象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

高橋大輔はもっと評価されるべきだ〜高橋と羽生、ホントはどちらが凄いの?〜

2020年02月12日 05時02分44秒 | スポーツドキュメント

高橋VS羽生

 羽生結弦の国民栄誉賞の表彰式(2018)では、高橋選手に対する質問はNGとされた。
 ”アーティストの高橋と勝ちに拘る羽生では、キャラクターも選手としても正反対で、ファン同士も折り合いが悪く、ネット上での議論が過熱する事も度々ある”との理由からだった。
 本当にそうだろうか?メディアもファンももっと大きな真実に気付いてないのではないだろうか?

 ”世界を震撼させた黄金のステップ”で高橋大輔選手に関する記事を書いたが、最近は羽生結弦や紀平梨花らの活躍で少し影が薄い気がする。
 そこで”黄金のステップ”第二弾としてもう一度、高橋大輔選手にご登場願います。

 羽生結弦選手が4大陸選手権を制覇し、フィギア男子で初めて、ジュニアとシニア全ての主要国際6大会を制覇し、”スーパースラム”と呼ばれる空前絶後の快挙を成し遂げた。
 ”とりあえずほっとしてる。この大会は最初に16歳でいい演技をして銀メダルで、それから勝てなかったので優勝できてよかった”とのコメントを残した。
 普通なら、単なるフィギアスケートファンや羽生のファンなら、”震災地に勇気を与えてくれて有難う”で、目出度くジ•エンドだろう。

 しかしいつも思うのだが、25歳の彼のコメントには少し物足りないものがある気がしないでもない。それは一体何か?何がそうさせるのか?
 そういう私は、フィギアに関してはこれと言った興味もなく、全くのズブの素人である。以下に述べる事は、素人視点からである事をご了承願います。


もし、高橋がいなかったら?

 ここでハッキリしときたいが、それに羽生ファンには耳が痛い所だろうが。
 日本のフィギアが男女ともに、世界の大舞台で当り前に表彰台に登れる様になったのは、純粋に”高橋大輔”のお陰である。これは玄人視点で見ても同様だと思う。
 もし彼がいなかったら、日本のフィギアスケートは冬の時代のまま、氷に埋もれてたであろう。女子はともかく、男子はフィギアスケート自体が消滅してたであろうか。
 そういう歴史上の現実を真実を真相を、我々もスケート協会も、そして現役で滑る選手たちも、そして羽生結弦もよくは解ってない様に思える。

 先述のブログでも書いたが、高橋大輔がいてこその羽生結弦のオリンピック2連覇だった。勿論、異論もあるかもだが。
 高橋のグランプリファイナルの偉業(2012)が凄かった。あれで、世界のフィギア界が”変革”の渦に巻き込まれた。
 逆を言えば、”あれ”がなかったら2年後に訪れる羽生の偉業も存在しなかったろう。
 それだけの歴史的な”大変革”だったのだ。フィギアには興味がない私もそれ位の事は解る。
 この偉業をビル•ブライソン風に言えば、”日本フィギアを変えた冬〜高橋が踊り、そして羽生が舞った”とでも言おうか。

 ”ダンサー”と賞讃された情感豊かで優雅な表現力と神の領域の黄金のステップに加え、”空気と一体化”した究極のスケーティングは、トリノ金の荒川静香をして”一緒に滑ってて自分が哀しくなる”と言わしめた。
 この絶妙で繊細な、無限に続くのは不可能に思われる脆くも壊れそうな”危うい美”こそが、フィギアの世界に変革をもたらしたのだ。


高橋が作り上げた日本仕様の審査基準

 高橋が残した輝かしい実績を、羽生と比較しても全く負けてはいない。
 世界ジュニア(2002)、世界ユニバ(2005、2007)、4大陸(2008、2011)、世界選手権(2010)、世界国別(2012)、そして前述のグランプリファイナル(2012)で全て頂点に輝いている。
 唯一羽生に劣るのがオリンピックでのメダルの色だけだ。
 しかも高橋が現役の頃は、羽生が滑ってる今よりも、世界の壁はずっと厚かった。

 今のフィギアの審査の基準は、繊細なスケーティングの技術や日本的な滑らかな表現が重要視される。この審査の地盤をゼロから作り上げたのが高橋だ。
 つまり、高橋のお陰で技術点も表現点も日本仕様なのだ。だからジュニア上がりの幼い日本選手も、世界のトップと何不自由もストレスもなく戦う事が出来る。
 今やフィギアスケート界は、”メード•イン•タカハシ”の時代なのだ。

 素人目に見ても、羽生には高橋が築いた”変革”のレールが見えてない様な気がしないでもない。
 フィギアというスポーツは、審査で勝敗が決まる。故に、絶対的な強さや物理的な強さは必要ない。審査ウケする演技が必要なのだ。
 故に、ジャッジを味方につけるというのは勝利への最短距離でもある。
 一度、日本選手が世界の頂点に立てば、審査の基準は日本仕様となる。これは他のどのスポーツでも同じだ。
 女子の紀平だって例外ではない。男子の羽生が完璧な強さを見せ付けるから、女子フィギアの採点も日本仕様となる。

 つまり、流れとしては高橋が土台を作り上げ、その上で実績を重ねあげ、オリンピックという最高の舞台で羽生が頂点に羽ばたいた。
 一方女子では、伊藤みどりが銀に輝き(1992アルベール)、その4大会後、荒川静香が金(2006トリノ)、続いて浅田真央が銀(2010バンクーバー)、その後の2大会はメダルに届かない。
 高橋が築き上げた男子が、ここ3大会連続ででメダルを獲得(金2銅1)してるのを見ると、如何に高橋の存在が大きいかが理解できる。


それでもメディアは羽生を持ち上げる?

 一方で、ファンの存在も大きいかもしれないが、メディアは狂った様に羽生を持ち上げる。勿論、彼が残した実績とキャリアを見れば、それに普段の行いや振る舞いを見れば、最大級の評価に匹敵はする。
 羽生の美点を平坦的視点で挙げれば、①責任感②強すぎる向上意欲③視野の広さと優しさ④人を素直に尊敬する⑤ 無駄なプライドがない⑥たゆまぬ信念という事になろうか。
 過去、世界で活躍した日本人アスリートで、これだけのオールラウンドな完璧な評価をしてもらった選手も珍しい。
 勿論、羽生のスケーティングも完全無欠のオールラウンドではあるが。

 しかし、羽生にはある種の無機質さと幼弱さ感じてしまう。高橋にある野趣豊かな大人の雑草ポサが全くない。
 それは羽生の前に高橋がいたからだろう。羽生にとって高橋は超えられない存在ではなかった。羽生が尊敬するプルシェンコ程には壁は厚くはなかった筈だ。
 しかし、そのプルシェンコを含む列強の分厚い壁を崩したのは、明らかに高橋だった。
 お陰で、羽生は高橋を軽く?凌駕し、オリンピック2連覇と”スーパースラム”いう大偉業を成し遂げ、今や”氷上の貴公子”として世界に君臨し続ける。

 そんな羽生も高橋同様に苦労人である。彼は東北大震災での被災者でもあるのだ。そういった不幸なイメージも審査にはプラスになるのだろうか。
 所詮、審査とは生身の人間がするものだ。被災者に若干多めに点数をプラスしても誰も文句は言えんだろう。いやそうでもないか。

 ただ、高橋は身体が小さかったから、同じタイプの”世界の”イチローとよく比較された。
 そのイチローは、実績を重視するあまりパワーから目を背けた。しかし、高橋はアートだけでなくパワーも直視した。イチローはキャリアを重ねる毎に小さく纏まったが、パワーを追い求めた高橋は傷を負う毎に大きく羽ばたいた。
 私には、高橋大輔こそが真の天才に映る。

 一方で羽生は、そういった世界レベルで活躍する選手との比較はあまりなされない。優しく穏やかなイメージが先行しすぎるせいか、分厚いファンに見守られてるせいか、悪意ある露骨な比較からは免れてるようだ。
 
 神は羽生に数多くのプレゼントを与えた。一方でイチローにはマジシャンという道化者の役割を求めた。神様はまた、高橋には厳格で気高い態度で応じた。


高橋の創造と羽生の継承と

 そして今、高橋はアイスダンスという新たな領域へと歩を進めた。つまり、高橋大輔という人間は、安易な成功を掠め取る代りに闘いを、オーケストラのヘッドになるよりは、闘技場に飛び込んだのかもしれない。
 多分、高橋は思った様な結果は残せないだろうか。優雅に舞い、頂点に君臨し続ける羽生の前では、屈辱に浸るかもしれない。
 しかし、それが現実であっても宿命であっても、高橋はそれを当り前の様に何もなかったかの様に受け入れるだろう。高橋は元々そういう人間なのだから。

 私が羽生のコメントに不足を感じるのは、”高橋大輔”の名前が殆ど出てこない事だ。出てきたとしても、平坦で凡庸な褒め言葉だ。
 羽生は明らかに高橋を継承している。尊敬するプルシェンコではない事は一目瞭然だ。
 つまり、高橋が生み出したものを羽生は継承し、その羽生は偉業を創造した。

 ”継承は創造である”と言ったのは、「アーベル」の著者である高橋正仁氏である(同じ高橋で偶然でもありますね)。
 アーベルもヤコビも、ガウスやオイラーから大きな影響を受けた。それ以上に2人は、ルジャンドルの著作から楕円関数の理論をありのままに継承した。
 アーベルやヤコビの手紙には、ルジャンドルを敬愛する言葉が沢山並べられてる。彼らはガウスやオイラーよりもルジャンドルをずっと尊敬し、敬愛してたのだ。
 しかし、ルジャンドルはガウスやオイラーという数学界の2大巨匠の前には、大半が霞んでしまった。
 故に高橋正仁氏は、ルジャンドルをもっと評価すべきだと語る。事実、ヨーロッパ中に楕円関数の理論を大きく拡めたのは、ルジャンドルの著作によるものだ。

 全く同じ様な理由で私は、高橋大輔はもっと高く評価されるべきだと思う。



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スグルの中性性にキヨシを見る (象転ブログを見る会)
2020-02-12 10:00:19
高橋というよりも、
カミングアウトした氷川が
何かダブって見えます。
早くザギトワと結ばれて、
そんな詮索を払拭して貰いたい。
日ロ友好の架け橋となり、
北方領土問題の是正に
寄与して貰いたい。
それはそうと、野村が亡くなり、
長嶋が心配になります。
金田が呼んでる様で…。
転象さん、野村と長嶋の
比較検証も宜しくね~。
返信する
象転ブログを見る会さんへ (象が転んだ)
2020-02-12 12:01:34
高橋はフィギアと決別して俳優にでもなればとも思うんですが。そしてザギトワと濡れ場のシーンなんて想像しますが。
オリンピックのメダルよりそっちのほうが興奮するでしょうか。

長嶋と野村ですが。
ショーマンとしては長嶋で、野球人としては野村ですかね。
でも野球選手の比較は難しい。
昔はいい選手が多かったから。
返信する

コメントを投稿