答えは勿論、NOである。
「ウォールデン 森の生活」のH・D・ソローじゃないが、人間は寒さに耐えられる様には出来てないのだ。
まず、数時間以内にパニックに陥り、精神はイカれ、頭は狂い、脱水症状を起こす。殆どの人間なら数日以内に死亡するだろうか。
事実、コロナ渦でも人類はあっという間にパニックに陥った。未だに、”マスクをしたがらない”バカ?が結構存在するのは、その証拠でもあろうか。
こういったパニックに陥りやすい人種がこの映画を観たら、どう思うだろうか?
多分、ナンセンスだと鼻から笑い、見るのをやめるか?娯楽と割り切り、最後まで楽しめるのか?
そういう私も最初は娯楽と割り切って、上から視線でこの映画を眺めていた。
サバイバルものは大好きである。極限になればなるほど興奮する。オレだったらこうするとか、オレが監督だったらと、アホな私は偉そうな事ばかりを妄想する。
「残された者」
”飛行機事故で北極に不時着したパイロットのオボァガードは、壊れた飛行機をシェルター代わりにし、救難信号を出しながら救助を待っていた。しかし、救助に来たヘリコプターも強風のため墜落し、女性パイロットが大けがをする。瀕死の女を救う為、男は自力で窮地を脱しようとするが・・・”
この映画にはセリフが殆どない。いや全くと言っていい程にない。故に、スクリーン上の恐怖がダイレクトに伝わってくる。次第に、私の独り言も少なくなっていく。
何とか救援風のヘリに遭遇し、一部の望みが現れそうになるが。ヘリは呆気なく墜落し、操縦士は死亡し、もう一人の操縦士(女)は瀕死の重症を負う。
ま、ここまでは予想された展開でしたが、これからが皆が無口になりそうな、地獄の極限の展開が待っています。
腹に深い傷を負った殆ど意識不明の女性の存在が(結果的にはですが)、男(オヴァガード)を極寒のサバイバルから救い出す。
通常は、男が女を救い、サバイバルを抜け出すハッピーエンドの展開か、二人とも死に至るというブラックエンドの展開を予想しがちですね。
しかし、極寒のサバイバルと瀕死の重症を負った女が、彼女を救い出そうとする男を徹底的に痛めつけるという展開には、北欧モノの無骨さと純朴さを感じました。
勿論、現実にはありえそうにない展開ですが、観てて思わず、”女はもう死んでる。女を捨てて自分だけ生き延びろ”って、叫びたくなる程でした。
つまり、私だったら重症の女を捨てて、自分だけ生き延びろうとしたでしょうか。
しかし、女は生きていた。
”ハロー”という掠れた言葉と共に、微かですが、目を開き口を動かします。
女が男に唯一声を掛けるシーンで、最大のクライマックスでした。涙を誘わない異次元の感動とはこういう物を言うのでしょうか。
男は、女を見捨てようとした事を悔やみます。そして、”君は一人じゃない”と、女と共に死のうと決心する。
その時、本当の救援ヘリがやってきます。女は微かに微笑み、嬉しさのあまり男は発狂する。
”オレは一人じゃない。女もここにいる”
共に生きるという事
無骨なハッピーエンドですが、窮地に陥った時の人間の”連帯”意識を強く感じさせられました。
”生き延びる”事から”助け出す”事への意識の変換が、”共に生きる”事へと結果的には繋がりました。
確かに、現実には2人とも死ぬ筈ですが、生き延びるにしても死ぬにしても”一人ではない”という共通の意識は、とても重要な連帯感です。
一人で生き延びるサバイバルよりも、”共に生きてこそ”のアライブの方がずっと大切な気もします。
これは、勝ち組として超少ない少数派として生き残るよりも、負け組の大多数な人々と共に生きる事の重要性を暗示してる様にも思います。
つまり、温々とした立場で胡座を掻いて、人を蹴落として生きるのか?互いに窮地に陥りながらも、より窮地に陥った人を救い、救った人と共に生きるのか?
そうは言っても、人は極限にまで追い詰められたら、自分一人でも生き延びようとします。しかしこの映画では、極限に追い込まれた人間が、必死で救おうとした女性を一度は見捨てたが故に、命を賭けて共に生きる事を決断します。
原題は「ARCTIC」で、”北極”とか”厳寒の”という意味ですが。厳寒の中での人間の本性と本能を見事に描いた傑作だと思います。
コロナ渦に関しても、もっと危機感や連帯感があればって思いますが、そういう事を考えさせてくれた映画でした。
今の時代にそんな人格者がいるのか?疑問に思います。
そういう私も悲しいかな、少数の成功者に憧れるでしょうね。
コメント有り難うです。
こういうもんを言うんでしょうか
いつの間にか無口になり、息を潜めて見てました
生き延びるから助け出す、そして共に生きるですよね
転んだサン言うように
異次元の感動がここにはありました。まさに凍りつくような興奮とでもいいましょうか。
これってベストセレクションよね
数人で見てたけど、みんな無口になっちゃって
最後に正真正銘の救援ヘリコプターが来たときはみながみんなガッツポーズだったわ
感動をありがと〜ByeBye
息を潜めて見る感動作品ですよね。
凍りつくような興奮とは言い得て妙です。
コメント有り難うです。
とても有り難いです。
ウォッカでも飲みながらもう一度見たいと思わせる作品ですね。