東京五輪の偽善とバカバカしさ〜世界中に嘘を発信し続ける日本政府の強欲と

　｢池江選手の復活と五輪強硬派の陰謀｣には予想通りのコメントが届いた。少し露骨な反論があるかと思ったが､殆どなかった。
　しかし､素人ブログでいくら口酸っぱく”東京五輪は最初から欺瞞だし､中止だ”と叫んでも､読む側には伝わらないもんだ。
　よくても､反安倍派の”陰キャ”どもが吠えてるだけだと､上から視線で眺めてる事だろう。
　やはり､こうした真実の訴えはプロのコラマーが吠えないと､説得力はない。
　そこで､｢聖火リレーの偽善とバカバカしさ｣(孫崎享)からそのまま抜粋です。

最初から歪んでいた

　東京五輪は出発点から歪んでいた。
　安倍前首相は2013年､ブエノスアイレスで招致演説し､”福島にお案じの向きには私から保証をいたします。状況は<制御>されています”とあいさつ。その後､招致を巡り､東京五輪の招致委員会がIOC(国際オリンピック委員会)委員に賄賂性の疑いのある金銭を渡していた事も発覚した。
　政府は五輪開催を政治的に利用し､菅首相は今年1月の方針演説で､”人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして､また東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたい”と語った。

　しかし､誰もが東京五輪が開催する時に新型コロナが収束してるとは思っていない。つまり､”新型コロナウイルスに打ち勝った証し”は虚偽発言と言っていいだろう。
　更に､廃炉作業が進められてる福島原発では､”福島第1原発で見つかった<桁違い>の高濃度汚染〜原子炉格納容器の上ぶた､デブリに匹敵の4京ベクレル”(共同通信､3/25)との報道があったばかりだ。因みに､旧ソ連のチェルノブイリ原発事故は約8.5京ベクレルとされる。
　つまり､安倍前首相の招致演説から約8年たった今でも､状況は全く<制御>されていなかったのだ。

　日本政府は世界に”嘘”を発信し続けている。そして､その欺瞞を世界が暴露し始めた。
　3/3の英タイムズ紙は､日本政府やスポンサー企業が五輪開催を推進してる事について､”止まらない暴走列車”と批判。”今､日本政府はお金と名声の為にこれらを犠牲にしようとしてる”と報じた。
　新型コロナが猛威を振るう中､東京五輪を行う積極的な理由は､IOCがテレビ放映で巨額の金額を得る事ぐらいしかない。
　一方､米国で放映権を持つテレビ局はNBCである。そのNBCも聖火リレーについて､”新型コロナが大流行する中､公衆衛生を犠牲にする危険がある”と指摘し､福島県からのスタートを”この儀式の偽善と危険性とバカバカしさを浮き彫りにする”と報じた。

　福島からのスタートは､危険な地を安全という欺瞞だ。日本の大手メディアは果たして､聖火リレーの偽善と危険性とバカバカしさを報じたのだろうか。
　危険でバカバカしい聖火リレーが日本中を駆け巡り続ける間､世界の国々もまた日本を”バカか”と呆れながら見つめているのだ。
　以上､日刊ゲンダイからでした。

中止する時が来た

　ここまで書けば､聖火リレーも池江選手の復活も､裏で何かが動いてるのが明確に理解できるだろう。
　それでも､そういう事が判りきってても､日本人という平和な農耕族は聖火リレーに群がり大喜びし､池江選手の復活劇に涙を流し､深く感動する。まるで､フクシマの悲劇なんてどこ吹く風だ。

　事実､英紙タイムズは”五輪を中止にする時が来た”というタイトルでコラムを掲載し､アジア担当編集者リチャード･ロイド･パリー氏が”東京で行われる感染爆発イベントは日本だけでなく世界へのリスクが大きすぎる”と持論を展開し､新型コロナの懸念が収まらない状況で開催に突き進む理由をばく大な投資にあるとし､”金と権力こそが五輪で何が起きても先に進ませるだろう。それこそ止まらない暴走列車だ”と指摘する。
　その上で”五輪が行われれば人々は病に侵されるだろう。命を落とす者もいる。それは誰も支払うべき代償ではない”と訴えた。

　こういう事が解りきっていながら､どうしても東京五輪を開催したければ､好きにするがいい。勿論､国民の命を危険に晒さないという大前提の上である。
　多分日本政府と組織委と五輪の関連業者は､雀の涙ほどの目先の利益をガツガツと貪るだろう。放映権を仕切るNBCも多分､今回の東京五輪は全くカネにならんと高を括ってるだろう。つまり､日本国民の血税を貪る事でしか利益は出ないのだから。

　世界中の笑い物にならない為にも､これ以上､嘘をつき続けない為にも､オリンピックを中止する英断がほしいものだ。