホッケーのドリームチームだった。
この全米学生選抜からなるチームは、何と当時世界最強を誇るソ連を破り、全ての話題をさらっていく。確かに、映画「ミラクル」は感動を超えていた。北米のNHLでも勝てないとされたソ連を打ち負かしたのだ。
因みに、この(失恋?に関する)逸話はNHKのAMラジオで聞いたんですが、サイトでも色々と確認したんですが、殆ど触れてませんね。
ともかく、ハイデンは切れた。
何の為の史上初の完全正覇なのか?
誰の為の5つの金メダルなのか?そんなに俺の金は価値のないメダルなのか?
彼は(彼女を見返す為に)NHFの選手になろうと奮闘した時期もあったそうだが・・・
偉業達成後のインタビューも地味なものだった。5つの金メダルの感想はとの問いに、"ベッドに突っ込んでるだけさ。 結果は確かに良かったけど、そこに至る過程、如何に努力したか、ベストを尽くしたかがとても重要なんだ"と、呆気ない。
いや実際、その通りなんですけど・・・
結局、彼は大学医学部に戻る事を表明。また、殺到したコマーシャル出演の話を全て断り、"自分の金メダルを金儲けには利用したくない"と述べた。因みに、現在は整形外科医である。
五輪終了後は、妹の影響で自転車競技のプロのロードレースの選手に転身し、1985年、全米プロ自転車選手権ロードレースの初代優勝者となった。ツール・ド・フランスにも出た事があるそうで、ハイデン氏の執念と努力とその姿勢には、本当に頭が下がる。
所詮アメリカでは、オリンピックのメダルなんて、そんな扱いなんだろうか。
これがアメリカ以外の国だったら、オリンピックが開催される度に、彼は開会式に呼ばれセレモニーを賑わせたであろう。少なくともIOCの会長くらいにはなってた。
女性コーチとの超絶なる特訓の成果
ハイデンの本当の凄みは、全種目制覇といった結果という、そんなチャチな所にはない。そこまでに到達する過程の、努力の次元が違いすぎた。
結果を超えた道のりとそこからの物語こそが、彼の本性を物語る。
1976年に初めて挑戦したインスブルック大会では、入賞すら果たせなかった。そこで、この負の現実が発想の転換を呼び覚ます。
彼は、地元クラブの女性コーチで、札幌五輪の1500m金メダリストのダイアン・ホルム氏を頼る。独自の超ハードな練習を行い、驚異的な肉体を身につけ、お陰で太腿は何と74センチにも達した。
彼女は、オイルを塗った床での練習や、ゴムチューブを巻きつけ、引っ張り遠心力に耐える等、(当時は)未知のトレーニングを徹底的にハイデンに課す。二人とも結果が出るかは、全くの不安だったという。
また彼女は、ナショナルチーム所属ではなく、旅費を捻出できない為、ヨーロッパ遠征にも同行できない厳しい状況にあった。
しかし、この逆境こそがハイデンの怒涛の推進力となる。彼はスプリントとオールラウンドで世界選手権を4連覇し、無敵の存在にのし上がる。当然、本場ヨーロッパ勢は震え慄いた。
斬新なトレーニングも、今日ではポピュラーなものだが、当時は白い目で見られた。世界記録を何度も更新し、万全の体制で、地元レークプラシッドに臨む。
しかし、史上初の偉業の前には様々な障壁が立ちはだかった。
完全制覇へ向けて
このレイクプラシッド大会では、ハイデンが全種目制覇を達成するかどうか?に全世界の注目が集まる。しかし地元アメリカの、21歳という若き期待の新星は、完全制覇を当然の如く射程圏内に捉えていた。
日程的にも、(地元という事で)種目間のインターバルが十分取れる様にプログラムはなされている。が、実際には強力なライバルがいて、容易ではなかった。
まず最初の500m。
これが一番の難関だった。同走のソ連のクリコフは当時の世界記録保持者。しかも、ハイデンは不利なアウトスタートだ。
いきなり最初から躓いた。ハイデンは最初のスタートでいきなりフライングを犯す。お陰で、クリコフの先行を許すという暗雲が立ち込める。
クリコフのリードでレースは進み、ハイデンの伝説と夢は、初っ端で打ち砕かれるかに見えたその時、奇跡が起きた。
クリコフがカーブで大きくバランスを崩したのだ。お陰で、ハイデンは逆転し、金メダルを獲得する。
クリコフはミスがなければ、明らかにハイデンを破ってたろう。完全制覇の序章は、運も味方していたのだ。
次の5000mは、彼自身"体力的に最もきつい"とされたレース。結果は僅か一秒差で、死闘を制した。
レース後の"ラッキーだった"というコメントは、正直な感想だろう。
インターバルを置いた1000mは唯一、何の問題もなく制覇し、先ずは三冠を達成。
"必ず終りは来るわ”
しかし、続く1500mでは、快調に滑りで余裕で優勝かと、思われた矢先。600m付近で大きくバランスを崩し、転倒しかけた。
だが強靭な太ももと、絶妙なボディバランスが彼を救う。お陰で、4つ目の金メダルを獲得。インタビューでは"ワーオ!"と奇声を上げた。
そしてついに、最終種目の10000mに臨む。
ここにても、当時の世界記録保持者、旧ソ連のラスキンと同じ組で滑る事になる。
彼は自分の記録以上に、スケート大国ソ連の威信に懸け、ハイデンの”全種目制覇を阻まん”と闘志を燃やしていた。
ラスキンは、スタート直後から一気に飛ばし、ハイデンのペースを狂わせる作戦に出る。お陰でハイデンは大きく取り残され、精神的に一気に追い詰められた。
しかしコーチは、構わずペースを守り続けるよう指示する。"必ず終りは来るわ、今は我慢よ"
結局、5000m付近でラスキンは失速し、逆にハイデンの独走となった。
しかしこの最終種目では、これまでの疲労の蓄積に加え、(ドリームチームの快挙により)寝不足が重なり、それ以上に、プレッシャーに押し潰されかけてた。ハイデンの体力は、周を重ねる毎に確実に限界に近づいていく。
既に、腰を曲げている状態だけでも耐えられなくなった。最後は、残りの気力を振り絞ってのフィニッシュ。結果は、何と世界記録を大幅に更新しての金メダル獲得。
前人未踏の五種目完全制覇を達成し、当時アメリカと冷戦状態にあったソ連の新聞も、"記録に残る勝利"として、ハイデンの栄誉をたたえた。
しかし、当時の映像で確認しても、涼しい顔で観客に応え、苦しそうには見えない。
”オリンピックで滑ったのは<ジャスト・フォア・マイ・ファン>。ファンの為だ、星条旗の為じゃない”と、記者会見でははっきりと口にした。
そういえばハイデンは、どんなに苦しい時もファンの前では涼しい顔してたのが印象的に映る。
メダルをとったら泣きじゃくる(不特定多数のありふれた)金メダリストとは異なり、こういう所にも彼の偉大さを垣間見る事ができる。
以上、ウィキや諸々のサイトを参考にし、まとめました。
最後に
神は、全てを与えてはくれない。
偉大なその男は、自らその全てを獲得しようとした。そして、それに見合う犠牲を当り前の様に平気で払う。
完全制覇という前人未到の偉業は、神様がいなかったとしても達成されたであろう。
私がハイデン氏を”伝説の中の伝説”と呼ぶのはそこにある。
そんな真のレジェンドも、ホントは”恋人の為、ただそれだけ事さ”と、さり気なく言いたかったんでしょうか。
でも、逆に女からすれば、完璧過ぎて、勤勉過ぎて、神の領域を超えた男ってのも、詰まんないのかもしれない。
こういう超絶なる英雄伝説を知らされると、超大国アメリカの広大さと豊かさをまざまざと見せ付けられた感じがする。
言われてるように、ハイデン氏はとても控えめで、それでいてアグレッシブな選手でした。
五輪アスリートにしては珍しく穏やかで、実際でもとても勤勉な人でした。
個人的な意見ですが
スピードスケートはそんなに人気あるスポーツではありません。そこで、総合王者をオリンピックでも決めるべきです。ポイント性にして、種目別でメダルをとれなくても総合で有利に働くようにすべきです。
少なくとも、ショートトラックは必要ないと思いますね。言われてるように、判定でいつも揉めてますから。
冷え込んだ人気を煽りたかったんでしょうか。確かに、スピードスケートは記録を争うだけの滑るだけの種目ですから。
動きや駆引きの激しい種目をとIOCも企んだんでしょうか?でも見事に外れました。
個人的には、パシュートにも魅力を感じませんね。団体はユニークですが・・
それに、団体は団体追い抜き(チームパシュート)の事でしたね。
逆になってました。
スミマセンです。
贔屓にしてた佐藤選手ももう少しでした。
高木姉は中国選手による進路妨害を主張してましたが
こうした一発勝負は運が大きく左右しますが、エリックハイデンにはその運さえも必要としない(多分)、圧倒的な強さを見せつけました。
日本は転んだサンが嫌うマススタートと団体で金を狙うしかない。
ショートトラックは疑惑過ぎる判定で中国選手が金を巻き上げるし、ジャンプ混合団体では有力選手が次々と失格になるし
でも北京オリンピックって色んな事ありすぎて、そんな意味でも面白いのか。
試合前にパスしてんだから、試合後に再び抜き打ちなんて・・・それも全員女性で優勝候補のチームばかり。
そこまでしてロシアに勝たせたいのかって
明らかにウクライナ危機が北京五輪に大きな悪影響を及ぼしてます。
規則違反になったチームの国は一団となって、再競技を申請すべきですよね。
コメントと少しずれた内容で、悪しからずです。
ショートトラックに関しては、妨害し放題で、競技とは呼べない。
それにモーグルなんかも見ててアホ臭。
オリンピックも汚職と同じで、膨張しすぎて排除すべき競技が多すぎますよね。
まるで中国選手に金メダルを与える為だけの判定です。
元々、ショートトラックには不可解な判定が付き物だが、これは酷い酷すぎる。韓国選手団のボイコットも辞さない訴えも理解できます。
言われる通り、混合団体ジャンプも国家レベルでIOCを訴えるべきだ。
ウクライナ危機で東西分裂の影響も見え隠れするけど、それでも極端すぎますよ。
北京冬季五輪については最初から眉唾臭かったけど、こうしたカラクリが隠されてたんですね。
開会式だけはそこそこ良かったんですが、それだけだったかな。
冬季五輪も競技が増えすぎて、いろんな人種が幅を利かせてんでしょうか。
贔屓目に見ても東京大会よりもつまんないです。もう下品というか、粗雑というか。
(人権を認めない)中国共産党の仕掛けもこの程度のレベルだったんですよね。