オイラーからディリクレを経由し、ゼータ関数のバトンを受け取ったリーマンは、このゼータ関数の定義域を、まず整数域から実数域へ、そして複素数域へと広げていきます。
そこで先ずリーマンは、この謎の無限級数の”各項の絶対値を取った収束性”を考えたのです。ここら辺の発想というのが、マジ凄いですね。
つまり、ゼータ理論とは複素数乗の理論であり、ゼータの各項(=1/nˢ)がどれ位の大きさの複素数であるかの理論なんですね。故に、絶対値をとり収束を調べるのは、鉄則なんです。
”ゼータ”という生意気な”魔性の女”を”絶対値”というタイトロープで縛り付けにしちゃうんですが。あちこち放蕩乱舞されたら、何も出来ませんからね。
実数域でのゼータ関数の収束
最初に、sが実数の時は各項の打ち消し合いがないから、絶対収束(各項が十分に小さくなる事で、打ち消し合いに関係なく収束)すると考えたのです。
実数域でのゼータ関数の収束は”旧その2”でも大まかに述べましたが、ここで詳しく判りやすく説明します。
sが実数の時、ζ(s)=1+1/2ˢ+1/3ˢ+1/4ˢ+•••はs>1で収束し、s≤1の時発散しますが。s=1での発散は有名な”オーレムの定理”から、1+1/2+1/3+1/4+•••>1+1/2+(1/4+1/4)+(1/8+1/8+1/8+1/8)+•••=1+1/2+1/2+1/2+•••=∞、ですね。
しかし、s>1での収束は自明ではなく、オイラーマクローリンの定理(無限級数の収束性は広義積分の収束性に依存する)を使い、Σₙ[1,∞]1/nˢ<∫ₓ[1,∞]dx/xˢ=[x⁻ˢ⁺¹/(−s+1)]ₓ(1,∞)と変形できる。
(注)、Σ(n=1,∞)=Σₙ[1,∞]、∫(x=1,∞)=∫ₓ[1,∞]と略記します。また、[x⁻ˢ⁺¹/(−s+1)]ₓ(1,∞)は,F(x)=x⁻ˢ⁺¹/(−s+1)の時,F(∞)−F(1)の事です。
故にs>1時のみ、1/(−s+1)に収束し、s≤1の時は発散します。よって、sが実数の時、ζ(s)がs>1で収束する事が判りますね。リーマンの何でも自明にしないと気が済まない性格が表れてます。ドイツ人の実直さの典型ですね。
という事で、生意気な淫乱女(ゼータ)も実数域(右半分)ですが、簡単に大人しくなるんですが。
複素数域でのゼータ関数の収束
問題はsが複素数の時ですが。リーマンは実数域と同様に、ゼータ関数の各項の絶対値を取った、1+|1/2ˢ|+|1/3ˢ|+|1/4ˢ|+•••ー①の収束性を考えた。
収束し易い実数とは異なり、複素数はs=r(cosθ+isinθ)の極形式で示されるので、偏角θのお陰で放射線状に散らばり、2次元的に打ち消し合います。
よって、より複雑に(振動しやすく)なる。この複雑さこそがリーマン予想の未解決の理由の一つともされるのですが。
魔将の女もその心情の複雑さこそが男を惑わす大きな原因となってる訳でして。女の正体を一つ一つ暴いていく感じが溜まりません。
そこで、複素数sを実部σと虚部tを使い、s=σ+itとすると、|eˢ|=|e^(σ+it)|=|e^σ||eⁱᵗ|=e^σ*|eⁱᵗ|。
オイラーの公式(e^(iθ)=cosθ+isinθ)を使い、|eˢ|=e^σ*|eⁱᵗ|=e^σ*|cost+isint|=e^σ*|√(cos²t+sin²t)|=e^σと変形できる。
n=eˡᵒᵍⁿより、nⁱᵗ=(eˡᵒᵍⁿ)ⁱᵗ=(eⁱ)ᵗˡᵒᵍⁿ。
これは、オイラーの公式にθ=tlognを代入したもので、nⁱᵗ=eⁱᶿですね。n=eˡᵒᵍⁿが理解できない人は、このブログ読んでも無駄ですぞ💢。両辺の対数をとれば明らかね。
すると、|nˢ|=|n^(σ+it)|=n^σ*|nⁱᵗ|=
n^σ*|eⁱᶿ|=n^σ*|√(cos²θ+sin²θ)|=n^σ。
故に、|1/nˢ|=1/n^σです。つまり、nの複素数s乗も、sの実部σを使えば絶対値(タイトロープ)が外れると。全く、魔性の女も本心(実部)を見抜けば、素直なんですな。
よって、①=ζ(σ)=1+1/2^σ+1/3^σ+•••となり、σ(=Re(s))は実数より、ζ(σ)はσ>1の時に収束します。故に、ζ(s)が”絶対収束”する複素数sの領域は、”sの実部が1より大きい領域”となる事が証明できた。
因みに、σの上付き文字があれば、もう少しスッキリするんですが。Unicodeも絵文字ばっか作らずね💢それにアイフォンの数式Unicodeはアンドロイドでは不具合が出るし、PCでは文字化けするし、全くヤりきれませんね。それに”eⁱᶿ”なんかがPCでは非常に見にくい。
ゼータを全領域へ〜解析接続という魔法
でも、魔性の女が大人しくなるのは、実数域でも複素数域でも限られてますね。
そこで、ゼータの領域をRe(s)=1から左側に広げたいんです。そこで”解析接続”という”魔法”を使うんです。
ここで、解析接続の1つのツールである”複素素関数論における一致の定理”を使います。
”複素数平面内に広い領域Eと、その中の狭い領域Dがある時、2つの正則関数がD上で一致すれば、E上でも一致する”というものです。
以下、1つの例を上げます。
ζ(−1)=−1/12をオイラーが証明した時に使った1−s+s²−s³+•••=1/(1+s)(公比−sの無限等比級数の公式、但し|s|<1)を2乗した式に、その範囲外の数字であるs=1を代入しました(”旧4の3”も参照)。
しかしこの公式をよく見ると、左辺が収束するのは、|s|<1に限られる一方、右辺の1/(1+s)は、s≠−1なる全ての複素数に対して存在する。つまり、左辺と右辺で領域が異なる。
しかし、この無限級数の等式は狭い領域D(s∈C、|s|<1)で一致してるので、その領域外E(s∈C、s≠−1)でも一致する。故に、s=1を代入しても正解な値が得られるのです。
こうして、1−s+s²−s³+•••=1/(1+s)の領域を、|s|<1からs≠−1なる全ての複素数にまで広げる事に成功しました。この様にして、関数の定義域を拡張する事を”解析接続”といいます。
つまり、このゼータ関数が仮の無限大という姿とは別の”本来の値”を持つという事は、”特殊な美しさ”を持つという事です。値そのものより、”値を持つ”という事が大切だと。
「リーマン教授とインタビューする」(小山信也著)の中でリーマン教授は述べておられます。
エロい言い方をすれば、一見淫乱(発散)に見える魔性の女も、見方を大きく広げれば、特殊な美しさ(本来の値=収束値)を持つ。
ゼータ関数を、オイラーが確立した整数の領域から実数(r>1)にまで拡張し、更に複素数の領域(Re(s)>1)にまで拡張した所で、今日は終わりにします。
次回は、このゼータという魔性の女を、解析接続という魔術?を使って、複素数全体にまで拡張していきます。
リーマンは2種類の解析接続を行いますが。1つはオイラーの第一積分表示で、もう一つはリーマンの第二積分表示です。
オイラーの積分表示ですが、ガンマ関数とlogの広義積分を使った有名なゼータ関数の関数等式ですが。複素数の全領域にまで拡張するには、ガンマ関数とlogの広義積分を解析接続する必要があるのですが。結構ややこしいですね。
リーマンの積分表示の方ですが、こちらは完備ゼータの積分表示になってて、解析接続と完全対称等式が一度に得られるみたいです。
下準備として、ゼータの各項の絶対値をとる事で、複素数の右半分の領域にまで広げるんですが。それからが本当に気の遠くなるような作業ですね。
リーマンの偉大さを物語るような解析接続です。
まさに、鋭い読みです。丁度、第二の解析接続を書き終えた所です。
多分リーマンは、オイラーの第一積分表示から解析接続を始めた時に、既にガンマ因子の存在を確信してたんです。それで、ガンマ因子を使った完備ゼータの積分表示を編み出し、それ使い、第二の解析接続と完備ゼータの完全対称式を一度に導いたんですね。そして、第三の解析接続がリーマン予想に繋がったと。
まさに、ゼータという魔性の女の正体を突き止めた瞬間だったんです。
いま、音消しています。
音にビックリしました。
妨害されてるっぽいです!
急いでコメ打ってます。
変な事って起きるんですね。
3日ほど前、突然画面が揺れだし、電源が落ち、それ以降は全く使い物になりませんでしたが。その後、壊れた筈のスマホが何事もなかった様に復活してます。
もし、ハード上の故障であれば、確実にヘタる筈なんですが。ソフト上のトラブルだったんでしょうか。ただ、ブルーカットアプリを外してから、回復してきた様な気も。
一応、ショップに持っていったんですが、何も分からずじまい。でも、日を追う毎に症状が軽くなり、今日は14時間以上続けて異状なしです。
機種変更の予約を取り消そうかな。
ところで、Vivaさんはどんな症状だったんですか?今は治ってますか?
こちらに来ました。
来て(30秒くらい)経ったとき、
画面全体が真っ赤になって、
このサイトは危険なので?だったか?
危ない?だったか
そういう文字が出てきました。
ビックリしてパソコンを消しました。
先ほども、
こちらに来て30秒も経たないうちに
大きな警告音がケタタマシクなりました。
前日とは違う画面でした。
今までこんなことは、ありませんでした・・
何か・・変ですね??
転んださんも災難ですね。これもリーマンの呪いカモです。でも、イラストのリーマン教授は若々しいです。美人の助手とはできてるのですか?
数式のUnicodeの出来は良い方ですね。スッキリして判りやすくなったかな。ゼータの各項を絶対値というロープで縛り付け暴れない様にして、実部を見抜く辺り、流石にリーマン教授です。
因みに、この絶対値の概念は完備ゼータにも活かされるんですよ。P進絶対値といって、素数を使った完備化である素点の概念に使われますが。多分、転んださんも気づいておられるでしょうが。
淫乱女も視野を大きく広げれば、特殊な美しさを持つとは、数学的美徳の賜物です。
凄い現象ですね。エロサイトを巡ってる時、遭遇した様な記憶があるんですが。
私の壊れかけのスマホは、ドンドン回復してます。今の奴は4年近くなるので、機種変更とも思うんですが。
最近のスマホは性能もデザインも頭打ちで、殆ど変わりないですね。Sペンが便利な分、このまま騙し騙し使い続けようかな。
全くですね。リーマンの呪いですかね。
イラストお褒め頂いてどうもです。リーマンの若い頃の写真を見たんですが。結構イケメンですね、ビックリです。
Unicodeに関しては、絵文字ばっかに傾斜してる様で、数字記号に関しては手抜きが多いです。せめて”/”の上付き文字くらいは。
P進絶対値に関しては、完備ゼータの所で出てくるんですが。素数の2点間の距離とありますが。私には無理っぽですね。
何時も何時も、貴重なアドバイス、助かります。
このブログのことか
イラストでピンと来た
魔女を絶対値で縛り付ける
リーマンの荒技ってとこ
目の付け所が流石のリーマンは違いますね。
リーマンの”魔女刈り”とでもいいましょうか
コメントどうもです。