コロナ渦が明けたというのに、家に籠もってばかりでタブレットで映画ばかりを見ている。というのも、久しぶりに駅前で羽根を伸ばしたら、風邪を移されてしまったからだ。
まさか?コロナと思いきや、微熱もダルくもなく、味覚も麻痺してはいない。いつもの喉風邪で、のど飴ばかりナメてたように思う。
Newsでは今夏の第9波が噂されるが、柳川だから良かったものの、久留米だったらコロナ感染だったろうか。
という事で、今年のGWも自宅で映画三昧になるような気がする。
「フロッグ」
月500円のアマプラには一昔前の映画や洋ドラが揃ってるので、B級好きな私にはちょうどいい。
そこで今日は、立て続けに見た4作品を紹介する。
1つ目は「フロッグ」(2021)で、原題は「I See You」だが、直訳すれば”オレはアンタ(が何者か)を知ってるぜ”ってなろうか。
幕引きのシーンで、”I See You”の謎が解ける訳だが、ここまで捻る必要があったろうか。
蛙(フロッグ)のマスクを被り、度の過ぎたイタズラをしでかす青年だが、そこには”オレはアンタを許さない”っていう復讐の意味も含まれていた。
アメリカのとある町で連続して発生した少年の失踪事件。その事件を捜査する刑事の自宅で続出する奇妙な出来事も、実は彼が引き起こしたものだった。
グレッグ・ハーパーは10歳の男児が誘拐された事件の捜査を指揮する事になる。現場の証拠から、今回の誘拐事件は過去に発生した一連の誘拐事件と密接な繋がりを有する可能性が浮上したが、それらの事件の犯人は何年も前に逮捕されていた。
捜査が混迷を極める中、グレッグは妻ジャッキーの不倫問題にも頭を悩まされていた。一人息子のコナーはグレッグ以上に怒り、それが家庭内の問題をもややこしくする。
ほどなくして、グレッグの自宅で不可解な現象が発生。しかも、ジャッキーの不倫相手トッドが謎の死を遂げた。ジャッキーは”トッドを殺害したのはコナーかも・・”と思い込むが、真相はもっと恐ろしい方向に進んでいく(ウィキ)。
アメリカでは、幼児や児童に対する性的イタズラが度を過ぎて、誘拐や殺人事件に発展する事がよくあるが、この捻りすぎたスリラーも、その類をテーマにしたものである。
性的イタズラや誘拐を何とか回避して生き延びた子どもたちはやがて大人になり、真犯人である男に復讐を誓うようになる。
純粋にそれだけをシンプルに描いてたら、傑作スリラーになり得ただろう。が、展開を弄くりすぎたが故に、後半はやや台無しになった感もある。
ジャッキー役のヘレン・ハントの濃密な存在が前半の奇怪で不透明な展開を支え続けてただけに、実に残念ではある。
”全ての謎がラストシーンで解決する”の典型だが、途中で捻りすぎてるが故に理解しづらかった。
オチはシンプルである程に、強い効力を発揮する。
そう思わせた良作でもあった。
「夜の来訪者」
原題は”An Inspector Calls”。
2015年のBBC制作の映画で、原作が戯曲という事もあり、舞台劇を見てるようでもある。何度も舞台化・映像化されてるらしく、手堅いサスペンス系探偵ものの定番と言える。
1912年のある夜、バーリング家では長女シーラと、バーリング家とライバル関係にあるクロフト家の息子ジェラルドの婚約を祝う食事会が行なわれていた。田舎の出だが事業で成功した父アーサーと、上流階級出身で特権意識の強い母シビル、そして酒飲みで出来損ないの弟エリック、それぞれに言いたい事があるものの2人の婚約を表面上は祝福していた。
そんな中、グールという警部が現れ、ある女性の自殺を告げる。2年前、アーサーに解雇されたエヴァ・スミスである。警部は、この屋敷にある家族全員とエヴァの死の関わりを次から次へと暴いていく・・・(Amazon)
エヴァは、アーサーが経営する紡績工場で働く女性たち全員の賃金増額を求め、ストライキを起こすも、長くは続かない。渋々戻ってきた従業員たちだが、アーサーはエヴァにだけ特別待遇を申し入れてたが断られ、スト発起人の彼女だけを解雇する。
両親とも死別し、無職で困窮してた彼女だが、幸運にも高級デパートでの職を得る。しかし、顧客からのクレームが原因ですぐに解雇されてしまう。その顧客というのがアーサーの娘シーラだったからだ。
グール警部はシーラに彼女の写真を見せると、”クレームの客は実は私なの・・”と、彼女はエヴァの美しさに嫉妬しクレームをつけ、(父の権力を借り)”彼女を解雇に追い込んだの”と自白する。
父娘でエヴァを解雇し、窮地に追い込んだ事実に、屋敷内には不穏な空気が漂い始める。
その後、数ヶ月空腹に苦しんだ彼女は生き方を変える為に、名前を”デイジー・レントン”に変えた。それを聞いて驚くジェラルド・・・
というのも、ある晩、如何わしいクラブで佇んでたデイジーにジェラルドが一目惚れしたのだ。彼女の困窮ぶりを知った彼は、彼女を友人の空き部屋に囲う。
やがて2人には情が芽生え、夏の間ジェラルドは、(シーラと交際してながらも)デイジーと逢瀬していた。
”わかってほしい、ただ助けたかっただけだ。男なら誰でも・・”と弁解するジェラルドに、”アンタは下劣よ”とシーラは拒絶する。
秋になり関係を精算しようと思ったジェラルドだったが、デイジーは縋る事もなく静かに去っていく。
”彼女を利用し、用済みになると捨てたんだ”と結論づけるグール警部。事実、デイジーは日記に”あんな幸せは二度と訪れないかも”と記していた。
”囲われた日々が幸せなら、その程度の女って事よ”と低い身分の女を非難する母シビルに、シーラは反発し、ジェラルドにも”善意で助けた事は理解できるけど、何かが変わったの”と婚約指輪を返し、彼も渋々納得して受け取るのだが・・・
我関せずの母シビルにも、”あなたは隠し事をしている”と写真を見せるグール警部だが、アーサーは”私は公人だぞ、無礼な態度を慎め”と激昂。しかし、”公人には特権と同時に責任もある”と言い返される。
この両親の態度に嫌気が差したシーラは、母親に真実を話すよう求めた。
シビルは実は婦人慈善協会の会長だが、支援を求めて来たエヴァの必死の申し出を嘘だと勝手に判断し、却下していたのだ。
事実、彼女は妊娠していた。相手は酒好きのお金もない若造で、もらったお金も盗んだものだった為に、敢えて受け取らなかった。
”その男と結婚して2人で育てなさい”と突き放すシビルだが、”身分が違う為に結婚できない”とエヴァは縋る。しかし、”何とかするのね”と冷たく拒絶する。
身篭って自殺した彼女が”いかに追い詰められていたか分かったか?”と迫るグール警部に対し、”臆病者のやる事だわ”とシビルに反省の色は全くない。
”面目丸潰れだ。慈善協会が支援するべきだった”とアーサー。”クビにしたのは貴方よ”と夫婦喧嘩が始まり、シビルは”私の責任ではないし、彼女と子供の父親の責任よ、父親を追求すべきだわ”と警部に喰いかかるが、そこで家族は気づくのだ。
そう、父親というのは、何と出来損ないの弟エリックだったのだ(から笑ってしまう)。エリックは嫌がるエヴァを強引に襲い、妊娠させていた。それを知った彼は求婚したが、エヴァに”人生を台無しにしないで”と断られた為、会社から盗んだお金を彼女に渡そうとしたのだ。
”なぜ相談しないんだ”とアーサー。
”頼りたくなる父親じゃないからだ”とエリック。やがて親子で口論が始まると、”親子喧嘩は後でやってくれ”と警部に喝を入れられる。
”彼女の話は本当だったんだわ”と悲しむ姉を見て、エリックは”オレの子が・・”と絶望の縁に浸る。
”消毒薬を大量に飲み、胃が焼ける苦悶の末に息絶えたんだ。君たちは彼女の死に加担した。絶対に忘れるな”と帰り支度をする警部に、アーサーは金で揉み消そうと食い下がるも、”今さら金を出すと言っても遅い。彼女は死んだ。もう苦しめる事も助ける事も謝る事もできない”と教訓を言い残し去ってゆく。
警部が去った後も、屋敷内では家族同士で陰気な非難合戦が始まるが、事情聴取というより一方的に彼らを責めてきた警部の存在に疑念を抱くアーサーは署長に電話し、グールという名の警部がいない事を突き止める。更に病院に確認し、今夜自殺した女性はいないとの事である。
そう、グールという警部は存在しないし、エヴァという女性は死んではいなかったのだ。
やはり騙されただけだと知り、浮かれ気分で酒を飲み直していたバーリング家に1本の電話が鳴る。それは、女性が自殺をし、今から警察が事情聴取に来るという知らせだった。
以上、長々とネタバレをオスラボから一部参考にしましたが、家族全員が容疑者(犯人)という「オリエント急行殺人事件」を思わせる展開だったが、”こんな映画を見たかった”と言わしめた作品でもあった。
最後に
「キルバード」(2019)は予算が足りなかったのか?スタッフにやる気がなかったのか?キャストが貧相すぎたのか?
シナリオのコンセプトはとてもユニークだっただけに、尻切れトンボな中途な幕切れで終わった事は残念でもあった。
「ウィッチゲーム」(2019)は「ブレアウィッチ」的なオカルト系ミステリーもので、どぎまぎ感こそ楽しめたが、最後のオチが曖昧すぎてこれも実に残念でもある。
という事で、映画通でない私の映画評論でした。
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