象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

大統領演説と”まな板の営業”(更新)〜闘いは始まったばかりだ

2020年02月11日 04時51分27秒 | 芸能&三面記事

 私が予想した”トランプ貶しの隠れたシナリオ”(Click)は、結果的には存在しなかった。ボルトンを絶妙なタイミングで追い出したのが吉と出たのか。それとも、こうした”裏切りのシナリオ”は今秋の大統領選で展開されるのか?

 かつてビートたけしが、ハマコー(浜田幸一=元自由民主党副幹事長)の演説を”まな板の営業”と腐した事があった。
 思わず大笑いした。でもハマコーさんは顔を真っ赤にして演説してたな。
 今回のトランプの大統領演説は、まさにその”まな板の営業”に聞こえた。後ろで聴いてたペロシ議長にも野党民主党にも、全く同じ様に映ったであろう。

 まるで、ド素人の”オラが自慢”のブログを読んでるみたいだった。
 しかし、トランプの嘘で固めた4年弱の実績をこの大舞台で誇張するには、過去2度の湾岸戦争を捏造したブッシュ親子との比較を徹底すべきだった。
 しかし、トランプのブレインはそういう事すらも気付かない。それに最悪でも、ペロシ議長に原稿を破られる事はなかった筈だ。
 そういう意味では、今回のトランプの弾劾裁判の無罪は、ペロシ議長の派手な”動画ウケ”するパフォーマンスもあってか、全くの互角に思えた。


ブッシュ親子はトランプが大嫌い

「ラスト•リパブリカンズ(最後の共和党員)」の中で父ブッシュは、著者で歴史家のアップ•ドゥグローブ氏のインタビューに答え、トランプ大統領を、”好きではないし、ホラ吹きだとは知っている。彼がリーダーになるには謙虚さが必要だ”と述べた。
 息子ブッシュも、”あの男は大統領である事の意味が分かっていない”と断じた。

 外交ブレーンとして誰に相談しているかを問われたトランプが、”私自身だ。とても頭が良いから”とコメントしたのを受け、息子ブッシュは、”興味深いが長くは続かないな”と党候補にすらならない事を予測した。
 しかしその予想を覆し、トランプは堂々と大統領に君臨し、第一期の4年を過ぎようとしてる。多分、今年秋の再選もほぼ確実だろう。
 ま、どっちもどっちだが、私に言わせれば戦争をしない分、トランプの方が多少は利口だろうと思うが。

 大統領選ではブッシュ親子とも、所属する共和党の候補者だったトランプ氏に投票しなかった。父ブッシュ氏は民主党のヒラリーに投票し、息子ブッシュ氏は白票を投じた。
 これに対しホワイトハウスは、”もし1人の大統領候補者が政党を解体できるのであれば、同党に所属する2人の元大統領が残したレガシーはその程度の強さだったという事だ。始まりはイラク戦争だ。米外交史上最大級の過ちだった”とブッシュ親子を大きく皮肉った。

 トランプからすれば、”ブッシュ親子が揃っても俺には勝てないさ”と言いたかったのだろう。
 確かに、トランプ政権は今までの所、戦争を仕出かすという”ヘマ”は犯してはいない。
 勿論、奇行や狂乱は目立つが、ブッシュ親子が仕出かした様な致命的な過ちは、犯してはいない。
 故に、ブッシュ親子VSトランプの戦いは、今の所トランプが優勢である事は歪めない。
 ただ、ブッシュJrの時のブレインは副大統領のチェイニーであったが、トランプのブレインは、対北強硬派のナヴァロ(通商政策局長)とボルトンであった。そして今、対北強硬派のボルトンは去った。
 ウクライナ疑惑の核心を知るとされる前大統領補佐官のボルトンを公聴会から締め出した事で、弾劾裁判の無罪を勝ち得たトランプは、ひとまずブッシュ親子の様な大失態は犯さずに4年間を無事?務めた事になる。


トランプの無罪判決

 ボルトンを証人に呼ぶかどうかが弾劾裁判にて最大の焦点になったが、共和党の反対で否決され、証言は実現しなかった。
 同様に、トランプの弾劾裁判も共和党の分厚い壁が立ちはだかり、「権力乱用」にては有罪48、無罪52、「議会妨害」にては有罪47、無罪53となり、いずれも有罪とするに必要な出席議員の2/3以上に達せず、トランプ大統領の無罪評決が決まった。
 大方の予想通りではあったが、上院と法がトランプに屈したのは、明らかでもあった。
 以下、NHKWEBから抜粋です。

 無罪評決を受け、トランプ大統領の選挙本部は、”大統領の無罪が完全に立証され、アメリカ国民が元の生活に戻る時が来た。民主党は弾劾裁判に訴えざるを得なかったが、この茶番によって大統領の支持層はより大きく強くなり、アメリカの政治史上最悪の誤算になるだろう”との声明を出した。
 ホワイトハウスも、”民主党によって画策された恥ずべき弾劾の試みは、トランプ大統領の完全な無実が証明されて終わった”と声明した。

 一方、民主党のペレス委員長は、”証人も呼ばず公正な裁判ではなかった。トランプ大統領が有罪だという事実は明白だ。無罪評決は政治的に下された結論で、トランプの不正は明らかだ”と主張した。
 その上で、”共和党は外国が選挙に介入する事を正当化した。これで大統領が個人の利益の為に、他の国を強請るを許した事になる”として、共和党を批判した。
 更に、”しかし、いずれ終わりは来る。トランプの時代も例外ではない”として、政権奪還への決意を示す。

 上院で民主党トップのシューマー院内総務は、”共和党は国民に背を向け隠蔽に賛同した。今後、トランプ大統領の不正をめぐる新たな証拠が明らかになる度、共和党議員は今日の評決について問われる事になる”と述べ、”共和党こそが政治的な幕引きを謀った”とし、改めて批判した。

 11月の大統領選挙でトランプ大統領からの政権奪還を目指す民主党の候補者たちは、大統領や共和党への批判を強める。
 アイオワ州の党員集会で現在首位のブティジェッジ前サウスベンド市長は、”弾劾裁判では議会上院が陪審員だったが、次は我々が判断を下す時だ。トランプに終わりを告げるのは国民だ”と投稿した。
 サンダース上院議員は、”残念ながら我々の大統領は憲法を知らず、自らを法律を超えた存在だと思っている。共和党が弾劾裁判に証人を呼ぶのを妨害したのは、大統領が有罪だという多くの証拠があるからだ”と非難した。


ペロシ議長の”原稿破り捨て”の演出

 大統領演説終了後に演説原稿を破り捨てた、民主党のナンシー•ペロシ下院議長は、”米国民の75%と共和党上院議員の多数が、大統領の行為は間違いだと信じてる。しかし上院は、この事実と米国民の意思と憲法に対する義務を無視する事を選んだ”と批判した。

 敢えて動画映えする行為に出たペロシ議長には、そうする理由が確かにあった。
 この演説の翌日に上院が訴追を否決し、弾劾は成立しなかった。そして、演説の時点で既にこの事は確定的でもあったのだから。
 あくまで連邦下院として”職務から除去すべき”という憲法上の決定を行った、その大統領が行う演説について”全否定”をして当然であるし、下院の議長としての筋は通っている。
 以下、”再選阻止を誓うペロシの宣戦布告”(Click)から抜粋です。

 一方で、常にこのペロシ議長を突き上げ続け、最終的には”渋々ながら弾劾プロセスの開始に追い込んだ”グループの代表格のオカシオコルテス下院民主議員(以下AOC)は、この大統領の一般教書演説をボイコットした。
 AOCの”ボイコット”というのは激しい手段だがこれに対し、議長として下院民主党議員の中で同じ様な”重み”を表現する為、原稿破り捨ての行動に至ったという見方もある。
 直接的には、演説の冒頭で大統領が原稿をペロシ議長に渡した際、ペロシ議長の握手をトランプが無視したというのが”現場での伏線”とされたが。
 事実、ペロシ議長は議事進行にて大統領を紹介する際、慣例となってた敬語表現を完全にカットし、その辺りで覚悟を決めてたのだろう。

 更に、演説の途中で議長は何度も何度も演説原稿を1枚1枚持ち上げてチェックしていたが、これも”破り捨て”の伏線と言えなくもない。また、民主党議員団から連邦議会では珍しい”ヤジ”が飛んだ際も厳しく睨みつけて手で制止した。これも、最後の”破り捨て”を念頭にした演出だった可能性がある。


ペロシ議長が同意できる内容はゼロ

”ブッシュが引き起こしたリーマンショックという危機から、8年かけて景気と株価と雇用を好転させたオバマ政権の功績を無視し、現在の好景気を全て自分の功績とした”
 ”不法移民をいつのまにか犯罪者移民との言い方にすり替え、不法移民の絡んだ事件の被害者を議場に呼んだ上で、あらゆる不法移民を排斥すると宣言”
 ”メキシコ国境の壁の建設を成果とし、移民取締官の摘発を英雄行為として、民主党のいや2016年以前の共和党の移民政策も全否定した”

 ”イラクでのシーア派武装集団との戦闘で犠牲になった兵士の遺族を議場に呼んだ上で、ソレイマニ司令官の殺害を正当化
 ”右派ポピュリズムを煽り続けた民主党の敵の中の敵の保守派DJのラッシュ•リンボーを呼び、議場で文民最高の栄誉である大統領自由勲章を授与した”

 ”ベネズエラの社会主義が破綻した事をわざわざベネズエラの野党指導者を呼んで強調した上で、民主党左派の国民皆保険は危険な社会主義だと非難
 ”軍事外交では同盟国への負担拡大を宣言した”

 という事で民主党としては、大統領演説の内容について同意できる箇所は、全くの”ゼロ”という事になる。

 その上で、弾劾が不成立となった以上は、11月の大統領選でトランプを引きずり下ろすしかない。つまり、”原稿破り捨て”はその決意を示す為の強い意志と民主党の全党に結束を促す決意という事になる。
 これに対し、共和党の議員団の結束は少し様子が違う。勿論、共和党議員団からは演説の冒頭で”更にもう4年”という大合唱が起きてはいた。勿論、この様子を見れば共和党も結束している様には見える。


火蓋は切って落とされた

 しかし翌日の弾劾審理の中で、共和党の上院議員の多くは”ウクライナ疑惑に関する大統領の行動は不適切”だとしつつ、”だが大統領の座から追うには値しない”という様な表明をしていた。
 堂々と”弾劾を認める”投票をしたのはロムニー上院議員だけだったが、彼に対し多くの議員は、大統領の言う様な”魔女狩り”とか”でっち上げ”という評価はしていない。

 これは、共和党議員団の結束が弱いというより、どの議員も全州区から選出されている上院議員の中には、”支持者の中のアンチトランプに配慮する必要がある”事を示している。
 仮に、そうした票の受け皿になる様な候補が民主党の中で育ってくれば、11月の選挙の行方は分からなくなる。
 一方で、大統領の演説の中にも大変に気になる部分があった。それは、現在のアメリカの状態は最高だと言った上で、今後の計画として”人類を再び月に送り、今度は女性も送り込む。更に火星にも人類を送り込む”としてた部分だ。これは”2期目へ向け、他に目立った課題がない”という事でもある。
 実はこれこそが大変に恐ろしい事だと指摘する声がある。

 いずれにしても、下院議長が大統領の演説原稿を”破り捨てる”という行動で、大統領選の幕は切って落とされたという事になる。
 因みにペロシ議長自身は、”大統領は真実をシュレッダーにかけたのですから、私も演説を切り刻んだまでです”と、最後には見事に切り返した。
 以上、Newsweek日本版からでした。


補足

 結局、トランプの苦し紛れの大統領演説と追い詰められ度胸を決めたペロシ議長の”原稿破り捨て”の上での宣戦布告。
 ブッシュ親子みたいな戦争を起こさない限りは、トランプの再選は揺るがないだろう。それに米中貿易摩擦も新型コロナウイルスのお陰で今は休戦状態だ。
 故に、思い切って選挙戦に力を投入できる。そういう意味では、安倍と同様に非常に”ツキ”に恵まれた人だ。これこそが持って生まれた星の下というものだろうか。
 しかしWedge infinityのコラムでは、ペロシ率いる下院民主党は、トランプ大統領を再度弾劾に追い込む事ができるとし、トランプ大統領は民主党が2回目の弾劾を仕掛けてくる事を警戒してるとコメントしてる。
 BBC.comも、”1つの終りはもう1つの新たなる驚異”として、下院民主党がボルトンを証人召喚し、民主党が前回は避けた過酷な法廷闘争が始まり、一大イベントになるだろうとしてる。

 勿論この2つは、希望的観測に過ぎないかもしれないが、しかし歴史が教えてくれるのは、次なる未知の新事実がいつどこで出るのか?予測不可能だという事。
 その未知なるものとは、トランプを引き摺り下ろすに十分過ぎるものになるのかもしれない。
 だが、トランプを引き摺り堕ろしたのは、コロナ発症とトランプ一派の議事堂乱入というありふれた事実であった。全く呆気ない選挙戦だったが、これも未知なる現実なのかもしれない。



2 コメント

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馬鹿が似合う国U.S.A (アホちゃいまんねんパーどすえ~)
2020-02-11 14:33:39
バカブッシュからバカトランプと、その国柄にピッタンコカンカン。それはそうと、米日とも傀儡司直がバカを加速させる。
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バカが似合うUSAさんへ (象が転んだ)
2020-02-11 15:01:41
全くその通りです。
”傀儡司直がバカを加速させる”とはズバリ重い言葉です。

結局アメリカにとって日本は他者なんです。原爆投下も無差別爆撃も必要なかったのに平気で行った。
そんなアメリカに迎合し、傀儡化され隷従してきた75年の自民党。かつての言葉でいえば”国民を国を売った売国奴の政治”ですもんね(某サイト参照)。

政治の事となるとホント冴えますね、Kouunnサン(^^)
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