11日、米議会に送られた報告書によると、ロシア軍はウクライナへ侵攻の約2年間で、”現役の地上兵力のほぼ87%(31.5万人)と戦車の2/3を失った”とする米情報機関の見解が明らかになり、ロシア地上軍の近代化が”18年分後退した”と指摘した(ロイター)。
こうした西側寄りの報道に関しては、今更?とも感じなくもない。
事実、”ウソに決まってるだろ”とか”もし本当ならクリミア半島は制圧してるだろうし、東部で苦戦してる筈がない”という声が目立つ。
一方で、(仮に本当だとしても)”兵隊は幾らでも補充がきくし、多くのロシア国民が徴兵には逆らえない(奴隷)状態だ”との声もある。
こうした最悪の均衡は、ウクライナにとって勝利の為の試練なのか?プーチンにとっては想定内の展開なのか?
ただ言えるのは、両国とも死を賭けた終わりの見えない消耗戦だという事だ。
プーチンのウクライナ侵攻が始まった時、例えば、東部に”ウクライナの壁”を作るとか、出来るだけ早期に和平交渉を望むべきだと直感的に思ったものだ。
古い日本人の感覚からすれば、(想定内とは言え)相手が一方的に攻め込んできたのに白旗を上げるとは”敵前逃亡じゃないか”と批判されそうだが、いくら西側の支援を受けた所で(数千万人の国民の死を屁とも思わない)独裁大国ロシアには勝てる筈もない。
むしろ、そんな力関係や冷酷な流儀が明確だからこそ、プーチンはあえて攻め込んだとも言える。
一方で西側は、ロシアの経済力を甘く見て、経済封鎖をすれば半年ほどで経済は疲弊し、(仮に敗北に追い込めずとも)有利な条件で和平に持ち込めると踏んでたのだろうか。
ともあれ、両国共に負った大きな誤算が終わりの見えない”最悪の消耗戦”を生んだと言える。
それに、今のままではどちらが勝利しようが、いばらの道だけが待ち構えている。つまり、ウクライナは西側が、ロシアは中国が見放したら、それで終わりである。
どうしたら消耗戦は終わるのか
一体、どうしたらいいのだろう。
今更だが和平交渉に挑むのか?それともロシアからプーチン政権だけを排除するのか?
しかし、今のロシアにはプーチン政権に反発するだけの国内抵抗勢力は殆ど皆無である。
一方でウクライナの弱点は、明確な国力の差であるが、ロシアの弱点は西側が思う程に明確ではなかった。
そこで今更だが、ロシア軍の致命的欠点を洗い出してみる。以下、「ロシア軍の弱点は・・・」から簡単にまとめます。
まず最初に、”自軍の兵を盾にし突進する”という古い戦法は、兵士の士気の低さもあってか、”9割近くが損耗”という報告書を生む結果となった。
アフガン戦争時は、地上部隊と緊密に連携した攻撃ヘリにより”空地立体戦”を実施した。しかし今回の戦争では、戦車による地上戦とロケット弾や榴弾砲による遠隔攻撃という古い戦法に固執している。少なくとも、近代戦法である空地立体戦ではない。
この主な原因として、”情報戦でロシア軍が劣ってる”事が挙げられる。事実、ロシアは軍事用通信衛星を数多く保有してるが、通信機が不足し、また満足に使用できなく、情報が筒抜けになっていた。お陰で、中将や少将などの高級指揮官がウ軍に狙撃ちされ、多数が亡くなった。
2番目に、下士官や現場の兵士らは”自ら考えて行動しない”という柔軟で臨機応変な知的戦術を全く欠く。本部からの命令が間違っていようが、現場はそれに従うだけで結果として大きな損失を生む。事実、士官が死亡し指揮が執れなくなれば、戦闘前線は総崩れとなる。
3番目に、”劣った兵器”の問題がある。ソ連時代からロシアは電子技術で大きく劣っていた。ソ連崩壊後は米欧製のハイテク部品を購入できたが、プーチンがウクライナ戦争を見越し、ハイテク兵器を大量生産したようでもない。結果、無誘導榴弾やロケット弾などの国内技術だけで量産可能な旧ソ時代の劣った兵器が主体である。
更に上げれば、”軍の腐敗”がある。ソ連時代から悪しき伝統だが、軍の装備を勝手に持ち出して売却し、予算を使った事にして盗みだす。大騒ぎになった例では、2000年にウラジオストクの太平洋艦隊の新兵達が餓死したが、士官達が食糧費をネコババしていた。
以上、Quoraからでした。
最後に
こうしてロシア軍の致命的な弱点を上げれば、ウクライナにも勝機は見えてきそうだが、ウクライナ軍内部にも疲弊や汚職などの綻びが出てきてるのも確かである。
これ以上犠牲者を増やさない為にも、水面下での和平交渉は必要ではないか。
ロシアは仮に和平に応じたとしても、東部4州(ドネツク、サボリージャ、ルガンスク、ヘルソン)には固執するだろう。
因みに、2014年のドネツクを含む東部3州での住民投票後の調査(CNN)では、ロシアへの編入を望む人は37%で4割を下回り、”EUと組むべき”は14%、”どちらでもない”は49%であった。つまり、住民の声はEUよりもロシアに希望を抱いてた事になる。
結果論だが、”ウクライナの壁”を作り、早期に和平案を提示してたら・・と思えなくもないが、ウクライナの負の歴史を振り返ると何も言えなくなる。
一方で、クリミア半島やウクライナ東部を奪還する事がウクライナ国民の理想だが、その為には今以上に多くの犠牲者を積み重ねても、ロシアに勝利する必要がある。
勿論、上で書いた欠点を攻め続ける必要はあるが、多くの矛盾や損耗を曝け出しても突進をやめないプーチン政権を崩壊させるには、ウクライナの体力や先行き不透明な軍事支援だけでは不可能で、ロシア国内のクーデターも必要となろう。
つまり、西側を含めたウクライナとロシア国民でプーチン政権を挟み撃ちにするしか、他に方法がないようにも思える。
まさに最悪の均衡状態だが、ロシア国民の勇気と覚悟、それに冷静な判断と賢さこそが、終わりの見えない消耗戦に決着をつけるのかもしれない。
つまり、戦争を引き起こすのも戦争を終わらせるのも人間、もっと言えばロシア国民の世論とも言える。
ウクライナは、最新のハードをアップデートしてロシアに対抗するつもりでしょうが、アメリカの軍事機密に大きく関わる事なので、認可が降りるかは微妙です。
ここに来て、再びロシアが優位になって着ましたが、年明け早々目が離せなくなりましたね。
ここに来て
国力と軍力に優るロシアが電子戦でも優位に立ってるとの報告があります。
このままだと、EUも支援派と反支援派で真っ二つに分かれ、アメリカはEUを見放す。
世界情勢は西側から中国と中東へと、東側へ大きくシフトするのでしょう。
この戦争に勝利する気でいます。
もうこの時点で、軍隊として体をなしてるのか?大きな疑問ですが、ロシア軍の士気の低さを"囚人のジレンマ”と揶揄されても仕方がないでしょうね。
言われる通り、正義と独裁者と囚人の3つのジレンマが重なり合った”最悪の均衡”ですが、最悪の事態にならない事を願うだけです。
ロシアが占拠&死守しようが
2年間の戦火で廃墟と化した地域に誰が住もうと思うだろう。
でもここまで来たら
誰が何と言おうと両国共に引き下がれない。
まさしく、正義のジレンマと独裁者のジレンマが重なり合った最悪の均衡と言える。